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Last-modified: 2012-09-07 (金) 19:57:49

446 :お礼はキス? 終章 1/3:2010/09/16(木) 20:16:28 ID:iP0S79/d

10分が過ぎただろうか…暴行によりネサラの身体は青痣や腫れで酷くなっていた
「はっ、イケメンもこうなれば台なしだな」
「ちげえねえ」
笑いながらなおも蹴りつづけるレイドリックとブラムセル
「やめて!いじめないで!」
「いじめ?これは制裁だよお嬢ちゃん」
やめるように懇願するリアーネとにやけながら見つめるゲブ

くそ…そろそろ意識がやべえな…さっきから感覚がねえ…
ネサラは体中ボロボロで徐々に意識が朦朧としはじめていた

「そろそろいいか…おい、言い残すことはあるか?」
「約束だ……リアーネを……離せ……」
「はっ、そんなことは知らんな」
「…ふざけん…がはっ!?」
約束を無視しようとしたレイドリックに殴り掛かろうとしたネサラ
しかしレイドリックはロプトの剣で殴られる前にネサラを刺す
「急所は外した。次は首をはねるがな。ゲブ、変われ」
レイドリックは剣を鞘に戻しゲブと立場を入れ換えた
ゲブが背負っていた斧を構え、ブラムセルがネサラを横に押さえ付ける
「くそっ……リアーネ……すまねえ……」
「さあ、お別れだ。じゃあな……やれ!」

「IYA!NESARA!NESARA!YAMETE!」
リアーネが泣き叫ぶ…しかし無情にもゲブは斧を振りかぶり、そして斧ごと後ろへ倒れた
直後、謎の火球が出現し、辺りを明るく照らす

「やれやれ…相変わらず苦労してるの」
「だ、誰だ!?」
「お前達に名乗る名はない!」
闇の中から聞き覚えのある声が聞こえた…その声は…
「ふむ、だいぶやばそうじゃの。アイク!」
「ああ…ミスト頼むぞ」
闇から青い髪で逞しい体つきの男が剣を持って現れる
男は呆然としながら俺を押さえ付けていたブラムセルを斬り捨てる
その後ろから杖を構えた栗色の髪の女の子が現れ俺に杖を向ける
そして少しずつボロボロになっていた身体が癒されていくのがわかる
「アイク!?どうしてここに?」
「サナキからセリノスの森が危ないから助けてくれと頼まれてな」
「そうか…すまねえ助かった。奴を倒したのは?」
「ヨファかシノンだろう。セネリオ達は森に潜入した奴らを退治している」
「やはり潜入されていたか…さすがだな。気づかなかったぜ」
「いや…俺もそこまで気づかん。気づいたのはサナキだ」
「感謝するのじゃ。まあわたしも他人から聞いたのじゃが…」
「他人?誰からだ?」
「知らぬ。セフェランから聞いたからの。スターロードとか名乗ったらしいがの」
「…誰だ?」
いや…それたぶんあんたの弟…と言いたくなったネサラだった

447 :お礼はキス? 終章 2/3:2010/09/16(木) 20:18:37 ID:iP0S79/d

「そんなことよりもリアーネは!?」
慌ててリアーネの方を見るとレイドリックが叫ぶ
「き、貴様ら…動くな!動いたらこの娘を斬るぞ!」
リアーネはレイドリックに捕まり、首に剣を突き付けられていた
「くっ…卑怯な」
「卑怯だぞ…てめえ」
「なんと卑劣な…」
「う、うるさい!なんとでも言え!ほ、ほら!武器を捨てろ!」
「むぅ…仕方あるまい…」
「その必要はない!」
「な!?その声は!?」
レイドリックの頭上から何者かが現れ、レイドリックの手を弾く
そのままリアーネを掻っ攫いレイドリックから離れる
「おのれ…ルネスじゃないのに何故現れた…仮面の騎士!!」
「助けを求めるレディがいる限り私はどこにでも現れるさ」

そんな仮面の騎士の立つ後方200m程の茂みにラーチェルとターナはいた
「さすがねエイリーク…僅かな隙に剣を弾いて掻っ攫うなんて」
「全てはわたくしの作戦のおかげですわ」
「立案したのはラーチェルじゃないじゃない…」
「ま、まああのスターロードとかいう人のおかげですわね」

「ARE…ANATA…」
「RIA-NESAN、SOREHAHIMITUDEONEGAISIMASU」
「WAKARIMASITA」
ネサラ達には聞こえない大きさでひそひそ話す2人

「さて…そろそろ年貢の納め時だな…アイク、手を出すなよ」
「ま、まだだ…まだロプトの剣さえあれば…」
レイドリックは鞘から剣を抜く…が、その剣は…
「って壊れた剣!?いつの間に!?」
「ブラギの剣で倒そうかと思ってたけどこっそり変えてみたんだ」
レイドリックの背後に茶色の髪で地味な少年がロプトの剣を持っていた
「リーフか?どうしてここに?」
「マルs…通りすがりのスターロードって人に頼まれてね」
「スターロード…何者なんだ?」

「さて、覚悟はできたか?」
「…ひ…ひぃぃぃぃ!?」
「くらえ!滑翔!」

その夜、セリノスの森に誘拐を企んだ男の断末魔が響いたのだった

「それでは私はこれで失礼する、さらばだ」
仮面の騎士がリアーネをネサラに送り、リワープで去る
「仮面の騎士…何者なんだ?」
「さて、私たちも帰りましょうか。サナキさんのおごりで夕飯食べましょう」
「むぅ…約束だし仕方あるまい…」
「…たくさん…食べます」
「イレースさん?他のみんなは?」
「何故かアイクさんとミストちゃんとサナキさんで食べておいでって…」
「体調でも悪かったのか?」
それはたぶん気を利かせたからだ…と言えないネサラ
「じゃあ私たちはこれで失礼するかの。鴉王も気をつけてな」
そういってサナキは3人と共に町へと去っていったのだった

448 :お礼はキス? 終章 3/3:2010/09/16(木) 20:20:42 ID:iP0S79/d

騒がしかった一帯に残されたのはリアーネとネサラだけだった
何とも気まずい空気の流れる中でネサラはリアーネに声をかける
「お、おう…無事でよかったな」
しかしリアーネは聞かなかったかのような態度で知らんぷりする
「リアーネ?聞こえてるだろ?」
「SIRANAI!WTASINOTAMENISINOUTOSITANESARANANTE!」
「…あーそりゃすまなかったな。けど助かったんだしいいだろ?」
「よく…ない」
「…じゃあどうしろってんだよ?」
「や…そく…して」
「約束?何を?」
「NESARAGAMUTYASINAITTE」
「ああ…約束する」
「ATO…WATASITO…」
お、おい…顔を赤らめて言うようなことをか…ま、まだそんなつもりは…

ネサラが動揺し、リアーネが意を決して言おうとしたその時、茂みから何かが倒れる音がした
びっくりしたネサラが茂み見るとカメラを持ったイリオス、
ニヤニヤしていたセーラ、ドロシー、マルス、リーフがいた
どうやらリーフが倒れ、ドミノのようにイリオス以外の奴らが倒されたようだ
「さて…どうしているか聞こうか…」
「いやーその…偶然にね」
「そ、そうですよ。たまたまここにですね…」
「別にマルスからいいスクープがあるって言われたから来たわけじゃねえぞ」
「「「「オルソンの馬鹿!!」」」」
「よし、わかった。覚悟はいいな」
「やっぱりこうなるんじゃないかー!ヒトデナシー!」
「ああ、リーフがあっさり…早く逃げ…あの…どうしてまだ動けるんですか?」
「ん、ああリアーネのおかげだぜ」
「あぁぁぁぁ!!」

その後、FETVクルー+αの叫びもセリノスの森に響いたのだった…

「で、約束は何だ?」
「ETO…」
「リアーネ!無事か!?」
リアーネが言おうとすると今度は騒ぎを聞き付けたリュシオンが今更ながらやってくる
「やべ、リュシオンだ!すまない、リアーネ。また今度な!」
「A…MATTE!」
「…悪いな。これは今日のお詫びだ!」
リュシオンを見たネサラは慌てて夜の空を飛んで逃げようとし、
最後にリアーネにキスをして飛び去ったのであった

ネサラ……お兄様の馬鹿……
残されたリアーネは心の中でそうつぶやくのであった

ところで…鳥翼族は総じて鳥目のため夜に飛ぶのは困難である
慌てて飛んだネサラであったが何も見えないネサラはあるモノにぶつかった
そしてあっさりと墜落したネサラは川に落ちた
ぶつかられた方は気づかず飛んでいき、ネサラは川からはい上がる
その後…朝までかかって歩いて帰ってきたネサラが風邪を引き、
リアーネに看病されながらリュシオンに嫌みを言われるのはまた今度である

終わり