竜王さん家の遊戯事情
-光竜姉さん編-
チキ 「ユリアお姉ちゃま!」
ファ 「遊んで遊んでーっ!」
ミルラ 「……遊んでください」
ユリア 「では、一緒にクッキーを作りましょう」
チキ 「わーいっ!」
ファ 「クッキークッキーッ!」
ミルラ 「……おいしく出来たらエフラムにも食べてもらいます」
ユリア 「そうね。今度セリス様と一緒に作る予定だから、その練習も兼ねて……」
~二時間後~
チキ 「かんせ~い!」
ファ 「わーいっ!」
ミルラ 「……できました」
ユリア 「……ひどいことになりました……」
ユリウス 「ん、何やってるんだ皆して」
ユリア 「……ユリウス兄様、クッキーを作りました。食べてください」
ユリウス 「おお、ユリアが僕のためにクッキーを!? くーっ、感激だなあ。それではいただきます……ぐふっ」
チキ 「わーっ、ユリウスお兄ちゃまが泡吹いて倒れちゃった!」
ファ 「おもしろーっい」
ミルラ 「(つんつん)……返事がない。ただの屍のようだ……」
ユリア (……とりあえず、わたしのせいではないと信じましょう……)
-暗黒竜兄さん編-
チキ 「ユリウスお兄ちゃま!」
ファ 「遊んで遊んでーっ!」
ミルラ 「……遊んでください」
ユリウス 「やだよ面倒くさい……いてっ! こ、こらお前ら、僕の髪を引っ張るな……あだだだだっ!」
チキ 「やだやだーっ!」
ファ 「遊んでくれなきゃやだーっ!」
ミルラ 「……いやです」
ユリウス 「わ、分かった、分かったから髪引っ張るのもブレス浴びせるのも止めろっ!
チッ、仕方ないな……で、何して遊ぶんだ?」
チキ 「わーい!」
ファ 「んとね、んとね」
ミルラ 「……暗黒竜退治ごっこです」
ユリウス 「ちょ、それ僕死ぬ……ギャーッ!」
-赤竜姉さん編-
チキ 「イナお姉ちゃま!」
ファ 「遊んで遊んでーっ!」
ミルラ 「……遊んでください」
イナ 「……分かりました。それでは、お話をしてあげましょう」
チキ 「わーいっ!」
ファ 「どんな話、どんな話っ!?」
ミルラ 「……楽しみです」
イナ 「……では、竜王家数千年の歴史をその起源から……」
~四時間後~
イナ 「……という訳で、人竜戦役以降、竜族の生き残りは紋章町で暮らすことに……」
チキ 「ぐー」
ミルラ 「すー」
ファ 「ぴー」
イナ 「(三人に毛布をかけてやりながら)……わたしとラジャイオンの子も、この子たちぐらい元気だといいのですが……」
-火竜おっさん編-
チキ 「ヤアンおじちゃま!」
ファ 「遊んで遊んでーっ!」
ミルラ 「……遊んでください」
ヤアン 「クククッ、よかろう。では我が竜王家に伝わる秘伝を伝授してやることにしよう」
チキ 「わーいっ!」
ファ 「どんなの、どんなのっ!」
ミルラ 「……楽しみです」
ヤアン 「うむ。いいか、まずはバサークにかかった盗賊を用意して竜石を盗ませ……」
ユリア 「(ガラッ)……妹達に妙な遊びを教えないでください、ヤアンおじさま」
ヤアン 「む……そうか。ではフレイボムを用いた人心掌握術を……」
ユリア 「……ヤアンおじさま」
ヤアン 「ふむ……ならば一度死んでもDゾンビとして生き返る秘術を……」
ユリア 「……そろそろ怒りますよ?」
-氷竜姉さん編-
チキ 「ニニアンお姉ちゃま!」
ファ 「遊んで遊んでーっ!」
ミルラ 「……遊んでください」
ニニアン 「……遊び……ですか。困りました、わたしはそういうのは……
ああ、そうです、それではおままごとをしましょう」
チキ 「わーいっ!」
ファ 「おままごとっ、おままごとっ!」
ミルラ 「……誰がお父さんですか」
ニニアン 「……いえ、そうではなく……設定はこうです。捕われたお姫様と王子様……
お姫様はわたし……王子様はエリウッドさま……うっとり」
ニルス 「……あー、またニニアンが自分の世界に入っちゃってる……
三人とも、ニニアンはほっといて僕と一緒にかくれんぼしようよ」
チキ 「わーいっ」
ファ 「かくれんぼっ、かくれんぼっ」
ミルラ (……捕われのお姫様と王子様……わたしとエフラムでは似合わないでしょうか……)
-神竜姉さん編-
チキ 「イドゥンお姉ちゃま!」
ファ 「遊んで遊んでーっ!」
ミルラ 「……遊んでください」
イドゥン 「……子供の遊び……確かここに……(箪笥をかき回して)」
チキ 「あーっ、お手玉だ!」
ファ 「ファもやる、ファもやるっ!」
ミルラ 「……懐かしいです……」
イドゥン 「(放り投げつつ)……ずいずいずっころばし……」
チキ 「うわぁ、すごいイドゥンお姉ちゃま!」
ファ 「五つも同時に投げてるーっ!」
ミルラ 「……大道芸人みたいです……」
イドゥン (……子供達が喜ぶ……いいことだわ……)
-黒竜爺さん編-
チキ 「デギンおじいちゃまっ!」
ファ 「遊んで遊んでーっ!」
ミルラ 「……遊んでください」
デギンハンザー「……うむ。では……」
チキ 「ドキドキ」
ファ 「わくわく」
ミルラ 「……? おじいさ」
デギンハンザー「カーーーーーーーーーーーーーーーッ!」
チキ 「う……う……」
ファ 「うわぁーん!」
ミルラ 「ひぐっ……怖いです……」
クルトナーガ「ち、父上、何をなさっているのですか……!」
デギンハンザー「む……いや、昔懐かし雷親父ごっこを……
おかしいな、ラジャイオンやユリウス相手にやったときは大喜びだったものだが……」
クルトナーガ「……そういうのは、せめて事前に確認しあってから行うものですよ……」