| 柳生師範の臨時邸宅。 | |||
| 秋 | いつ見ても美しいな、この庭は。これも咲耶のおかげだ。 | ||
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| デュパン | ん?あれは…… | ||
| ラチェット | おお!またお会いしましたな、秋――さん、それにデュパン君。 | ||
| 秋 | また性懲りもなく、爺さんを探しにきたのか? | ||
| 秋 | 毎日ご苦労なことだな。ここまで執念深いのは、お前が初めてだ。 | ||
| ラチェット | これもビジネスですから。誠心誠意込めないと、相手は動きませんからね。 | ||
| ラチェット | 何度か足を運ぶだけです、たいしたことはありませんよ。それに、たとえ話がまとまらなくたって、こうして交友を深めることはできる。 | ||
| ラチェット | それはそうと、たった今お帰りで? | ||
| ルブランについて他言するわけにはいかない。 デュパンがどう場を切り抜けようか考えていると、秋がさりげなく答えた。 | |||
| 秋 | ああ、周辺の見回りから戻ったところだ。 | ||
| デュパン | ……柳生師範が珍しく外出なされるのだ、彼の安全を最大限確保しなくては。 | ||
| デュパンは一瞬呆然としていたが、すぐに話を合わせた。 | |||
| いい加減な性格とは裏腹に、秋のボディーガードとしての素養はすこぶる高い。 彼の裏表のない性分のおかげか、とっさに出た言い訳も信憑性があるように感じられた。 | |||
| デュパン | (これが彼のやり方か……想像以上にプロフェッショナルだ) | ||
| ラチェット | いやぁ、誠に勤勉ですなぁ。さすがは柳生師範の側近だ。そんじょそこらの警備員とはわけが違う。 | ||
| 秋 | ははは、当然だ。あの爺さんは、暇人は養わない主義でな。人間の用心棒だけではない、俺のような警備用人形も大勢いる。 | ||
| ラチェット | かといって、警戒を怠るわけにはいきませんな。最近、とある噂を小耳に挟みましてね…… | ||
| デュパン | 噂? | ||
| ラチェット | なんでも、人形のメンタルを操れるとかいう、ハッキングプログラムが現れたんだとか…… | ||
| 秋 | ほう、初耳だな。覚えておこう。 | ||
| 秋 | だが人形を制御するのも、そう容易くはないはずだ。 | ||
| デュパン | 少なくとも、人形メンタルのデザインレベルを遥かに超えた開発力が必要となるな。 | ||
| デュパン | あり得ない話ではないが…… | ||
| ラチェット | はっはっは!私も小耳に挟んだ程度ですよ。とにかく、師範の安全にはくれぐれもお気をつけて…… | ||
| ラチェット | 結局のところ、人形ってのはただの機械ですからねぇ。安全といえど…… | ||
| デュパン | …… | ||
| ラチェット | おっと、申し訳ない。失言でした。けして他意はないんです。 | ||
| ラチェットはぎこちない笑顔を浮かべて、 馴れ馴れしく秋の肩を叩き、気まずさを誤魔化そうとした。 | |||
| ラチェット | しかし、秋さんのような人形は、さぞやお高いのでしょう。私のような庶民にはとてもとても…… | ||
| 秋 | もういい、わかった。さっさと行け。 | ||
| 秋 | それと、忠告に感謝する。爺さんにはこちらも気を配っておくさ。俺がいれば、何も問題ない。 | ||
| 秋 | それに、こっちには大将がついてるからな。だろう? | ||
| デュパン | ……急に肩を抱いてこなければ、君に同意していたところだよ。 |
