22-514

Last-modified: 2011-06-05 (日) 13:39:22

514 :葉っぱと悪魔1:2009/12/28(月) 10:02:43 ID:KCbPn3Ul
あのさ、根本的に勘違いしてないかな。 僕がおねいさんに求めているのはエロスだけじゃないんだ。
もちろんエロスも求めているよ? それは外してはいけないキーワードさ。
でも、それだけじゃない。
例えば10歳の女の子が何らかの魔法で突然成長、綺麗なおねいさんになったとする。
綺麗なおねいさんが小さい女の子の振る舞いをするんだ、エロい事が起こりまくる事になるよね?
僕もそれを見て、確実に鼻血を吹いて萌え死ぬだろうね。うん、それは認める。

でもね、違うんだよ。それでは本当のおねいさんとは呼べない。僕にとっては『女の子』のままなんだ。

僕がおねいさんに求めているのは……何と言ったらいいか……つまり、そう、包容力!!
いくら僕が不幸な目にあっていても、明るい笑顔と豊かな胸で僕を包み、いやら…癒してくれる。
そう言う、僕よりも人生経験を積んできた、年上の……大人の余裕なんだ。
別におねいさん以外の属性を否定する気なんて毛頭ないよ? ただ、おねいさんが僕にとっての<至高の聖域>ってだけなんだ!!
それを何だ! みんなして僕に『お前は女の人なら誰でも良いんだろ?』的な視線を送ってきて!! 勘違いも良いところだ!!
もう怒った! 君ら3人そこに直れ!!
おねいさんとは何なのか、おねいさんの条件、そしておねいさんの素晴らしさを僕が直々に教え込んでやるから!!
さぁ! さぁ!! さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

…………………………そんな議論をナンナとミランダとティニーに熱く、そして一方的に展開した所モザイク必至な状態にされてしまいました。

「ごぼ……ぎごげだじー………」

おやおや何処からかモツ鍋をかき混ぜるような変な音が聞こえますね、一体何なのでしょうか?
実はそれ、僕の声なんですよ。ウソみたいでしょ?
はいどうも、いつも通りのリーフです。
大丈夫、僕は元気です。

515 :葉っぱと悪魔2:2009/12/28(月) 10:04:24 ID:KCbPn3Ul
「くそぅ……毎回毎回手加減くらいしてほしいよ、全くさ……」
ぶつくさ文句を垂れ流しつつ、僕はむっくりと起き上がる。
ふむ、再生まで大体20分ってとこかな。
「ぬおお、体中が痛い……ッ!」
ベキゴキベキャッ! 軽くストレッチすると、明らかに人体から聞こえちゃまずい音が響く。
まあいいや、いつもより痛くないし。
今日の制裁はまだ軽い方だ、サラが居なかったしね。

「…………今日もサラ、来なかったな」
一通りのストレッチを済まし、痛みが大分引いてきたところで僕は呟いた。
いつもならばあの3人と一緒になって、僕に制裁を加えてくるはずなのに。
「エフラム兄さんの所に居るのかな」
そう、どういう心変わりをしたのか、最近エフラム兄さんと一緒にいるところをよく見かける。
最初はいつもみたいに兄さんをからかってるだけだと思っていたけれど、どうも何か違うっぽい。
何というか、兄さんにサラが甘えているように見えた。

僕は『飽きられた』って事だろうか?

「……まぁ、これで僕はサラのターゲットから外れたって事だよね?」
これでもうリワープでみっちり男部屋に詰められたり、前次スレテニスとかされなくて済むじゃないか。うん喜ばしい事だ。
……だというのに、何故か気分が晴れない。
はっはっは、これではまるで僕が嫉妬しているみたいじゃないか。
………………………………………………………………………………
「いや、いやいやいやいや」
無い無い無い、無いって!
冷静になれ、今までサラにどんな酷い目に遭わされてきたか、忘れたわけじゃないだろう?
サラはいつも黒い笑顔を浮かべ、僕をぐちゃぐちゃにしていぢめていたじゃないか!
思い出せ……あの悪魔の如き笑顔を……ッ!!
僕は脳内のトラウマフォルダを検索しサラの笑顔を引っ張り出す。が、出てきたのは

エフラム兄さんに頭を撫でられている時の、サラの笑顔―――

「―――っちょえあ!!」
近くの電柱に頭を強く叩きつけ、一瞬浮かんだ恐ろしい雑念を叩き落とす。
頭から紅い何かが勢いよく噴き出した気がするけども5秒もたたずに止まったので気にしない。
「良いじゃないか! サラが来なくて何が不満なんだよ僕!?」
頭を何度も何度も叩きつける! 道行く人が驚いて僕を見るけれど、『なんだリーフか』と何事もなかったかのように立ち去っていく。
やっぱりこの町はどこかおかしいよ!!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「はぁ……僕はきっと疲れてるんだ。それかさっき殴られすぎたか」
電柱を1本折り倒し、ようやく少し気が鎮まる。
修理費? 何それおいしいの?
「あー…………少し、気分転換するべきかな」
とりあず問題を先送り、僕はその場から歩きだした。

516 :葉っぱと悪魔3:2009/12/28(月) 10:05:39 ID:KCbPn3Ul
タン タン タン
最小限の動きと音で、スムーズに道を駆ける。
常に周囲を警戒し、周りを歩いている人の影に隠れつつ目的地へと進んでゆく。
え? そんなに警戒しながら何処に行くんだって?
……僕たち思春期の少年が思い悩んだ時、一番必要なモノって何だと思う?
優しい言葉? 信頼しあえる友達? 没頭できる趣味?
どれも違うよ、一番大切なモノ……それは―――

「エロスさ」

やだな、僕は正気さ!
僕はユア……Y師匠の開く露店に向かっていた。何を売っているのかは……まあ語るまでもないよね!
もう既にボコられたとはいえ、どこであの3人が見てるか分かったもんじゃない、警戒するに越したことは無いのさ!!
「さてさて今回は誰の写真を……♪」
ウキウキダッシュ! ハハッハー!!
ターン! ターン! ターン!
足取りも軽やかに、まるで羽が生えたかのような勢いで突き進み、露店のある裏路地の入口に差し掛かった。その時、

「誰かぁ! 誰か居ないかぁぁぁぁ!?」

……何か聞いた事のある、野太い叫び声が聞こえた。
入口の角へと身を潜め、ひっそりと様子を窺う。

「糞っ! もう逃げ道がない!!」
「ムフフ……さぁ追いかけっこは終わりだよ、へっきゅん……?」

そこにはやっぱり予想通り、ビラクさんに追い詰められているヘクトル兄さんの姿があった。
なんだ、いつも通りの光景じゃないか。そんな事より写真写真。
少し遠回りになるけど、あっちの入口から行こう……そう判断し、この場から駆けだして

「リワープ、沢山使っちゃった……」
「やれやれ、ピザトル兄さんも手間かけさせてくれるよね」
「ああ、ビラク殿の何処が気に入らないと言うのだ」

!? 声が増えた? いや、この声は……!
デバガメ再開。

「もう諦めて受け入れちゃいなよ、きっと兄さんの事愛してくれるよ?」
「その通りだ、気に入らない所があっても二人で乗り越えていけばいい」
「気に入らないも何も男の時点でアウトだよ!! 馬鹿かお前ら!?」
「安心しろ! 俺はそんな事気にせず全力でへっきゅんを愛せ(ry
「お前には聞いてねぇんだよぉぉぉ!!」

ロイとエフラム兄さん、そしてサラがビラクさんと一緒にヘクトル兄さんを取り囲んでいた。

517 :葉っぱと悪魔4:2009/12/28(月) 10:06:37 ID:KCbPn3Ul
ヘクトル「てめぇロイ! 何でお前までアイツに手ぇ貸してんだよ!! そんなに俺が嫌いか!?」
ロイ「いやだなぁ、僕はただ兄さんに幸せになって欲しいだけだよ♪」ニッコリ
ヘクトル「大ウソぶっこいてんじゃねぇぞコラァ!!」
エフラム「良いではないか、ビラク殿は全力でお前を愛せると言っているんだそ?」
ヘクトル「うるせぇこのロリコンが!! 俺はお前らと違って性癖ノーマルなんだよ!!」
エフラム「ふ……ロリコンか、そう呼びたければ呼ぶがいい……俺はもう、そんな言葉に惑わされたりせん」
ヘクトル「だぁぁぁ畜生やり辛れぇぇぇ!! ……っは!?」

ビラク「へっきゅん……ハァハァ……へっきゅん……ハァハァ……」ジリジリ

ヘクトル「ま、待て、落ち着け、な? よく考えてみろ、俺たちの間にはいくつもの障害が―――」

ヘッキューンギャァァァヤメロコッチクンナァァァ!ビラクドノヲウケイレロ!ドタンバタンギャーギャーアッータスケテエイリーク!

ロイ「まったくもう、兄さんったら素直じゃないんだから」
サラ「なんだろ……今のロイからはあたしと同じ匂いがするわ」
ロイ「ははは……それにしても凄いなぁ、ピザトル兄さん。リワープ使って何度も挟み撃ちにしてるのに捕まえられなかったなんて」
サラ「ね、にいさまの戦略で何度も何度も行き止まりまで追い詰めたのに」

ヘクトル兄さん(ノД`)
それはともかく……にいさま、ねぇ。
…………あ、またなんかモヤモヤが…………。

サラ「……………………」
ロイ「あ、そうだ。前から聞きたかった事があるんだけど」
サラ「何?」
ロイ「最近よくエフラム兄さんと一緒にいるけどさ、リーフの事はもう良いの?」

!!

サラ「何で?」
ロイ「え、いやこの頃リーフにお仕置きしてる姿を見ないからさ、ちょっと気になって」
サラ「……別にリーフに飽きたとか、そう言うのじゃないわ」

!!!

サラ「リーフは面白くて、いじめると元気が出る人。にいさまは格好よくて、あたしを甘えさせてくれる人」
ロイ「えーと、つまり?」
サラ「愛人の道と正妻の道の違いとか、そんな感じ」
ロイ「ごめん一気に分かんなくなった」
サラ「リーフもにいさまも、あたしにとって大切な人って事」
ロイ「……そっか、なら良かった」
サラ「だから、そんなに心配しなくても大丈夫よ?」クスッ
ロイ「え? いや僕は……」
サラ「ロイの事じゃないから」
ロイ「???」

518 :葉っぱと悪魔5:2009/12/28(月) 10:07:24 ID:KCbPn3Ul
……もしかして、ばれてたのかな。
Y師匠から買い上げた戦利品を抱えつつ、そう思った。
サラの含み笑いが聞こえた直後、僕はあの場を離脱した。
あの最後の言葉、あれは僕に宛てたものの様な気がしたから。
気配は完全に消していたはずなのに……サラ、君の底が見えないよ……。
でも、まぁ

「僕もエフラム兄さんも、サラにとっての大切な人……か」

ふーん、そうかそうか。ま、よかったんでねーの? ……もちろん定冠詞に『どうでも』が付きますが!
くそぅ!! 弛緩を止めろよ僕の頬!! 熱を帯びるな僕の頬!!
頭や心臓が熱くなって異常を訴えていたけど、不思議と不快感は無かった。
「何これ!? 何なのさ一体!?」
よく分からない羞恥心が心臓を掻き毟り、堪らず僕は駆けだした。

……さっきまで感じていた胸のつっかえは、既に跡形もなく消えていた―――

「なんて、爽やかに終わるとでも思ってた?」

519 :葉っぱと悪魔6:2009/12/28(月) 10:08:33 ID:KCbPn3Ul
「!? っな……!!」

背後に強烈な殺気

「その手にもってる物……一体何なんですか?」

さらに果ての無い絶望

「サラさんが教えてくれたんです、リーフ様がまたえっちぃことを企んでるって」

そして……獄炎の怒気

「リーフ? 覚悟は出来てるわよね?」

……っあ……の悪魔……ッ!

「「「さあ、お仕置きのはじまりはじまり」」」

「このっ、この……っ!

ひとでなしがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――ッ!!」

……クスクスと、サラの含み笑いが聞こえた気がした