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Last-modified: 2012-09-01 (土) 01:46:01

28 :幼女の旗の下に:2010/07/24(土) 14:06:48 ID:Y56fYbjs

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2 流星剣を放つ        奥義VS奥義!純粋にどっちが強いか比べようではないか!

滑翔…鳥翼族が持つ最大の奥義である。
鷹の嘶きと共に繰り出されるその技はまさに空気すら切り裂くような高速を持ってシャナンに迫った。
『見切る』事に長けた師アイラやその子供達なら防げたであろうが、これだけは一種の天性。
幾らアイラに仕込まれようとも会得できなかった。
シャナン 「ならば奥義を持って報いるのみ!」
…シャナンもまた流星剣を持ってこれを迎え撃った。
周囲の人間には余りの速度に目で捉える事すら困難だ。

エフラム 「シャナン!? くそ、どうなった!」
アイク  「両者とも奥義だ。これで決着だろう」
エフラム 「兄上…二人の動きが見えるのですか?」
アイク  「全ては見えん。ある程度は捉えられるがな」

以下……1.5秒の間の出来事である……

異常なほどの加速力を持ってティバーンはシャナンに迫った。
鷹の目がシャナンの周囲の緑色の光を捉える…先に見せた五連撃で迎えようとしている。
ティバーン(その技はさっき見たぜ!)
強大な加速を持って敵に突っ込む滑翔は威力こそ絶大だが軌道が直線的だ。
このまま突っ込めばモロに切り刻まれて五枚におろされてしまう。
先に見た流星剣の攻撃パターンを予測したティバーンは右の翼に負担をかけて強引に突進のコースをずらした。
予測できても避けられるとは限らないが…まして加速中の行いだ。右翼の骨が軋み悲鳴をあげる。

シャナン 「くらえい!」
一の太刀が繰り出される…完全には避けられなかった。
右の翼の感覚が無くなる。
だがこの間合いまで入っていれば加速は充分に過ぎた。もはや翼など必要としない。
本来心臓を狙った嘴がシャナンの脇腹にめり込む。コースを変えたため急所は狙えなかったが、ベオクの耐久力ならどこであってもさして変わらない。
弾丸に弾かれた様にシャナンは吹き飛び、背後の崖へと落ちていく。
崖の上に体勢を崩して着地したティバーンは化身を解くと一族の者たちに振り返った。
ティバーン「勝負はついた。奴を拾ってきてやれ」
ヤナフ  「は…はい」
それは鷹の戦士たちにも戦慄すべき光景だった。
自分たちの誇りの族長が片翼を失って膝を付いたのである。
数人が周囲に集まり特効薬を持ち寄って手当てを始める。
ヤナフとウルキは崖下に舞い降りながら、ただ感嘆するしかできなかった。

29 :幼女の旗の下に:2010/07/24(土) 14:07:31 ID:Y56fYbjs

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それと時を同じくして…
厨房でスープの研究をしていたラクチェは背後でカチャンと音が鳴るのを聞いた。
ラクチェ 「?」
振り返ると置いてあったラーメンのドンブリが真っ二つに割れている。
ラクチェ 「うげげ!? 今は皿洗いしてないのになんでよっ!?
      母さんに怒られる~~!?」
慌ててくっ付けようとするが上手くいくはずも無い。
接着剤を使って無理やりくっ付けようとしたら手が滑って取り落とした。
高い音を立ててドンブリが砕け散る。
ラクチェ 「うわわわ!? ち…ちりとりちりとり…」
ここまで粉々になったらいっそこれ幸い、さっさと捨てて証拠隠滅するに限る。
…そういえばふと思い当たった。
このドンブリってシャナン様が出かけ際にラーメンを食べたドンブリじゃなかったっけ?
いや気のせいでしょ…同じドンブリはいくつもあるんだし……

とはいえなんだか胸騒ぎがする…基本的に鈍感なラクチェがこんな気持ちになるのは珍しい事だった。
ラクチェ 「シャナン様…」
手を止めてそんな事をしてる間にアイラに見つかり強烈なゲンコツと説教をくらう羽目になるラクチェだった。

ヤナフとウルキによってシャナンの遺体は回収された。
未だ翼の接合面も痛々しいティバーンがその前に歩み寄る。
激痛に苛まれているだろうがその堂々たる足取りはそれを周囲に感じさせない。
彼は瞳を閉じると一礼した。
族長に倣い鷹の戦士たちが黙祷を捧げる。
長い長い時間が過ぎ、ようやくティバーンが口を開いた。

ティバーン「…この勇者を早く連れ帰って蘇生させてやれ…」
エフラム 「ああ……」
アイク  「俺が背負おう」
鷹の一族が礼を尽くして用意してくれた棺にシャナンを入れると
アイクが背負う。
カナス  「無念ですね…」
エフラム 「勝つも負けるも武人の常だ…シャナンは幼女のためによく戦った…
      今はただ目覚める時まで休んでくれ…」
男たちは同志の遺体を守って重く苦い沈黙のうちに帰途についた。
それはまさしく英雄の葬列だった。

30 :幼女の旗の下に:2010/07/24(土) 14:08:22 ID:Y56fYbjs

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偶然ではあるがエフラムとシグルドの帰宅は同日となった。
シャナンの復活のためにサイフを取りに来た所にシグルドと行き会ったのだ。
エフラム 「兄上!? どうしてここに?」
出かけていたエフラムはシグルドの事情を知らなかった。
シグルド 「はっはっは!再び本社に戻れることになってな!
      配置が決まるまで今は待命中なんだ。久々にみんなとゆっくりできそうだよ」
エフラム 「それは…おめでとうございます兄上」
シグルド 「ありがとう、近いうちにディアドラと結婚できると思う。だからエフラムもそのつもりでいてくれ」
エフラム 「ええ、兄上の晴れ姿を楽しみにしています」

……サラは心持ち後押しする程度の効果と言っていたし、またそれは事実だろうが…
それでもシグルドのこの喜びようを見るにつけ、媚薬を用いた事は絶対の秘密として墓の下まで持っていこうと思う。

エフラム 「それではまた晩飯の時にでも話を聞かせてください。では」
シグルド 「ん?でかけるのか?」
エフラム 「ええ、バルキリーをかけてやらねばならない相手がいますので。これからクロード神父のところにいってきます」
シグルド 「なんだリーフの奴また死んだのか? ほっとけば生き返るって」
エフラム 「リーフではなくシャナンです」
シグルド 「そうか。それは気の毒にな。早く行ってあげなさい」

ほどなくしてシャナンは冥界より帰ってきた。
棺より顔を出したシャナンは一言…
シャナン 「そうか負けたのか…すまなかったな…」
エフラム 「いや…シャナンでなければあそこまで戦えなかった…
      悔しいが俺だってシャナンの域には及ばないだろう…本当によく戦ってくれた」
シャナン 「そうか…ありがとう…悪いが少し疲れた…明日には事務所に顔を出すから今日はもう帰らせてもらう」

シャナンは身を起こすと歩み去った。
その後ろ姿をエフラムは無言で見送った。
エフラム (シャナン…敗戦の悔しさのため、早く帰って稽古をしたいんだな…次は遅れをとるまいと…俺も見習わねば)

クロードの教会を出たシャナンは全速力で駆け出す。
シャナン 「速攻でカメラを現像に出してラグズ幼女たちの写真をハァハァ! 
      その後は久々に道場に顔を出してラクチェやパティたちを手取り足取り指導してやらんとな!
      久々の少女分をたっぷり補充せねば♪」

31 :幼女の旗の下に:2010/07/24(土) 14:09:04 ID:Y56fYbjs

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クロードの元を辞したエフラム達は事務所へと顔を出した。
ここに戻ってくるのもしばらくぶりだ。
エフラム 「留守中何かあったか?」
ライナス 「まぁ特に問題はねぇよ。サラがキルヴァスの支持を取り付けた。そっちは上手く行ったか?」
エフラム 「そうか…そちらまで回れなかったからな。こっちはガリアとセリノスの支持を取り付けたが
      フェニキスは無念にも上手くいかなかった」
ターナ  「2箇所も支持をもらえたんだからポジティブに行くといいわ」
     (それにしてもよく上手くいったわね…ラグズにも案外ロリコンが多いのかしら…)
ディーク 「まぁいろいろ大変だったんだろ。細かいことは後日にして今日はもう休んだらどうだ?」
カナス  「はは…お言葉に甘えますよ…体のふしぶしが痛みます」
サラ   「今日はシグルドさんが帰ってきてるんだっけ? じゃあ私との約束は明日でいいわ。まさか忘れてないよね?」
エフラム 「ああ…わかった…それじゃ明日お前の家に行く…」
サラ   「楽しみ…」
ターナ  「ね…ねぇねぇ! 約束って何? サラの家…よ…よければ私も…」
エフラム 「いや…それはだな…なんというか…」
サラ   「私と一緒にお風呂に入るの」
ターナ  「ブバアアアアアアアアアアッ!?」
ライナス 「ブバアアアアアアアアアアッ!?」
ディーク 「ブバアアアアアアアアアアッ!?」

鉄血幼女守護同盟事務所は血の海に沈んだ。

ターナ  「だだだダメよ!幼女といえど女の子、男の人とお風呂入るなんて…それなら女の子と入る方が健全よ!」
エフラム 「いや…言うまでも無いがターナが心配するような問題は無いぞ? 俺はロリコンではなく幼女の守り手だからな。
      単に子供一人風呂に入れるだけだ」
ターナ  「そ…そうだけど…そうだけど…で…でもそれなら私が一緒に入ったって」
エフラム 「子供なら銭湯とかでも親同伴で別姓の風呂に入ったりするだろ? それと同じだし約束は守らんといかん。
      さらに言えばターナは年頃なんだから俺と入るわけにいかんだろ」
サラ   「まぁ次の機会ね」
ターナ  (あれ? 私ドサクサにエフラムとも入りたいって言ってない!? 
      うわあああああああっ!? ちょっと待ってよいくらなんでも大胆すぎるでしょ!?
      ダメ出しされて返ってよかったかも…それにしても次の機会ってことはそのうちサラとハァハァ…
      …ん…なんか私カオス化してるような…どうすりゃいいのよ…私はノーマルであってロリコンでは無い…はず…よね?)
そのまま床を転がって悶え始めたターナを皆が奇異の視線で見てる。
そのうちオグマやジャファルなどは生暖かい視線を向けた・
オグマ  「俺にもあんな頃があったなぁ」
ジャファル「ああ…もうすぐ開き直って楽になるさ」

32 :幼女の旗の下に:2010/07/24(土) 14:10:25 ID:Y56fYbjs

192

翌日…長いテリウス周りを終えたエフラムは久々に学校に顔を出した。
そういや最近余り学校に顔を出してないが…補修で乗り切ろう。それよりも幼女に尽くす事のほうが大事だ。
ヒーニアス「わはははは久しぶりだなエフラム!この出席日数では留年の足音が聞こえてくるぞ!」
エフラム 「補修でなんとかする。やかましい。幼女のための街づくりのほうが大事だ」
ヒーニアス「フンやはりロリコンだな!ロリコンが私の義兄になると思うと泣けてくるわ!」

つ ジークムント

ヒーニアス「アッー!タスケテエイリーク!」

うるさいヒーニアスを適当にあしらうと放課後はサラのマンションに向かう。
一緒に風呂に入るためだ。ちゃんとタオルや歯ブラシの類は用意した。
エフラム 「そういえば…留守中にネサラの支持を取り付けたと言っていたな…
     よし、何か褒美を買っていってやるか」

続く

1 バカ一代のシャツを買う       俺とお揃いだ。中々いいなこれ
2 ゴスロリ服を買う            いつだかターナがサラに似合いそうとか言ってたな
3 漆黒の騎士ののプラモを買う    子供が喜びそうな物といったらこれだな。俺の子供時分は嬉しかった
4 魔女っ娘ミカリン変身セットを買う  いやまて。女の子のおもちゃならこういうのがいいんじゃないか?
5 指輪を買う               …こういうアクセサリーってのも女の子は喜ぶかもな…俺にはよくわからんが…