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Last-modified: 2012-09-10 (月) 19:51:26

242 :幼女の旗の下に:2010/10/03(日) 15:43:50 ID:bs5rrz18

254

3 神に祈る      神様助けて欲しいんよ!

冷たく光る刃が死を身近に感じさせる。
ギース 「1」
抑揚の無い声が響く。死へのカウントダウンだ。
サザ  「…っ…なんよっ」
サザも人間だ。裕福な暮らしをしたいとも思う。
だが…他人を犠牲にしてまで伸し上がりたいとは思わなかった。
サザ  (どうするんよっどうするんよっ!?)
ギース 「2」
少しでも抵抗のそぶりをみせれば即座に首を跳ねられるだろう。
だがギースの手下になるという選択をすることもできない。
進退窮まった…さりとてもちろん命も惜しい…なすすべが無くなった人間が最後にたよりにするのは超越者…神のみだった…
サザ  (神様仏様……俺はまだ死にたくないんよ!
     どうか助けてほしいんよ!
     産まれてからずっとロクでもない目にばかりあってきた俺の願いを一つくらいかなえてくれてもいいと思うんよ!)
ギース 「3」
冷たく重い声が響く…その時であった…
サザの頭の中にどこか場違いな能天気極まりない声が響いてきたのは…

ユンヌ 「あんた祈りのスキルもってないじゃん…神に祈ってもなんの効果もないってば」
サザ  「そこをなんとかしてほしいんよ!?神は信じる者の味方のはずなんよ!」
ユンヌ 「神様信じてるだけでなんとかなるならだ~れも苦労はしないってば。
     でもま~せっかくこうして出番があったんだもんねっユンヌちゃんのターンキタコレw」
サザ  「あ…あぁ…何をするんよっ!?」
ユンヌ 「ミカヤみたいに憑きやすくないけど…ちょっと体借りるわよ。な~に悪いようにはしないって。んふふ♪」
ギース 「4…なにブツブツ言ってやがるんだ?」
どうやらユンヌとのやり取りが小さく声に出ていたようだ。
ギースは怪訝そうに眉を顰めた。
死の恐怖でおかしくなったのだろうか?

サザ(ユ)「カオスの力でテレポート!」
サザの体をのっとったユンヌはその神通力をもってその場から姿を消した。
ギース  「げっ!?れ…レスキューか? くそっ仲間が近くにいやがるな…」
そう誤解しても無理はないが…一人残されたギースは再び地下水路を駆け出した。
早く逃げ延びなければならない…

243 :幼女の旗の下に:2010/10/03(日) 15:44:35 ID:bs5rrz18

255

サザ(ユンヌ入り)がワープアウトしたのは数メートル上の地上、トラキアの街中だった。
サザ(ユ)「やっぱミカヤみたいに扱いやすい体じゃーないわね。もう神通力が切れちゃった」
サザ   (ありがとうなんよ…おかげで命が助かったんよ)
サザ(ユ)「あ~いいっていいって。これから恩は返してもらうから。私やってみたかったことがあんのよ」
サザ   (なんなんよ?俺でできることならなんでもするんよ)

周囲の人たちは怪訝そうにサザを見ている。
体のコントロールを奪ったユンヌのサザへの言葉は全て口から出ている。
女言葉で独り言をつぶやいていればそりゃ気味が悪い。

サザ(ユ)「それは…これよ!YATTA!」
サザ(ユ)は言うが早いかなんと服を脱ぎ捨てた!
サザ   (ちょ…な…何をするんよーーーーーーーっ!?)
サザ(ユ)「いやー葉っぱの日のあの混沌がさ。私大好きなんだけどミカヤの体で参加すると後でお仕置きが怖いじゃん?
      でも一度やってみたかったのよね~」
サザ   (無茶するんじゃないんよ!?自分の体でやればいいんよ!)
サザ(ユ)「そこはほら私も女だしさ~。ま、アイクになら見られたいけど。ほんじゃいくわよ!
      イェアーーーーーーッ!カオスの魂が漲ってきたーーーーーーッ!YATTA!YATTA!」
サザ   (ちょ…まだ葉っぱ張ってないんよ!?せめて葉っぱを…)
踊り狂うユンヌにサザの言葉は届かない…
通行人A 「うわっ変態!?」
通行人B 「しっ目を合わせるな!」
たちまち周囲の人々が騒ぎ出す…
サザ   (イヤーーーーッ服を着るんよ~~っ!?)
だが…脱ぎ捨てた服は財布とアイテムごと誰かに持ち去られていた。
ここはトラキアなのだ。置き引きなんて日常茶飯事、不注意にその辺に物を置いておけばすぐに盗られる。
サザ(ユ)「ヒャッハア~~~!肌に刺さる視線と風がきもちいい~!!!YATTA!YATTA!」
思うがままにユンヌは全裸で走り自然や風と一体になる心地よさに身を委ねる。
なんだかヌーディストの気持ちがちょっとだけわかってしまった。
だが…ここは街中なのだ……その姿は最近の治安悪化のために周囲に配置されていた警官たちの目に留まった…
ツァイス 「何をしてるきさまーーーーっ公然わいせつ罪の現行犯で逮捕する!」
サザ(ユ)「ちょっと!?まだ5分しか踊ってないのよ!もう少しくらい好きにさせてよ!」
ツァイス 「いやかましいこの変態!話は署で聞く!おとなしくしろ!」
数人がかりでたちまち取り押さえられて手錠をかけられる…
サザ(ユ)「ふーんだばーかばーかわからずやーけちんぼーつまんねーの帰る~」
たちまちユンヌの意識体が抜けていく…ようやく体のコントロールを取り戻したサザは必死に訴えるが…
聞いてもらえるわけもなく連行されていった…

サザ   「神なんかに祈った俺が大馬鹿だったんよ。もう一生神なんか信じないんよ(´;ω;`)」

酷い目にあった…だが命は助かったのだ…
死ぬよりマシだ。そう考えなければやってられないサザであった…

244 :幼女の旗の下に:2010/10/03(日) 15:45:42 ID:bs5rrz18

256

ジャファル「誰か…来る…」
地下水路で待つこと45分…ジャファルの耳が音を捉えた…
エフラム 「ギース配下の逃亡者か?」
ダミアン 「待ちたまえ。すぐに現れるその相手を」
逃走防止のためずっと待ち伏せしていたエフラムたち5人は武器を握る手に力を込める。

ほどなくして姿を現したのは剣を持った男…ギースだった…
ギース  「ぐっ!?待ち伏せか!」
エフラム 「観念するんだな。もう逃げ場はないぞ」
ギース  「ぐっくぅぅ…うがああっ!!!」
浅手とはいえサザとの闘いで手傷を負ってる上に敵は5人…もはやなすすべはないが…
それでも盗賊の王は往生際が悪かった。
剣を振り回して強引に突破を図る。
だが…素早く踏み出したロイドがリガルブレイドを持ってギースの剣を受け止める。
金属音が鳴り響き、剣と剣が火花を散らす…

その間に背後に回ったライナスが足をかけた。
もんどりうって倒れたギースの喉元にはジャファルの刃が突きつけられる。
四牙の男達の呼吸を合わせた連携であった。
もののふとして一騎討ちを好むエフラムにとってはあまり好ましい戦法ではないがその有効性はさすがという他ない。
エフラム 「さすがだなお前達」
ライナス 「へへ」
ロイド  「よし、そんじゃ緑葉に連絡を入れたらコイツをサツに引き渡そうぜ」
ギース  「くそ…畜生!糞ったれが!てめぇらが俺をとっつかまえてなんの得があるってんだ!」
エフラム 「損得ではない。これは貴様の悪行の報いだ」
ギース  「俺たちが伸し上がるのに他になんの方法があるってんだ!
      明日食う飯もねぇゴミ溜めみてぇな裏街の浮浪児が生き延びて世の中渡ってくのに…」
エフラム 「この町は俺が変える。盗みだのに手を染めずともよいようにな。
      だが貴様と語り合うことはなにもない。麻薬取引、海賊、誘拐…貴様は罪を重ねすぎた。
 もう恨み言を言える立場ではないと知れ」

ギースの悪行はロイドたちから聞いていた。
これで一つ悪の芽はついえた…

その時である…もう一人の人物が水路の先から姿を現したのは。
リーフ  「サザ…サザ!?…あ…兄さん…」
サザを追ってきたリーフである。
エフラム 「お前…リーフ!?どうしてお前がこんなところにいるんだ?」
リーフ  (まずったな…サザの事に気を取られて兄さんたちを配置したことを忘れてた…
      僕が義賊活動してることは家族には秘密なのに…)

続く

1 この際だしバラそう しばらく協力する約束をしたしね…仕方ないか
2 誤魔化す      運悪くマンホールに落ちて水路に迷いこんだんだ
3 逃げる       さらば!
4 他人の振りをする  リーフ?誰それ?他人の空似じゃありませんか?