セリフ/【殿下はよせ】

Last-modified: 2019-08-05 (月) 09:47:11

FF12

ラバナスタの執政官に就任した際にミゲロに「次期皇帝となられます殿下」と呼ばれたヴェインの返答。
アルケイディア帝国は皇帝を頂点とした専制国家だが、皇帝は血筋ではなく、市民権持つ国民の選挙によって選出されるため皇帝の息子でもただの一政民にすぎず、帝位継承権者というわけではない。
覇王の血統によって王が決まるダルマスカの民であるミゲロにはそのことがいまいち理解できていなかったようだ。

  • 私も最初、このあたりが理解できずに「ヴェインって、かなり謙虚?」と思った。
  • (あくまで融和政策の一環であろうが)「(歓迎の宴で)(ミゲロに)ヴェインと呼んでくれるまで(酒を)飲んでもらうからな」って言ってるし、親しみからの発言であるとプレイヤーに受け取らせる意図はあっただろうね。
    • アルケイディアの身分制度が特殊すぎるので初見でヴェインの言葉を理解できた人はそういないだろう。
  • 義務に殉じている時以外はヴェインは普通の良い人らしいので素で言っている可能性もある。

そのため、帝国側の人間はヴェインやラーサーを『殿下』ではなく『様』づけで呼ぶ。

  • ヴェインはラバナスタ執政官と西方総軍司令、中盤から臨時独裁官の3つの職に就くので『閣下』とも呼ばれる。

アルケイディア帝国のモチーフになっているであろうローマ帝国でも、皇帝は、形式上は市民(現在とは意味が大分異なる)の筆頭程度のものだったが、初期の皇帝には血筋が重要な意味を持っていた。
いつの時代どこの国においても、権力を独占したい・自分の血を継いだ子に権力を継がせたいと考える人間はいるもので、その後もナポレオンやヒトラー等、共和制の国において王になり権力を独占しようとする者は常にいた。
そういう観点からすると、人間の歴史というのは共和制と君主制のせめぎ合いでもあり、このセリフもかなり深いセリフなのである。と、思う。


ヴェインは「ラーサーこそを後継者に、自分はそのための礎に」と考えていたが、事が順当に進めばヴェインが皇帝に選任されていただろうことは疑いようがない。
元老院は強権的すぎるヴェインを敵視し排除する方向に動いていたが、ナブラディア王国・ダルマスカ王国の併呑を成したヴェインの実績は比類なく、ロザリア帝国との武力衝突が避け得ない状況下では、負ければ我が身の破滅であるから自己保身のためにも元老院はヴェインの即位を容認した可能性が高い。
ミゲロの先見性は節穴ではないのだ。

  • しかし作中で元老院はロザリアの脅威が高まってきた状況を利用し、嬉々としてヴェイン排除の策動をおこなっているため、そんなに単純な話になるとも思えない。くわえていえば、二年前の戦争終了直後にヴェインはダルマスカに乗り込む腹づもりであったらしいが、当時の帝国中枢部としてはナブラディア首都を壊滅させたりダルマスカを完全併呑する予定はなく、併呑せざるを得ない状況になったのは和平式に赴いたダルマスカ国王を侵入してきたローゼンバーグ将軍の一派から守れなかったためであり、司令官であったヴェインの責任であると元老院から批判されて政治的立場が危うくなっており、とてもダルマスカに腰をすえるどころではなかったためという事情もある。

DFFOO

このセリフそのものはないが、ラムザに王族に生まれたというだけで人のいのちを振り回せるのかという疑問に対し、「アルケイディアの皇帝は市民が指名するものだ」と同じ趣旨のことを返している。
これに対してエドガーから継承権争いが大変なことになるだろうと指摘される。
実際、アルケイディアではソリドール家が軍部独裁志向の帝室を打倒してより、法律上は皇帝が崩御すると次期皇帝になりたい政民が被選挙者として立候補し、(身分差で票の格差があるが)公正な選挙を実施してもっとも得票が多い候補者となるという手順を踏まねばならず、血筋はあまり関係ないレベルになっている。
ただソリドール家の教育方針もあって一族に国家繁栄に真摯な人材が多く、民衆人気が高いために連続して帝位を獲得しているに過ぎない。