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Last-modified: 2009-01-06 (火) 22:54:42

154 名前: よいこのえほん:星をみるおうじさま [sage] 投稿日: 2008/11/21(金) 17:51:15 ID:7kneXc2E
あるところに、三人のおうじさまがいました。
おうじさまたちは、それぞれべつのばしょで、お星さまをみています。

マルス「今日は星がきれいだなあ。たまには、こうしてのんびり星を見るのも悪くないかもね。」
かみのけも、おなかのなかもくろい、まっくろおうじさまがいいました。
マルス「あれ?なんか光ったぞ…。」
まっくろおうじさまがよぞらをみていると、ちいさなながれ星がひかりました。
マルス「流れ星だ!」
まっくろおうじさまは、ねがいごとをしました。
マルス「スターロードになりたいスターロードになりたいスターロードになりたい!」
まっくろおうじさまは、きちんとねがいごとをいうことができました。

エリウッド「ああ、こうやって星空を見ていると、日頃の疲れが癒されるようだなあ……。」
かみのけはあかいけど、かおはまっさおな、まっさおおうじさまがいいました。
エリウッド「ん?あれは…。」
まっさおおうじさまがよぞらをみていると、ちいさなながれ星がひかりました。
エリウッド「流れ星だ!」
まっさおおうじさまは、ねがいごとをしました。
エリウッド「デュランダル軽くしてデュランダル軽くしてデュラ…」
まっさおおうじさまは、さんけつでたおれてしまいました。

ヒーニアス「む…あれはオリオン座だな。それにしても、夜空とはなんと雄大なのだろう。
      いつかエイリークと一緒に、あんなことやこんなことをしながら見たいものだ。」
かおはかっこいいのに、いってることはかおがまっかになるほどはずかしい、まっかなおうじさまがいいました。
ヒーニアス「……何だ?」
まっかなおうじさまがよぞらをみていると、ちいさなながれ星がひかりました。
ヒーニアス「流れ星だ!」
まっかなおうじさまは、ねがいごとをしました。
ヒーニアス「エイリークと結婚したいエイリークと結婚した―――――――」
ターナ「お兄様!いつまでお風呂に入ってるの!早く私も入りたいんですけど!」
ヒーニアス「ひぃっ!」
ターナ「?そんなに驚いて、どうしたの?」
ヒーニアス「ターナ…今の声、聞いてなかっただろうな?」
ターナ「ええ。何も。」
ヒーニアス「そうか…なら……。」
ターナ「お兄様が露天風呂でどっかの夢見る乙女みたいに、“エイリークと結婚したい!”
    なんて夜空に向かって叫んでいる声なんて聞いてないわよ。」
ヒーニアス「ターナァァァァ!頼む!聞かなかったことにしてくれぇぇぇぇ!」
まっかなおうじさまは、さいごまでねがいごとをいうことができませんでした。

155 名前: よいこのえほん:星をみるおうじさま [sage] 投稿日: 2008/11/21(金) 17:53:17 ID:7kneXc2E
つぎのひのあさになりました。

マルス「………。」

ピッ

マルス   ロード
Lv 16 E 6

ロード

ロード

ロード

マルス「うわあああああ!僕はなんて馬鹿なんだ!
    ほんのちょっとだけ期待をしてしまった、僕はなんて馬鹿なんだあああああ!」
リン「マルス、朝からうるさいわよ!」
マルス「ほっといてくれよリン姉さん……。
    どうせクラスチェンジできる姉さんに僕の気持ちなんてわからないんだああああ!」
リン「いいから静かにしなさい!ご近所迷惑でしょ!」
マルス「ちょ、朝から関節技はやめてーーーっ!」

エリウッド「はっ、もう朝か…。そうか、昨日僕は酸欠で倒れて……。
      ………まさか、ね。」
ズシッ
エリウッド「う……やっぱ…り………重…い……うう…。」
エリンシア「エリウッドちゃーん、朝ごはんよー。」
エリウッド「そうだ、逆に考えるんだ。剣を軽くできないなら、僕が大きくなればいいんだ!
      アイク兄さんだって細かったのにあんなに大きくなれたし、見込みはあるはずだ!よし、早速……。」
ガチャ
アイク「エリウッド、早くしないと朝ごはんが冷めてしまうぞ。」
エリウッド「あ、兄さん……。」
アイク「どうした、朝からデュランダルなんか持って。」
エリウッド「え?いや、ちょっと朝の訓練を……(ウソ)。」
アイク「そうか、それはとてもいいことだ。」
エリウッド「ね、ねえ兄さん。どうやったら、僕も兄さんのように筋肉をつけられるだろう?」
アイク「ん?そうだな。俺も昔はあまり筋肉はついていなかった。
    だからここ数年、毎日腹筋とスクワット、腕立て伏せをそれぞれ5000回で1セットにして、一日3回休まずやったな。」
エリウッド「………。」
エリンシア「エリウッドちゃん、起きなさい!もう7時半よ!」
アイク「ん?もうそんな時間か。早くメシを食いに行かないと、エリンシアが心配するぞ。俺は先に降りてるからな。」
ガチャ
エリウッド「…そうだった。アイク兄さんがムキムキになれたのは、兄さん自身が超人だったからで……。
      僕に見込みなんてないわけで……。ふ、ふふふふ……蝶サイコー!」

ヒーニアス「は、はっくしゅん!」
ターナ「お兄様、風邪引いたの?昨日あんなに長風呂してるからよ。」
ヒーニアス「ターナ!昨日言ったとおり……。」
ターナ「はいはい。誰にも言わないわよ。」
ヒーニアス「…よし。約束だからな。」
ターナ「ええ。(ふふ…お兄様の弱みゲットしちゃった!時々ちらつかせて言うこと聞かせちゃおうかしら。)」

三人のおうじさまは、きのうとなにもかわっていませんでした。

156 名前: よいこのえほん:星をみるおうじさま [sage] 投稿日: 2008/11/21(金) 17:55:06 ID:7kneXc2E
マルス「全く…今日は朝から非常に不愉快な気分だ。」
シーダ「マルス様、おはようございます!」
マルス「やあシーダ、おはよう。」
シーダ「どうされたんですか?浮かない顔をしているみたいですけど……。」
マルス「やっぱりわかった?そうだなあ……君になら話してもいいかもね。」
まっくろおうじさまは、きのうのことを、おんなのこにすべてはなしました。

エリウッド「はあ……やっぱりボディリングを買ってくるべきなんだろうか…。でも、あれは高いしなあ……。」
ニニアン「エリウッドさま、おはようございます。」
エリウッド「ニニアン、おはよう。」
ニニアン「…エリウッドさま、お顔が辛そうです。だいじょうぶですか?」
エリウッド「……そうだな。君には話そうか。実は……。」
まっさおおうじさまは、きのうのことを、おんなのこにすべてはなしました。

ヒーニアス「…そろそろエイリークが来る時間だな。よし、今日こそ……。」
ラーチェル「あら、ごきげんよう。ヒーニアス。」
ヒーニアス「…ラーチェルか。」
ラーチェル「まあ。あなた、なんだか元気がないですわね。一体どうされたの?」
ヒーニアス(…言えない!この女にだけは、絶対に言えない!)
ラーチェル「なんです?何かあったのでしょう?さあ、このラーチェルになんでも言ってみなさいな!」
ヒーニアス「…別に大したことではない。」
ラーチェル「まあ!そう言われると……余計知りたくなってきましたわ!」
ヒーニアス「く、来るな!お前に言うことは何もない!」
まっかなおうじさまは、きのうのことを、おんなのこにはなしませんでした。

ふたりのおんなのこは、おんなじことをいいました。
「あなたは、あなたのままで、じゅうぶんみりょくてきですよ。」と。

マルス「で、でも…僕は、このままじゃ弱すぎる……。もっと力が……。」
シーダ「マルス様がご自分のことを弱いと思うのなら、みんなで助け合えばいいんです。
    一人で抱え込む必要はありません!」
マルス「シーダ…。」

エリウッド「で、でも…僕は、自分の専用武器すら扱えないなんて……。」
ニニアン「わたしは…エリウッドさまのいいところは、自分を飾らないところだと思います。
     だから…無理にデュランダルを使う必要はないです。エリウッドさまには、レイピアがあるじゃないですか。」
エリウッド「ニニアン…。」

157 名前: よいこのえほん:星をみるおうじさま [sage] 投稿日: 2008/11/21(金) 17:57:12 ID:7kneXc2E
ラーチェル「さあ、いい加減に白状なさい!」
ヒーニアス「言わん!ぜっっったいに言わん!」
ラーチェル「…仕方がありませんわ。では、最後の手段…。」
エイリーク「あら、ラーチェル、ヒーニアス様、おはようございます。」
ヒーニアス「エ、エイリーク!?いつの間に……。」
ラーチェル「エイリーク!いいところに来ましたわ!」
エイリーク「どうしたんですか?」
ラーチェル「ヒーニアスったら、何か私に隠していますの!全然話してくれないんですのよ!」
エイリーク「そうなのですか。」
ヒーニアス「うっ………。」
エイリーク「ヒーニアス様、こういう場合は思い切って言ってしまうほうがいいこともあります。
      勇気を出して、話してみたらどうでしょう?」
ヒーニアス「……そうか。」
エイリーク「はい。」
ヒーニアス「わかった……エイリーク!私とけっこ(ry
エフラム「妹が変態に襲われていると聞いて飛んできました^^しね!ハイエナめ!」
ヒーニアス「ちょ、エフラムなんで…は、話せばわかるアッー!」

三人のおうじさまたちは、きのうとなにもかわっていませんでした。
でも、ほんとうはそれがいちばんのしあわせだったときづいたのです。
それからおうじさまたちは、とくべつしあわせにはくらしませんでしたが、ふこうになることもなく、
いつまでもかわらない、ちいさなしあわせのなかでくらしました。めでたし、めでたし。

カナス「ふう。このお話はこれで終わりです。」
「わーい、おもしろかったー!」
「ねえねえ、まっかなおうじさまはどうなったの?」
カナス「あー、それは……また今度、話しましょうか。」
「うん!」
カナス(…言えませんよね。エフラムさんの攻撃で全治3ヶ月の重症を負って、
    結局ターナさんにもお風呂でのことをばらされたなんて……。
    まあ、この絵本も事実を元にして書いたものですし、また…何か考えておきましょうかね。)

おわり