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Last-modified: 2008-03-31 (月) 22:34:30

492 名前: 季節外れの怪談話・前編 [sage] 投稿日: 2008/03/29(土) 01:26:36 ID:JRIpykbq
リーフ  「よし、みんな揃ったみたいだね。」
ユリウス 「まったく・・・いったいなんなんだよ。」
セリス  「しょうがないよ!!学校の危機なんだから!!」
リーフ  「いや、別にそこまでの事でもないんだけどね・・・。」
イシュタル「どういった事由なのですか?」
リーフ  「・・・映像研究部の友達に言われたんだ。『居残って作業してたら変な事に出くわした。
      もしかしたら噂の幽霊かも知れない。このままじゃおちおち部活動もできないからどうにか真相を暴いてくれ。』って。」
オイフェ 「ふむ・・・私の方にはそういった報告は来ていないのですが・・・。」
リーフ  「いやいや、教師にはそういうこと言いづらいですって。」
オイフェ 「そういうものでしょうか・・・。」
セリス  「リーフが教えてくれてよかったですね、オイフェ先生。」
リーフ  「ナイスフォロー、セリス兄さん。」
ユリウス 「で、何をすればいいんだよ。」
ユリア  「例の幽霊・・・ただの噂話だと思っていましたが・・・。」
ラナ   「我が校に伝わる怪談話・・・ですわね。」
イシュタル「私がこの学校に入る前から伝わっているあの話・・・。・・・かつて、仲むつまじい教師夫婦が居た。
      誰もが羨む程に仲がよかった夫婦だが、ある日妻が病気で亡くなってしまった・・・。
      そのショックで抜け殻になった夫は、何とかして彼女をもう一度この手に抱こうと、様々な手段を試みる・・・。
      あらゆる手を尽くした・・・!!しかし、彼女は目を覚まさない・・・。彼は自らが死してなお、
      生き返らせることに執心し、今この時も、妻を取り戻そうとしている・・・。・・・そんな、悲しい物語・・・。」
ユリウス 「イシュタル・・・おまえ、随分ノリ良いな・・・。」
ユリア  「そして、その夫の霊が出るといわれているのが、この学校の科学室・・・!!」
ラナ   「一方妻の霊も、彼にもう一度会うことを夢見て、学校中をさまよっているという・・・。
      悲しげな声で『あなた・・・あなたあなたあなた・・・』と・・・。」
セリス  「そういえば僕、『イリオス?』って呼びかけると、『オルソンだ・・・』って答える霊が居るって聞いたことがあるよ?」
リーフ  「もしかしたらそれ、繋がっている話かもね。」
ユリウス 「・・・いや、その幽霊、何でウチの高校に出るんだ?ルネス女学園とかならわかるが・・・」
ユリア  「まだありますわよね。・・・『開かずの間』。」
イシュタル「昔・・・その部屋で殺人事件が起きて、それ以来閉まったままになっているという・・・それ以来、
      夜になると被害者と思われる女性の鳴き声が聞こえてくるという・・・。」
ユリウス 「・・・何ともベタな話だよな・・・。」
オイフェ 「それで、私達は何をすればよいのですか?」
リーフ  「これからみんなで手分けして、いろいろなところにいってもらいます。
      あと、これ。ビデオカメラを預けるんで、録りながらリポートし下さい。」
ユリウス 「何ともめんどくさそうな・・・ま、いいか。」
ラナ   「誰が何処に行くのですか?」
リーフ  「僕は美術室でセリス兄さんは家庭科室。ユリウスは部室棟で、
      オイフェ先生は大人だから科学室をお願いします。女性陣三人は体育館の方に。
      終わったらここに戻ってきて下さい。その後は全員で開かずの間の方に行きましょう。
      なにかあったらすぐに逃げること。良いね?」
493 名前: 季節外れの怪談話・前編 [sage] 投稿日: 2008/03/29(土) 01:26:59 ID:JRIpykbq
ユリウス 「全く、何で僕がこんな事を・・・。」
ぶつぶつと不満を独りごちながら一人部室棟に向かうユリウス
ユリウス 「おっと、録画ボタンを押しておかないとな。・・・紋章町的には幽霊くらい沢山いると思うんだが・・・亡霊戦士とか居るし。」
ガタンッ!! 突然鳴り響く物音。
ユリウス 「ん・・・?猫でも迷い込んだか・・・?一応いってみるか。」

ユリウス 「こっちの方だな・・・アレは?」
闇の中でうごめくもの。月光に晒され、その姿が明らかに。
ユリウス 「・・・白い肌に金色の目・・・いわゆるモルフってヤツか?」
量産型リムステラ「・・・・・・。」
ユリウス 「あー・・・警戒するな。何でここにいるのかは詮索しないから。大方迷い込んだんだろ?
      とりあえず誰かに見つかる前に帰った方が良いと思うぞ。」
量産型リムステラ「・・・(コクッ)」
ユリウス 「気をつけて帰れよー。さて、俺も部室棟に向かうか・・・。」

ユリウス 「よし、部室棟に到着と。結局とくに何もなかったな・・・。」
セリス  「うわーーーーーー!!!!!」
ユリウス 「!?・・・今の悲鳴は・・・セリスか!?声のした方は・・・あっちだ!!」

オイフェ 「(ドンドンドンドンドン!!)セリス様!?セリス様!!!」
ユリウス 「オイ!!一体どうしたっていうんだ!?」
イシュタル「ユリウス様!!」
ラナ   「セリス様が・・・!!」
ユリウス 「ここは・・・開かずの間、だよな。」
ユリア  「セリス様の声がする方に向かったら、この開かずの間の前に、セリス様のビデオカメラが落ちていました・・・。」
オイフェ 「セリス様!!居たら返事をして下さい!!」
ラナ   「あのように呼びかけてみても、いっこうに返事はありません・・・。ドアも開いていませんし・・・。」
イシュタル「・・・もしかして、本当の幽霊が・・・?」
ユリウス 「そんなことがあってたまるか!!」
オイフェ 「セリス様――――!!!!」

503 名前: 季節外れの怪談話・後編 [sage] 投稿日: 2008/03/29(土) 23:33:53 ID:JRIpykbq
オイフェ 「(ドンドンドンドンドン!!)セリス様!!セリス様!!!」
イシュタル「先生、落ち着いて下さい!!」
ユリア  「やむを得ません・・・ハッ!!」
オイフェ 「うっ・・・!!」バタン!
ユリウス 「あのー・・・先生、白目向いてるんですけど・・・。」
ユリア  「錯乱され続けるよりマシです。」
ラナ   「セリス様が使っていたビデオカメラです。何か写っているかも知れません。見てみましょう。」

セリス  「えーっと、僕は今、家庭科室に向かっています。やっぱり真っ暗だなぁー。
      幽霊が出るっていうけど、どんな人なんだろう?あれ?
      このルートだと開かずの間の前を通るのかな?(ガタン)
      ・・・誰?誰か居るの・・・?うわーーーーーー!!!!!」

ユリウス 「とくに手がかりなしか・・・。」
イシュタル「この部屋の前でなにかが起きた、というくらいですね・・・。」
ラナ   「どうしましょう・・・ひとまず、この部屋を開けますか?
      アンロックの杖をロッカーにしまってあるので、今から取って・・・」
オイフェ 「いえ、その必要はありません。」
ユリウス 「おお、先生気がついた。」
ユリア  「咄嗟の事とはいえ、教師に手を挙げてしまい、すみませんでした。」
オイフェ 「気にするな。それよりここは私に任せなさい!!とりゃあーーーーー!!!」
ドーーーーーン!!
イシュタル「せ、正拳突きでドアを開けるなんて・・・。」
ユリウス 「なんか、必死さ故のすごいパワーが働いているな・・・。」

開かずの間の中
オイフェ 「セリス様!!何処にいるんですか!?返事をして下さい!!」
ユリウス 「先生、落ち着いてください。・・・引き出しの中には入らないって。」
イシュタル「!! 先生、危ない!!机が!!」
ラナ   「てやぁッ!!」(ビシィッ!!)
ユリウス 「机が真っ二つ・・・すごい手刀だ・・・。」
イシュタル「物が勝手に・・・ポルターガイストですか!?」
ラナ   「そんなわけがあるか!!コソコソしないで出てこい!!余が相手になってやる!!」
ユリウス 「って、危ない!!(グイッ)」ストッ!!
オイフェ 「棚の上から裁ちばさみが落ちてきました・・・!!家庭科室の備品です。」
ユリア  「使ったら元に戻しなさい!!」
ユリウス 「さっきから何かテンションおかしいぞ・・・そうじゃなくて、
      みんな何言ってるんだよ!!誰かが俺たちをはめようとしているんだ!!」
???  「う~ら~め~し~や~・・・!!」
オイフェ 「何だ、あの白いのは・・・。」
ラナ   「まさか・・・本物の幽霊か!?」
ユリウス 「このっ!!」
???  「!?む~~~~!!!!!」
謎の白いのに飛びかかり、締め上げるユリウス。
ユリウス 「やい!!貴様セリスを何処へやった!?」
???  「む~~~!!!!!」
イシュタル「ユリウス様、それぐらいで離してあげて下さい。」
ユリウス 「でも、コイツがセリスを・・・!!」
オイフェ 「そのままでは窒息してしまいます。リーフ君が。」
ユリウス 「へ!?リーフ!?」
リーフ  「そ、そうです・・・リーフです・・・ユリウスの意外と熱い一面に、今ちょっとクラクラしちゃってます・・・。」
イシュタル「それはただの酸欠ではないかと。」
ユリウス 「・・・リーフ・・・なんだってこんなマネを・・・?」
504 名前: 季節外れの怪談話・後編 [sage] 投稿日: 2008/03/29(土) 23:34:19 ID:JRIpykbq
セリス  「ねぇリーフ、まだー?僕みんなが心配になってきたよ。」
ユリア・ラナ「セ・・・」
オイフェ 「セリス様!!(だきっ!!)よかった・・・無事だったんですね・・・。」
セリス  「せ、先生!?どうして泣いているの!?」
ラナ   「(乗り遅れた・・・)さて・・・どういう事か説明して下さいませんか?リーフ様?」
リーフ  「・・・はい。実は、動画研究部がホラーものの映画を撮りたいっていうからそれに協力することになりまして・・・。」
ユリウス 「要するに、今までのは全部撮影って事か・・・。」
ユリア  「全く人騒がせな。事前に相談して下されば快くお手伝いしましたのに。」
リーフ  「い、いや、それだとリアルじゃないからって言われててさ・・・。」
ラナ   「それでも、演出で机を飛ばすなんて危ないですわよ。」
リーフ  「へ?そんなことやってないけど・・・?」
イシュタル「裁ちばさみも危険でした。ラナさん、大怪我するかも知れなかったんですよ?」
リーフ  「いや、そんなことやってないって。マジで。」
ユリウス 「お前なら魔法とか胡散臭いトリックか何かでできるんじゃないか?」
リーフ  「できなくはないけど・・・なんでわざわざ僕がそんなことしなきゃならんのさ?」
セリス  「でも、僕映像でみんなのこと見てたんだけど、本気で心配してくれて、嬉しかったな。
      ラナもすごかったよね。どうやったの?あの机。」
ラナ   「え、えっと、ウインドの応用で、手先に風を集中させて一気に放出させました。」
オイフェ 「(明らかに腕力だった・・・とは言わない方が良いな・・・。)」
セリス  「ユリアも心配してくれてありがとう。あそこでみんな慌てちゃいそうなのに冷静に事態を収拾してたよね。」
ユリア  「セリス様・・・。」
セリス  「一番嬉しかったのは・・・ユリウスかな。リーフを抑えている時なんて・・・さ。」
ユリウス 「べ、べつにそんなんじゃないぞ!!お前が居なくなったら生徒会の仕事に支障が出るだけだからだ!!」
リーフ  「ツンデレ乙。」
イシュタル「うう・・・順調にフラグが・・・。」
オイフェ 「とにかく、今日のところはみんな帰りなさい。リーフ君、明日の放課後は生徒指導室に来るように。」
リーフ  「うう・・・。あと少しだったのに・・・。」

一方その頃・・・
エフィデル「そろそろ戻ってくる頃でしょう。」
量産型リムステラ「奥方、無事に見つけてきた。」
モニカ  「ありがとう、リムステラさん。エフィデルさん、いつもごめんなさいね。」
エフィデル「お気になさらないで下さい。奥方がネルガル様に依頼された『オルソン自動回収モルフ』ができるまでですよ。」
モニカ  「まったくもう、うちの人にも困ったものだわ。」
オルソン 「ZZZ・・・モニカ・・・私はイリオスでは・・・な・・・い・・・。」
量産型リムステラ「夢遊病で眠ったままいろいろな学校に忍び込み徘徊する・・・。私の周りにこういう人はいない・・・。」
モニカ  「そんな事するのはうちの人くらいよ。でもリムステラさん、すごいわね。私の声マネそっくり。」
エフィデル「奥方の声を実際に録音してそれを組み込んだだけですよ。それにしても、お二人の絆の深さは本物ですね。
      奥方の声を使ってからはすぐに旦那さんが見つかるようになりました。」
モニカ  「うふふ。ありがとう。」
量産型リムステラ「今日はグランベル高校の方に居た。」
モニカ  「また学校なのね・・・。深夜の高校に男の人が徘徊なんて・・・見た人は驚くんじゃないかしら・・・。」
量産型リムステラ「『あなたあなたあなたあなたあなた』」
モニカ  「!?」
エフィデル「失礼。ちょっと接触が悪いみたいですね。誤作動してしまいました。」
モニカ  「・・・暗闇でこれを聞いても驚くんじゃないかしら・・・。」

次の日、リーフはセリスからとくに言及されなかったオイフェにこっぴどく絞られたそうな。
え?ポルターガイストの正体?それは・・・ねぇ?

終わり