33-18

Last-modified: 2011-06-06 (月) 21:27:33

18 名前: Snow White [sage] 投稿日: 2011/01/03(月) 16:05:35 ID:Mkv/LqBQ

さて今日は正月だったりする。
1月3日?
細かい事は気にするな。当日投下できなかったんだよ。
いいじゃねぇかクリスマスネタが五月にきたりバレンタインネタが11月に来たりしてもいいじゃねぇか。
心は広くもとうぜ。

そんなわけで正月なわけだ。
世間の奴らはのんびりおせち食べたり新年の挨拶って感じで親戚一同集まったり、
あるいは初詣なんかしてたりするだろう。
俺?仕事だよ文句あるかボケ。
正月休み?何それ美味しいの?
くそ…365日稼動してる業種の辛さがてめえらにわかってたまるかこん畜生!
正月なんだからTVの放送も休みでいいじゃねーかよ。
それが無理ならスタッフ増やして交代で休むとかできるだろヘボ社長!!!
ケチ!人件費もっと使え!
いつか俺が貴族になったらFETVの株買い占めて株主総会で社長をクビにしてやるからな!!!

そんなわけで俺たちはニュースの素材作りに神社の初詣の光景を取材しにきた。
まだ夜もあけねえってのに結構な人手が来てるな。
家族連れ…友達連れ…恋人同士…どいつもこいつも幸せそうなツラしてやがるぜ。
こっちゃ仕事で来てるってのによ。浮かれやがって。
セーラ 「ほらちゃっちゃと歩きなさいよ!」
イリオス「うーるせぇ!俺一人に機材運びさせんなよ!手伝え!」
セーラ 「はぁ?何ほざいちゃってんの。こういうのは男の仕事でしょうが!」
ドロシー「まぁまぁセーラさん。そもそもスタッフ5人ってのがおかしいんですから」
イリオス「社長とエロガキはどこいった!手伝えこんちくしょう!」
業務用の機材やカメラがどんだけ重いと思ってやがんだ!
セーラ 「社長は新年の宝くじを買いに行ったわ。ユアンは振袖のお姉さん達を盗撮してるわよ」
ドロシー「さらっと盗撮とか言わないでくださいよ。事実とはいえ」
イリオス「アイツら……」

毎度の事だからもう腹も立たねぇ…
俺は溜息を付くと重てぇ機材を抱えて神社のクソ長い石段を登る。
一歩一歩慎重にな。雪が降ってるから足元滑りやすくなってやがるから気をつけねぇとな。
随分前になるが崖から落ちたときにカメラを壊して給料から天引きされたことがあるからな。
あの時の二の舞はごめんだぜ。
19 名前: Snow White [sage] 投稿日: 2011/01/03(月) 16:06:41 ID:Mkv/LqBQ

セーラ 「何もたもたしてんのよ。早く上がってきて準備しなさいよ!」
イリオス「やかましいわ!こっちはてめえと違って何十キロもの重たい荷物抱えてるんだよ!」
さっさと先に上っちまったセーラとドロシーが上で待ってやがる。
ちっとくらい手伝おうって気持ちはねぇのか。
ちくしょー…肩や足腰にくるぞこれは…
俺はアーマーナイトじゃねぇんだ。魔法兵なんだよ。
こんな重装で走り回るようには出来てねぇってのに…

????「あら、セーラさんドロシーさん。明けましておめでとうございます。お二人で初詣ですか?」
ドロシー「あ、昨年は色々とお世話になりました。今年もよろしくお願いします」
セーラ 「こっちゃ仕事よ仕事。正月くらい休ませてほしいもんよ。ま、紋章町1億のセーラファンがお茶の間のTVの前で私を待ってるから仕方ないんだけどね~」
????「ふふっ新年の特番も楽しみにしてますね。お仕事ということはイリオスもご一緒ですか?
     お正月は丸一日お仕事だって聞いていたから初詣には誘えなかったんですけど…」
セーラ 「今くるわよ。…ほーらさっさと登って来なさいよこのノロマ!グズ!仕事片付かないでしょ!」

あぁ…なんだぁ?
なんか上の方で話してんなー
人ごみのざわめきでよく聞こえねぇ。
セーラかドロシーが知り合いにでも合ったのか?
つかあのど腐れシスター聞き捨てならねぇ事をほざきやがった。
アイツの声はバカでかいからよく聞こえるぞ。
イリオス「いやかましい!そう思うならちょっとこっち来てなんか持てよ!」
聞こえたかどうかはわからねぇがなんか言い返してやらんと気がすまん。

それから10分ほどかけてようやく石段の最上段まで辿り着いた…
こ…腰がどうにかなっちまいそうだ…なんぼ若くても大荷物抱えて無茶したらギックリ腰になっちまうぞ…
セーラ 「やっと来やがったわね。ほんじゃモタモタしないで機材の準備なさい」
イリオス「てめぇが仕切るなや!ちょっとくらい休ませろよ!」
セーラ 「こんな寒くて雪降ってるとこにいつまでもいたくないのよ!」
????「新年明けましておめでとうイリオス。今年もよろしくお願いします」
イリオス「へ?」

横から声をかけられて振り向いた俺の視界に入ったのは…
綺麗な仕草で丁寧なお辞儀をするお嬢様の姿だった。
20 名前: Snow White [sage] 投稿日: 2011/01/03(月) 16:07:46 ID:Mkv/LqBQ

イリオス「お…おう…ヨロシク…」
顔を上げたオルエンに俺はそれしか言えなかった。
いや…なんつーの?
なにやらコイツムッチャ値の張りそうな振袖着てるんですわ。
柄とか色とかの前に値段が気になっちまう貧乏人根性が嫌になる…orz
ああ、いやいや…それは置いてもよ。
赤を貴重として色とりどりの華をあしらった振袖…いつもの青ベースの服装とはまたイメージが違ってて…髪には櫛とか髪飾り付けてて…
うん…まぁ…なんだ……い、言わすな///
童貞野郎に気の効いたセリフを期待するんじゃねぇ!!!!!////
そ…それによー…コイツけっこう…胸あるのな…いや、トラキアのイラストの時から思ってたけど…
こうして普段見ない格好をしてるとよ…////
いや待て!こんな事を言ってると冷たい目で見られるかも知れん。
特にこのネタを読んでる女性の方は「何この変態?次のトラキアプレイ時には仲間に入れるのやめよ」とか思うかもしれん!
だが俺も健康な成人男子なんだ。心の中で思うくらい大目に見てくれ。

セーラ 「なーにオルエンの胸ばっかジロジロ見てるのよやらし~へんたーい!」
イリオス「み…見てねぇよ!!!適当な事ほざくな/////」
嘘ですすみません。思いっきりガン見してました。
フレッド「ゴホン!」
咳払いしたのはオルエンの執事のフレッドの野郎だ。
あの野郎さっきからずっとお嬢様の側に無言で控えていたんだな。
なんも言わねえから気付かなかったぞ。
それにしても無茶苦茶こっち睨んでやがる。
この野郎今年一年も俺にキツク当たるんだろうな…
オルエン「えっと…あの…?」
お嬢様はお嬢様で話についていけなくなったのかキョトンとしてる。
だが何か閃いたのか頭の上にピコーンなんて感じで電球を飛ばしてとんでもないことを口走りやがった。
オルエン「あの…もしかしてそれってイリオスの好きな…エ、エロゲの話?…/////」
イリオス「待てい!どうしてそうなるっ!?」
オルエン「だ…だって胸って…/////」
ちょ…こ…コイツ空気読めない上に時々周囲を憚らずとんでもない事を口走るからな…
それもよく通る声で…たちまち周囲の人ごみは俺の方に視線を向けてくる…嗚呼…これなんて罰ゲーム?
フレッド「お嬢様ぁああああああ!?そのようなはしたない言葉を口になさってはいけません!!!
     そのようなものは下劣で厭らしい平民がやるものですぞ!」
オルエン「え…でも…イリオスのご趣味なら…きょ…共有したいし…///
     イリオスだって私のゴルフとか乗馬に付き合ってくれるもの」
イリオス「まてまてまてーい!!!世の中には知らなくていい世界があるんだっ!?」
何を言い出すんだコイツは!?
俺のせいでオルエンをエロゲゲーマーにしちまったら…
いや、そもそもお前みたいな純粋培養お嬢様がこのスレで詳しく語るのは憚られる世界の存在を知っちまったら危険すぎるっ!
イリオス「ゲームならPS3とかニンテンドーDSとかで面白いのがいくらでもある!
     な、今度そっちで一緒に遊ぼう!レトロゲームも楽しいぜ!
     そうだ、それがいい!」
俺は思い切りがぶりよってオルエンの肩を掴んで訴えた。
オルエン「そ…そうなのイリオス?DSとかの方が好きなの?」
イリオス「HAHAHAHAHAHAHA!!!そうともその通り!!!」
オルエン「そう、それなら今度一緒に遊びましょうね♪」
よし…強引だが押し切った…
ちなみに俺の背中には雷の剣の刃先が当たっている。
フレッドの野郎…これ以上お嬢様に悪影響を与えたら許さんぞ…とか思ってるんだろうな…
いや…俺もエロゲ趣味は隠しておきたかったんだ…orz
21 名前: Snow White [sage] 投稿日: 2011/01/03(月) 16:08:53 ID:Mkv/LqBQ

ふう…どうにかオルエンをアレな世界に引っ張りこんじまうのは避けられた。
額の汗を拭う俺をオルエンは上目遣いに見上げている。
頬を染めて…どこか困ったような顔をして…か…可愛いじゃねーか…////
オルエン「あ…あのねイリオス…///」
イリオス「な…なんだ?」
オルエン「手…手を…離してほしいの…」
へ?
ああ、そういや熱くコンシューマーのよさを訴えた時に肩を掴んでたな。
イリオス「ああ悪い悪い……っ!?」
そう…俺の手は…オルエンの肩を少し強すぎるくらいに掴んじまってて…
振袖が引っ張られてて…ちょっと着崩れしちまってて…白いうなじや豊かな胸元が覗いて…
イリオス「うわあっ!?すまねぇ!!!////////」
慌てて手を離す俺……や、やべえ…鼻血でそうだ…
フレッド「平民きさまあああああああああ!!!!!!」
セーラ 「ちょ…ちょっとぉ!どさくさに紛れて何してんのよアンタ!?」
ドロシー「イリオスさん!いつからあのエロ神父の仲間になったんですか!」
イリオス「ち…違う!不可抗力っつーか…ホントすまん!!!」
オルエン「……///////」
袖を挙げてそっと身を隠す姿がまた綺麗っつーか…その…なんだ…
うぎゃあああああ俺は何をほざいてる!?
テンパッた俺は慌てて後ずさって…そう…後はわかるな?
俺の背後にはさっきまで登ってた長い長ーい石段がある。
しかも俺は大荷物を背負ってる…
イリオス「うぎゃああああああああああああああ…………」
石段から足を踏み外した俺は数十キロの機材とともに転げ落ちていった…

………結論を言おう…無茶苦茶痛かったがそれ以上に痛かったのは…
機材もカメラもしっちゃかめっちゃかになっちまったよチクショー…
勿論全部給料天引き。向こう四ヶ月分の給料が消えた…orz
俺に干からびて死ねと言うのか……
オルエンには悪いことしちまったがその罪の報いとしては少々過剰じゃありませんか神様?

嗚呼…貴族への道は遠いぜ…
俺はいつ貧乏から脱出できるんだ…

終わり