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Last-modified: 2011-05-30 (月) 21:21:34

306 名前: 似た者同士 [sage] 投稿日: 2011/05/25(水) 01:10:21.68 ID:iSmA4BnH
サラ   「……」
エリウッド「……やあ。何をしているんだい?」
サラ   「……ずっと寝ていて退屈じゃない?」
エリウッド「ははは……まあ慣れているからね。あまり近づかない方がいいよ。風邪が感染るかもしれない」
サラ   「大丈夫よ。魔法で予防しているから」
エリウッド「……嘘だか本当か分からないな」
サラ   「……大変ね」
エリウッド「ん……まあ、僕の場合は看病してくれる人もたくさんいるし。そうでもないよ」
サラ   「そう」
エリウッド「エフラムやリーフのところに行かないのかい?」
サラ   「リーフはミランダに引っ張られて買い物に付き合わされてる。
      エフラム兄様は修行中だから邪魔したくない」
エリウッド「そうか」
サラ   「うん」
エリウッド「……他人との距離を測るのは、難しいかい」
サラ   「……少し。分かるの?」
エリウッド「何となくね。僕と君は似ているところがあるような気がする」
サラ   「……わたしも小さい頃、あまり外に出してもらえなかったから。別に、体が弱かったわけじゃないけれど。
      でも、いい子にしていれば気まぐれに出してもらえることもあって」
エリウッド「それでいつの間にか人の顔色を窺うように、かい」
サラ   「うん。……今はリワープで勝手に抜け出せるようになったけれど、その辺は昔と同じ。
      本当はね、いつもドキドキしてるの。今度こそ本気で怒らせちゃって、もう構ってもらえなくなるんじゃないかって」
エリウッド「だけど、悪戯でもして反応を確認しないと不安になるんだね。忘れられていないかと」
サラ   「……あなたはそんな風にならない?」
エリウッド「なるよ。でも僕はこの通りだから、申し訳なさの方が先に立ってね。
      昔は皆に迷惑かけまいと我慢しすぎて、逆に怒られたりもしたよ。
      兄弟みんなが気にかけてくれるから、逆に隠すのが大変だった」
サラ   「……少し羨ましいかも」
エリウッド「君にだって、今はリーフやエフラムがいるじゃないか」
サラ   「……」
エリウッド「二人とも、迷惑がったりはしていないよ。
      リーフはあの通りだし、エフラムも少し困ってはいるみたいだけど、君を嫌ったりはしてない」
サラ   「……本当に? 嘘吐いてない?」
エリウッド「本当だよ。それに、二人だけじゃない。
      エリンシア姉さんやミカヤ姉さん、他のみんなもね……それぞれ、気にかけてるみたいだ。
      もっと遠慮なく甘えていいんだよ、君も」
サラ   「……あのね」
エリウッド「うん?」
サラ   「……最近、前よりも安心できるようになった気がするの。
      リーフやエフラム兄様のそば……この家にいると」
エリウッド「そうか。それは何よりだ」
サラ   「うん……。風邪なのに喋らせちゃってごめんね」
エリウッド「いや、いいよ。僕も少し元気が出たみたいだ」
サラ   「ええと……お大事に。……なんだか、言い慣れない感じ」
エリウッド「ありがとう。また気が向いたら話においで。今度は僕が元気なときの方がいいけど」
サラ   「うん。……お休みなさい」
エリウッド「ああ。お休み」

ミカヤ  「……あの子もあの子で寂しがり屋さんみたいね」
エリウッド「あれ、姉さん。いつから……」
ミカヤ  「あの子がこっそりこの部屋にリワープしたときから。
      風邪引きさんに近づかせちゃいけないから、本当はすぐにつまみだすつもりだったんだけど……」
エリウッド「……大事にしてあげたいね、あの子のことも」
ミカヤ  「そうね……なんかもう妹が一人増えたような感じだもの」
エリウッド「エフラムやリーフ次第では、本当にそうなるかもしれないけど」
ミカヤ  「まあ……うん、もう何年か後ならまあいいかな……」
エリウッド(……段々と外堀が埋まって来ているような気がする。エフラムも大変だな……)