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Last-modified: 2008-10-19 (日) 13:38:11

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320 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/19(金) 17:12:58 ID:Fxf1G2+m
ユリシーズ「(プルルルルル)はい、こちら『ゆりしーの何でも電話相談室』です。ご相談をどうぞ」
カアラ  「あの、家族の1人の言動がおかしいのだが・・・。『闇』とか『血』とかそんなことばかり言って・・・
笑い方も変だし、ブラックコーヒーを飲みたがるし・・・」
ユリシーズ「ああ、奥さん、それは心配しなくていいですよ。息子さん、中学生くらいですか、まぁ、それ位の年齢の子にはよくあることなんですよ」
カアラ  「は、はぁ・・・」
ユリシーズ「世間では『中2病』とかいいますけどね、別に病気でもなんでもありません」
カアラ  「あの、それがだな・・・」
ユリシーズ「まぁ、下品な言い方ですが、男の子の生理とでもいいましょうか。大人になるために必要なことなんですよ。私も子供の頃はそうでした」
カアラ  「いや、問題なのは・・・」
ユリシーズ「成長すれば、自然となくなります。それまでは温かく見守ってやってください。そんなところでよろしいでしょうか?」
カアラ  「は、はい・・・ありがとうございました」
ユリシーズ「それでは、この問題は解決。以上、『ゆりしーの何でも電話相談室』でした(ガチャ)」
カアラ  「(ガチャ プープープー)・・・」
カアラ  「・・・言えなかった、中2病なのは息子でも中学生でもなくて、40過ぎた兄だなんて、とても言えなかった・・・」

剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~
第3話 夫婦生活

―ある日の朝食の席のことである。

フィル  「母上、昨日も言ったとおり、今日は剣道部の合宿なので」
カアラ  「ああ、わかっている。帰ってこないのだろう」
バアトル 「な、なにーーー!?わしは聞いてないぞ」
カアラ  「そのときにはもう寝ていただろう」
バアトル 「外泊など、フィルには早すぎるーーー」
フィル  「が、外泊だなんて。ただ学校内の施設に寝泊りするだけです」
バアトル 「しかし、男もおるのだろう」
フィル  「剣道部は男女合同ですから、もちろん・・・」
バアトル 「いかん、フィルに悪いムシがつくーーーわしは許さんぞーーー」
フィル  「父上、いい加減にしてください。合宿は部の伝統行事です。先生方もいらっしゃるのですから、変な事にはなりません」
バアトル 「だ、だがのう・・・」
カアラ  「バアトル、たかが学校内の合宿で騒ぎすぎだ、ここから歩いていける距離で間違いも何も無いだろう」
バアトル 「う、うむ・・・」
カレル  「くくく・・・明日、フィルの胎内に新たな子種が、グハァ・・・」
カアラ  「何だ兄者?朝から手にフォークを刺してどうしたのだ」
カレル  「我が妹ながら、容赦ねぇ・・・」

フィル  「父上、母上、伯父上、行って参ります」
カアラ  「気をつけてな」
バアトル 「う、うむ・・・」
カアラ  「ほら、おぬしもそろそろ時間だぞ」
バアトル 「ああ、心配だ、男がいる場所で寝泊りなど、フィルにもしものことがあったら・・・」
カアラ  「いい加減にしろ、この程度でおたついていたら、この先どうするつもりだ!」
バアトル 「う、うむ、そうだな」
カアラ  「わかったら、さっさと行って来い」
―まったく、我が夫ながら困ったものだ。

カアラ  「ふう、こんなものでいいか」
―娘と夫を送り出した後、私はいわゆる主婦業に移る。片付け、ゴミだし、掃除etc...
結婚したてのころはまったくできなかったが、流石に20年もやれば人並みにはなる。
1段落ついたころ、体は汗まみれになっていた。
321 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/19(金) 17:14:36 ID:Fxf1G2+m
カアラ  「シャワーでも浴びるか」
―服を脱いで浴室に入る、冷たい水が心地良い。
浴室を出た後、鏡で自分の姿をみて、ふと思った。
「そういえば、最近夫に愛してもらっていないな」
うちには大きな子供が「2人」いるから、夜といえども気楽にはできない
第一私達は40過ぎだ、新婚のように毎晩盛っていたら気持ちが悪い。
その辺のことは十分わかっているつもりだが、全く無いというのも夫婦として少々寂しい。

カアラ  「ふ、低俗なことを考える・・・剣姫も堕ちたものだ」
―自嘲気味に笑いながら、服を着る、そしてさらに思った。
「今日はフィルが帰ってこない」
とすれば、残る「もう1人の子供」を何とかすれば久々に・・・

カアラ  「兄者」
カレル  「くくく・・・なんだ」
カアラ  「これから家をワックスがけしたい。だから、悪いが夜まで、家を出て行ってもらいたい」
カレル  「何時までだ」
カアラ  「そうだな・・・片づけをしてからだから深夜11時くらいまで外に出ていて欲しい(バアトルは今日は早いはずだから、それだけあれば十分だな)」
カレル  「くくく・・・我が血塗られた道をその手で操ろうというのか・・・」
カアラ  「無論、ただとは言わん(500G握らせる)」
カレル  「何のまねだ?」
カアラ  「兄者の月の小遣い、その半額を無条件でやる。これを今日1日で使い切って構わない」
カレル  「この程度の金で、我が闇を手にしたつもりか」
カアラ  「そのつもりだが、何か問題があるか?」
カレル  「くくく・・・」
―あっさり兄者は家を出て行った。
たかが500Gで妹の言うことを何でも聞く40過ぎの兄のことを考えると頭が痛くなったが、
とりあえず今はどうでもいい。
これで家にいるのは夫婦2人だけだ・・・久々に愛してもらえる
夫の屈強な体に私が・・・そう考えると、胸が熱くなった。

カアラ  「ふ、所詮は私も女ということか」
―こういうときに兄者と似た口調になるあたり、血は争えないのかもしれない。
その後、残った片づけをし、夕食の支度をする。
気がついたら山芋と鰻が献立にあるあたり、よっぽど期待をしているようだ////。
午後7時、そろそろ帰ってくるはずだが、夫は帰ってこない。
8時、9時を周っても帰ってこない、流石に心配になってくる。
『何かあったのか?』そう思った矢先に、夫は帰ってきた。

バアトル 「すまぬ、遅くなった」
カアラ  「遅かったじゃないか、仕事か?」
バアトル 「いや、むしろ仕事は早めに切り上げてきた」
カアラ  「では一体どうしたというのだ?」
バアトル 「フィルの学校に行って来た」
カアラ  「・・・は?」
バアトル 「う、うむ、どうしてもフィルが心配での。特別指導の名目で、剣道部の合宿に参加してきた」
―こ、この男は・・・

バアトル 「練習の間はフィルもしぶしぶ許してくれたようだが、練習が終わって食事やら入浴やらの時間になったら、追い出された」
カアラ  「当たり前だ!」
―我が夫ながら、いくらなんでも過保護すぎる、
思春期真っ盛りの娘の前で、アニ○ル浜○も真っ青なこの父親が、チームメイトの前で叫んでいたら・・・
フィルが恥ずかしがっている姿が、目に浮かぶようだ。
322 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/19(金) 17:15:47 ID:Fxf1G2+m
カアラ  「まったく・・・夕食のしたくはできているから、入浴を済ませて来い」
バアトル 「う、うむ・・・」
カアラ  「久しぶりに、一緒に入るか?」
バアトル 「な?////////////ば、馬鹿を申すな」
カアラ  「冗談だ」
―この手の事に関しては、夫は非常にシャイだ
我々は食事を済ませ、寝室に向かった。

バアトル 「ふー旨かったぞ」
カアラ  「そうか、それはよかった」
バアトル 「く、それにしても、フィルが心配だ・・・」
カアラ  「こういうとき、父親が堂々としないでどうする」
バアトル 「しかしだな・・・」
カアラ  「しかたがない、しばらく娘のことを忘れさせてやろう」
―私はそういうと、夫のごく近くに腰掛けた。

バアトル 「お、おい・・・」
カアラ  「なんだ?イヤか?」
バアトル 「い、いや・・・別に・・・いや、この『いや』というのは嫌いという意味ではなくて、その、うおーーー////」
カアラ  「フフフ、バアトル・・・」
―私は、夫に抱き寄ると、そのまま口づけをした

バアトル 「/////」
カアラ  「何を照れているんだ?我々は夫婦だぞ・・・」
―私はそう言うと、再び、夫に口付けた。

カアラ  「きょうはフィルが帰ってこない、遠慮しなくていいんだぞ」
バアトル 「う、うむ、しかし、その・・・////」
カアラ  「まったく、こういうことについては本当に恥ずかしがりやなんだな・・・」
―私は自分で上着と下着を脱ぎ、三度夫に口づけた。
私も夫も気の利いたことなど一切できない。
お互い、不器用で幼稚な愛し方だが、私達2人にはそれが相応しい。
荒い息遣いと、時折響く吐息で満たされたこの部屋に、私たちを邪魔するものは何も無い。
そう、いまここにいるのは・・・
剣姫でもない、母でもない、ただの「女」である私、
戦士でもない、父でもない、ただの「男」であるバアトル、
そしてそんな男と女の愛が結晶となった最愛の娘、フィル・・・って、え?

フィル  「ち、父上、母上・・・」
カアラ・バアトル  ( ゚д゚)
カアラ・バアトル  ( ゚д゚ )
フィル  「こ、こっち見ないでください」
バアトル 「フィル、いつのまに・・・」
フィル  「いや、あの、その、し、失礼しました////」
カアラ  「ま、待て!!」
―私はあわてて服を着なおし、娘を追った。

カアラ  「フィル、い、今のはな・・・」
フィル  「大丈夫です、私も子供ではないのでわかっています。お二人は夫婦なのですから、そ、そういうことをなさるのは当然のことで・・・///」
―く、流石に「サカ相撲ごっこ」でごまかせる歳ではなかったか・・・

カアラ  「わかってるならいいが(よくねぇ!!)、まあ、その、なんだ・・・」
フィル  「り、両親の仲が良いのは、む、娘としても嬉しいことです////。あ、あの、できれば私、次は、弟が欲しいかと・・・」
カアラ  「いや、一応避妊は・・・って、違ーーーう////!!」
―だめだ、ドツボだ、話題を変えよう。
323 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/19(金) 17:16:39 ID:Fxf1G2+m
カアラ  「そ、そもそもなぜ家にいるのだ?今日は合宿ではなかったのか?」
フィル  「ええ、で、ですが、足りないものがあったので、い、家に取りに来ただけで・・・」
カアラ  「しかしいくらなんでも夜道は危険だろう。よく学校の先生が許したな」
フィル  「たまたま通りかかった伯父上が、家までついてきてくださいまして・・・」
―あ、あの男、こういうときに限って良いことをしおって・・・

カアラ  「そ、それで足りないものとは何だ?」
フィル  「ええっと、タオルが持って行っただけでは足りなくて・・・」
カアラ  「そ、そうか、では早速用意しよう」
フィル  「は、はい、お願いします」
―フィルにタオルを持たせ、バアトルに送らせた。
恐ろしく気まずい空気が流れているだろうが、父娘の試練と思って、耐えて欲しい。
さて、こちらの方だが・・・無論「気まずい」程度で済ますつもりはない。

カアラ  「・・・兄者」
カレル  「くくく・・・なんだ、宴が始まるのか?」
カアラ  「ああ、宴だ。それも兄者が大好きな血の宴がな・・・」
―私はキルソードを抜いて、兄者を斬った、斬って、斬って、斬りまくった。
私の怒りのなせる業か、乱数の神が同情してくれたのか、全て必殺だった。

カレル  「くくく・・・血の匂いだ・・・。いいぞ、それでこそ我がいもう・・・って、あれ、ちょっと、洒落になってないって、やめてー」
―途中から兄者の素が出ていたが、それでも斬りつけるのを私はやめなかった。

カレル  「ちょ、今日の俺、何も悪いことしてないのに」
カアラ  「うるさい、こんな時だけ家族のためになることしおって、おかげで娘と気まずくて仕方がないだろうが!!」
カレル  「え、それってただの八つ当たり」
カアラ  「ああ、八つ当たりだ。そ れ の 何 が 悪 い 」
カレル  「ボソ・・・ち、いくら最後までできなかったからって、よっぽど欲求不満だったんだな」
カアラ  「/////////」
―兄は、私の逆鱗に触れた。

カアラ  「フ・・・フフ、フフフ・・・兄者、永きに渡った剣の一族の宿命、いまここで決着をつけようじゃないか」
カレル  「え、わ、やめて、アッーーーーー」
―全国の若いご夫婦に忠告だ「同居者はいつ帰ってくるかわからない」。だから夫婦の営みや浮気は慎重に行うように(涙)。

345 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/22(月) 12:58:42 ID:UbFB7+1m
マチス  「レナ・・・おまえは今どこにいるんだ。死ぬ前に一度でいいからおまえに
会いたかったな・・ 」
レナ   「兄さん、私、すぐ隣にいるんだけど・・・」
マカロフ 「いやぁ、参ったなぁ・・・まさかあそこで大穴がくるとは思わなかったよ。おかげで明日の借金返せねえや、HAHAHAHAHA」
マーシャ 「こっちに来なさい!!アイクさんに根性叩きなおしてもらうわ」
カレル  「金も命も非常に脆いものだ・・・刹那の間に露のごとく消えゆく・・・真の目的も果たせずにな、くくく・・・」
カアラ  「その言葉が『お使いのお金で別のものを買ってしまった』という意味なら斬るぞ」
レナ   「兄さん、やっぱり目か頭が悪いんじゃ・・・」
マーシャ 「兄さんの馬鹿!!私の給料皆スッちゃって」
カアラ  「兄者め・・・スーパーへのお使いもまともにできんのか」
レナ・マーシャ・カアラ「・・・・・・」
苦労妹3人「ガシ!!(涙を流しながら、固い握手)」

剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~
第4話 娘の彼氏

―唐突だがわが娘、フィルは本当にいい子に育ってくれた。
性格は素直で優しく、生活も模範的。
世間知らずの母親、豪快すぎる父親、論外の伯父、こんな問題だらけの家族に囲まれ、よくこんな良い子が育ったものだ。
ところが、母親として1つだけ心配事がある。
それは、ずばり「異性関係」
フィルも年頃の娘、好きな男の1人もできていいはずだ。
それに親の贔屓目を差し引いても、フィルは美少女の部類に入れていいと思うのだが、何故か娘にはその手の話は全く無い。

―いや、異性関係以前に、そもそもフィルが、年頃の女の子らしいことをしていることをほとんど見たことが無い。
平日は学校と練習、休日も練習か勉強か家の手伝いが大半を占めている。
遊びといったらせいぜい友人を家に呼んでおしゃべりするだけ、ファッションにも興味なし。
ここまで真面目すぎるのも、少々まずい。

―真面目で堅い女の子に限って悪い男に騙され、ズルズルとのめりこんでいくのは、世事に疎い私でもよく聞く話だ。
逆に、嫁の貰い手がなくなるのも困る。
こっちはわが身にも覚えがあることなので、特に切実である。
断言しよう、20年前に夫と出会っていなければ、今でも私は独身だ(泣)。

―さらに頭の痛いことに、バアトルが過保護、それも異性関係にはとくに敏感なのだ。
この間、フィルが10年ぶりに男友達を呼んだのだが、夫は彼を文字通り叩き潰した。
まぁ、確かに私の目から見てもノア殿(笑)とかいうその男は頼りなかったが、叩き潰すことはないだろう・・・。
生真面目すぎる娘と過保護すぎる夫、娘の将来は大丈夫だろうか?
まぁ、いつまでも悩んでいても仕方が無い、買い物に行こう。
346 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/22(月) 13:02:17 ID:UbFB7+1m
カアラ  「『月刊マッスルエムブレム』、これだな」
―本屋で、夫に頼まれた雑誌を手に取る。
100字以上の文字を読むと頭痛を起こす夫だが、
仕事柄この雑誌だけは読まなければならないらしく、毎月がんばって読んでいる。

カアラ  「会計はあそこだな・・・ん?」
―何気なく移した視線の先に、いわゆる「ファッション誌」とか「ティーン誌」とかいう雑誌が並んでいた。
こういう本、フィルは読むんだろうか?答えはおそらく否。
先日フィルの部屋を掃除した時、本棚には教科書及び参考書と数冊の漫画本があっただけだった。

カアラ  「・・・ためしに一冊買ってやるか」
―フィルもまさか捨てることはあるまい。
これをきっかけに、少しでもフィルの意識が変わればしめたものだ。
何種類もあったが、私に違いはわからないので目に付いた「Em*chu→」というのを選んだ。
これは「えむちゅ」でいいのか?
会計を済ませ本屋を出た、ついでに夕食の買い物も済ませてしまおう。

カアラ  「・・・どんな内容なのかちょっと読んでみよう。」
―スーパーへ向かう途中にある公園のベンチに座り、先ほど買った「Em*chu→」を取り出す。
最初のページをめくると、カラフルな文字で「特集」と大々的に書いてあった。
どうやら、今回の目玉記事のようだ。
私は次のページをめくり、記事を読んでみた。
347 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/22(月) 13:05:44 ID:UbFB7+1m
☆理想の彼氏は『ナバール系』☆
「オグマ系」じゃ暑苦しい、でも「王子様系」じゃ物足りない、
乙女心はいつもワガママ(はあと)。
でもしょうがないよね、だって彼氏に妥協は許されないもん!!
そんな乙女のワガママなニーズに応えるのが「ナバール系」。
ということで、今回はそんな理想のタイプ「ナバール系」を徹底的に解析しちゃうぞ!!

☆「ナバール系」って何?☆
「ナバール系」とはアカネイアのイケメン剣士、ナバールさんからとった言葉で
彼みたいにクールでダークなイケメンのことをナバール系といいます。
オグマ系みたいにムサくないけど、王子様系よりも強くて刺激的、ナバール系はまさに乙女にとって、理想の彼氏なのです!!

☆絶対守って欲しいナバール系5箇条☆
1、スマートなイケメンであること、でも鋭さと力強さが無くちゃ駄目。
繊細さに鋭さと強さが必要、髪型は長髪だと嬉しいかな。
もちろん、ブサメンは問題外、アーダン系なんて(笑)つけちゃうしかないよね。

2、COOLであること。
熱血なんて流行らない、COOLでDARK、これぞナバール系。

3、言葉もCOOLに、だけど刺激的に
COOLで刺激的な言葉で乙女心をビンビンに感じさせてくれなきゃね。
「闇」「血」「斬」「剣」こんな過激な言葉も、ナバール系がいうと舞い上がっちゃいそう。

4、でも最後は優しくなくちゃ駄目
いくらCOOLでも女の子には優しくなくちゃね、女の子を斬る剣なんかもってちゃ絶対ダメ。

5、武器は剣で決まり
やっぱりナバール系ならキルソードを使いこなしてほしいよね!!神器があればいうことなし。
あ、でもデブ剣デュランダル(笑)は例外ね。

☆ナバール系モデルに学ぶ、ナバール語☆
ナバール系に欠かせない言葉、それがナバール語。ここでは、ナバール系の代表的モデル3人から、ナバール語を学んじゃおう!!

No.1 元祖 ナバールさん
「女や子供に用はない!さっさと立ち去れ!!」→女の子が相手でもCOOL。これがナバールの基本。
「・・・オレは女にきりつける剣は持ってはおらぬ」→でも、やっぱり最後は優しいの。男はこうでなくっちゃね。

No.2 神剣バルムンクが光る!! シャナンさん
「ふっ・・・おまえというヤツは・・・」→『ふっ』はCOOLな男の基本中の基本。バルムンクで私の心も切り裂いて。

No.3 異色の個性派ナバール ヨシュアさん
「俺があんたを幸せにする。その事について・・・だ。賭けるのは、俺の命だ」
→これぞ、命がけのギャンブル。軽妙だけどクールな台詞に、乙女のハートは大穴的中!!

☆あなたの街のナバール系!!投稿、ナバール語☆
ここでは、一般の方から投稿してもらったナバール語を紹介しちゃうぞ。
今回は、エレブ区のP.N.剣魔さんからのナバール語をPICK UP!
「ふ・・・よい風だ。これから始まる宴にふさわしい」
「この体全てが一つの刃・・・血を吸わずして生きてはいけぬ」
「今のお前の剣・・・実に美しい。斬らずにはいられぬほどに、な」

→剣魔さんのナバール語はどれもちょぴり危険で過激。
でも乙女のハートはそういうのにビンビンに刺激されちゃうのよね。
もう剣魔さんに身も心も斬られた乙女はいるのかな?

以上、ナバール系の徹底解析でした。
読者のみんなも、ナバール系彼氏を見つけて、この夏、素敵な恋をしよう!!
348 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/22(月) 13:06:45 ID:UbFB7+1m
カアラ  「・・・・・・・・・・・・はぁぁぁぁぁ!!」
―5ページにも及ぶ特集を読んだ後、私は雑誌を上空に投げ、倭刀を抜いて切り裂いた。
それはもう、原型がなくなるくらい、何度も、何度も切り裂いた。

カアラ  「馬鹿馬鹿しい、何が、何がナバール系だ!!ただの中2病じゃないか」
―全く、最近の若い婦女子の考えることは理解できん。
クールでダーク、笑うときは「ふっ」とかいう剣士が理想の男だと!!
冗談じゃない、そんな男は女を不幸にするだけだ。
若いうちは格好いいかもしれない、しかし歳をとれば痛々しいだけの中年が残る。
20年間かけ、身を持って実感した私が言っているのだから間違い無い(涙)。

カアラ  「ああ、腹立たしい・・・ん、あれは・・・」
―怒りが収まらぬまま、スーパーに入ると、赤い髪をした2人の少年に出会った。

ロイ   「あ、フィルのお母さん、こんにちは」
カアラ  「フィルのクラスメートでロイ君・・・だったな」
エリウッド「ロイの兄、エリウッドと申します。いつも弟がお世話になっております」
カアラ  「こちらこそ、いつも娘が世話になっている。ところで2人は夕食の買いだしか?」
ロイ   「はい、うちは大家族ですので、纏め買いしないと持たないんですよ」
カアラ  「両親の手伝いとは感心だな」
エリウッド「あ・・・」
ロイ   「いや、あの、実は、僕たち両親いないんです」
カアラ  「む、す、すまない、軽率なことを聞いてしまった」
ロイ   「いや、そんなに気にしないで下さい」
―迂闊だった。いくら平和な紋章町とはいえ、両親が必ずいるとは限らないのだ。
なにやら「設定が無い」「ネタスレだし」「そもそも本編じゃ僕たち親子」などと聞こえたが、おそらく複雑な事情なのだろう。

ロイ   「それでは失礼します」
カアラ  「うむ、良かったら今度うちに遊びに来てくれ」
―お辞儀をし、少年2人は去っていった。
少々大人しそうだが、礼儀正しく、素直、2人とも非常に好感の持てる少年だ。
やはり人間素直が一番だな。
思ったこと、感じたことをストレートに表に現す、私の夫はやりすぎだとしても、そんな素直さをもっているのが理想の男なのだ。
闇だの血だの宴だの、そんなことをほざく男に碌なのはいない。
その点、いまの兄弟は言うことなしだな。
同い年でもあるし、ロイ君はフィルにどうだろうか?
まぁ、本人の気持ちがあるのでなんとも言えんが、ロイ君が彼氏だったら私としては非常に安心できる。
今度、フィルに聞いてみよう。
好感の持てる少年に出会ったことで先ほどの怒りは収まり、私は自然と笑顔になった。

カアラ  「だから私が笑顔のうちに、買い物籠のビールと菓子を戻してくるんだ」
カレル  「くくく・・・今宵は宴が始まる・・・」
カアラ  「買い物籠に欲しいものを勝手に入れる、やっていることがまんま小学生ではないか」
―全国の若い婦女子諸君に告ぐ、これがナバール系の成れの果てだ。
悪いことは言わないから彼氏にするなら素直な男にしろ。
あんな雑誌に騙されてはいけない。
349 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/22(月) 13:07:45 ID:UbFB7+1m
フィル  「あ、あの、母上・・・」
―次の日の朝、朝食の場でフィルが口を開いた

カアラ  「どうした?」
フィル  「あの、今日は練習が無いので早く帰ります。それで、今日友人を連れて来たいのですが・・・」
カアラ  「ああ、それは構わないぞ。家の片付けと菓子の準備をしておけばいいのか」
フィル  「そうしてもらえると嬉しいです」
カアラ  「友人とは誰が来るのだ?リリーナか?スーか?ラクチェか?」
フィル  「あ、あの、母上、今日来るのはその・・・男の子・・・なんです」
カアラ  「な」 
バアトル 「な」
カアラ・バアトル「なんだとーーー!?」
カレル  「くくく・・・」
バアトル 「お、お、お、男だとーーー!!娘よ、男を連れ込む気かーー」
フィル  「つ、つ、連れ込むだなんて・・・ただ、ちょっと家に来てもらうだけです」
カレル  「私は構わないのだが、その・・・フィルの、か、彼氏ということでいいのか?」
フィル  「ち、ち、違います。剣道部の先輩というだけです。ただ、この間の合宿でお世話になったので、そのお礼がしたいだけです」
バアトル 「く、合宿か・・・やはりあの時娘に悪いムシがついていたのかーーー、うおおおお」
フィル  「いい加減にしてください、悪いムシだのと!!大体合宿の夜は父上と母上だって・・・あ・・・////」
バアトル 「////」
カアラ  「////」
カレル  「くくく・・・」
―せっかく忘れかけたのに、再び思い出してしまった親子3人、き、気まずい・・・

フィル  「と、とにかく、今日その人に来ていただきますから」
バアトル 「わかった、今日は仕事を早く切り上げる。そして、その男がフィルに相応しいものか判断する。
いいか、最低限わしより強い者でないと認めんからな」
カアラ  「おいおい、バアトル・・・」
―また、ノア殿(笑)の惨劇は勘弁して欲しい。
・・・どうでもいいがなぜ、いちいち『殿(笑)』をつけてしまうのだろう?

フィル  「の、望むところです。今度の人は剣道部のエースでとっても強いんです。私なんか足元にも及ばないし、それに・・・」
―フィルはバアトルに背を向け、さらに言った。

フィル  「・・・父上よりも、強いんですから//」
―フィルの頬は心なしか、赤かった。

バアトル 「・・・う、う、うおおおおお!!絶対に叩き潰してくれるわぁぁぁぁぁ!!」
カアラ  「わかったから、そろそろ時間だぞ」
―夫と娘はそれぞれ家を出た。
まったく、バアトルの過保護もあそこまでくると病気だな・・・。
夫には悪いが、正直今回は邪魔だ、友人には私と娘の2人だけで会いたい。
しかし、夫のあの様子では無理だろうな・・・。
それについては後で考えるとして、とりあえずもう1人の邪魔者を何とかしてしまおう。

カレル  「何のまねだ?」
カアラ  「1000G、兄者の月の小遣いと同額だ。それを今日一日で使い切って構わないから、即刻この家を出、夜11時までこの家の半径500m以内に近づかないで欲しい」
カレル  「前回のことといい、剣ではなく金で私を従わせようとは・・・。剣姫も堕ちたものだな。くくく・・・」
カアラ  「なんだ、剣の方がいいのか?丁度ここに倭刀もあることだし、動脈を数本斬って夜まで眠ってもらう方法でも、私は一向に構わないぞ。もっとも目覚める保証はないがな」
カレル  「ふ・・・剣魔と呼ばれた私も甘くなったものだ・・・」
―兄者は金をひったくって、全速力で家を出た。
邪魔者の一人が消えたので、私は家の掃除を始めた。
居間と玄関、廊下、トイレ、あと・・・バアトルが許すとは思えんが、一応フィルの部屋も掃除しておこう。
一段落すると、私は一休みし、茶を飲むことにした。
現在午前11時、友人が来訪するのは午後4時前後、あと5時間でやるべきことは菓子の準

バアトル 「今帰ったぞーーーー」
カアラ  「ぶーーーーーーーー」
―天高く茶を噴出してしまった。
ゲーム本編で少なからず私に萌えてくれたプレーヤーの方々、イメージを崩すようなことをしてすまない。
350 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/22(月) 13:09:25 ID:UbFB7+1m
カアラ  「お、おぬし、今何時だと思っている?まだ午前中だぞ。出勤してから3時間も経っていないのだぞ!!」
バアトル 「心配しすぎて今日は仕事にならなかったので帰宅することにした」
―・・・頭痛がしてきた。
夫は庭に出て、斧を振りはじめた、どうやら本気で叩き潰すつもりらしい。

カアラ  「おい、いい加減に・・・お、おい、そ、その斧は・・・」
―庭に近づき夫の持つ斧を目の当たりにした瞬間、私の体を寒気が襲った。
剣士にとっては神将器よりも恐ろしい、最凶最悪の兵器。
剣を捨てた私でさえ、いまだに寒気を覚える。
「ソードキラー」、鋼の斧と同等の威力で、三すくみ反転、さらに剣士特効と
「剣士に恨みでもあるのか」と開発に問い詰めたくなるような、まさに剣士にとってのリーサルウェポンである。

バアトル 「うむ、剣道部なら当然これも有効じゃ。少々卑怯だが、フィルを守るためには仕方が無い」
カアラ  「こ、この大馬鹿者がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
―跳躍して渾身の蹴りを夫に入れる。

バアトル 「ぐはあああ」
カアラ  「お、おぬしという男は・・・フィルの友人を殺す気か!?」
―ヘクトル編32章でおぬしがその斧で私を殺し、やり直したプレーヤーが一体何人いると思っている?

バアトル 「し、しかしだの・・・」
カアラ  「ええい、そんなことをしていないで準備を手伝え!!」
―夫と2人で残りの掃除をし、菓子や茶などを用意する。
全ての準備が終わった後昼食を済ませると、午後の1時になっていた。
あと3時間、何もすることはないが、待つしかないだろう。

フィル  「只今帰りました」
バアトル 「む、きききききき来おったか、かかかか返り討ちにしてくれるわ」
カアラ  「落ち着け。おぬしはここにいろ、私が出る」
―午後4時丁度、娘が帰ってきた。
玄関に向かうと、娘と、娘より幾らか年上であろう少年が立っていた。

フィル  「母上、只今帰りました」
カアラ  「ああ、お帰り。それで、そちらが?」
フィル  「はい、剣道部の先輩で、ルトガーさんです」
―娘がルトガーと言ったこの少年・・・
スラっとした長身、たなびく長髪、端正な顔立ちに年齢不相応な鋭い眼光、
・・・美形だ、このままモデルや俳優にしても容姿だけなら通用するだろう。
しかし、何故か私はこの少年に対し、言いようの無い不安を覚えた。

カアラ  「フィルの母、カアラだ。娘がいつも世話になっている」
ルトガー 「・・・・・・ルトガーだ」
フィル  「それでは、どうぞあがってください」
―ルトガーは最低限の挨拶をすると、フィルに案内され居間へ向かった。
その光景を見て、私の不安は何故か強まった。

バアトル 「む、むう・・・この男が・・・」
フィル  「ルトガーさん、父のバアトルです」
ルトガー 「・・・・・・」
バアトル 「ルトガーとかいったな。おぬし、剣をやるといっていたが・・・どうせ大したことはないのだろう」
ルトガー 「・・・・・・さあな」
―居間で茶と菓子を囲みながらの談笑・・・とは到底言えない雰囲気だ。
とにかく夫の敵意がすごい。
351 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/22(月) 13:10:22 ID:UbFB7+1m
フィル  「ルトガーさんは剣道部のエースで、とっても強いんですよ。
この間の団体戦の決勝なんか、ルトガーさんが1人で5人全員倒しちゃったんです」
バアトル 「ふん、それでもわしからすれば、まだまだヒヨっこだ!!」
ルトガー 「・・・・・・」
フィル  「あの時の大将戦は名勝負でした。敵の激しい攻撃を流れるような動きでかわし、閃光のような面を繰り出して一本。
私も観ていましたが、一瞬たりとも目が離せませんでした。」
ルトガー 「あの程度、騒ぐことではない」
フィル  「それからあの時の・・・(以下略)」
バアトル 「ぐぬぬぬぬぬ・・・うおおおおおおお」
―フィルがやけに多弁だ、それも語り方に熱が入っている。
頬も赤みを帯びているし、先ほどから隣にいるルトガーにしきりに視線を送っている。
・・・これは、フィルの方は本気で惚れているのか?
私と同じ感想を持ったのか、夫の頭に血管が浮き出してきた。
そんな娘の想いと夫の敵意に挟まれながらも、ルトガーはなんの反応も示さない。
ほとんどしゃべらず、ただ時折茶をすすっているだけだ。
どう見ても愛想がいいとはいえない。
そんなルトガーを見て、私の不安はさらに強まった。
この感覚・・私にごく近しい者に対する感情と非常によく似ているのだが、具体的に何かがわからない。

フィル  「ルトガーさん、練習が終わっても、いつも1人で夜遅くまで練習しているんです。
入部して一月くらい経った後に私気づいたんですけど、そのときのルトガーさんの姿、とっても素敵でした・・・////」
―なにやら妙な雰囲気になってきた、ま、まさか・・・。
おいおい娘よ、両親が目の前にいるというのに・・・ま、まあ、生真面目な娘らしいといえばそうだが・・・・。

フィル  「気づいてました?わ、私、そのときからずっと・・・ルトガーさんのこと見ていたんですよ・・・///」
―告白キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
はっ!!ゲーム本編で少なからず私に萌えてくれたプレーヤーの方々、再びイメージを崩すようなことをしてすまない。
顔を真っ赤にしてうつむき、恥じらいながら懸命に告白しようとする娘の姿は、親の贔屓目を差し引いても、かなり可愛い。
さぁ、ルトガーの応えはどうなる?

ルトガー 「・・・ズズ(茶をすする)」
―フィルのいっしょうけんめいなこくはく。
ミス、ルトガーにはきかなかった!

バアトル 「うおおおおおおおおおお、ゆ、ゆ、ゆ、許さんぞーーーー!!」
―しかしバアトルがおそろしいほうこうをあげた!

バアトル 「決闘だ、わしは貴様に決闘を申し込むぞーーー!!」
ルトガー 「・・・断る、俺の剣は人を斬るためだけにある。遊びには興味がない」
―剣道で人を斬ったらまずい気がするのだが・・・。
だが、この言葉のおかげで、私が先ほどから彼に抱いている不安の正体がわかりかけてきた。

バアトル 「逃げるな、わしと戦えーーーー」
フィル  「私からもお願いします、この頑固な父のことを叩きのめしちゃってください」
ルトガー 「だから断ると・・・」
カアラ  「ルトガー君、私からも頼む。この娘離れできない親バカの目をさませてくれないか」
ルトガー 「・・・仕方が無い」
バアトル 「よーし、表へ出ろー!!」
カアラ  「本物の武器は使用禁止だぞ。倉庫に模造刀と模造斧があるからそれを使うんだ」
―そういって私たちは、庭へ出た。
私が急遽、夫との決闘に賛成したのは、不安の正体を確認するためだ。
352 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/22(月) 13:11:31 ID:UbFB7+1m
フィル  「はじめ!!」
バアトル 「うおおおおおお」
ルトガー 「・・・」
―バアトルは斧、ルトガーは剣を持って、相対した後、フィルの開始の合図でバアトルが突進した。
かつて凄腕のウォーリアであり、今もインストラクターとして鍛錬を欠かさない夫の渾身の一撃。
10代の少年がどうこうできる物ではない・・・はずだった。
しかし、ルトガーは紙一重で攻撃をかわし、そのまま跳躍。
落下のスピードを乗せて、夫の腕に剣を叩きつける。
衝撃で斧を落とした夫の首筋に、ルトガーは間伐入れず切っ先を突きつけた。

ルトガー 「・・・勝負あったな」
バアトル 「そ、そんな・・・」
―夫はその場にへたり込んでしまった。どうやら、負けを認めたらしい。
・・・確かに強い。相当な才能と努力が無い限り、10代でここまでたどり着くことは不可能だ。
だが、それよりも私は大きな発見をした。
ごく小さな声だが、夫の腕に一撃を入れたとき、この少年は「奥義、天翔蒼破斬」と言ったのだ。
無論、剣道にも真剣にもそんな技はない。

フィル  「流石です、ルトガーさん」
ルトガー 「・・・」
フィル  「あの、よろしければ次は私と手合わせ願います。その剣に少しでも近づきたいんです」
ルトガー 「断る」
フィル  「何故ですか、私が女だからですか?」
ルトガー 「俺の剣は血にまみれている。そんなものに近づける必要はない。なにより、お前の純粋さは汚れた俺には眩しすぎるのだ」
フィル  「ルトガーさん・・・(ポッ///)」
―血にまみれた剣道ってどんなんやねん?そう突っ込みたかったが、かろうじてこらえた。
この少年に感じた不安の正体は、完全に判明した。

・友人の両親を前にしてもほとんどしゃべらない無愛想な態度
・人を斬るだの、血だのといった日常でまず使わない単語を普通に使う言葉遣い
・自分で勝手につけた剣技名(しかも難しい漢字が多い)

これらの指し示すものは1つ。
この少年は「中2病」だ、それも重度の。今風に言うなら「ナバール系」でいいのか?早い話が兄者と同類なのだ。
この少年に感じた不安だが、なんてことはない、いつも兄者に感じている怒りや呆れが漠然となっていただけなのだ。

カレル  「くくく・・・久しぶりの血の宴だ」
カアラ  「兄者!?約束が違うぞ!!」
カレル  「疾走する駿馬の風が、私の富を虚空の彼方に連れて行った。そして宴の予兆を感じた剣魔の血が、ここに私を導いた」
―競馬で全額スッて夕食が食べられなくなったから帰ってきた、と。

ルトガー 「・・・あんた、俺の同類だな」
カレル  「奇遇だな。私も貴様から同じ匂いを感じていたところだ。血の匂いをな・・・」
ルトガー 「そうだ、俺の剣は復讐の剣、ただ人を斬るための剣だ」
カレル  「私はただ剣に生き、剣に死す。人を斬ること以外に、一片の意味をもその生に見出すことはできない」
―なにやら中2病同士が不可解な言葉を交わしはじめた。
明らかに日本語なのだが、決して日本語と認めたくないような、そういう言葉だ。

カレル  「くくく・・・血が騒ぐ、久々に斬るに値する強者を見つけることができた」
―兄者、見つけたのは強者ではなく仲間、同類、同じ穴の狢だ。

ルトガー 「いいだろう、あんたを最初に斬るのは、俺だ」
―悪いがルトガー君、兄者なら君の前に私が散々斬っている。

カレル  「ふっ・・・」
ルトガー 「ふっ・・・」
―ついに同類同士が共鳴し始めた。このままビームでも出したりしてな。
怒り、呆れ、悩み、諦め、さまざまな負の感情を抱え込み、私は家に戻った。
353 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/22(月) 13:12:37 ID:UbFB7+1m
―まもなく、ルトガーは帰っていった。その日の夕食でのこと
フィル  「あの、どうでしたか、ルトガーさんは?その、私はと、とても素敵な方だとおもうのですが・・・」
バアトル 「む、むぅ・・・たしかにいい男だし、剣の腕も申し分ない。く、くやしいが・・・わしよりも強い男だ・・・」
フィル  「そ、それでは、父上・・・」
カアラ  「私は認めんぞ」
フィル  「え?」
バアトル 「何?」
―娘だけでなく、夫も意外そうな顔だ。まさか私に反対されるとは思っていなかったのだろう。
しかし、ルトガー君とフィルの仲を認めるわけにはいかない。
彼は中2病、それもあの様子だと大人まで引っ張りそうな重症、早い話が兄者と同類、
すなわちフィルが私の二の舞になる可能性が極めて高いのだ!!

フィル  「は、母上・・・一体どういうことですか?」
カアラ  「フィル、こっちに来い」
―そういって、私とフィルは別室に移動した。

カアラ  「フィル・・・よく聞け。ルトガー君とお前は非常に相性が悪い」
フィル  「母上が決め付けないで下さい!!」
カアラ  「ルトガー君ではなく、ロイ君とかどうだ?クラスメートだろう?」
フィル  「ロイ君は嫌いじゃないですけど・・・ちょっと物足りません。やっぱり男の方は鋭さがありませんと・・・」
―流行の「ナバール系」に惚れるあたり、なんだかんだでフィルも今時の女の子というわけか・・・。

カアラ  「しかしだな・・・ルトガー君みたいなタイプとフィルではあまり幸せになれそうにないというか・・・」
フィル  「男女にとっては愛情こそが唯一の幸福です。
私もルトガーさんも、お互い好き合っているのですから、たとえどんな悲劇が襲おうとも、私たちの愛情で跳ね返して見せます!!」
―ちょっと待て、お前はともかく、ルトガーがいつお前のことを好きだといった?
やはり生真面目なだけあって、一度惚れるとのめりこむタイプのようだ。
それに娘は結構思い込みも激しいらしい。
そうなるとますます「ナバール系」なんかとくっついてもらうわけにはいかない。
いいか娘よ、この世には愛じゃどうにもならないこともあるんだ。
現に私だって20年前までは兄者のことを本気で愛していたんだぞ(涙)。
354 名前: 剣姫カアラ ~妻として、母として、妹として~ [sage] 投稿日: 2008/09/22(月) 13:14:02 ID:UbFB7+1m
カアラ  「フィル、いいから私の話を聞け」
フィル  「もういいです、母上なんて知りません!!」
―娘は泣きながら部屋を出て行った、娘を泣かしたのは何年ぶりだろうか・・・。
明日になったら、私の方から謝ろう、全く私は母親失格だ。
私の胸にこもるさまざまな負の感情に、さらに後悔と自嘲が加わった。

カレル  「くくく・・・娘を泣かすとは・・・。剣の腕と乳の張りだけでなく、母としての覚悟も衰えたようだな」
カアラ  「兄者」
カレル  「何だ?」
カアラ  「斬られろ」
カレル  「はい?」
―あまりの唐突な申し出に、兄者は既に素である。
1つ言っておくが、私の乳房の張りは少しも衰えていない(本当だぞ!!)。

カアラ  「何も言わずに私に斬られてくれ、あ、悲鳴はあげてくれてかまわんぞ、その方がより気も晴れる」
カレル  「ちょ、おま、本気?」
―本気も本気だ、この複雑な負の感情を八つ当たりする相手になれるのは、世界ひろしといえど兄者しかいない。

カアラ  「何なら手足を縛ってもいいのだが」
カレル  「ちょ・・・それじゃSM・・・おま、そんな趣味あったの?」
カアラ  「つべこべ言わずに斬られろと言ってんだよ、この(ピー)で(ピピー)の<ダキュンダキュン>野郎がぁぁぁぁ!!」
―あまりにも汚い言葉に、フィルターがかかってしまった。
ゲーム本編で少なからず私に萌えてくれた(以下略)

カレル  「死ぬ、死ぬ、マジで死ぬーーーー」
カアラ  「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
―その夜だけで、新品のキルソード2本、倭刀3本を消費した。
随分高くついた八つ当たりだが、大分気は晴れた。

フィル  「母上、今日はお世話になっている方をお連れしました」
―しばらく経った後、娘が再び男友達を連れてきた。
真面目な子だと思っていたが、意外と気が多いのは、親として喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか。
で、肝心な男友達なのだが・・・

フィル  「紹介します。乗馬部のシンさん、とても無口だけど、素敵な人なんです」
シン   「・・・・・・・・・・・・・・・(沈黙)」
―娘よ、頼むからもう少し明るい男をつかまえてきてくれないか(涙)。

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