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Last-modified: 2012-08-23 (木) 19:34:36

122 :兄弟家SRPG26:2011/08/19(金) 15:45:41.02 ID:UaK9yCfW

前回までのあらすじ
「バーチャル空間でリアルFEの試験運転を続ける兄弟家の面々。チュートリアルマップ・おいでよしっこくの森とエクストラマップ・兄弟家VS竜王家をクリアし、今最終マップである兄弟家VSグレイル工務店が始まろうとしているのでした。
ちなみに前回はマルスさんのセネリオさんに対する酷い有様と言うだけのキャラではなかったのか、という疑問の投げかけで終わっています。
それでは、続きをどうぞ。」

セネリオ「何か酷い言われようだった気が……」
アイク「ん?どうした?」
セネリオ「いえ、なんでも。それよりアイク。隙を見て動こうとしないように」
アイク「うぐ。しかし動かないと体がなま……」
セネリオ「肉 抜 き」
アイク「わかった。将としておとなしくここにいるから、俺の弁当から肉を抜くなどという非情な手段を取ることだけは止めてくれ」
セネリオ「わかればいいんです。わかれば。……騎馬隊、用意は出来ましたか?」
ミスト「相変わらず容赦ないよねセネリオは……うん、大丈夫ばっちり。セネリオはお兄ちゃんの見張り、よろしくね。」
オスカー「私も大丈夫だよ。まあ、多少申し訳ない気もするけどね」
ティアマト「あら。向こうの戦略は多分こんなものではすまないわよ」
セネリオ「主人公家の方々は騎兵・アーマー特効の武器を多く所持していますからね。まずは青髪系ロードを徹底的に叩きます」

レイピア、ヴォルフバイル、マーニ・カティ、レギンレイヴ、セイニー……リガルソードの使い手がこちら側なだけ有り難いが、それら専用装備はそれなりに凶悪な性能を誇っている。どうあろうと手痛い一撃を喰らうのは確実だ。

セネリオ「引き付けて、誘導する。まずは基本戦略でいきましょう」
アイク「敵陣に突っ込んでいけないなんて……退屈だ……」

マルス「一応数では勝っているんですが、そんなことが問題にならないほどあちらさんは個々の能力が高いですからね。全員が遠近に対応してるっぽいですから、アドバンテージが取れるのはアルムぐらいですよ」
ミカヤ「というか、あの装備詐欺じゃない……?全員SS武器か神将器じゃない。まあレクスオーラは私持ちだけど」
シグルド「それを言うなら軒並み神器装備の私たちも詐欺集団だろう、ミカヤ姉さん」
リーフ「ぐふっ!所詮僕は聖遺物に選ばれなかった可哀相な(ry」
エフラム「またお前はそんなことを言ってるのか……選ばれる選ばれないが問題なんじゃない。戦えるか戦えないか、それだけが問題だ。リーフ、お前は強い。胸を張れ」
ロイ「まあ実際、リーフ兄さんはマリナスすら超越した最強の壁だからね……」
マルス「ともかく、彼らを攻略するには基本に立ち返るしかない。三竦みで有利な相手にぶつかって、そして確実に各個撃破していくんだ。絶対に単独行動しないこと。あっちも単独では動かないはずだから」
セリス「うん。そしたら、僕とシグルド兄さんとリーフでまず組んで」
アルム「僕はセリカと組むよ」
エリウッド「だったら、僕はヘクトルとエリンシア姉さんかな」
リン「となると私はマルスとミカヤ姉さんね」
マルス「よし。それじゃ、行きましょう」

かくして戦いは、幕を開けた

123 :兄弟家SRPG27:2011/08/19(金) 15:48:11.23 ID:UaK9yCfW

セネリオ「では、まずはあなたが逝ってください。豆腐」
ボーレ「だから俺の名前は豆腐じゃねえって!てか漢字おかしいぞセネリオ?!」
セネリオ「何がおかしいものですか。命中微妙守りは豆腐、力だけはそれなりにあれども相手は殆どが剣ユニット。あなたに出来ることは囮になることだけです」
ボーレ「この野郎言い切りやがった」
ミスト「もう、駄々こねないでよね。ほら、後ろで(瞬殺されるのを)見守っててあげるから、頑張ってよ」
ボーレ「お、おう……しゃーねーな……」
ヨファ「うわあ、下心丸出し」
オスカー「そういうことは思っても口に出しちゃだめだよ、ヨファ」

そんなこんなでボーレはしぶしぶセネリオの指示通り前線に単騎で乗り出した。当然、絶好のカモだ。
しかしマルスは用心深く考える、戦略の裏の裏をかくようなタイプである。誘いに乗ってホイホイと兵を出すことは躊躇われる。何かしらのしっぺ返しを食らうであろうことは必至だからだ。
が。

ヘクトル「おいマルス、なんで出ないんだ?」
マルス「いやね、だって兄さん。あれどう考えても罠でしょ」
ヘクトル「罠だとわかってるからといって怖気づくなんて男が廃るぜ。俺がうって出るからあとはなんとかしろ!」
マルス「はい?そんないきなり……ってもう既にいないし!!」
ヘクトル「斧対斧か。アイク兄貴相手に磨いてきた俺の斧を受けてみろ!」
ボーレ「相手にとって不足なし!かかってきやがれ!」
ミスト「死亡フラグね」
ワユ「あー、なんていうかご愁傷様かも。」

カシャン!「鳴動」

セネリオ「ボーレがやられましたね」
アイク「あれは……なんというか……いいのか、あれで」
セネリオ「アイク、あなたの弟の彼は堅い、速い、強いと三拍子揃った動く要塞なんですよ。――奇襲もなしに倒せるわけないじゃないですか。ボーレは必要な犠牲だったんです」
アイク「そ、そうか……わかった、口出しはせん」

セネリオの台詞が持つ謎の説得力に気圧されてアイクは押し黙った。ここでまた余計なことを口走って肉を減らされてはたまらない。
それに、ヘクトルを落とす算段がついていることぐらいはアイクにも察せていた。
セネリオが相手取っているのはあのマルスなのだ。ティアマトならともかく自分が口を出してどうにかなることはないだろう。

ヘクトル「しかし物騒だな、暁流奥義っつうのは。今俺が出したアレはなんつーんだ?」
エリウッド「鳴動、というらしいね。力を三倍にして更に体格分を足した威力になるらしい。」
ロイ「いわゆる発動すると相手は死ぬ。ってやつだよね。よかったねヘクトル兄さん、そのピザ体型が役に立ったじゃないか」
ヘクトル「てっめロイ!」
エフラム「バカか、仮想空間とはいえここは戦場だぞ!気など抜こうものなら――」
イレース「はい。一瞬の油断は、死に直結します。私たち工務店の、お仕事と同じです」

カシャン!「陽光」

イレース「念には念を入れて、レクスボルトでお相手しました……。直撃さえしてしまえば、理論上はアイクさんでも耐えられません……」
リーフ「ていうか、工務店は普段どんな仕事をしているんだ」
ヘクトル「くそっ、こんな……ところ、で……!すまない……エリウッド…………」
エリウッド「ヘクトル!!」
マルス「まあ、こうなるだろうとは思ったよ……シグルド兄さん、兄さんの位置ならばイレースさんに届くはずだから」
セネリオ「届きませんよ」

マルスの指示をセネリオの短い台詞が遮る。見ると工務店の騎馬ユニット三人がバケツリレーでイレースを撤退させているところだった。
シグルドの銀の剣はそれなりの威力を持つが、一番手前のオスカーとやりあうには武器相性がよろしくないし何よりギリギリのところで歩数が足りていない。

マルス「……読まれてた、ってことか。」
セネリオ「読み負けるのは嫌いなんです。ましてやそれでアイクが不利になるとあれば」
マルス「奇遇だね。僕も誰かに出し抜かれるのは大嫌いだよ」

背筋が寒くなる様な応酬の後、マルスはひとしきり思考を巡らせる。まだ部隊前方の行動が終わっただけだ。被害がそう大きかったわけではないし、小回りのきく別働隊はまだ行動をしていない。

124 :兄弟家SRPG28:2011/08/19(金) 15:51:47.28 ID:UaK9yCfW

兄弟家側で主力部隊と別れて行動していたのはアルムとセリカである。
アルムには隠伏スキルがあるので奇襲出来ればラッキー、という感覚でマルスは彼らにその役を託したわけだが、工務店の方もそこらへんはきちんと把握していたようで、そうそう美味しい展開には残念ながらならなかった。
一本の矢が、セリカめがけて凄まじいスピードで飛んでゆく。

アルム「セリカッ!」

運悪く発動したシノンの狙撃――尤もシノンの狙撃はやたらと発動率が高いのだが――に一撃で倒されたセリカにアルムは駆け寄った。
だが、システムの檻から逃れることは出来ない。
セリカの体が青いポリゴンの欠片になって弾け飛んでゆく。
セリカ「アルム……ごめんね……私、ここでリタイアみたい……」
アルム「セリカ……セリカ……ッ!!僕の隣にいてくれよ、セリカ!!!」
だが呼びかけ虚しくセリカの体は消え失せた。
アルムの手に空虚だけが残る。
シノン「チッ、後味悪い……おい、ヨファ。さっさと残りを片付けろ。そうしねえと俺らが危な……?!っおい!おいヨファ?!」
ヨファ「 …そう…か…… これが…ぼく…の…限界…… 未熟……だった…な……ごめん………… シノン…さ…ん……役に…立てな…………」
アルム「……許さない」
一瞬のうちに、ヨファのHPが0になって爆散する。慌てて振り返ればそこには般若の如き顔で弓を構えるアルムの姿があった。
シノン「ッ……!っとに、ついてねえ……!!」
アルム「セリカ……僕が君の分まで戦うから……」

ここまでの怒気をぶつけられれば、スキルがあろうとなんだろうとシノンもその存在に気づかざるを得ない。彼の役割はスナイパーなのだ。
シノンはチッ、と行儀悪く舌打ちをする。

シノン「しかもこっちは目に入ってねえってか。いいぜ、かかってこいよ。俺様も弟子の分まで戦ってやるからよ!!」

そしてここでもまた、誰かの為の戦いが始まった。

今回はここまで。説明&ラノベくさい文体で申し訳ない……
姑息に補足。
マップは蒼炎終章みたいなものをイメージ。そこそこに広く遮蔽物が多い。リアルであの地形、しかも敵味方あわせて総員20人ちょっとともなれば奇襲は可能なはず……
あと会話は距離関係なく手前のウィンドウに出るとかでどうにかなりませんかね。無理か。