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Last-modified: 2012-09-04 (火) 20:37:26

406 :お礼はキス? 2章 1/5:2010/09/13(月) 21:16:17 ID:2eJrj+S0

勢いで明日の予定の続きを書いてしまった…些細なことだよね?

ネサラ?助けにきt……えーと、誰?
リアーネが振り向いた空には相変わらず竜騎士しかいなかった
しかし誰かがゼフランの腕に攻撃したのは事実である
リアーネがキョロキョロと周囲を見回してみると地上に誰かがいた
光の魔導書を片手に持ち、悪趣味な服で身を包んだ太った男が…
「ほほ、可愛い私の小鳥を襲おうとはいけませんな」
…なんだろう…この人とは関わらない方がいい気がする
「美を冒涜せし野蛮なるものどもよ!この美の守護神オリヴァーが(以下略」
「………」
「………」
敵味方が全員言葉を失い沈黙しているとオリヴァーは再びリザイアを放つ
「さあ可愛い小鳥よ!今のうちに逃げるのだ!」
あ…そうだった…逃げなきゃ
「あ、ありがとうご…、ます」
「ほほ、可愛い小鳥からお礼を貰えたら力が沸いて来るのじゃ!」
リアーネが再び逃げ出した直後、ゼフランの隣にいた竜騎士が墜落していた
「くっ…奴は俺が止める!貴様はあれを捕まえろ!」
ゼフランが慌てて逃げ出したリアーネを部下に追いかけさせ、
自分は真下でリザイアを撃ちまくるメタボな男に襲い掛かるのだった

「ハァ…ハァ…」
「くっ、待て!」
怖い、あの人の心が怖い。助けて!ネサラ!お兄様!
必死に逃げたリアーネだったがやはり竜には勝てずついに追いつかれた
「ようやく追いついた…さあ、大人しくしやがれ」
「IYA!HANASITE!」
必死にじたばたするが屈強なベオクの男に勝てるはずもない
私はあっさりと組み敷かれ、竜の背中に乗せられてしまった
「はっ、こんなところで誰も助けになんて…」
「リアーネを離してもらおうか」
竜騎士の男がにやけていると聞き覚えのある声が聞こえた
「な、誰だ!?」
見上げると黒い服、黒い髪、黒い翼を持った男が竜の上を飛んでいた
「NESARA!」
「SUMANENA、OSOKUNATTA」
「な、何をぶつぶつと…死ね!」
竜騎士が持っていた槍を振り回す…がネサラはそれを軽く躱すと竜騎士を蹴り飛ばした
「え…うわぁぁぁぁぁぁぁ……」
バランスを崩した竜騎士は竜から落ち、地上へと真っ逆さまへダイブする
ネサラはリアーネの方を見て、「TYOTOMATTERO」と言い、地上へ降下するのだった

ちなみに落ちた男はネサラが落下直前に捕まえた
気絶した男はゼフランと一緒にオリヴァーがベルン署に渡したそうだ

407 :お礼はキス? 2章 2/5:2010/09/13(月) 21:17:09 ID:2eJrj+S0

ネサラがリアーネをキルヴァスの自宅に連れて来たのは日が沈みかけた頃だった
ニアルチがリアーネの姿を見て嬉し泣きしているのをネサラは呆れて見ていた
「リアーネお嬢様、今度からは私を連れて出かけてください」
「うん…わかった」
「とりあえずリュシオンに連絡してくるからニアルチはリアーネのことを頼む」
ネサラはそういってセリノスと連絡を取りに電話のある部屋に向かった

「おう、リュシオンか。今日リアーネ預かるから頼むわ」
「そうか…わかっt…ってなんでだよ!?」
「いや、さらわれそうにそうになってたのを助けたからだが」
「そうか…なら明日迎えに行こう。あと…」
「あと?」
「リアーネに手をだすなよ?変なことも教えるなよ!」
「するか!!」ガチャン!

思わず電話をおもいっきり切ってしまうネサラであった

その頃リアーネはニアルチに案内され、綺麗で澄んだ湖畔に来ていた
「しばらくしたらまた来ます。ごゆっくり」
ニアルチはそう告げて湖畔から見えないところへ去っていく
リアーネはお言葉に甘え、日が沈み、暗くなった湖で水浴びをしたのだった

その後、ニアルチが取ってきた木の実をリアーネは食べ、すぐに寝てしまう
「やれやれ…相変わらずリアーネはまだ子供だな」
思わず苦笑してしまうネサラ、ニアルチも頷きながら言う
「私から見たらまだまだぼっちゃまも子供ですよ」
「だからそのぼっちゃまはやめてくれ…いつになったらやめてくれるんだ?」
「そうですな…ぼっちゃまに子供ができたらですかね」
「はっ、それはまた遠い話だな」
「そうでしょうか?私には近い未来な気もしますぞ」
「…誰かいたか?」
「目の前にいますが?」
…つまりこの俺の目の前で寝顔を見せてる…
「リアーネか?馬鹿言え、俺は別にリアーネのことは…」
「ふむ、では今まで恋人を作らなかったのはお嬢様のことが好きだからではないと?」
「べ、べつにリアーネのことが気になるからじゃねえよ!」
「そうですか…それは残念ですね」
「と、とにかく今日はこれでおしまい!寝るぞ!」
「はい、わかりましたぼっちゃま」
ネサラは真っ赤な顔をしながら強引に話題を打ち切る
それが逆に怪しいとわからないうちはまだまだぼっちゃまですな、と思われながら…

408 :お礼はキス? 2章 3/5:2010/09/13(月) 21:18:03 ID:2eJrj+S0

翌朝、ネサラが目を覚ますと何故かリアーネが横で寝息をたてていた
「……何でリアーネが寝てるんだよ」
「おはようございますぼっちゃま!仲がよろしいようで」
「ニアルチ…お前の仕業か?」
「いえいえ、夜中に目を覚まして淋しそうなリアーネ様を横になど寝かしておりませんぞ」
「知ってるんじゃねえか!!」
つい叫んだネサラの声で目覚めるリアーネ
「ん…おはようネサラ」
「あ、ああおはよう。とりあえず飯にするか…」
のんきなリアーネの声で怒りがおさまったネサラはニアルチに朝食の準備を頼むのであった

朝食を食べているとリュシオンがリアーネを迎えに来た
「おう、おはようリュシオン」
「ああ、おはようネサラ」
「リアーネなら朝食を食べてるぜ。お前も食うか?」
「すまない、いただこう」

「ところでリアーネ。お前ネサラに変なことされなかったか?」
食べ終わるなりリュシオンはリアーネにそう尋ねる
「大丈夫だよ?一緒に寝てもらっただけだよ」
「そうか…ネサラ。ちょっとアイクと決闘してこないか?」
「だぁぁぁぁ!勘違いするな!その意味じゃねえよ!」
「なに、冗談だ。どうせリアーネが寂しくなって横で寝ただけだろ」
「お兄様!」
「はは、リアーネ、顔を真っ赤にすると怪しいぞ」
ネサラとリアーネは仲良く真っ赤な顔でいたのだった

朝食の後、2人の護衛でネサラはセリノスの森まで仲良く飛んでいた
リアーネはリュシオンに聞こえないようにネサラに耳打ちをする
「ネサラ…このあと私と一緒にセリノスで遊んでください」
「…ああ、いいぜ」
リアーネの遊びとはまだ子供と遊ぶことと変わらない
しかしリアーネに甘いネサラは断らず付き合うのである

セリノスの森についた2人はリュシオンと別れ森の中を仲良く飛んでいた
「この前も昨日も、ありがとう」
「なに、気にすんな。たまたま通り掛かっただけだから」
これは嘘である。この前の時もニアルチの代わりに探しに行ったのである
やはり白鷺の王族ともなると誘拐目的でさらわれやすいようだ
「だから今日はお礼にネサラの好きに遊んでほしいの!」
「お礼?」
また誰か…この分だとミカヤかエリンシア様辺りに吹き込まれたのか?
だいたい俺の好きにって言われてもリアーネにはついてこれないよな…
「ああ…まあとりあえずゆっくり森を散歩するか」
最近なかなかのんびりできなかったしたまにはいいか
そういうとリアーネは嬉しそうに頷くのだった

409 :お礼はキス? 2章 4/5:2010/09/13(月) 21:19:01 ID:2eJrj+S0

ネサラはのんびりセリノスの森を飛びながら考え事をしていた
ここも復興したなぁ…少し前は火災で焼け野原だったのに

まだリアーネが幼かった頃、謎(現在は原因は判明しているが)の火災で森は焼失した
鷺の民は散り散りに逃げ、ある者はベオクに捕まり、ある者は他のラグズに助けてもらった
リアーネは姉に森の深部で眠りにつかされ、少し前まで眠りについていたのだ
いまだに見た目よりも幼さを残しているのはそのためである
ちなみに森はアスタルテやらユンヌやらミラ等の神の力で復興した
現在は各地から戻ってきた民が住み、かつての生活を送っていた

鷺の民も来ない静かな深部でネサラはリアーネとのんびり昼寝をしていた
リアーネの寝顔を見て、ネサラはドキドキしていた
う…ニアルチとリュシオンのせいでリアーネのことを意識してしまう…
リアーネが動く度にドキドキしているネサラは昼寝できずに悶々としていたのだった…

夕方、リアーネを抱えながらネサラはリアーネの家へと飛んでいた
リアーネはまだ寝ており、起こすのを躊躇ったからである
するとリアーネは寝言を言いはじめた
「ネサラ…キスって知ってる…?」
「な!?っとあぶね!」
動揺してリアーネを落としそうになるネサラ
こいつ…なんつーことまで教えられてるんだ…?
ちなみにネサラも知識としては知っているが未経験だったりする
動揺のあまり揺れた衝撃でリアーネが目を覚ます
すると都合の悪いことにリアーネはネサラの心を読んでしまった
「え…あの…その…///」
「お前…なんでそういう時に読んじまうんだ…」
流れる気まずい空気…
「ネサラはキスしたことある?」
「ねえよ」
「どうして?」
「どうしてって…別にしたいと思ってねえからだ」
「じゃあ私とも?」
「………」
ネサラは心の中で頭を抱えながら困っていた
ミカヤかエリンシアさんめ…余計なことを教えやがって…
だいたいリアーネとキスは…まあしたくないわけではないが…けどなぁ…
「ま、まあしたくないわけじゃねえぞ…けど…」
「じゃあネサラは私のことが嫌いなの?」
「いや、好きか嫌いかって言われたら好きだけどさ…ムグッ!?」
抱き抱えられていたリアーネがネサラの唇を奪う
「お、おいリアーネ!?」
な、なんで俺キスされてんの!?リアーネの唇柔らかかった…じゃねえ!?
「でもミカヤさんとエリンシアさんが好きな人とキスすれば喜ぶって…」
余計なことを…いや、まあたしかに好きな人にされたら嬉しいけどさ…

410 :お礼はキス? 2章 5/5:2010/09/13(月) 21:19:59 ID:2eJrj+S0

「もしかして嫌だった…?」
ああくそ、そんな悲しそうな目で見てくるなよ…嫌じゃねえよ
「嫌じゃねえよ…ちょっとびっくりしただけさ」
「本当?」
心を読んでもらってもいいが…ちょっと意地悪しようかな
そう思った俺は嬉しそうなリアーネの唇を奪う
「どうだ?」
「…不思議な気持ち」
調子に乗った俺がもう一度キスしようとした時…
「やあ、ネサラ。楽しそうだな」
「げっ…リュシオン…」
「ちょっとアイクと決闘してきてくれ。なに、アイクなら喜ぶぞ」
やばい…今度は本気の目だ…ここは逃げるが勝ちだ!
「じゃ、じゃあ俺はそろそろ帰るわ。またなリアーネ!」
急いで化身して俺は森を全速力で離脱したのだった…

あぶねぇ…アイクと決闘なんてしたら死んでしまうぞ
そろそろ日も暮れそうだし急いで帰らねえと…
本当なら泊まっていく予定だったんだがな…まあいいか
そんなことを考えていると地上で森に向かう男達がいるのに気づいた

「ふふふ…夜に鷺の民を連れ去り売ればいい資金になるな」
「仮面の騎士がいるルネスを襲うよりも楽でしたな」
「ハッハッハ、違いない」

そんな会話を聞いたネサラはキルヴァスに向かうのをやめ、降下を始めたのだった

続く

あれ…最後にキスするはずが…おかしいな…
あとカッコイイネサラが書けなかった不思議
古代語と書き分けるのがめんどくさくなって途中からやめたのは内緒