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Last-modified: 2011-05-31 (火) 03:24:41

469 :Let's肝試し!(115):2009/08/31(月) 23:36:41 ID:KIFLhnY+
続きです!
前回(>>293-298)

ユンヌ「それにしても、あなた達いつまでこんな埃っぽい所にいるつもり?」
マルスは借りの件について思案、リン、セリス、リーフがスマボ談義をしてる中、
負の神様から珍しく的確なツッコミが飛んできた
考えてみれば(一部妨害こそ有ったが)目的は達したのだし、
いつまでもここにいる理由は全くと言っていいほどない
借りについての事も、スマボ談義も、ここでなければできないわけでもなし
むしろ空気の澱んでいる場にいる事による健康上のデメリットしかないわけで
マルス(珍しくまともなご意見だ)
ユンヌ「珍しくとは失礼ね」
頭の中で考えた感想に対し即座に返事が返ってきたことで思わずユンヌを見やると
ジトッとした目でマルスを見ていた、不満をその視線に一杯に込めて
マルス「人の心読まないでください」
ユンヌ「ふーんだ、伊達に神様やってないのよ」
どうにもこの二人は不毛な争いが絶えない、このままだといらぬ口論が発生しそうなので
横から気を逸らそうとセリスが口をはさむ
セリス「あ、ユンヌさん」
ユンヌ「ん?」
さて、呼んだはいいがどうしようかとセリスは思案する、何も考えてなかったのだ
何か、何か話題がないか、と脳を高速回転させ…
セリス「よ、よく平気だったね、あのスマボ」
結果がこれだった、言葉足らず過ぎる
ユンヌ「言わんとしてる事がわからないんだけど」
確かに、と納得する、自分でもそう思ったからだ
内心では汗ダラダラだったが慌てながらも慎重に言葉を紡ぐ
セリス「いや、今聞いた話だとシグルド兄さんの顔に瓜二つだったそうじゃない
    皆おっかながってたって聞いたから」
ユンヌ「そういうことね、私も初見は面食らったけど、別に平気よ」
リン「面食らう程度で済むのね…」
ユンヌ「まあ、ね、これでも…いや、なんでもないわ」
セリス(ユンヌさん?)
ふいに天井を向くユンヌ、自身が発光してるので一部が青くなっている、
ユラユラと、天井の青い部分がチラついている、不安定な青
その青を取り囲むように黒がある、闇がある
ユンヌ(人の心みたい)
闇に囲まれているというのに、天井の青は消えない
ユラユラと揺れ動き安定しないのに闇に飲み込まれる事はない
さて、今視界にある天井の彩りを人の心に置き換えるなら青が人の心、黒は心の闇としたとき
心が闇に飲み込まれる、すなわち青を黒に塗り替えるにはどうすればいい?
ユンヌ(私がここからいなくなるだけでいい)
本当に些細な事だ、と鼻で笑いたくなる、天井の青はユンヌが光源だ、彼女が立ち去るだけで闇だけになる
ユンヌ(だからこそ、光を取り戻すのも容易いわよね)
闇に塗り替えられたところに光を取り戻すにはまたここにくればいい、それだけで光は甦る
些細なことで消えたり甦ったり、人の心の状態に見立てて言うなら
些細なことで落ち込んだり立ち直ったり、本当に単純だと思う
ユンヌ(人って単純、だからわからない、だから面白い、だから恐ろしい)
先にも述べたが伊達に神様やってきてない、長い時の中で色々見てきた
ユンヌ(あんなので恐ろしい、なんて言ってやるものですか)
リーフ「ユンヌさーん? おーい」
はっと我に返る、思わず上の空になってしまったようだ
ユンヌ「あ、何?」
リーフ「なんか上の空みたいだったから気になったんだけど、どうかした?」
ユンヌ「別にーわざわざ出た方がいいんじゃないのって言ってあげたのに、
    まだここに留まるつもりかしらって、呆れてただけですよーだ」
リーフ「はは…それもそうだね、んじゃあ、さっさと帰ろ…ありゃ?」
急にリーフが手にしていた懐中電灯の灯りが消えてしまった、部屋の暗闇の比率が高くなる
カチカチッと音がする、懐中電灯のスイッチを入れ直してるのだ、ところが

470 :Let's肝試し!(116):2009/08/31(月) 23:37:41 ID:KIFLhnY+
リーフ「切れちゃったかな?」
点かなくなってしまったらしい、暗闇の中カチカチッとスイッチをいじる音がしばらく響く
リン「適当に叩けば直るんじゃないの? ちょっと貸してみなさい」
リーフ「あ、リン姉さ…」
リーフが最後まで言葉を発する前になにやらガンガンッと
けたたましい音が聞こえるが直る兆しはない、というかリンよ、懐中電灯に何が起きてる
セリス(うー暗いよ、電気電気)
マルスの側にかろうじて見える部屋の電気のスイッチに歩み寄るセリス、その様子を目で追いながら
何をしようとしてるのか見当がつき、マルスは電気のスイッチの辺りを照らしてやる
その善意に気づいたのかセリスが小さくありがとう、と呟く、
それに対しマルスは空いている手を軽く挙げて答える、そしてスイッチを入れるセリスだったが
もちろん点くはずもない、そこまでやってようやくセリスは階段でした肝試し前の騒動の話を思い出す
セリス「あ、そっか」
小声で呟き、思わず苦笑いをする、というか笑うしかない
マルス(…!!)
その光景をぼんやりと目で追っていたマルスが突如驚愕の表情を浮かべる
マルス(そうだ…確かあの時…!)
ユンヌ「ん? どうかしたの、変な顔して」
リーフの懐中電灯が点かなくなり、暗闇が広がった中
青い光を纏った姿なのである意味貴重な光源となっているユンヌ
マルス「変な顔は余計です、とりあえず皆そろそろ出――」
そこまで言いかけたその時、部屋の暗闇の比率がさらに上がった、なぜなら
マルス「え、あれ?」
今度はマルスの懐中電灯が点かなくなった、慌ててスイッチをいじるが全く点かない
全員ユンヌの所へ集まる、負の気の集合体だけど明るいから
ユンヌ「私はロウソクじゃないんだけど?」
そんなユンヌの抗議は無視し、マルスの懐中電灯を覗き込む一同
セリス「そっちも壊れたの?」
その問いには答えずただ懐中電灯に異常がないか確認し続けるマルス
マルス「…皆、急いでここを出るよ」
やっと口を開いたと思ったら突然の脱出命令、疑問符を浮かべる他一同
リーフ「ほえ? 急にどうしたの」
マルス「いいから早――」

プルルルルルッ…!

急に何かの電子音が響く、この音は電話か
リン「電話?」
耳が良いからだろうか、音源がどこにあるかわかるらしい、受話器に手を伸ばしたリンだったが
マルス「出ちゃダメだ!!」
リン「きゃ…!?」
突如マルスが大声を出すので手が滑って受話器を取り落としてしまった
リン「脅かさないでよ!! 何!?」
マルス「いいから早くここを出る! ユンヌさん出口まで先導して、暗くて見えないから!」
ユンヌ「なになにー? さては暗くて怖くなったとかー?」
マルス「早く! というかリン姉さんもおかしいと思って!」
リン「え、え?」
ユンヌのからかいにも何も言わずとにかく出るの一点張りだった、その気迫に押されたのか
ユンヌ「は、はい…じゃあ、ついてきなさい」
人の足に合わせるスピードでユンヌが先導し始めた、続けざまに部屋を後にする
マルス「ようやくわかった…!」
走りながらマルスが呟いた台詞に一同はまた疑問符を浮かべたが
ユンヌを追従する形でとりあえず出口へ走る、
1Fで続く階段を駆け上がり、足を止めることなく更に走り続ける、そして
――外――
外に飛び出すように出た一同、外はもう夜の帳が下りていた
セリス「はぁ、はぁ…」
リーフ「ふぅ…全力疾走だったよ」

471 :Let's肝試し!(117):2009/08/31(月) 23:39:18 ID:KIFLhnY+
一部の者の息が上がっている、息が上がっていないのは飛べるユンヌぐらいだ
もっとも、運動神経が悪い面子ではないからそこまで疲れてはいないのだが
セリスとリーフはその場に座り込む、階段の駆け上がりは案外きついものだ
リン「…はぁ、マルス、いきなりどうしたのよ」
先ほど急に取り乱し、今現在は息を乱している弟、マルスを見る
マルス「…わかったんだ」
リン「は…?」
さっきも言っていた、わかった、という言葉、しかしその意味がさっぱりわからない
息を少しだけ整えた後、やがてマルスが口を開いた
マルス「リーフ、君にさっき相談したよね、引っかかる事があるって、それが何なのかって」
リーフ「うん…それがわかったの?」
マルス「そうだよ…」
呼吸が落ち着いたのか体を起こすマルス、セリスもリーフもリンもユンヌも彼の話に耳を傾ける
マルス「…アイク兄さんとミカヤ姉さんがヘクトル兄さん達を脅かすのに一役買ったよね?」
セリス「あ、それ僕達も知ってるよ」
リーフ「え、そなの?」
リン「なんかずいぶん遅れて出てきたから事情を聞いたのよ、その時に聞かされたわ」
マルス「そうか…じゃあどんな風に脅かしたかも聞いてるかな」
リン「えっと、確か…ミカヤ姉さんは髪の長さ利用して貞(ダキュンッ!)を演じて」
セリス「アイク兄さんは…テレビの電源を点けたり消したり…ん?」
突如セリスが何かを考えるかのように口元に手をやった、しばしその様子が続いたと思うと
今度は顔色が悪くなってきた、そして口を開く
セリス「ね、ねぇ…なんで電気通ってないのにテレビが動くの…?」
リン「あ…」
地下への階段を下りている最中の話を思い出す

――水はもちろんのこと、『電気』もガスも何もかも止まってるし

マルス「完璧に失念してたよ…あの時、アイク兄さんに指示飛ばした時
    リーフ達の方が気になっててどうもぼんやりしてたみたいだ」
リン「考えてみれば…というか電気止まってたらさっきの電話も動くはずないわよね
   なんで疑問に思わなかったんだろ私…」
リーフ「テレビをいじった事は聞いてなかったよ、だから僕には違和感なかったのか
    てっきり単にミカヤ姉さんに付き添っただけかと思った…
    それになんか今は普通に懐中電灯点くみたいなんですけど」
マルス「右に同じ」
リーフが懐中電灯のスイッチを入れたり消したりする動作に習いマルスも同様の動作を行う
どちらもしっかりと頼もしい光を発したり消えたりする、異常なし
ユンヌ「…今更だけどさっきの電話、もう一つおかしなところあるわ」
セリス「え…?」
些か青い顔をして聞き返すセリス、それに答えたのはマルスだった
マルス「そう、なんで…」

マルス「なんで、廃墟なのに電話がかかってくる?」

――…その後、全員で家に揃って帰り、
埃っぽい所に居たため先に体を清めてからやや遅めの晩御飯を迎えた
遅くなってしまったため、ユンヌを除くマルス達4名だけでの晩御飯だった
ユンヌは早々にアイクを探しに行ったようだ、その姿を見た一部の者はいつもと少し様子が違って見えたという
その一部の者であったミカヤがどうかしたのかと聞くと
『恐ろしい』と『怖い』は違うのー!、と言って早々に飛んで行ってしまった、なんのことだかサッパリだった
マルス達もいつもより食が細くなっているように感じ、エリンシアがどうかしたのか聞くと
全員、疲れただけ、とどこかぎこちない笑みを浮かべるばかりだった、
反応が些か腑に落ちないが本人達からそう言われたら納得するしかなかった
その日の夜はとても静かな夜だった、にも関わらず彼らだけはなかなか寝付けなかったという…

472 :Let's肝試し!(118):2009/08/31(月) 23:40:19 ID:KIFLhnY+
時は移ってその翌日、マルスはとある場所へ足を運んだ、ベグニオン社である
目的地は社長室、あっという間に社長室の前に到着し、扉をノックし、了承を得て、開ける
サナキ「おぬしか、例の件じゃな?」
マルス「はい」
それだけ確認するとサナキは部屋の外を見まわした、誰もいない事を確認すると扉を閉める
サナキ「…なんか、お主、大丈夫か? 足取りがなんか頼りないが」
マルス「あ、いえ…少々寝不足というか」
サナキ「そうか…睡眠は大事じゃぞ、自分の体は大事にせい」
はい…、と力のない返事が返ってきたことに本当に大丈夫かと疑問に思ったので
早急に用を済ませて帰らせてやろうと早々に本題に入る事にした
サナキ「で…頼んだものは?」
マルス「ここに」
眠気をとりあえず追いやり、極秘資料、と称された大判の本を見せ、それを手渡す
それを受け取ったサナキは中身の確認をし、何故か顔を赤らめながらその本を閉じた
サナキ「うむ、確かに…御苦労じゃったの」
マルス「はは、やっぱり恥ですか、過去の自分というのは」
サナキ「懐かしい思い出もあるが…同時に消し去りたい思い出もある、そなたにもあるのではないか?」
マルス「ありますね…ミカヤ姉さんが事細かにアルバム作ってますから」
そう、極秘資料とは名ばかり、中身はサナキのアルバムだったのだ、ただし作成者は
マルス「あなたの場合はシグルーンさんですか」
サナキ「うむ…常日頃から世話になっておるのじゃが…いかんせん自重を知らなくてな」
全く…と言ってため息をつくサナキ、自分の過去というのは時として無かったことにしたくなる事がある
ましてやそれが形として残ってるとなるとなかなか悶えたくなる
マルス「それにしても何で今頃回収したんですか?」
サナキ「昨日朝早くから書類の整理をしておったところにシグルーンの奴がポロッと洩らしたからなのじゃ、
    それまでこの忌まわしき過去の存在を知らなくてな…
    本人に回収されたらたまったものではない、それでお主たちに頼んだのじゃ」
それで昨日の電話騒ぎか、とマルスは心中で呟いた
サナキ「ともあれ助かった、このアルバムは永久封印にしておくとしよう」
マルス「あれ、てっきり焼却処分かと」
サナキ「…どんなに消し去りたくても、思い出は思い出じゃ、簡単に消していいものではないからの」
さっきまで忌々しげに見ていたアルバムを今度は違う色の宿った目で見ている
どこか微笑ましい物を感じながらマルスは扉へ歩み寄る
マルス「…そうですね、では僕はこれで失礼しま…いや、一つ伺ってもいいですか?」
サナキ「む? なんじゃ、遠慮せず言ってみよ」
それでは、と扉に伸ばしかけた手を引っ込め、サナキに向きなおる
マルス「あの廃ビルに昔、出るって噂とかありました?」
あえて何が出るのかは言わなかったが、こういう言い方をすれば何なのか相場は限られる
サナキ「いや、なかったが、ただ…」
マルス(…?)
聞いた話だが、と一言置いてからサナキは話し始めた
サナキ「おかしな事が起きたことがあっての、地下の事務室で起きたのじゃが」
マルス(地下、か…)
昨日の出来事を思わず思い返しそうになったが意識をサナキの話の方へ向け直す
サナキ「当時から稀に無言電話があってな、自分からかけておきながら一向に要件を言わなくての」
マルス「それただの悪戯じゃ…」
サナキ「もちろんそう思うたわ、しかし説明がつかないものがあったのじゃ」
マルス「説明がつかない?」
そうじゃ、と頷き、窓から外を見るサナキ、本日は曇天だ
視線はそのままに話を続ける

473 :Let's肝試し!(119):2009/08/31(月) 23:42:08 ID:KIFLhnY+
サナキ「ちょうど今の時期じゃったか、急に無言電話がしょっちゅうかかってくるようになったのじゃ
    ある日例によってその無言電話がかかってきての、
    さすがに業を煮やしたのかタニスの奴が受話器を奪って言及し始めたらしくてな…」
そりゃ無言電話の悪戯が続いたら苛々するだろうなあ、とマルスは思った
しかしあの堪忍袋の緒が切れやすそうな御仁を敵に回したか、とやや失礼な事も考えた事は気にしない
サナキ「よっぽど腹を立てておったのか、数十分にも及んでな、終わる気配がなかったそうじゃ」
しかし、と言って一旦言葉を切る
サナキ「そんな中、なぜか急に停電してしまったのじゃ、にも関わらず電話は切れなくての…」
マルス「どうして切れてないってわかるんですか? 無言電話なら判別が…」
サナキ「できるのじゃ、その停電直後、今まで無言だったのに急に喋り出したのだからな」
マルス「喋った?」
サナキ「ああ、聞いた話じゃから本当か知らんが、「あー」とか「うー」、とかそれしか言わんかったらしい」
それはまるで…
―――生まれたばかりの赤ん坊のようにな

マルス「急に喋る無言電話、か…」
ベグニオン社を後にしたマルスは一人、人気のない道を歩いていた
あの後もう少し突っ込んで聞いた所、停電回復直後に今度は本当に電話が切れたとの事
ちなみに、現在廃ビルの地下に残留している電話は故障した物しかないはずだという
マルス(僕達が出くわした怪現象も電話絡みだった…偶然か?)
サナキにはこちらが体験した奇妙な出来事については話さなかった、話す必要はなかった
ザァ…と風が吹き始めた、ふと空を見上げると当たり前だが空を雲が覆っており、
青空は全く見えない、灰色の空
マルス(黒い雲がある…今日の天気は荒れるかもしれないな)
ふと風が吹く先にあの廃ビルがあったことを思い出す、
今はその方向を見ても廃ビルは見えない、距離が離れ過ぎているからだ
今日もその廃ビルはめったに人が来ない事を承知で迎え入れる口を開けているのだろうか
そして人のように感情があるとしたら何を思っているのだろうか、
ただ、廃ビルのある方向を睨んでみる、見えないはずなのにその輪郭が見える気がする
マルス(幽霊がいないと証明はできない、それが恐怖…か)
風が強くなった、風が背を押しているようだ、来い、と呼ぶように
マルス(僕は存在を認めない、だけど目の当たりにした物を否定することもできない)
だから…、と心中で呟き、廃ビルの方を見ている目を更に鋭くする
マルス(いつか、正体を暴いてやる…覚悟しとくんだね)
刹那、突風が吹きつけた、まるで、やってみろ、とそう挑むようで…

その直後、風が急に弱くなった、風向きもやや変わったようだ
足を別の方向へ向ける、帰るのだ、家に、自分の居場所へ
ふと足元に目を向けると道に点々と水跡がある
その意味を察すると同時にマルスは家に駆け出した

プルルルルッ…! プルルルルッ…!

どこかで電話がなっている…天から降り注ぐ水達は、その音をかき消そうとしているのか?

仮にかき消そうとしているのなら、それは、誰のために?

その日の天気は、雨だった

長く

長く

降り続けた――

474 :Let's肝試し!(120&結!):2009/08/31(月) 23:44:32 ID:KIFLhnY+
――廃ビル3F 応接室――
シュウゥゥゥン…(転移の粉)
漆黒の騎士「む、これだこれだ、私のテーマを奏でる特注オルゴール、
      それにしても昨日はとんでもない目に…む?」

漆黒の騎士「やぁ、ようこそ、FE主人公兄弟スレへ、スレ住民でも、通りすがりでも
      このエタルドはサービスだからまずは喰らって…む? 不要か、ならば仕方がないな」

漆黒の騎士「さて、突然だが貴殿は不思議な体験をしたことがあるだろうか?
      あったとするならば神秘的なものか? はたまた奇妙なものか?
      それとも少しばかり奇怪なものか?」

漆黒の騎士「貴殿に体験があろうがなかろうが、あったとしてもなんであれ、
      この世界には説明も出来ない様々な物事が存在する」

漆黒の騎士「そしてそれはいつ何時訪れるかわからぬ、一分後か、明日か、一年後か
      まだ先の見えぬ未来なのか、もうすぐそこに近付いているのかすらも全くわからぬ」

漆黒の騎士「そしてそれが誰に訪れるかもわからぬ、貴殿の親しい人物かもしれぬし、
      見知らぬ誰かかもしれぬ、もしくは…」

漆黒の騎士「貴殿に訪れるかも知れぬ」

漆黒の騎士「だから私はこの可能性を提示しよう」

漆黒の騎士「次に不思議な体験をするのは――貴殿かもしれぬぞ?」
シュウゥゥゥン…(転移の粉)

漆黒の騎士の話にもあったように

あなたにも、いつか訪れるかもしれません

…え?

いつ訪れるかって?

私にはわかりますよ、あなたには、いつ訪れるか

…なんでわかるんだって?

不思議なことではないと思うのですが…

もちろん私は未来が見えるわけではありません

それに、私だけではなく、あなたにもわかっているはずですよ?

だって、未来が見えでもしない限り

『わからない』ということしか、わからないはずですから

―END―