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Last-modified: 2012-09-01 (土) 02:00:02

154 :イリオスとオルエンの休日終 1/5:2010/07/29(木) 07:05:16 ID:aq58lnk/

ちょっとやっつけな気もするけどラスト投下します

く…これじゃあ手を出せねえ…卑怯者!!
ゴメス「はっ!今更卑怯も糞もあるか!ほら!早く武器を捨てな!」
し、仕方がない…ほら、置いたぞ。
ゴメス「はっ、逆らいやがって!さっきのお礼だ!」
うぐっ…くそ…鳩尾に蹴りが…いてえ…
ゴメス「さーて、どうするかな。お前を縛って目の前でこの女を犯すか?」
くそやろう……オルエンに手を出したら殺すぞ…ぐはっ!?
ゴメス「おら、生意気言ってんじゃねえよ!!おらっ!おらっ!」

ぐっ!?……やばい…今ので左手の感覚がなくなった…折れたな…
ゴメス「おら!まだまだ死ぬなよ!あらよっ!」
っ…背中が熱くなる…斧で斬られた…か。痛い…
ゴメス「安心しな。死なない程度にしかまだ斬ってないさ。」
それはありがたい…のか?

さて、こっちは素手。向こうは斧。こりゃ諦めるかね…
せめてオルエンさえ無事ならどうにかなるんだが…
ザー・・キコエマスカ・・ザー・・
これは……マルスか?だが今は状況が悪すぎる…話したら怪しまれる…
…いや、待てよ!あの手がある…一か八かやってみるか…

マルス「おかしいな、もうそろそろ受信可能範囲なんだけど。」
エフラム「オルソン、死んでないよな?」
マルス「それはないよ。彼はああ見えて僕に似てるからね。」
エフラム「は?」
マルス「トラキア地区で平民の上級職は少ないよね?」
エフラム「あ、ああ。」
マルス「彼は貴族になるために影で努力していたんだ。」
エフラム「それで?」
マルス「けどどうしても越えられない壁があるんだ。」
エフラム「なるほど…それを補うためにテクニックでカバーしたのか。」
マルス「そういうこと。っと、音声が聞こえた…けど変だな?」

おい、どうせこっちは素手だ。せめてオルエンから斧は離してくれ。
ゴメス「はっ、嫌だと言ったら?」
構わん。どうせ俺はもうすぐ死ぬからな。
ゴメス「け、まあいい。どうせ意味ないし離してやるよ。」
悪いな。どうせ売るなら傷がないほうがいいだろ?
しかし悔しいな。せめて5…3秒あればお前に斬りかかれたのに。
ゴメス「何を言ってるんだ?」
気にするな。あーあ、せめて貴族になって死にたかったぜ。

マルス「これは…時間を稼げってことか?」
エフラム「けどどうやって?」
マルス「せめて魔法…風のエクスカリバーかオーラがあれば…」
サラ「なら私がマリクさんかリンダさんをレスキューしようか?」
エフラム「お前…またのぞき見してたな。まあ今回は助かるけどな。」
マルス「うん、頼む。なるべく急いでくれ。」
サラ「はーい。」
エフラム「でも2人をレスキューすれば…?」
サラ「耐久が足りないわ。」
エフラム「そうか…」

155 :イリオスとオルエンの休日終 2/5:2010/07/29(木) 07:07:28 ID:aq58lnk/

ゴメス「ん?お前平民なのか。マージナイトで平民は珍しいな。」
ああ、そこで寝てる奴に人生狂わされてな。そいつは貴族だがな。
ゴメス「はっ、それは災難だったな。最期もこいつに狂わされたな。」
まったくだ…けどそいつがいなきゃつまらない人生だったな…言わないが。
あーあ、あの時きちんと大学行けたら今頃貴族だったのにな。
ゴメス「お前、貴族になりたいんだったよな?」
ああ、今でもなろうと努力してるぜ…ゲームとかもするが。
ゴメス「ならこいつと結婚すればよかったんじゃないのか?」
まあ…な。けどそれじゃダメなんだ。そんな方法で貴族になっても…
俺はオルエンを利用した形になる…それじゃあ…ダメなんだ。
ゴメス「お前…変わってるな。苦労してるだろ。」
ああ、今も死ぬ寸前ですよ…
あと、そいつとはそういう仲じゃねえよ。ただの友達だ。
ゴメス「そうなのか?」
ああ…だからキスすらしてねえよ。…生まれてこの方…
ゴメス「馬鹿だねえ…そんな奴のために命を懸けるなんて。」
うるせえ…俺も自分がここまでやるとは思わなかったぜ。
ゴメス「ま、惚れてんだから仕方ないか。恋は盲目ってやつだな。」
……いや、正直どうなんだろう。俺はこいつのことが好きなのかね?
ゴメス「いや、好きでもないやつのことに命を懸けるか?普通…」
うーん…オルエンに何かあれば結局殺されますから…言わないけど。
ゴメス「ま、そろそろおしゃべりは終わりだ。行くぜ…」

サラ(リンダさんは…勉強中。マリクさんは…エリスさんと…)
エフラム「サラ、まだか?」
サラ「いいわ。レスキュー!」
マリク「…リス様……ってあれ?…ここはどこ!?」
マルス「今は何も聞かずにあの島の真ん中辺りに全力エクスカリバー!」
マリク「はい…あとでエリス様に謝らなきゃ……エクスカリバー!!」

ゴメス「死ねぇ…って何だ!?地震か!?」
洞窟がいきなり揺れはじめた…今しかない!
ゴメス「うぉ!?揺れるな…って貴様!!」
急いで床の剣を拾い上げ、構える。ち、右腕しか力が入らねぇ…
片手じゃ厳しい…が仕方がないか。
ゴメス「くそ!?こんなところで死ねるか!!」
ゴメスの斧を受け流す…くっ、右腕が流される。
ゴメス「へっ、片手じゃいくらなんでも斧に勝てないぜ!死ね!!」
ぐっ…頼む!この一瞬だけでもいい!左腕に力を!

剣と斧がぶつかり合い両者がすれ違う…
何かが刺さる音と同時に持ち手から先を斬られた斧が吹き飛ぶ。
俺の剣は鍔から先が折れてしまっていた。オグマ、すまん。
ゴメス「馬鹿な…俺がこんなところで…」
ゴメスの胸は折れた銀の刃に貫かれていた。すまん、手加減できなかった。
口から血を溢れさせ、ゴメスは倒れた。終わった…ってオルエンは!?
ふらふらな身体でオルエンに近寄ると…今朝見たような寝顔で寝てる。
よかった。無事だ…

156 :イリオスとオルエンの休日終 3/5:2010/07/29(木) 07:08:18 ID:aq58lnk/

俺の勝ちだ…マルス!助かったぜ!
マルス「よかった…生きてましたか。早く脱出してください。」
なんでだ?別に慌てなくても…
マルス「いえ、少々やり過ぎました。崩れます、そこ!」
…なんだと!?

おい、起きろオルエン!!
慌ててオルエンを揺する…が起きそうにない。
ええい、こうなったら運ぶしかない!
左腕にゴメスの斧の持ち手の部分を当て、破った服で巻く。
傷薬がもうないから応急処置だ。かなり痛いが我慢するしかねえ…
オルエンを両腕で持ち上げる。いわゆるお姫様抱っこだな。
っと、オルエンのやつ意外と軽いな。これなら何とか大丈夫だ。
来た道を急いで戻り、入口へ…って舟が一隻もない!?
マルス!海賊達は脱出したか?そういや誰も残ってなかった…
マルス「はい、もしかして舟がないんですか!?」
ああ、ちなみにこっちからはお前達がいるらしき船は見える。
マルス「これ以上は危険で近づけません!くそ、どうすれば…」
……はぁ、仕方がない。マルス、無線機は悪いが壊れる。
なあ、オルエン。もし生きて帰ったら…キスぐらいしてくれ。
俺、それぐらいの頑張りはしたと思うぜ。
俺は…覚悟を決めて…オルエンを抱えたまま…海へ飛び込んだ…

夏とはいえ全身はボロボロ、着衣の2人分を進むのは厳しい。
くっ、足だけでオルエンを抱いて泳ぐのはきつい…
左腕が使えない以上右腕はオルエンを沈まないように支える。
つまり嫌でも足で進むしかない。それも立ったまま。
ひたすら進むと船がだいぶ大きくなってきた。水も暖かくなってきた。
もう少し…頼む、もう少しだけもってくれ!!
あとすこし…見えた!マルス!
マルス「オルエンさんを!」
ああ!頼む。
何とかマルスにオルエンをわたす。ふう…助かっ…た……
あれ…意しき…が…うすれ…て…い…く……あれ……
ちからがはいらない…しずむ…あれ?……みずがあかいぞ…
ここは…うみだ…って…ああ…おれの……………

オルエンを渡して力尽きたイリオスはゆっくりと沈み始めた。
マルス「いけない!!オルソンさん!!沈んではいけない!!」
マリク「海に赤い液体が流れてます!おそらく出血が原因で意識が…」
エフラム「今助ける!」
慌ててエフラムが飛び込む。海の水は夏とはいえ夜だから少し冷たい。

甲板の端ではオルエンのスリープをサラが回復させていた。
サラ「ふう…ずいぶんスリープが効いていたわね。」
オルエン「…あれ、わたしは…ここは!?」
サラ「落ち着いて、あなたはイリオスさんに助けられたの。」
オルエン「ああ、そう。あの時…イリオスは?」
エフラム「サラ!リカバーを!!傷も酷くてやべえ!」
エフラムが急いで甲板にイリオスを担ぎ込んだ。
イリオスは顔は土色で息もしていない。
さらに甲板に少しずつ赤い染みが広がり始めていた。
オルエン「イリ…オス…?」

157 :イリオスとオルエンの休日終 4/5:2010/07/29(木) 07:10:32 ID:aq58lnk/

サラが慌てて駆け寄りリカバーをかける。
サラ「これは…背中に斬られた跡ね。」
マルス「こんな状態で泳いできたのか…」
エフラム「よく見ると左腕まで折れてやがる…酷いな。」
リカバーが効き始めたのか血が止まり、腕の色も戻っていく…しかし…
サラ「ふう…何とか助かっ…待って、まだ息してない!?」
マルス「まずい…」
外傷は回復していくが何故か呼吸は停止したままであった。
マリク「と、とりあえず人口呼吸を!」
マルス「エフラム兄さん!」
エフラム「う…男とやるのか…」
エフラムは正直やりたくなさそうな顔をしていた…すると…
オルエン「私がやります。」
マルス「いいのですか?」
オルエン「命を救ってもらったのにまだ恩返しできていません。」
オルエンはそう答えるとイリオスの鼻を摘む。
マルス「待った、まずは気道を確保しよう。」
マルスがイリオスの体勢を変え、人口呼吸の準備をする。
エフラム「心臓マッサージは任せろ。」
エフラムがイリオスの左胸の辺りに手を添える。
オルエン「イリオス…まだあなたにお礼を…生きて聞いてください…」
オルエンは大きく息を吸い込み、イリオスに口移しで息を送る。
しばらく心肺蘇生をおこなっていると…
イリオス「がはっ!!ハァ…ハァ…」
マルス「生き返った!急いで病院に…!」
蘇生したものの急いで病院に運ぶ必要がある。
マルス達はタリスの病院へ急ぐのであった。

158 :イリオスとオルエンの休日終 5/5:2010/07/29(木) 07:11:49 ID:aq58lnk/

真っ先に白い天井が目に映る…ここは…?
そうだ、たしか海賊共からオルエンを救って…気を失ったんだよな。
白い天井、白い布団…見慣れない服…どうやら病院か。
ふと、横を見るとオルエンが寝ていた…こいつの寝顔ばっか見てるな。
フレッド「ようやく起きたか。」
あれ?フレッドさんいたんですか?
フレッド「お前がなかなか起きないからお嬢様は寝てしまった。」
すいませんね。ところで今日はあれから何日たちました?
フレッド「まだ半日だ。とりあえず回復したなら早く退院しろ。」
そうですね。ほら、オルエン、起きろ。
オルエン「んーだれー…ってイリオス!よかった!」
うぉ!?抱き着くな!は、恥ずかしい…
オルエン「よかった!息していない時は死んだかと…」
な、泣くな!生きていたんだからいいだろ?
オルエン「人口呼吸して息を吹き返したとはいえ不安だったの…」
……ハイ?イマナントオッシャイマシタカ?
フレッド「貴様…お嬢様のファーストキスを…」
いや、ちょっと…病院で抜刀はやめてください…てか俺も知りません!?
フレッド「問答無用!!」
あ、ちょっと!やめ…ギャァァァア!!

フレッドに殺されかけものの無事に退院、即日仕事復帰した俺。
土産を買う余裕もなかったのでセーラとかに文句を言われた。
うう…病み上がりの人間に優しくないな…

オグマに剣のことを謝りに行ったらあっさり許してもらった。
あと、ユミナとユベロに助けてくれたお礼としてお菓子を貰った。
まあありがたくいただきます。お、うまいな。

マルスには無線機のことを謝りに行った。普通に請求書を渡された。
かと思ったら姉らしき人にシバかれて請求書を破らされていた。
とりあえずTV局のインカムを代わりに置いていった。

そして帰宅すると何故かオルエンがいた。
オルエン「イリオス、あなたのおかげで助かったわ。」
いや、こっちこそ救われたみたいだし助かった…
オルエン「これ、作ったの。よかったら食べて!」
そういってオルエンは綺麗にラッピングされたクッキーをくれた。
すまない、ありがたくいただきます。
オルエン「じゃあ私はこれで。ばいばい!」

……そういえば人口呼吸ってファーストキスになるのか?
記憶もないから微妙なんだがな…さて、今日は寝るか…
いろいろあったけど…楽しかったな。オルエンも元気だし。
しかし俺はやっぱりオルエンのことが好きなのかね…?
ま、今はゆっくり友達として遊べればいいか。んじゃおやすみ。

終わり…