17-255

Last-modified: 2011-05-30 (月) 22:42:33

バレンタインネタ投下したいと思います、他の人のネタも楽しみッス

~バレンタイン前日、某所~

  「……やっぱり肉しかないと思います…」
     「まあ、それしかないわね」
     「…こんなところかしら」
     「ああ、まとまったな」
     「明日は肉をを渡すか、食べてもらうことのみを行い、それ以上の行為は厳禁とする。異論は無いな?」
     「抜け駆け無しってことで!」
     「普段があれだから、こんなときぐらいは平和的にいきたいよね…」
     「普通は逆だと思うけどねー」
     「……………」
     「じゃあこれでお開きね。あ、明日も仕事入ってるから、三人とも遅れないようにね」
     「「「はーい」」」
     「では、これにて終了じゃ。本日はよく集まってくれた、感謝する」

~バレンタイン当日~

アイク  「今日はなんだか町が騒がしい気がするな…」

仕事に向かうべく、歩きなれた道を進んでいたアイクだったが
なにやら町の様子が普段と違うことに気付く

アイク  「この時期になるとこうだな…何か浮ついた感じがするような…何かの記念日かなにかだったか
      まあ俺はいつも通り仕事をこなすだけだが…ん?あれは…レテか?」
レテ   「!!…あ、ああアイクか、奇遇だな…」
アイク  「珍しいな、いつもはここでお前に会うことは無かった気がするが…」
レテ   「ああ…まあ…その……アイク!」
アイク  「あ、ああ…なんだ急に」
レテ   「…黙ってこれを受け取れ!」

そう言われると同時に、何かが入った袋を胸元に押し付けられるアイク

アイク  「これは…何だ?見てもいいか?」
レテ   「ああ、いいぞ」
アイク  「……む…これは、肉か?いや、ただの肉じゃないな…これは魔竜の肉か!
      竜の祭壇近辺にしか生息していないという…」
レテ   「そうだ、わざわざ獲ってきてやったんだ、感謝しろ。保冷剤も入れておいてやったから
      あとでじっくり味わえ」
アイク  「これはありがたいが…なぜこれを俺に?」
レテ   「いや、それは…あれだ、普段世話になっている礼というやつだ
      決してお前が本命だからとかではない、か、勘違いするなよ!?」
アイク  「?…あ、ああ…」

アイク  (何だったんだ一体…あいつはこの時期になるといつもああだな…)
ララベル 「あらアイクさん、おはよう」
アイク  「ああおはよう、…この時間にいるってことは店は休みか?」
ララベル 「今日は午前はお休みにしたの、これを渡したくてね」
アイク  「これは…肉…か?なんの肉だ?」
ララベル 「マケドニアの野生の飛竜の肉。捕らえるのが難しいからなかなか市場に出回らないの
      しかもこれは鮮度もいいから、結構なレア物なのよ」
アイク  「そうらしいな…俺も実際に見るのは初めてだ…悪いな、こんないいものを貰って」
ララベル 「いいのよ、これで少しは他の候補に差をつけられたかしらね」
アイク  「……?」

アイク  「…少し遅れたか、朝から妙に人に会うせいか…」
ミスト  「おはようお兄ちゃん!」
ワユ   「おはよー大将!はいこれ!!あたし達二人から!!」
アイク  「あ、ああ…ありがとな、これは?」
ミスト  「お肉だよ、火竜の!」
ワユ   「それもただの火竜のじゃないよ、竜の門まで行って古の火竜を獲ってきたんだからね!」
シノン  (二人でかよ!?それなりの人数でも危ねえ相手だぞ…)
ガトリー (本気の女は恐ろしいっすね…)
アイク  「二人ともありがとな、…ん?イレースはどうした?いつもなら三人でいるだろう」
ワユ   「んー、なんか急に用事が出来たから休むって」
ミスト  「こんな日に用事があるなんてちょっとかわいそう。せっかく会議までしたのに…」
アイク  「会議?最近何かあったか?」
ワユ   「…!…いやいやいや何でもないの、何でも!」

ティアマト「おはようアイク、今日はずいぶん大荷物ね?」
アイク  「ああ、何か今日はやけに肉を貰う日だ」
ティアマト「アイク、あなた今日が何の日か知ってる?バレンタインでしょう」
アイク  「…そうか、忘れていた。たしかチョコをやりとりする日だったか?」
ティアマト「そうよ、はいこれ」
アイク  「これは…チョコだな」
ティアマト「そうね、やっぱり一つくらいはちゃんとチョコじゃないと気分が出ないと思って」
アイク  「…?ああ、ありがとう(何のことだ?)」
ティアマト「いいアイク、まだこれから誰かから色々貰うだろうけど、あまり不審に思わないであげて
      みんなあなたの気を引きたくて必死なんだから」
アイク  「あ、ああ…?」

アイク  「…よし、これで今日の仕事は終わりだな。さて、帰るか…」
セネリオ 「お疲れ様です、アイク。今日はもう終わりですか?」
アイク  「ああ、ちょうど今帰るところだ」
セネリオ 「今日は荷物が多くて大変でしょう、外にリヤカーを用意しておいたので
      それを使ってください。大きめのを用意したのでこれ以上増えても大丈夫なはずです」
アイク  「それは助かる、正直俺もこの荷物をどう持ち帰るか悩んでいた所なんだ」
セネリオ 「恐らく大丈夫だとは思いますが気をつけて下さい、帰り道の展開次第では収まりきらない可能性もあるので」
アイク  「…わかった、注意しよう(…何に気をつければいいんだ?)」

アイク  「しかし…まとめてみると結構な量だな……ん?」

リヤカーを引きながら家路についていると、突如黒塗りの高級車が横に止まり、見慣れた少女が降りてきた

サナキ  「見つけたぞ、アイク!」
アイク  「何だサナキ、俺に用か?仕事の話なら一度戻ってから…」
サナキ  「そうではない。お主、今日が何の日か知っておろう?」
アイク  「ああ、バレンタインらしいな」
サナキ  「わかっておるなら話が早い、シグルーン?」
シグルーン「はい、サナキ様。…アイク様、これをどうぞ」
アイク  「これは…肉か?もしかして」
サナキ  「その通りじゃ、それもただの肉ではないぞ、我が社の総力を結集して地竜を獲ってきたのじゃ
      しかもこれは先ほど捌いたばかりじゃからな、鮮度も保証するぞ」
アイク  「なるほど…これはいいものだ、しかしただ貰ってばかりなのも悪いな
      何か返せればいいんだが…」
サナキ  「別に気にせずとも良い、じ…じゃがどうしても礼がしたいというのならじゃな
      私の部屋のドアの調子が悪くての、今度見てもらえるとありがたいのじゃが」
アイク  「なんだそんなことか、それなら明日にでも俺が直してやるぞ」
サナキ  「そ、そうか!それはありがたい!では明日必ず来るのじゃぞ!」

アイク  「しかし今日はずいぶん人に会うな…もうそろそろ日付が変わるじゃないか…」

あれからも多くの友人や知り合い、さらには面識のない者からもプレゼントを貰い(全て女性から)
それぞれに真面目に応対していたらいつのまにか帰りが遅くなってしまった

アイク  「ただいま」
ミカヤ  「おかえり、お客さん来てるわよ。アイクの部屋で待ってもらってるから」
アイク  「客、こんな時間にか…」   
ミカヤ  「頑張るのよアイク!もう決めちゃっていいから!あ、みんなもう寝てるから
      なるべく静かにね…フフ…」
アイク  「…?…??」

アイク  「誰だ客って…姉さんの態度も妙だったし…まあ会えば分かるか、入るぞ」
イレース 「…こんばんは、アイクさん」
アイク  「あんただったか、何か用か?…ん?なんでコートを着てるんだ?
      俺の部屋はそんなに寒いか?」
イレース 「いえ…今日はアイクさんに貰ってて欲しいものがあって…」
アイク  「ん?もしかして…肉…か?」
イレース 「…違い…いえ、ある意味そうですね……」

そう言いった後、イレースはゆっくりとコートを脱ぎ捨てた

イレース 「……私…です……」
アイク  「!お、おいお前…なんて格好を…」

アイクが驚くのも無理は無い、イレースは何も着ていなかった。かと言って裸という訳でもない
胸と腰周りにリボンを巻きつけただけの、辛うじて全裸ではないといった格好をしていた

イレース 「…アイクさん」
アイク  「な、なんだ?」
イレース 「ちょっとこのリボンの端…引っ張ってみてくれませんか…?
      私のこれ、長いリボン一本で出来てるんですよ…」
アイク  「…いや、遠慮する。何かまずいことになりそうだ」
イレース 「遠慮しなくていいですから…」
アイク  (何だこれは、一体どういう状況だ…しかも何か妙な圧力があって強く出れん)
イレース 「アイクさん……」

レテ   「でぇーい!」
ワユ   「ちぇすとー!」

ドガ! ゲシ!

イレース 「…痛いです」
アイク  「お前たち…なんで窓から」
ララベル 「ごめんなさい、その話はあとでね」
サナキ  「お主!裏切ったな!」
レテ   「抜け駆け無しと決めただろう!」
イレース 「…誰にも言ってないのに、なんでバレたのかな…」
     「フッフッフ…あたしよ!」
アイク  「む、ユンヌか」
ユンヌ  「そのとーり!あたしがアイクにあたし自身をプレゼントしようと布団の中で待ち構えてたら
      この女が来たから、これはやべーと思ってみんなに知らせたのよ!」
ワユ   「バレンタインが無事に終わったから、みんなで打ち上げやろうって連絡しても反応無しだもん
      これは怪しいと思ってたらユンヌから連絡があったの!」
ミスト  「酷いよー、約束したでしょ?」
イレース 「約束は破ってないです…『肉』を『食べてもらおう』としただけです…」
レテ   「き、汚いぞ!」
イレース 「まったくとんだ腹黒女ね…黒いのは胃のブラックホールだけにしなさいよ」
サナキ  「とにかく帰るぞ、アイクも迷惑しておろう」
イレース 「…えー…せっかくここまで…」
ユンヌ  「やかましい!そもそも抜け駆け無しなんて妙な決まり作るからこんなことになるのよ!
      ここはわかりやすく互いに恋敵の強制排除といこうじゃない!?」
レテ   「いいだろう!やってやる!」

ガラッ

リーフ  「ちょっと兄さん静かにしてよ、僕隣なんだからさ…って何コレ?」
ユンヌ  「邪魔よ!」
リーフ  「ちょ、何!?」

カッ! ユンヌは光を発した! リーフは石になった!

ユンヌ  「よっしゃー!お前ら表(庭)に出んかーい!」

ドタドタバタバタ ガン! ガシャ!

石になったリーフに誰かが当たった リーフは砕け散った!

アイク  「リーフ…お前はなんでいつもこんなタイミングで…ん?砕けた欠片が文字に…」

コ・ノ・ヒ・ト・デ・ナ・シ

アイク  「……これはもはや芸…いや、芸術だな」

  おわり