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Last-modified: 2012-08-23 (木) 19:31:01

98 :ママチャリの系譜 第1章:2011/08/16(火) 23:18:44.80 ID:vTq7dt9r

10

ノイン  「さあ、ファイアーエムブレム聖戦の系譜15周年記念杯予選第1レース、まもなくスタートです」
ラケシス 「(ヒソヒソ)ナンナ、スタート直後の混乱から抜け出すのに、ちょっと技を使うわよ。
      スタートランプが青になったら……」
ナンナ  「(ヒソヒソ)はい……はい、わかりました。お姉様、本気なんですね」
ラケシス 「(ヒソヒソ)当たり前よ、序盤から必殺技全開でいかせてもらうわ!」
キュアン 「エルト、ラケシスが何か仕掛けてくるぞ。気をつけろ」
エルト  「ああ、小細工なんか跳ね返してやる」
シグルド 「注意しておいた方がいいな」
エスリン 「ええ」
ノイン  「フェイクかシェイクか、揺さぶりに来ているナンナ&ラケシスペア、
      流石に姉妹だけあってチームワークは抜群か!?
      さあ、いちごシェイクもかくやというレッドランプがスターティングランプに灯る!
      これがチョコミントグリーンのシェイク色に変わった時!!」
キュ・アレ・フィン・エス・オイ・エルト「「「「「「ぶっ!!」」」」」」
ノイン  「何人かが吹いた!」
エルフ  「チョコが沈殿すると思うんですよね」
ノイン  「チョコが沈殿した時、レースの幕が切って落とされます!
      はためく横断幕はAKJ応援団のもの! さてさてさて……赤ランプが…」
プッ プッ プッ パーーーーッ!!
ラケシス (今だ!)
ノイン  「今、青に変わって、チョコが沈殿したぁっ!! うおおおおおっ!?
      と同時にワルキューレ後部座席のラケシス選手がトルネードでグラウンドの土を巻き上げたぁっ!」
ゴォォォォォォッ!!
エルト  「!?」
フィン  「しまった!」
アルテナ 「くっ!!」
シグルド・アルヴィス「「ディアドラ!!」」
セーラ  「うわ、セコっ」
ノイン  「天然のスモーク! スタート直後の大混乱だ!! 砂塵によってマシンが見えません!!
      これはナンナ&ラケシスペアの絶妙な奇襲攻撃!!
      妨害、攻撃アリアリルールとなっております、本レース、
      早くもそのレギュレーションを最大限に生かして、今、渦巻く砂塵の中から白銀の機体が出る!!」
ラケシス 「おーーーっほっほっほっ!! いい気味ですわエルト兄様、それにシグルド様も!」
エルト  「してやられたか…げほっごほっ」
シグルド 「大丈夫か? ディアドラ」
ディアドラ「シグルド様、ありがとうございます」
アルヴィス「悔しいっ!」
エスリン 「アンタら邪魔っ!」
ノイン  「土煙を引き裂いて、スタートトップに躍り出たのは、白銀の戦乙女ワルキューレ!!
      続いて、飛び出てきたのは……おおっ!?」
トラバント「フッフッフ、流石はAKJ会長! だが、この程度の策、私には通じんぞ!」
アリオーン「まあこれぐらいは想定内だ」
ノイン  「2番手はこれまたラフプレーに定評のある真紅の竜王ダブルドラゴン! 
      あらかじめ用意しておいた花粉症対策ゴーグルで土煙をシャットアウト!!」
エルフ  「あれは結構おすすめですよ」
ノイン  「次なるマシンはおねいさんハント号! 後ろのアレス選手には効果が抜群だが、
      ドライバーのリーフ選手には効果なしっ!
      あの高難易度で知られるトラキア776を制した男は一味違う!」
リーフ  「あれに比べたらこんなの卑怯でも何でもないよ」
ノイン  「ダブル・エルダー! ダブル・エルダーが4位でスタート! 
      後部座席のマナ選手が涙目になりながらアルテナ選手を目隠ししている! 
      幸運な事にクラッシュの心配はなさそうだが、他に方法はなかったのか!?」
マナ   「ご、ごめんなさい、これしか方法が思い浮かばなかったんです」
アルテナ 「わかったから、手を離してくれる? 前が見えないのよ…」
マナ   「は、はいっ!(バッ)」
ノイン  「やや強引だが、結果的には好スタート! 目隠し走法は伊達ではないっ!
      おおっ、4位をキープする後ろからもう一台!」

99 :ママチャリの系譜 第1章:2011/08/16(火) 23:19:57.25 ID:vTq7dt9r

11

シャルロー「フィンさん、大丈夫ですか!?」
フィン  「げほっ…すまない、シャルロー。助かったよ」
ノイン  「5番手スタートは走る所得税、青色申告号! これまた後部座席のシャルロー選手が、
      どこからともなく出した眼鏡をゴーグル代わりに、ハンドリングをカバーっ!!
      いずれもナビシートのサブパイロットが好カバーを見せるッ!
      カバー、カババー、カバベスト! シグルド選手はカバの顔!!」
シグルド 「カバの顔じゃないっ!!」
アルヴィス「そうだ、どちらかと言えば馬面だろう」
シグルド 「コロス」
ノイン  「スタート直後にトラブルでしょうか? シグルド選手とアルヴィス選手が口論をしていますね?」
エルフ  「明らかにあなたのせいでしょう?」
オイフェ 「ごほっげほっ! くっ、完全にやられた」
エルト  「わが妹ながら、かなり、やる」
ノイン  「続いてスタートしたのはオイフェ&ディムナペアの緑山歌劇団号!
      サイドバイサイドでつけるはSTEガンマ、エルトシャン選手!」
ディアドラ「すみません、お二人とも、助けていただいて」
エスリン 「でも、一応手加減はしないつもりだからね」
アルヴィス「おいっ、さっさとスタートしないと置いて行かれるぞ!」
シグルド 「わかっているっ!」
ノイン  「8番手スタートは乙女デスサイズ! ようやく砂煙も収まって、
      シグルドマシン、スターダスト・フェアリーズもスタートです。
      屈辱の格好と最後尾スタートが吉と出るか凶と出るか乳が出るか!?
      乳が出そうなのは竜王家使用人、背番号4番、ハイプリースト・フィーア!」
フィーア 「またわたくしですの!? と言うか、そんなもん出んわっ!!」
ノイン  「電話をかけても出んわっ! うっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!」
エルフ  「最低ですわね」
ノイン  「最低(斉藤)道三てぐらいでありますからね、うひゃっ! さて、そろそろレースに戻りましょう」

アレス  「どうした、行かないのか?」
リーフ  「そうしたいのは山々だけど、前があの二人だからなぁ…何されるか分かったもんじゃないよ」
トラバント「フハハハ、どうしたリーフ。怖じ気づいたか?」
ノイン  「序盤、激しい争いも予想されましたが…おおっと、ここで後方で動きがあった!
      観客スタンドが沸き立つ中、満を持して、黒き密林大帝、獅子王エルトシャン来たるッ!!」
エルト  「フッ、いくぞっ!(ギュイィーーーン!!)」
ノイン  「グラウンドオーバルコース、最初のコーナーを曲がって直線に差し掛かった所で、
      一気にパワーを乗せてきたぞ、漆黒の獅子王っ!!」
アルテナ 「何っ!?」
リーフ  「しまった!」
セーラ  「よし来たっ!」
ドロシー 「ゴーゴーっ!」
ノイン  「トラバント選手のラフプレーを警戒し、巡航している4台を一気にオーバーテイクっ!!
      STEγがダブルドラゴンに牙を剥く!! 解説のエルフさん、ラケシス選手のトルネードスタートが
      あったとはいえ、やけに出だしが遅かったSTEγですが、これは様子見でしたか?」
エルフ  「いえ、あのSTEガンマにはスプリント勝負に向かないチューンが施してあるのですわ」
セーラ  「えっ、どういう事?」
ノイン  「そう言えば、レース開始直前に気になる事を仰っていましたね?」
ドロシー 「私達が戻る前ですか?」
エルフ  「そうです。この人全然気にしてませんでしたけどね。
      …STEガンマ。あのマシンのチェーン部分をよく見て下さい」
ノイン  「はあ、チェーンですか……。……。……あれは、まさか!?」
セーラ  「えっ、何かあるの?」
ドロシー 「ジーーーッ……うわっ、本当だ! 何か違う!?」

100 :ママチャリの系譜 第1章:2011/08/16(火) 23:21:12.50 ID:vTq7dt9r

12

エルフ  「そう……両輪駆動!! 後輪のみならず、
      前輪にもチェーンを渡したツインチェーンのモンスターマシンなのですわ!!」
ノイン  「凄い、凄いぞ、凄まじいっ!! 何という凄まじいバカバカしさ加減でしょうかっ!!
      もはや、アホです! アホの巣窟、グランベル大学自転車部っ!」
セーラ  「両輪駆動の自転車なんて聞いたことないわよ」
ドロシー 「まあ普通は見かけませんよね」
ノイン  「しかし、それだけに本気のバカはバカに出来ませんっ!
      現にスピードに乗ってきた時のこの加速っ! 尋常ではありません!!」
ドロシー 「このまま追い抜いてしまえーーーっ!」
セーラ  「珍しくドロシーがノッてるわね」
エルフ  「エルトシャン&キュアンペアのピットクルーは、両選手のポテンシャルを把握した上で、
      このようなモンスターマシンを作り上げたのでしょうけど……」
ノイン  「なるほど、適材適所という訳ですね。鬼に金棒、虎に翼、駆け馬に鞭っ!
      まさに黒き獅子STEガンマに与えられた愛の鞭っ!!」
エルト  「捉えたぞっ!」
キュアン 「トラバント、覚悟っ!」
ノイン  「むちむちむーにーオーバードライブ、この加速を2位ダブルドラゴンは凌ぐ事が出来るのかっ!?
      勝つのはツインチェーンの黒獅子か、真紅の竜王かっ!?」
トラバント「ほう、獅子王か。こうして相まみえるのは初めてだな」
エルト  「シグルドやキュアンが普段世話になっているようだな、悪いが、そこをどいてもらう!」
トラバント「フン、貴様如き策を弄するまでもないわ、アリオーン!」
アリオーン「はい、父上!」
ラケシス (エルト兄様…)
ガシャン!! ガシャン!!
ノイン  「早速果敢にマシンをぶつけにかかるアリオーン選手! 無差別攻撃、同時多発自転車!!
      STEガンマのツインタワー、黒服コンビに襲いかかる!!」
エルト  「フン!」
ノイン  「しかし、エルトシャン選手も負けじと応戦! 互いに決め手を欠いてはいるが、
      横並びのまま激しい攻防が繰り広げられていますっ! 攻防勝者を選ばずっ!! 勝者必衰っ!!」
セーラ  「いっけーっ!! トラバントなんかぶっ飛ばしてしまえー!」
ドロシー 「そのままトップです!!」
ノイン  「ゲストのお二人が燃えています! さあ、ここで先頭3台は、グラウンドオーバルコースを抜け、
      第2コーナーへと向かいます」
エルフ  「ここはSTEガンマの2WD自転車のグリップ力に注目したいですね」
ノイン  「2WDか、2DKか、バストイレは別となっております、快適環境ダブルドラゴン!」
エルフ  「かなり別の所にありますわね」
ノイン  「4位から9位の第2集団も十分射程圏内! 背後から虎視眈々麺とトップ3台の隙を狙っている!!
      坦々麺なら80G、ラーメン月光亭っ!!」
ホリン  「流星軒とはまた違った味だ。是非みんなで食べにきてくれ」
エルフ  「協賛ありがとうございますわ」

アレス  「あの二人は互いの相手で手一杯か…」
リーフ  「ここは攻めよう、コーナーで勝負だ」
シャルロー「コーナーから仕掛けましょう」
フィン  「わかった」
ディムナ 「コーナーから一気に…」
オイフェ 「それが良さそうだな」
マナ   「あの、皆さん次のコーナー入り口で狙ってます。混戦を避けて、コーナー出口で仕掛けましょう」
アルテナ 「わかったわ、マナ」
アルヴィス「ディアドラ、今度の日曜日、予定は空いてるか?」
シグルド 「こら! レースに集中しろっ!!」
ディアドラ「今度の日曜日ですか? えっと…」
エスリン 「アンタも真面目に答えないっ!」
アイーダ 「アルヴィス様…」

101 :ママチャリの系譜 第1章:2011/08/16(火) 23:22:45.54 ID:vTq7dt9r

13

ノイン  「さあ、第2コーナー目がけて、3トップ6シャドウストライカー体制で、
      オリジナル笑顔で駆け抜けてゆくっ!!」
エルフ  「不自然な蛍光色ですね」
アルテナ 「…ここは行かせといて、と」
ノイン  「あっ、いやっ!? 第2グループダッシュから、ダブル・エルダーが脱落っ!
      本選出場への得票を先行集団に譲渡したかっ!?」
セーラ  「関係ないわ、後ろなんて興味ないから」
ノイン  「さあ、フルブレーキングをかける各車! しかし、グリップ力に自信があるのかっ、
      黒服獅子王はやや減速は甘めだっ! そしてもう1機……」
リーフ  「それっ、ポンピングブレーキングだ!!(キキッ キキッ キキーッ!!)」
ノイン  「出たぁ! 葉っぱの必殺攻撃が炸裂だっ!! 断続的にブレーキをかけて
      ブレーキパッドの摩擦力を最大限に活かすブレーキ天国っ!! 略してイカ天!!」
エルフ  「ブレーキどっか行きましたわね」
エルト  「フンッ!!(ギュイーーン!!)」
アリオーン「やられたっ!」
ラケシス 「エルト兄様!?」
ナンナ  「リーフ様も!?」
ノイン  「コーナー半ばで順位が動いたっ! フルブレーキのマシン群を尻目に、トップに立つのは
      黒き水平対向エンジンを吹かすSTEガンマ! テールトゥノーズで火花を散らす
      年上大好きおねいさんハント号がその背後にピッタリとつけるっ!
      さらに後ろを牽制するワルキューレ、ダブルドラゴン、青色申告、緑山歌劇団!!」
エルト  「(ズルッ)しまったっ!」
キュアン 「うおっ!?」
ノイン  「あああっと!! ここで入れ替わりでトップを奪ったSTEガンマにアクシデントっ!
      オーバースピードだ、リアがアウトに流れりあっ!!」
エルフ  「グリップ力を過信しすぎましたね」
セーラ  「ちょっと! 何やってんのよっ!!」
ノイン  「コースアウトまでには至らないが、これは序盤の主導権争いでは手痛いミスっ!
      後続のマシン群も警戒深度を引き上げて更にスピードダウンっ!」
エルフ  「グラウンドのトラックは意外と滑りやすいですからね」
マナ   「アルテナさん、ここですっ!!」
アルテナ 「よしっ!!(ギュイィィーーーン!)」
ノイン  「ああっと、しかし、コーナー突入前に十分な減速をしていたアルテナ機、ダブル・エルダー!!
      コーナー出口に向けてアクセラねーしょんっ!!」
エルフ  「どるみ?」
ノイン  「どるみ#っ!! お嬢様の皮を被った鋼鉄の姉妹、ダブル・エルダー、
      一気に先行の8台をまとめてオーバーテイィィィィィクッ!!」
ディムナ 「えっ、マナ!?」
フィン  「アルテナ様!?」
トラバント「何だとッ!!」
アレス  「ッ!?」
セーラ  「うっそぉ!! ありえないでしょ!!」
ドロシー 「信じられません…」
ノイン  「最後の砦の全裸コンビ、リーフ&アレスペアも、今、アルテナ&マナチームに道を譲るっ!!
      恐るべしスーパーナビコン、マナっ!! 『大和撫子残念系』の二つ名は伊達じゃないっ!!」
マナ   「だから、私残念な子じゃありません!」
ラケシス 「あれのどこが残念系よっ! 完っ全に騙されたわっ!!」
ノイン  「小手調べの前哨戦、まずはその能力を見せつけたのは並み居る豪腕ドライバーでも、
      悪辣なラフプレイヤーでもなく、意外にもナビゲーター! 意外でしたねえ、解説のエルフさん」
エルフ  「はい、このナビの差というのは、ボディブローのようにジワジワと効いてくると思います。
      それともう一つ、実はマナ選手が後部座席に乗る事自体に走者にとって大きな利点があるのですが、
      それが効果として表れるのはレース後半辺りになりますので、とりあえず今は伏せておきましょう」
ノイン  「ボディブローか、トラキア風呂ーっ!! ルネス女学院のトラキア嬢、マナ選手!!
      トラキスタン直伝のナビゲートでアルテナ選手をバックアーップ!!」
リーフ  「ここで負けてたまるか!(だって前にいるのはアルテナさん、ムフフ…)」
ノイン  「辛うじて独走を許さない、紋章町の白き狩人、おねいさんハント号の鞍上、葉っぱ一枚のリーフっ!!
      変態としてのプライドか、ハンターとしての勘か、場数を踏んだ主人公の貫禄かっ!?」
続く