洒落になりませんから
ミルラ 「こんにちは」
エリンシア「あらミルラちゃん、いらっしゃい。エフラムちゃんにご……よう……」
玄関先に現れたミルラを見た瞬間、エリンシアは硬直した。
なんと、彼女のお腹が大きく膨れているではないか!
エリンシア「み、ミルラちゃん……! それは、まさか……!」
ミルラ 「はい……」
頬を染めて俯いたミルラが、恥ずかしそうに呟く。
ミルラ 「エフラムの、赤ちゃんです……」
ファ 「ファもー」
チキ 「チキもー」
次々にぽっこり膨らんだお腹を見せる幼竜三人娘。
エリンシア「な、な、な……!」
#br
エリンシアはアミーテ片手に三段飛ばしで階段を駆け上り、エフラムの部屋の扉を蹴り破った。
エリンシア「エフラムちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん! あなたって子はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
エフラム 「な、なんだ!? どうした、姉さん!?」
エリンシア「お黙りなさい! 年端もいかない子供相手になんてことを……!
地獄の果てまで、ぶっ飛ばしてさしあげますわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
エフラム 「何の話だぁぁぁぁぁぁっ!?」
さしものエフラムも怒りの叫喚四連発には成す術もない。
破壊の嵐が吹き荒れている二階を見上げながら、三人幼女はきゃっきゃと笑う。
チキ 「うまくいったねー」
ファ 「いったねー」
ミルラ 「いきました……」
お腹が膨らんだ服の下から、大きなボールを取り出す三人。
それを見下ろしながら、ミルラは小さく首を傾げた。
ミルラ 「でも、どうしてあんなにあっさり引っかかったんでしょう……不思議です……」
世の中、洒落にならないことというのは確かに存在するのであった。