316 :魁!オスティア学園!:2010/02/19(金) 23:25:49 ID:kcjwvHwI
1
こうして私立オスティア学園は完成した。
本日はめでたく開校日。
入学生は男ばかりだ。男子校ゆえ当然のこと。
斧兵やアーマーの育成に主眼が置かれており、ガタイのよい男ばかりだ。
リリーナ「わしが…もとい私が私立オスティア学園理事長リリーナである!」
ビラク「うほっそして俺が学園長のビラクだ」
ヘクトル「…なんで俺がここにいるんだ…」
エレブ高の生徒たるヘクトルが何故ここにいるのか?
それはリリーナからロイ経由でもたらされた一枚の文書にある。
~ 親愛なるヘクトル兄様、およびご家族の皆様へ
私どもオスティアは、紋章町の未来を担う健全なる男子の育成のため学園を設立することといたしました。
つきましては、是非男の中の男たるヘクトル兄様の編入を願いたく思います。
2年生筆頭としてお迎えいたします。
なお学資は免除させていただきます。 リリーナ ~
ミカヤ「迷うまでもないわね」
シグルド「ああ…正直学費免除とは夢のような申し出だ」
ヘクトル「ちょ…俺の考えも聞いてくれ!」
エリウッド「ひゃっほー!家計簿の赤字が減るばんじゃーい!…ああ…胃の調子がいい…空気がおいしい…」
ヘクトル「…わかった…心配だが、まぁ学校ったってどこもそんなにかわらねぇだろ」
こうしてヘクトルはオスティア学園の2年生として迎えられたのである。
317 :魁!オスティア学園!:2010/02/19(金) 23:28:35 ID:kcjwvHwI
2
さて設立されたばかりの学園なのだし、全員が1年生なのかと思いきや学力、KINNIKUなどで考察して
3学年に振り分けられたようだ。
ヘクトル「筆頭ってなんだよ…学級委員長みてぇなもんか?」
詰襟の学ランを纏って教室に入る。
教室内はマッチョとメタボだらけだ。
さっそく初授業が始まる。竹刀をもったジェネラルが入ってきた。
ワレス「ワシが貴様らを預かる2年生担当教官ワレスじゃ!まずは元気よく朝の挨拶じゃ!」
生徒一堂「おはようございまーす!」
ワレス「ばか者!男の挨拶は押忍の一語じゃー!」
生徒一堂「押忍!!!」
ワレス「よーし、では順に自己紹介じゃが…最初に2年生筆頭に任じられたヘクトルから挨拶せい!」
ヘクトル「へ、俺!?」
まったく聞いていない。
ワレス「はやくせんかぁ!」
ヘクトル「押忍!」
教室の教壇まであがって見渡す。
たくましい筋肉男や一部メタボ連中。
中には気合入ったヤンキー野郎もいる。あきらかにこちらを値踏みするような視線を向けている。
ヘクトル(なんだかしらねぇが筆頭である以上は俺が頭だ…なめられるわけにいかねぇな)
軽く息を吐くと眼光に力を込める。
ヘクトル「俺が2年生筆頭ヘクトルだ!よろしく頼むぜ!」
教室に鳴り響くような大声、おもわずヤンキー達も居住まいを正した。
生徒一堂「押忍!!!」
やがて自己紹介が終わり、授業に入る。
ヘクトル「なんじゃこりゃ…このカリキュラムはリリーナが作ったとか言ってたな…なに考えているんだ…」
時間割の大半は体育、申し訳程度にその他の教科がついている…
ワレス「よーし先ずは手始めに腕立て腹筋200回!」
男たち「ぬんぬんフンガー!」
ヘクトル「ぬんぬんフンガー!」
(や、やべぇ!?最近腹が弛んで…いや、負けられるか!)
~ 理事長室 ~
リリーナ「ああ…兄様…じゅるり…」
ビデオを見ながら一人のヲトメがよだれを垂らしている。
この学園はリリーナの夢の結晶。まさに男の園だ。
リリーナ「あ、でもそろそろビラクが我慢できなくなるころね?
さて一戦交えましょうか」
アトスから奪ったフォルブレイズを手に、リリーナはビラクの思考を読む。
ヘクトルをストーキングする最適のルートを辿ってみると、はたしてそこにはビラクが潜んでいた。
今日も戦いがはじまる。
318 :魁!オスティア学園!:2010/02/19(金) 23:29:17 ID:kcjwvHwI
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~ 食堂 ~
ヘクトル「かーうめえ! やっぱ飯の時間が一番だぜ!」
焼肉定食を貪り食う。
その傍に二人の男が来た。
ワード「よう、さっきの体育すげぇなアンタ!」
ロット「さすが俺たちの筆頭なだけはある」
ヘクトル「おう、うちの学年の…ワードにロットだったな」
マッチョ男たちは肉体的に認めるのは早い。
だが必ずしもそうではない男もいて…
ガレット「けっ俺は認めねぇぞ! なんでいきなりてめぇが俺の上につくってんだ?ああん?」
ヘクトル「おう、面白ぇこというじゃねぇか?」
席を立つ。
口先など必要としない、男の上下関係は腕力で決まる。
だがそこに教官が現れた。
ワレス「まてい貴様ら!」
ヘクトル「げっ…」
ガレット「ちっ…」
ワレス「いや、勝負を止めようというのではない。むしろ男は勝負で鍛えられる。
当学園ではむしろタイマンは奨励されるくらいだ。
だがお前らの勝負は2年生筆頭の座を巡ってのもの。ならばふさわしいものとせねばならん。
即刻グラウンドへでい!」
~ グラウンド ~
ヘクトル「なんだこりゃ…」
巨大な鍋の下で火竜がブレスを鍋に向かって吐いている。
ワレス「これぞオスティア学園名物、火竜風呂!
見ての通り火竜のブレスで鍋は超高温となっておる!
この中に貴様らが入るのだ、先に逃げ出したほうの負けというわけだ!
さあ貴様らの根性見せてみんかーーーっ!」
ヘクトル「アホ抜かせ!?あんなもん入れるか!」
ガレット「怖いのか?」
挑発的な笑みがヘクトルを見下している。
ガレット「ビビッてんなら今すぐ筆頭を降りて逃げちまいな」
噛み付くような視線で睨み返した。
ヘクトル「やってやろうじゃねぇか! てめぇこそ逃げんじゃねぇぞ!」
ガレット「上等だコラァ!」
319 :魁!オスティア学園!:2010/02/19(金) 23:30:53 ID:kcjwvHwI
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2人の男は学ランを脱ぎ捨てると鍋に飛び込んだ。
ヘクトル「グワチャーーー!?」
ガレット「ギエーーーーー!?」
物凄く熱い。だがここで逃げるわけにはいかない。男の意地だ。
ヘクトル「ぐぬぬっ」
ガレット「うぐぐっ」
いつのまにかグラウンドには2年生全員が集まり固唾をのんで見守っていた。
自分たちのリーダーが決まる勝負なのだ。
ワレス「ふふふ、どちらもやりおるわい。
今の若造どもに足りぬ気概をまざまざと見せ付けてくれおる」
双方は譲らず、体脂肪を燃やしながらの文字通り熱い戦いは続く。
すでに風呂につかること30分だ。
ヘクトル(ああああっちぃ……)
横目でガレットを見る。
平然としてるように見える。
ヘクトル(くそ…さっさと参って逃げ出しやがれ…)
その時である。ガレットの巨体がぐらりと崩れて風呂の底へ沈んでいった!
ヘクトル「なにぃ!? アイツ意識を無くしてやがったのか!?」
ワレス「いかん!」
2年生たちにざわめきが走る。
息を止めて風呂の底を泳ぐ、全身に火がついたように熱い。
ヘクトル(くそ…重ぇなコイツ…水中でよかったぜ)
ガレットの巨体を背負い、ヘクトルは懸命に鍋の外を目指して泳いだ。
320 :魁!オスティア学園!:2010/02/19(金) 23:31:42 ID:kcjwvHwI
5
ワード「や…やべぇぞ…2人とも浮いてこねぇ」
ロット「む…」
ボールス「おおっ!来たぞ!」
飛沫をあげてヘクトルが鍋を出る。その背中にはガレットの姿があった。
ボールス「あの巨体をしょって泳いだのか?
…やはり我らの筆頭だけはある…」
ワード「いい男っぷりだ!」
2年生たちが歓声をあげる中、ガレットは瞳を開けた。
ガレット「俺は…負けちまったのか…」
ヘクトル「いい勝負だったぜ…この俺とあそこまで張り合ったんだ。見上げた根性だぜ」
ガレット「へっ……俺も山賊じゃ頭張ってたけどよ…自分の上に頭もとうと思ったのは初めてだ…
てめぇこそ俺たちの筆頭だよ…」
教官の審判がくだる。
ワレス「勝者ヘクトル!」
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!
逞しい2年生たちが自分たちの筆頭をもみくちゃにする。
ボールス「俺たちの筆頭ばんざーい!」
ワード「すげぇ男ぶりだったぜ!」
男たちの中でヘクトルは最高の気分だった。
お山の大将なんて呼ばれることもある彼だが、やはり人から慕われるのは悪い気はしない。
ヘクトル「あたりめぇよ、俺はてめぇらの大将だぜ!」
こうしてヘクトルは2年生筆頭の座を不動のものとしたのである。
同時に男たちの熱い学園生活の、これが第一歩だった。
…なお、ヘクトルとガレットがつかった鍋の湯は後日リリーナが美味しく頂いたそうである……
終わり
ルネスのネタ書いてた時から思ったんだけど男子校も書いてみたかったんだ…