29-364

Last-modified: 2012-09-04 (火) 20:29:23

364 :策謀の休日 2章1/2:2010/09/09(木) 21:22:37 ID:tVzY8PpI

昼食を終え、歌劇場に着いた私はイリオスに先導され歌劇場に入る
手空きのスタッフに今日は何を行うのかを尋ねたところ
『ニーベルングの指環のワルキューレ』と教えてもらった

歌劇場のエントランスで黒服を着た男が携帯で会話をしていた
「アルファツーよりシーエアラへ。オペラの内容が変更されてます」
「な、なに!?内容は?まさかニーベルングの指環か!?」
「そのまさかです。スタッフに聞いたところ、急遽変更したみたいです」
「くそ…やつらめ…とりあえず次の作戦は邪魔されないように頼む」
「了解です。あ、アルファワンから連絡がありました」
「うん?何だって?」
「あの連中、オペラの内容を変えるつもりです…だそうです」
「既に把握してるぞ…」
「まあ確実だけど遅いのがアルファワンですから…」

また、トイレではドレスに身を包んだ女性がやはり携帯で連絡をしていた
「パパよりロメオへ。作戦通りオペラの内容を変更しました」
「ご苦労様。これでターゲットも私たちの仲間になればいいけれど…」
「今のところSやその仲間の妨害はありません」
「ええ、キロにターゲットの向かう先のグルグランドへ行かせました」
「さすが会長、動きが早いですわ」
「我々の同志を増やすためです。では、私も移動します」
「了解です」

イリオスにエスコートされた私はそこそこいい座席に座る
イリオスにオペラグラスを手渡されて始まるのを待つことにする
ところで、ニーベルングの指環ってどんな話だったかしら…
そんなことを考えていたらオペラが始まったのであった

ニーベルングの指環 ワルキューレ
簡単にまとめると兄ジークムントと妹ジークリンデの愛の逃避行
その息子は神剣バルムンクを使い悪竜を倒したジークフリート
ちなみにジークフリートは別の読み方ではシグルドと…
ワルキューレはニーベルングの指環の2日目に上演されるお話で
序夜のラインの黄金を除いて三部作の場合は幕開け的に扱われている
息子のジークフリートが活躍するのは3日目と4日目である

オペラが終わり、歌劇場を出た頃には日も沈みかけていた
私はイリオスの提案でグルグランドに向かうこととなった
門限とかは先程きちんと電話をしたので大丈夫だろう
フレッドの声が震えていたり、奥から何かを刺す音が聞こえたのは気のせいかしら…

365 :策謀の休日 2章2/2:2010/09/09(木) 21:23:55 ID:tVzY8PpI

グルグランドの駐車場に車を止めた私はイリオスの買ってきたチケットで入る
そういえばこんなに混んでいる遊園地に来たのは初めてかもしれない
「手を離すなよ。はぐれたら大変だからな」
「う、うん…」
いきなり手を繋いできたイリオス…でも、嫌じゃないのは何故かしら?

「ノーヴェンバーからシーエアラへ…ってもうやめません、このコードネーム」
「何を今更、今私もそちらに着いたところだ。アルファワン、ツーも合流した」
「ターゲットはIのことを意識してますね。手を繋いだのが効いてます」
「うう…私ですらそこまでしたことないのに…悔しい」
「係t…シーエアラにもきっといつかそんな日が来ますって」

「キロよりロメオへ。まずいです、ターゲットがIに傾きそうです」
「何ですって!?今タンゴとパパと合流したわ!今すぐ向かうわ」
「わかりました…とりあえず妨害してみます」

イリオスに引っ張られながらいろいろと楽しむ私
混んでいる遊園地は前来た時とは別の楽しさがあった
けど…タキシードとドレスの組み合わせで遊園地は浮くわね…

「助けて!」
不意に近くから女の子の声が聞こえた。ドレスに構わず走りだす
追いかけるイリオスと共に声のした方角に向かうと女の子がモンスターに囲まれていた
すぐさま助けようとした私をイリオスが制止する
「よすんだオルエン。ミルラは強いし、すぐに助けも来る」
…イリオスがそんなことを言うなんて…やっぱり何か変だ
普段のイリオスならなんだかんだで私より先に飛び出すはずよ
「ミルラ!今助けるぞ!」
そんなことを言いながら槍を持ってエフラムさんが颯爽と現れた
するとモンスターが少し離れてエフラムさんを囲む
「む、それで俺を倒すつもりか。無駄d…」
  モ
  光
モ光エ光モ
  光
  モ
「助けて!エイリーク!」
光の結界に囲まれたエフラムさん…手槍ではなく銀の槍なのが運の尽きでしょうか…
「とにかく、あの子を助けます!離してください!」
「だからミルラなら大丈夫だって。お前に何かあったら困るからさ」
「そんなことを言うイリオスなんて嫌いよ!」
無理矢理イリオスの制止を振りほどきダイムサンダを手に走り出した
そしてダイムサンダを唱えようとした瞬間、女の子を囲んでいたモンスターに雷が落ちる
次々とモンスターが崩れていく中でゆっくりと現れたのは…
ついさっきまで私の後ろにいたはずのイリオスだった…

続く