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Last-modified: 2011-05-30 (月) 22:43:15

二月十三日:某所

サナキ   「こんな所に呼び出しておいて顔を見せぬとはどういう了見じゃ」
仮面の男 「すみません。諸事情で私の顔を見せる訳にはいかないのです」
ミスト   「だったら早く用件を済ませてよ、今日は色々と忙しいんだから」
ワユ    「明日の為にチョコ作らないといけないからね」
イレース  「……メニュー見せてください」
仮面の男 「今日はみなさんアイクの嫁候補方に、重大なライバルがいた事を伝える為に集まって貰いました」
レテ     「何!?」
イレース 「……ドリンク取って下さい」
仮面の男 「伏兵は彼のとても身近にいました」
ティアマト 「身近……それは兄弟家の事? 別にエリンシアはアイクが好きと言うより、
       アイクの筋肉が好きって感じなんじゃからそこまで危惧する必要は……」
仮面の男 「残念ながらエリンシアの事ではありません、あなた方の真のライバルはエイリークです」

 「な、なんだってー!!」

イレース  「あ……カツカレーうどん定食ください?」
ティアマト 「だ、だってエイリークと言ったら双聖器の名前的にもエフラムと……」
仮面の男 「確かに私も彼女がAKJ同盟に所属していたのは、双子の兄であるエフラムを想っての事と思っていまいた。
       しかし、それは全く違ったのです」
レテ    「それがアイクに対してだったって事なのか?」
仮面の男 「そうです。あまりにもさり気なかったので気が付かなかったけど、このスレにおいてエイリークとアイクの掛け合いは非常に多い」
サナキ   「いきなり何を言うかと思えばメタ発言を」
ミスト   「でも言われてみれば、そんな気が……」
イレース  「すみなせん……追加注文です」
仮面の男 「私も過去ログを見直して驚きました。特に、ここ最近になってそれは増加の一途をたどっています」
ワユ    「そういえば前にエイリークさんの婿候補たちと大将がエイリークさんをかけて決闘した事もあったけど、あれも」
仮面の男 「はい。あの時は婿候補たちを完全に諦めさせる為にアイクが出てきたのだと思いましたが、今考えれば結構怪しいです」
ティアマト 「だけど彼女とアイクじゃKINSHINよ、アイクのフラグクラッシュの効果も合わさってSが邪魔するのでは?」
仮面の男 「それに付いては憶測ですが、以下の事が考えられます」

 ・KINSHIN相手はエフラムだと思っているのでノーマーク
 ・相手がフラグジェノサイダーたるアイクだから別にほっといても大丈夫と黙認
 ・アルムとセリカという強力なKINSHINが近くにいる所為で察知できないでいる

仮面の男 「色々考えられますが、一番大きな要因として考えられるのは彼女が天然である事です」
ティアマト 「天然?」
イレース  「……頼んだデザート、まだですか?」
仮面の男 「他のKINSHINと違い、裏でやましい気持ちが殆ど無いって事が大きな意味を持っています」
レテ    「負の気が強いという事か」
仮面の男 「そこまでは言わないがKINSHINを自覚して他の候補を陥れようとしたり過激な考えを内に秘めている事だね。
       エイリーク自身はきっと想いを寄せていても、単純に頼り甲斐のある兄上程度にしか自覚はしてないのでしょう」
ミスト   「それだけでそんなに違うものなの?」
仮面の男 「それはワユさん。あなたなら分るんじゃないですか?
       アイクへの思いがまだ友情、友愛だった頃はフラグクラッシュが発動しなかったのに対して、恋愛感情へとクラスチェンジした今との差が」
ワユ    「確かに昔は今みたいにクラッシュされなかったかも、何度かスルーされた事はあったけど」
仮面の男 「それと同じです。エイリークのアイクへの想いも今はまだ親愛や恩愛と言った家族愛に近いからこそフラクラやSを無効化している」
サナキ   「家族愛か、だったら安心じゃな」
仮面の男 「いいえ。その親愛や恩愛が、いつワユさんのように恋愛感情へとクラスチェンジしてもおかしくはないのです。
       先程も言ったように、二人の掛け合いは昔に比べてはるかに増えました。これが何を意味するかわからない訳ではないでしょう」
イレース  「ここって……テイクアウトもしてますか?」
仮面の男 「AKJが恐れるSにすらそのKINSHINを臭わせる事のない無自覚の愛を持ち、それでいて常にアイクの側にいる。
       そうして二人はこれからも関係を深めていくでしょう」
ティアマト 「ま、まさか」
仮面の男 「そしてエイリークの想いが恋愛感情へとクラスチェンジした時、あなた方ではもう為す術は無いかもしれませんね」

 「…………」

仮面の男 「明日はバレンタイン。みなさんの頑張りを期待してますよ」
ミスト   「か、帰る! 帰ってエイリークさんに負けないような凄いチョコ作る!!」
ワユ    「絶対負けないから」
サナキ   「急ぎ対策会議を開くぞ」
ティアマト 「さ、さよなら」
レテ   「失礼する」
イレース  「……ごちそうさまでした」

マルス   「さて、またこれでアイク兄さんを取り巻く環境が面白くなりそうだな」
しっこく  「代金を払われよ」
マルス   「コーヒー代×7だから……って何ですかこの金額は!?
       気が付けばテーブルに頼んだ覚えのない皿が大量に」
しっこく  「代金を払われよ」
マルス   「場所を考えるべきだった、予想外の出費だよ」

ミスト   「明日のバレンタイン、これ以上の差を付けられない為にも本気を出さないといけないみたいね」
ワユ    「あれ、エイリークさんがいるよ」
ティアマト 「本当、買い物の帰りかしら?」
イレース  「……チョコの香り」
ミスト   「嘘!? おーい、エイリークさ~ん!!」
エイリーク 「あ、皆さん、こんな所で奇遇ですね」
ミスト   「そ、そうね。あのエイリークさんに聞きたい事があるんだけど」
ワユ    「それチョコですか?」
エイリーク 「えぇ、ターナたちと一緒に今日買いに行ったんです」
ワユ    「エイリークさんは本命チョコを誰に渡すんですか?」
エイリーク 「そんな、本命チョコをあげる相手なんて私にはいませんよ」
ティアマト 「え? そうなの?」
エイリーク 「はい、これは家族に配る為に買ってきたものですから」
 (なんだ思ったよりまだ安心じゃない)

二月十四日:兄弟家
エイリーク 「アイク兄上、本日はバレンタインなのでこれを……」
アイク   「これは、……竜肉か?」
エイリーク 「実は先日、上質なドラゴン肉が手に入ったんです。
       兄上にはチョコよりもこちらの方が良いと思って、喜んでいただけましたか?」
アイク   「もちろんだ。エイリーク、いつもすまないな」

 アイクがそっとエイリークの頭を撫でると、エイリークは嬉しそうに笑みを浮べた。

シグルド 「ん? どこからKINSHINの香りが……」
セリカ   「はいアルム。バレンタインのチョコよ。ンー」
アルム  「ありがとうセリカ。ンー」
シグルド 「何だやはりお前たちか、こらチョコを口移ししようとするんじゃない。
      バレンタインとは言えお兄ちゃんKINSHINはゆるさんぞ」

マルス  「どうやらクラスチェンジの日は近そうだね」