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Last-modified: 2008-03-21 (金) 00:02:13

281 名前: お子様ロイちゃん [sage] 投稿日: 2008/03/19(水) 01:05:28 ID:S0iGvFQy
 ~紋章町、路上~

アルム 「いい天気だねえ」
セリカ 「たまにはこんな風に、のんびり散歩するのもいいわね」
アルム 「そうだね……ん?」

男の子 「うわーん、うわーん!」

セリカ 「あら、迷子かしら」
アルム 「そうだね……?」
セリカ 「? どうしたの、アルム?」
アルム 「いや……なんだろう、あの男の子の顔、どこかで見たことあるような気がするんだけど……」
セリカ 「……そう言えば、そうね。あの赤い髪……確かにどこかで……」
アルム 「ああ、でも今はそんなこと気にしてる場合じゃないか。ねえ、君」
男の子 「ぐすっ……」
セリカ 「ほら、泣かないで。怖くないからね。あなた一人? お父さんとお母さんは?」
男の子 「いない……」
セリカ 「そう……やっぱり迷子なのね」
アルム 「どうしようか。ベルン署に届ける?」
セリカ 「うーん……わたしたちでお家を探してあげた方が手っ取り早いんじゃないかしら」
アルム 「それもそうだね。ねえ君、自分のお家がどこだか分かる?」
男の子 「んと……あっち」
セリカ 「あら、わたしたちの家がある方向だわ」
アルム 「ご近所さんかな……? でも見たことないよね?」
男の子 「うう……お兄ちゃん、お姉ちゃん……」
セリカ 「ああ、泣かないで。そうだわ、あなたのお兄ちゃんとお姉ちゃんのこと、聞かせてくれる?」
男の子 「……どのお兄ちゃん?」
セリカ 「え? ああ、たくさんいるのね。ええと、それじゃ、一番大きなお姉ちゃんは、どんな人なの?」
男の子 「銀色の髪してて、いろんなお話してくれる」
セリカ 「……一番大きなお兄ちゃんは?」
男の子 「青い髪で、優しい人」
セリカ 「……二番目のお姉ちゃんは?」
男の子 「緑色の髪で、おいしいご飯作ってくれる」
セリカ 「……アルム……」
アルム 「……うん。ひょっとして、いやまさか、と思ってはいたけど……」
セリカ 「……ねえ」
男の子 「なあに?」
セリカ 「あなたのお名前、お姉さんに教えてくれる?」
男の子 「ロイ」
282 名前: お子様ロイちゃん [sage] 投稿日: 2008/03/19(水) 01:07:10 ID:S0iGvFQy
 ~兄弟家~

セリカ 「お前の仕業かぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
ユンヌ 「うわっ、ばれるの早っ……じゃなかった、お、お帰りセリカちゃん、どうしたのそんな怖い顔して」
アルム 「ユンヌさん……それはこれを見てから言ってくださいよ」
ロイ   「うー……」
ユンヌ 「あらやだ、可愛い坊やね。二人の子供? なによもう、わたしが知らない間に頑張っちゃって」
セリカ 「……白を切るつもりなら……」
ユンヌ 「ちょ、メダリオン取り出さないでよ! 白状する、白状するから!」
アルム 「……じゃ、やっぱりこの子はロイなんだ?」
ユンヌ 「そうよ。さっすが混沌の女神ユンヌちゃん、こんな奇跡も自由自在に」
セリカ 「なんでこんなことしたのよ!?」
ユンヌ 「前にリーフちゃんも言ってたけど、やっぱり大家族物には無邪気な子供がつきものじゃない?
     だからほら、公式に子供時代の顔絵が存在する(烈火EDver)ロイちゃんをこう、ちょちょいのちょいと」
セリカ 「メタ的な発言は控えなさい! そして今すぐ戻しなさい!」
ユンヌ 「えー……こんなに可愛いのにぃ……」
ミカヤ 「どうしたの、みんなして騒いで」

 と、玄関先にミカヤが顔を出した途端、ロイ(幼)は顔を輝かせて彼女に飛びついた。

ロイ  「ミカヤお姉ちゃん!」
ミカヤ 「きゃっ……だ、だれ……って、ロイ!?」
アルム 「凄い、一発で誰だか見抜くなんて、さすがミカヤ姉さん」
ミカヤ 「そりゃそうよ、何十枚何百枚何千枚も写真撮ってきたんだから……で、ユンヌの仕業なのよね、当然」
ユンヌ 「うわ、速攻でばれてるし……ここは必殺、三十六計逃げるにしかず!」
セリカ 「逃げる気!?」
ユンヌ 「おほほほほ、わたしを捕まえてご覧なさーい!」
セリカ 「待てコラァ!」
アルム 「……あーあ、二人ともワープでどっかに行っちゃったよ……」
ミカヤ 「困ったわねえ」
ロイ  「お姉ちゃん、お腹すいた」
ミカヤ 「ああごめんねロイ、すぐにおやつ出してあげるからね」
ロイ  「わーい」
アルム 「ってのん気だね姉さん」
ミカヤ 「いいじゃない、特に害があるわけでもないし。
     それに、最近みんな大きくなっちゃって、嬉しいと同時にちょっと寂しくもあったしねえ……
     たまにはこうやって、手のかかる弟の世話をするのも楽しいものよ」
ロイ  「早く、早く!」
ミカヤ 「はいはい。ちょっと待っててね……」
アルム 「……害はないって……ロイを狙う女の子達がこのことを知ったら、どんな騒ぎになるか……」

 そう遠くないうちに巻き起こるであろう阿鼻叫喚の地獄絵図を想像し、アルムはブルッと体を震わせるのだった。