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Last-modified: 2012-08-28 (火) 19:35:28

6 :幼女の旗の下に:2010/04/30(金) 14:32:44 ID:jj1j37fl

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7 床板を剥がす       携帯以外にもなんか隠してあったりして…

ターナ  (とりあえず…猶予はあるし返事は保留しとこ。それにしても…)
なんだか床下が気になる。
携帯の他にもなにか隠されているのではないだろうか?
ターナ  (脱獄に使うアイテムとかあったりして…えい、ちょっと見るだけ♪)
好奇心を覚えて床板を剥がしてみる。
まぁ確認しておいて損はないだろう。
床板の下は板を支える金具類が嵌っており、その下は土だ。
片隅にはビニール袋に包まれた携帯が置いてある。
ターナ  「なーんだ。なんもないわね」
軽く失望を覚える。だが昼休み終了まではまだ時間がある。床板を戻すと、その隣の床板を剥がしてみた。
機材が乗っている床板が多いので調べられる場所は少ないが、ここまできたらできるだけ調べてみよう。

数枚の床板の下を調べ…残るは一箇所のみ。ここまでの成果は0である。
ターナ  「なんかアホらしくなってきた…そうよね。
      いくら盗賊でも刑務所でそう簡単にアイテムなんか調達できるわけないし」
これで最後とばかりに勢いよく床板を剥がす。
ターナ  「やっぱりなにもない……なんか馬鹿馬鹿しいことで体力使っちゃったなぁ……?」
なんだろう…よくみると土の色が他と違う気がする。
なんか…掘り返された後のような感じがする。
ターナ  「まさか念には念を…で地中に埋めてあるとか?
      あーいや…それなら携帯も埋めるよね。でも…えい、ここまできたら調べてみよ!」
手で土をすくってみる。
やはり他の場所より土が軟らかい。最近掘り返されたとしか思えない。
機材置き場に置かれていたスコップを手に取ると土を崩していく。
20センチほど掘っただろうか…何か出てきた……何かの布のような…
ターナ  「んー……服の…すそ?」
その周囲を掘り崩していく…やはり服のすそに見える。やがてその姿が露になっていく。
すその先から見えたのは……

7 :幼女の旗の下に:2010/04/30(金) 14:33:33 ID:jj1j37fl

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ターナ  「手…手が出て……え? え? もしかしなくても…人間?
      人が埋まって……のわぁぁぁぁぁぁぁ死体が埋まってるーーーーーーーっ!!!!!!」
悲鳴を上げて飛びのいた。
気が動転して冷静な判断ができない。それも無理のない話だ。
足が竦む、手が震える……
ターナ  「あ…あわわわわわ…ど、どうしよう……とにかく看守に伝えて…」
その時…手が動いた…
ターナ  「え?」
がさっと音を立てて周囲の土を崩しつつ腕が上がる!
もはや肘のところまで露出している。
ターナ  「ううう……動いたぁぁあああああああ!?」
思わずへたりこむ。
土中から突き出た腕は周囲を探るように這い動くと、自らの手で軽く土を掻き出していく。
土が十二分に軟らかくなるとその下の死体(?)は勢いよく上半身を起こした。
ターナ  「ぞぞ…ゾンビーーーーー!?」
魔物のゾンビなんてどうってことない相手だがこれは怖い。
?????「失敬な、私は生きているぞ」
ターナ  「ええっでででででも土の中に埋まって…」

動転しながらも相手をよく見る。ゾンビどころかなんだか肌のつやつやした男だ。
どう見ても生きている。
土中から身を起こした男は土を払うとターナの前に全貌を現した。
長身の男だ。わりと優男だがよく鍛えられている。
ソーンバルケ「そう怖がるな。私の名はソンケル…もといソーンバルケ」
ターナ   「いや…怖がるなって言われても…なんで埋まってるの!?
       しかもなんで埋まってて平気なの!?」
ソーンバルケ「人が名乗っているのに名前も教えないで質問とは礼儀がなってないな。
       教育がなってない」
叱られてしまった…
なんだか理不尽な気もするが…
ターナ   「あ…ごめん…私ターナ」
ソーンバルケ「まぁいい。それでは授業を始める」
ターナ   「はい?」

この男は何を言い出すのだろうか?
自分の耳が間違ってなければ授業と言い出した気がするが…

8 :幼女の旗の下に:2010/04/30(金) 14:34:15 ID:jj1j37fl

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だが戸惑うターナなどソーンバルケはおかまいなしだ。
ソーンバルケ「それで武器は?」
ターナ   「え…ないけど…」
ソーンバルケ「忘れ物か。減点10」
丸めた本でターナの頭をポコンと小突く。
刑務所内に武器を持ってこれるはずないだろうに…理不尽だ。そもそもなんの授業だ?
ソーンバルケ「まったく困ったやつだ。それでは始めるぞ。読め」
ずいっと本を突き出される。
しぶしぶ受け取って開いてみる。

ターナは奥義、衝撃を会得した!

ソーンバルケ「よし、もう教えることはない」
ターナ   「え…授業って…これで終わり?」
ソーンバルケ「さらばだ。達者で暮らすがいい」
再び男は先ほどまで埋まっていた穴に飛び込むと、猛烈な勢いで土を崩して埋まっていく。
まるでもぐらのようだ。
ターナが声をかける間も無くあっというまに地面は元通りになった。ソーンバルケの影も形も見えない。

ターナ   「…………………」
なんだか…脱力してしまった…
わけがわからん…結局なんで埋まってたのかもわからない…
ターナ   「ああ…どうしてこう…まともな人がいないのかしらね……」
思い起こせばターナの周りは変わり者だらけな気がする…
幼女の守護者を称するエフラム……
エイリーク熱愛美王女ラーチェル……
ターナをアレな道に引き込んでいくサラ……
(こ…これは私にも原因あるかな…ででででも私はノーマル!ノーマルを保つのよターナ!)
極めつけのヒーニアス……
そして土中男と来た。

突っ込み疲れたターナはヘロヘロになりながらも機材置き場を出て行った……

9 :幼女の旗の下に:2010/04/30(金) 14:34:56 ID:jj1j37fl

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AKJの会議室……
主要幹部4名は机を囲んで今後の方針を話し合っている。
ラケシス 「エフラムの一件は工作員の活動により証拠が揃ってきてるわ。
      元老党に媚を売ろうとしたナーシェン警視が冤罪をでっち上げたのよ。
      これより裁判所に再審の申し立てと、元老党に対するネガティブキャンペーンを行います」
クラリーネ「でも…おそらく元老党はナーシェンをトカゲの尻尾にして知らぬ存ぜぬを決め込みますわよ?」
プリシラ 「いいじゃありませんか。こういう騒ぎがあるだけでもイメージダウンになりますし」
ラケシス 「そういうこと」
ティニー 「でも…よくそういう情報がわかりましたね?
      向こうの機密保持はどうなってるんです」
ラケシス 「内部からうちの工作員に情報のリークがあったのよ。連中も一枚岩ではないってことね。
      次の件だけど…私はこれからバーハラ保守党に接触します。3分の1の同意を取り付けるには
      最大野党のバーハラは欠かせないわ」
クラリーネ「バーハラ…党首はアズムール様ですけど実質引退同然で実権はクルト様が取り仕切ってらっしゃるそうですわね」
ラケシス 「グランベル社の社長でもあるわ。3日後に会談の予定を組んでるからここで成果を挙げたいものね」

こうしてエフラムの再審の動きは本人の知らないところで固まっていった。

10 :幼女の旗の下に:2010/04/30(金) 14:35:58 ID:jj1j37fl

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今日も過酷な労働が終わった。
いつもなら監視員に先導されて収容棟に戻るところだが…この日は様子が違っていた。
監視員  「ダノミル所長よりの通達を伝える! 
      採掘の生産性を上げるため、特に肉体的に頑強な囚人への労働時間5時間延長を申し渡す!」
囚人たちにざわめきが走る。
ただでさえ重労働だというのに…
監視員  「名前を挙げるものは本日より一ヶ月間、8~23時までの労働とする。
      その者は…エフラム! 以上!」
エフラム 「まて、俺一人だけか?」
監視員  「そうだ! 仮病を使って休んだくらいだから体力が有り余っているだろう?
      勤労の汗を流して、腐ったロリコンを叩きなおすんだな!」
エフラム 「なんだと!俺はロリコンでは…」
監視員  「お、口答えするか? 所内で看守の指導に従わぬ者への罰則を知らんわけじゃあるまいな?ああ?」
エフラム 「む……」
一瞬頭に血が上る。やはりストレスでイラついてるのもあるだろうが…
頭の中の冷静な部分も落ち着け、と言っている…

1 監視員を殴る  許さんぞ!俺はロリコンではないと言うに!
2 演説を始める  幼女のなんたるかも知らぬ輩にロリコンと幼女を守ることの違いを教えてやる!
3 抗議する    俺だけ働かすのはおかしくないか?
4 おとなしく働く 仕方あるまい…

続く