| 剣士は得物を取り戻し、策士が戦局を導く。 | |||
| 秋 | これが……最後の一匹! | ||
| デュパン | こちらも完了した! | ||
| デュパン | ルブラン、どこを見ている? | ||
| デュパン | 「相手に無礼だとは思わんか」――これは、お前の台詞だろう。 | ||
| 秋 | 宝刀を取り戻したぞ! | ||
| ロボットたちとの熾烈な戦いの末に、数珠丸恒次は秋の手の内へと戻った。 今や宝刀は彼にしっかりと握られている。 | |||
| デュパン | 秋、刀がすり替えられていないか確認を。 | ||
| 秋 | ふむ――問題ない、正真正銘の本物だ! | ||
| 秋 | はっはっはっは!これで怪盗の悪巧みは阻止できたな!さすがはお前だ! | ||
| デュパン | 探偵としての責務を尽くしたまでだ。それに、まだ終わりではない。 | ||
| 秋 | まったく、口を開けばすぐそれだ。謙虚なのも大概にしておけ、「名探偵」! | ||
| ルブラン | わかった、わかった。降参だ。 | ||
| ルブランにはわかっていた。 秋が数珠丸恒次を取り戻した瞬間、彼のチャンスは完全に失われたのだと。 | |||
| 作戦が失敗したと見るや、ルブランは笑って両手を掲げた。 その動作とともに、頭上から真っ白な縄梯子が突然降りてきて、 彼を展示会場の高所へと引き上げた。 | |||
| デュパン | あんなもの、いつの間に……! | ||
| ルブラン | そう怒るな。怪盗というものは得てして、最後の逃げ道を残しているものだ。違うか? | ||
| デュパン | その天井のフレームは……昨日、安全検査を終えて取り付けたばかりの…… | ||
| デュパン | 昨夜の誘拐事件は、この「退路」を用意するための時間稼ぎか。 | ||
| ルブラン | その通りだ、賢い名探偵殿。 残念ながら、今日のところはお別れだ。また会おう! | ||
| そう言い終える頃には、ルブランの姿は跡形もなく消えていた。 どこからか持ち出されたスピーカーだけが、怪盗の声を会場へと届けている。 | |||
| ルブラン | あの罠にさえ手を出さなければ、今頃、私は君に捕らえられていただろう。悔しいか? | ||
| デュパン | ……いいや。 | ||
| デュパン | 罠に手出しせず、秋を助けていなければ、今頃、数珠丸恒次は失われていたはずだ。 | ||
| デュパン | 今回は、引き分けとするほかあるまい。 | ||
| ルブラン | そうとも、君は秋の力を借りているのだからな。 | ||
| ルブラン | 次は君一人で、私を阻めるかな? | ||
| デュパン | …… | ||
| デュパン | ルブラン、お前は間違っている。 | ||
| デュパン | 私の執着、選択、そしてパートナー……その全てが、私の力だ。 | ||
| ルブラン | ほう……つまり、秋も君の力の一部だと? | ||
| 秋 | ん?何がいかんのだ?相棒とは、そういうものだろう。 | ||
| ルブラン | なるほどな……それが君たちの考えか、羨ましいよ。 | ||
| ルブラン | もし、もしもだ。我々の立場が逆転したら…… 秋。君は、私の力になってくれるか? | ||
| 秋 | ……は? | ||
| デュパン | もし次があるなら、他人を玩具のように弄ぶのはやめてもらいたい。 | ||
| ルブラン | 玩具、か……素晴らしい例えだな。 | ||
| デュパン | お前に出会うまで、私には天敵など存在しなかった。私にとって、謎はあまりにも簡単すぎた…… | ||
| デュパン | 解けない謎だけが、私を狂わせる。しかし過度な執着は真意を見失わせる。 | ||
| デュパン | お前も同様に、私と出会うまでは、誰かに捕まったことなどないのだろう? | ||
| ルブラン | お前を含めても、たった一度だけだがな? | ||
| デュパン | 私を挑発するのは、それが理由か。 | ||
| デュパン | 標的に固執し、他者を軽んじ蔑んでいては、自分自身に囚われるだけだ。 | ||
| デュパン | 一対一の決闘などという典型的な呪縛から、私はすでに解き放たれた。お前はどうだ? | ||
| ルブラン | フン、成長したとでも言いたげだな?面白い。 | ||
| デュパン | いずれにせよ――今回は、お前が思い煩う番だ。ルブラン。 |
