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Last-modified: 2011-05-30 (月) 22:08:04

フレッドVSAKJ

オルエン「ねえフレッド、AKJって何?」

……いまなんとおっしゃいました?
いやいやちょっと待て…AKJと言えばラケシス様が会長を勤める兄を愛する妹たちの集団だ。
兄と妹の恋愛を支援したり、恋敵の抹殺などを行うブラコンの団体だ。
だが、何故その組織の名がお嬢様の口から!?

…お嬢様の主君筋に当たるフリージ家のティニー様は、AKJの会員勧誘を担当しておられる。
当然、お館様の妹君であるお嬢様も狙ってこられた。だが、やはり兄妹での恋愛など真っ当ではない。
という事でシグルド氏の協力を得て密かに妨害してきたのだ。
AKJの存在自体お嬢様のお耳に入れないようにしてきたというのに!

フレッド「お嬢様、失礼ですがいまなんとおっしゃいました?」
オルエン「だからAKJって何?って聞いたのよ。私宛にお手紙が届いていたの」
フレッド「失礼ですがお手紙を見せていただいてよろしいですか?」

私はお嬢様から、手紙を受け取って読んでみる。
それはAKJで印刷されたダイレクトメールだった。
当然、会員への勧誘の手紙だ。
くそ、我々の妨害に苛立って手段を変えてきたな!

今度からお嬢様宛の郵便物は事前にチェックしよう!
そんな事を考えている私に、お嬢様が重ねてAKJの事を聞いてこられる。
オルエン「ちょっとだけ読んでみたけど、兄妹愛を成就するための組織とあったわ。
つまり、兄妹同士で親睦を深めるサークルってことかしら?」

…いかん、下手に答えるとお嬢様が、自分も会員になると言い出しかねん…
お嬢様にも多少ブラコンのケが…ああいや、仲のよい兄妹の範囲内だとは思うが…
とにかくそんな世界に踏み込んでいただくわけにはいかない。

フレッド「これは今流行の悪徳商法と申すものです。言葉巧みに会員を募り、
初めはサークルのフリをして、高額な商品を売りつけたりするものです。
しばらく前にカシムが逮捕されたとTVでやっていたでしょう?…あれと同じようなものです」
オルエン「まあ、世の中には悪い人たちがいるものね。危なく入会するところだったわ」
……危ないところだった。
お嬢様は大変好奇心の強い方だからな…なんにでも興味を持つのはよいが、
こういう悪情報に引っかかっては困る。

ティニー「……邪魔されましたか……」
ダイレクトメールに仕込んだルーテ製薄型聴音機から2人の会話を聞いていたティニー。
すでに紋章町のほとんどの妹を会員とした。
それは逆に言えば新規会員の需要がなくなることを意味する。
だから残る妹をなんとかして会員にしたいのだが…

ティニー「…というわけなんです会長」
ラケシス「原作では兄を慕って軍に入り、
嫌な上司のイジメに耐えてまで兄と同じ道を進んだオルエン…是非とも我がAKJに欲しい人材…
にもかかわらずそのフレッドという男、雑魚の脇役でありながら、
トラキアの代表的兄妹愛を妨害するというのね!」
クラリーネ「天に唾吐くような悪事、許せませんわ!直ちにフレッドを討伐いたしましょう!」
プリシラ「…ならばここはこの私にお任せを…」
ラケシス「よし、ここは貴女に任せます!外道に目にもの見せてやりなさい!」

AKJで恐ろしい企みが企てられようとしていた…

オルエン「じゃあ行ってくるわね」
フレッド「はい、お気をつけて行ってらっしゃいませ」

今日もお嬢様を会社へお送りする。その後密かに護衛するのもいつも通りだが、
実はお仕事中の護衛が私にとっては一番憂鬱だったりする。
その理由は…

ケンプフ「フン、この資料は今日の朝まで作っておけと言っておいたはずだが?」
オルエン「え!?…昨日は今週中だって…」
ケンプフ「聞き間違えたんじゃないのか?俺は確かに今日の朝までだと言っておいたぞ!
さあ、この始末をどうつけるんだ?」
オルエン「ぐぬぬ…午後までにはなんとか…」
ケンプフ「12時までだ」
オルエン「はい!すぐにかかります!」

…というわけだ…おのれあのクソ上司め!いつもいつもお嬢様をネチネチとイジメやがって!
適うことなら飛び出していって、真っ二つにしてやりたいがそうもいかん。
…無念だ。
ああ、おいたわしい…あのお優しいお嬢様も、ケンプフめに対してだけはお怒りをあらわにされておられる…
お嬢様がストレスでご病気にでもなったらたたじゃおかんぞ!

午後からはお嬢様は外回りをされた。ケンプフめの嫌がらせのせいで昼休みをとる時間がなくなり、
車中でお弁当を召し上がる事になってしまった。おいたわしや。
だがお嬢様は外回りの方がお好きなようだ。無理もない。ケンプフめの顔を見なくてすむからな。

オルエン「次はグランベル商社にお願い」
フレッド「かしこまりました」
グランベル商社か…シグルド氏に会えたらAKJの情報が得られるだろうか…
あんな手紙がきた後だしな…

シグルド氏は駐車場の隅にスペースを作って仲間たちとデュエルに興じていた。
お嬢様をお送りすると私はシグルド氏に声をかける。
この間お嬢様の護衛ができないが、このあたりは治安もよいし大丈夫だろう。

フレッド「お久しぶりです。シグルド様」
シグルド「やあ、フレッド君か、頑張ってKINSHINを阻止してるかい?」
フレッド「その事なんですがね…ちょっと聞いていただきたい事が…」
私の言葉にシグルド氏の顔色が変わる。KINSHINキラーモードになったようだ。
シグルド「アレク、ノイッシュ、アーダンすまないがちょっと抜けるぞ」

私はとりあえず少し離れた場所に移動すると、缶コーヒーを飲みながら事情を話した。
シグルド「むう…今度はそんな手段で勧誘を…」
フレッド「ええ…幸いどうにか切り抜けましたが…」

シグルド「これは私のカンだがね…連中はなにか仕掛けてくるぞ…妨害に対しては容赦する連中じゃない
そろそろ君の身を狙ってくるんじゃないかな?」
フレッド「将を射んとすればまずは馬からってわけですね」
シグルド「直接的なKINSHINなら私が察知して駆けつけられるが、君が狙われた場合は私のレーダーは効かない
気をつけてくれ」
シグルド氏の言葉に私は身が引き締まる思いだ。
お嬢様をお守りするには、私自身の身も守らねばな…

グランベル商社での用事が終わり、フリージ本社に戻る。
用事が長引いたため、すでに夕方だ。

ケンプフ「フン遅かったな、まあいい。これやっとけ、明日までな」
オルエン「…こ、こんなに!?」
ケンプフ「ほう、こればっかりの仕事がこなせないのか?シュターゼ家の奴らは家柄だけで出世してるのかね。
この分ではラインハルトも大した仕事はできないんだろうなぁ」
オルエン「なっ…兄上を侮辱されるのですか!?許せません!」
…いかん!お嬢様が抜刀された!
ケンプフ「ほうその剣でどうするのだ、社内で刃傷沙汰におよぶというのかね、ラインハルトの躾がなってないな」
オルエン「…おのれ!」
お嬢様!ここはこらえて下さい!このままでは忠臣蔵になってしまいます!
私は辛抱たまらず飛び出した。さりげなく室外から入ってきた振りをして。
フレッド「お嬢様、社内で抜刀ははしたないかと…」
オルエン「でも!兄上が侮辱されたのよ!」
ケンプフ「ここは社内だぞ、部外者が勝手に入るな」
フレッド「失礼しました。ですが定時をすぎてもお嬢様がお戻りになりませんので…本日は残業でしょうか?」
多少強引ではあるが私が別の話をしたので、お嬢様も少し落ち着いたようだ。
オルエン「ごめんなさい、少し遅くなるわ」
フレッド「かしこまりました」
ケンプフ「フン…じゃあ俺は帰るからな、ちゃんとやってから帰れよ」
オルエン「フン!いーっだ!」

なんてイヤな上司だ!お嬢様にかわって私が切ってやりたい!

私は一時部屋を出る。車に戻るフリをするためだ。
また、密かにお嬢様の護衛に戻ろうとした瞬間。
急激に眠気を感じた…いかん!?なんだこれは…
そうだ…これは…スリー…プ…Zzzzzz…

プリシラ「ふふふ…うまくいきました♪」
まあ、この隙に止めを刺してもいいんですが、バルキリーで生き返ってこられては本末転倒。
ようはこの男がオルエンさんから離れれば邪魔は入らなくなるのです。
まずはフレッドを馬で運ぶと、オルエンさんの車に戻します。
オルエンさんが車に戻って来た時見るフレッドの姿は、
貴族ならクビにせずにはいられないほど悲惨なものになるでしょう。
私はまずバリカンとマジックと割り箸を取り出し…

シグルド「そこまでだAKJ!KINSHINは許さんぞ!」
プリシラ「…なぜここが!?」
シグルド「念のため、しばらく護衛の護衛をしていたのだ!」
プリシラ「おのれSめ!」
ですがティルフィングをもったSが相手では分が悪いと言わざるを得ません。
プリシラ「この中年童貞!寝取られ男!このスレでは一生結婚なんてできっこないくせに!」
私は思いつく限りの呪いの言葉を投げつけると、一時退却したのでした。

続く