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Last-modified: 2012-08-28 (火) 20:19:13

セリカ「…最近アルムに悪い虫がついてるのよね」
アイク「悪い虫とはバールとかそういう類か?」
ロイ 「この手のアイク兄さんのボケは突っ込んでると話が進まなくなるからスルー推奨だよ」
セリカ「したたかを絵に描いた様な娘でね…前回もクソムカつく思いをしたけど、なんか力に訴えたらこっちの負けみたいな気がするのよね…」
アイク「確かになんでも力で解決するのはよくないな」
ロイ 「そのつもりは無いんだろうけど兄さんも大概やらかしてるのを自覚しようね」
セリカ「諦める気配はまるで無し、かくなる上は…(じぃっ…)」
アイク「なんだ?」
ロイ 「なんでこっち見てんの?」
セリカ「女殺しマシーン一号二号!あの女をたらしこんできて!」
二人 「?!」

どうも、最近アルムくんに付いた悪い虫ことジャンヌです。
悪女だのしたたかだの言われてるみたいですが、好きな人を好きで、それでちょっとだけズルをしてるだけなんです。
この町には恋敵間で戦争が勃発することなんて珍しくないですし、私なんておとなしいものじゃないですか?
そもそも私地味で目立たないし、多分そんな人を好きになってたら争いにすら加われてないと思います。
でも幸いアルムくんはそんなこととは無縁ですし、(唯一のライバルはその手の過激派タイプですが…)
地味な私の地味な努力が、地味なアルムくんに地味にじわじわ効いてきてるんじゃあないかなあ、
もしかしてなんとかいけたりするんじゃないかなあ、なんて思うんです。
そんなわけで今日も地味にアルムくんに振り向いてもらおうと活動をしちゃいます。
今日は休日なのでアルムくんは自宅の畑でも耕してるんでしょうね。
だったらアルムくんのお家に行けばいいんですが、ここで問題が生じます。…この家、すごい危険なんですよね。
地味なアルムくんと同じ血を分けたとは思えない個性的なご兄弟がいて、
まあなんやかんやでドリフのコントみたいに倒壊を繰り返してるとの話ですが…んん~
虎穴に入らずんばとはよく言うもの。アルムくんのため、危険を覚悟で私、立ち入ります!
というか、私は表示されてないだけでおそらくスキル影持ちなんで、きっと気づかれずやりすごせるでしょう。
そう思ってさりげなーくアルムくんの家に近づいていたその時でした。

ドォォォォォォ!!

巨大な火の塊が私に向かって飛んで来ます。しまった、セリカさんに気取られたようです。
今日も一応リターンリングを持ってきているんですがいかんせんステータスも地味な私ではここまで迫られていると反応も追いつきません。
このまま私死んだらその地味さ故に蘇生してもらえる見込みもありません。ああどうしましょう!って考えてる間にどうにかできそうなものなんですが…

「ぬぅん!」

ドシャアァァァァン!!

…大体無事だったりするんです。こう、生存フラグっていいますか。…あれ?本当に私無事ですね。
一体何が起こったんでしょうか…?さっきの衝撃音、どうやらセリカさんの魔法は何か別の力に弾き飛ばされたようですが…
砂煙が舞う中目を凝らすと、私の目の前に大きな人影が背を向けて立っています。
あれは…

アイク 「大丈夫か?」
ジャンヌ「は、はひ…」

振り向いて声をかけるその人は、アルムくんのお兄さんの一人、例の恋敵同士が戦争を起こしちゃう超高競争率さん、アイクさんその人でした。

336 :助けて!名無しさん!:2010/06/03(木) 23:35:50 ID:4yo8PK2M

アイク 「ん、あんたは確か…」

そう言ってアイクさんは私をまじまじと見つめます。
思わず私もアイクさんを見つめ返すのですが…あれですね、本当に似てません。アイクさんとアルムくん
髪こそ同じ青なんですが、顔から体格まで何もかも違います。
メリハリのある造りの凛々しい顔立ち、包み込まれるような大きな体躯に服の上からでも分かる程の逞しい筋肉。
間近で見て改めて感じますが、とっても男前です。沢山の女性を虜にしてしまうのも頷けるといったものでしょう。
加えて説明不要の戦闘能力。全く飾っていないにも関わらず全てに於いて、というよりむしろ存在自体が派手な人という印象です
対してアルムくんと言えば汎用的な顔立ちに、「中肉中背」という言葉がピッタリの体格で、くどいようですが言うなれば地味です。
あ、アルムくんの説明一行で収まっちゃいました。とにかくアイクさんはアルムくんの兄弟とは思い難い派手オーラを醸し出しています。
って、何私は冷静に淡々と分析しているのかって?
ぶっちゃけ私、こんな派手なタイプは苦手なんです。だって…

アイク「確…か…?……む、すまん。誰だったか?」

はいきた。いえ、いいんですよ。私の顔と名前が一致する方がマイノリティーですから。

ジャンヌ「ジャンヌです。アルムくんと仲良くさせてもらってます。」
アイク 「ああ、そうか。最近アルムとよくいる…」

認識されていた、これだけでもちょっと驚きです。さっきの話に戻りますけど、私みたいな地味な人は、
こういう派手な人といると濃淡差のコントラストといいますか、より薄くなっちゃうんですよね。
私今半透明とかになってませんか?このまま存在が消えちゃったりとかしませんよね?…てのは冗談ですが、
例えば、みなさん吹奏楽とかしたことあります?あれのコントラバスって地味なベース音をひっくい音で、延々とやってるんですよ。
自分では頑張って弾いてるつもりでも、トランペットとかにパーッ!って派手な音で入ってこられるともう駄目なんです。届かないんです。
もう観客みんなトランペットのメロディにくぎ付けなんですよ。人の耳って高い音の方に敏感にできてますしね。
私みたいなコントラバスはトランペットとはアンサンブルしたくないんです。アルムくんみたいな地味なタンバリンとがいいんです。
だって、私のことに気づいて、ちゃんと私のこと見てくれそうじゃないですか…

アイク 「おい、あんた」
ジャンヌ「……え?!」
アイク 「血、出てるぞ」
ジャンヌ「あ…」

自分でも気づいてませんでした。さっきの衝撃で少し傷が出来てたみたいですね。自分の身体ながらここまで影が薄いと感心です。
それにしてもアイクさん、さっきから私のことによく気づいてくれるなあと思います。
そもそも誰にも気づかれずに葬られてもおかしくないはずのところを守ってくれたって時点で…

アイク 「…よし、治療できる人のところまで連れていく。あまり動くなよ」
ジャンヌ「え……ひゃあっ…///」

いきなりの事態に頭が真っ白になりました。お、お姫様抱っこです。アイクさんは私の背に手を回すと、その逞しい腕で苦もなく私を抱えて走り出しました。
お姫様抱っこで走り出したって、大事に扱ってるのか扱ってないのかわからない感じですが、
この少々ぶっきらぼうな感じがこの人の魅力でもあるんだなあとぼんやり感じていました。

337 :助けて!名無しさん!:2010/06/03(木) 23:37:08 ID:4yo8PK2M

セリカ「オォォォォォォッケェェェイィィアイク兄さァァァァァん!!」
マルス「ベタな救出劇でも確実にフラグに持っていく様は流石としか言いようが無いね」
セリカ「あとは嫁候補達に抹殺されてもよし!フラグ折ってもそれもまたよし!兄さんのフラグは折れた後からが本番の女を縛る無限地獄だからね」
ロイ 「じゃあもう僕は帰っていいですか?」
セリカ「そうね、最初はそのネタも入る予定だったんだけど尺の問題もあるのよね」
マルス「やっぱ尺がね。じゃあ、後は僕が代わりに突っ込んどくよ」
ロイ 「(´・ω・`)」
セリカ「ふふふ、男女の別れる理由の何割が『他に好きな人ができた』だと思う?私も知らないけど!」
マルス「それをジャンヌさんはやろうとしてたわけだよね」
セリカ「そして私はそれをやり返しただけ!お互いの利害のベクトルがぶつからなくなってみんな幸せってもんよ」
マルス「お、いいドヤ顔。セリカ、君もなかなかやりおるのう」
セリカ「いえいえ、お代官様程じゃございませんww」
マルス「誰がお代官やねんww」
二人 「ふぁふぁふぁふぁふぁw」

アイク 「おい」
二人  「ファッ…(゚д゚ )」
アイク 「セリカ、こいつを治療してやってくれ」
ジャンヌ「あ、どうも…」
二人  「…(゚д゚ )」
アイク 「どうしたんだ?」
二人  「(おをヲイヲイヲイオイオイオイィィィィィ!!!!)」

二人  「(普通ここに連れてこねーだろォォォ!!)」
セリカ 「(いや、確かに私も治療要員だけれども)」
マルス 「(ああ、そうだアイク兄さんはこういう人だった。間違っちゃいないんだけどいろいろアウトな行動をしてしまう人だった)」
セリカ 「(いつからいた?!いつから聞かれてた?!)」
アイク 「おい、治療…」
セリカ 「はいはい治療ですね!このセリカが自分の体力を犠牲にして治癒を行っちゃいますよはいはい!」
マルス 「もうやけくそだな」
アイク 「どうかしたのか?」
マルス 「兄さんは黙ってて」

セリカ 「ハイ、コレデダイジョウブデスヨー(超棒読み)」
セリカ 「(くぅ…何が悲しくて自分の体力を削ってまで敵を癒さないといけないのよぅ…ていうかこの後どうなるの?)」
ジャンヌ「…ありがとうございます(クス)」
セリカ 「(あああああ!!やっぱバレてやがるーっ!!)」
ジャンヌ「あ、そういえばアイクさん、私アイクさんにお話があって…」
アイク 「ん、俺にか?」

マルス 「お、この流れは…作戦がバレたとはいえフラグ立っちゃったもんは仕方がないよね」
セリカ 「…だといいけど」

ジャンヌ「あのですね…(ゴニョゴニョ)」
アイク 「何だと…?!それは…」
ジャンヌ「(ゴニョゴニョ)…じゃあ、セリカさんのことよろしくお願いしますね。では私はこれで…」

マルス 「あれ、どっか行っちゃった。代わりにアイク兄さんがこっち来た」
セリカ 「一体どういう…」
アイク 「セリカ…!(ガシッ)」
セリカ 「な、何?アイク兄さん…?!いきなり肩なんか掴んで…」

338 :助けて!名無しさん!:2010/06/03(木) 23:38:20 ID:4yo8PK2M

アイク 「セリカ…俺じゃ…駄目か…?(ギュッ)」
セリカ 「な…///// えええええ?!」
マルス 「なんでこうなるの?!」
セリカ 「やめて!その無駄なフェロモン放出やめて!」
アイク 「お前の本当の気持ちを聞かせてくれ、頼む。」
セリカ 「わ、私は……//// って、ちょっと待ったァァァ!!どうしてこうなった?!あのアマ何吹き込んだのよ?!」
ジャンヌ「ふふ、『セリカさんが人には言えない悩みを抱えて苦しんでいるから力になってあげて下さい』って言っただけですよー」
マルス 「そうか、兄さんの自動フラグ立て能力を利用してただの『悩み聞いたる』を殺し文句+ハグに変換させたのか。こいつ、かなり、やりおる」
セリカ 「兄さんいくらなんでも飛躍しすぎ!いや、そもそも私別に悩みとか無いし!」
ジャンヌ「あるじゃないですか。私にアルムくんをとられるんじゃないかって気が気でないでしょう?」
セリカ 「…い、いわせておけば…く…この…あ、あんたなんか全然平気よ!眼中にないわよ!バーカバーカ!」
マルス 「駄目だ、痛々しくて見ていられない」
アイク 「泣く程つらいのか…?…気づいてやれなくてすまんかった」
マルス 「お願いだから兄さんは黙ってて」
ジャンヌ「じゃあ眼中に無い地味ーな私はこれからアルムくんに会いに行ってきますね。そうそう、そういえばそのために来たんでした」
セリカ 「ちょ…!待ちなさい!眼中にはなくてもそれはさせな」

シグルド「KINSHINするごはいねがああああ」

セリカ 「ああこんなタイミングでマジウザイの来た!アイク兄さん、私達いい加減離れないと…うっ?!」

セリカ(何この気持ち…私ドキドキしてる…アイク兄さんと離れたくない…!)

マルス 「説明しよう。アルムラブのセリカは元来兄萌えのAKJ属性とも言えたわけなのだが、
     今ここに来てアイク兄さんのフェロモンにあてられて新たな兄萌えに目覚めたのだ」
セリカ 「やめてやめて!なにそれこわい。アルムセリカ←シグルド<キンシンハ(ry の黄金パターンを今更崩すわけにはいかないのよ!」
シグルド「KINSHINは(ry」

何やら向こうは騒がしいようですが、私はのんびりアルムくんとおしゃべりさせてもらってます。
え、私がしたたか?そんなことないですよー。
だって私も『やられたことやり返した』だけですから。何も悪いこと言われる筋合いはないですよね?
そうしてゆっくりと地味な私と、そういえば一度もこのネタで喋ってない、
ハンバーグに付いてくる人参ですらないアルムくんとの時間が過ぎていくのでした。