・海からの贈り物
依頼者:
アントレイフィオ(Anteurephiaux)
/ タブナジア地下壕・地下
依頼内容:
海岸に行って
不思議な貝を見つけてきてほしい。
ぐるぐるした形の音の出る貝だと
嬉しいようだ。
Leporaitceau : あなた方は
町から町へと移りゆく身……。
僕は、とても羨ましく思います。
Leporaitceau : この町にずっといると、
あなたも聞かされはしませんか?
Leporaitceau : ……かつてのタブナジアについて。
Leporaitceau : 僕は、
まだまだ未熟ではあるけれど、
自警団の一員としての役割を担っています。
Leporaitceau : この町を守るために、
日々がんばっているつもりです。
Leporaitceau : それなのに、年かさの人達は
昔の話ばかりするんです。
Leporaitceau : 僕だって、
かつてのように賑やかな町になれば良い、
とは思っていますよ。
Leporaitceau : それでも、
同じ話ばかりを繰り返されると、
Leporaitceau : 賑やかな町など、
どれほどのものだろう?
という気にもなってしまうんです……。
Leporaitceau : 町の復興は、
僕の目標でもあるはずなのに……。
Leporaitceau : ところで、
エケットさんには会いましたか?
昔話好きの代表のような人です。
Leporaitceau : いつかは、懐かしいものが、
あれほど大切になったりするものでしょうか?
Leporaitceau : 町は徐々にですが、活気を
取り戻そうとしています。
もちろん喜ばしいことなのですが……
Leporaitceau : 少しだけ寂しい気もするのは、
何故なんでしょうか?
Equette : あら?
こんにちは。
Equette : あなたは、さぞかしたくさんの
海を見たことがありますでしょう?
Equette : 私は、ずいぶんと長い間、
海を見ていない気がします。
Equette : かつてのタブナジアは、
町の何もかもがまばゆくて、
Equette : とりわけ、
海は本当に美しかったわ……。
Equette : 今となっては、
想像もつかなくても仕方ありませんけれど。
Equette : あの頃は、青く広がっていた海が
どこまでも続いているのだと、
心底信じられました。
Equette : 海の音を懐かしく思います。
Equette : こんなところにいたのでは、
なにも聞こえはしないのですから。
Equette : ときおり、
かすかに磯の香りはするのですが、
Equette : それさえ、
なにか違うもののような気がするのです。
Equette : そういえば、だいぶ前に、
知り合いの船乗りが“海の音の鳴る巻き貝”の
話をしてくれたことがあります。
Equette : 途方もない話ばかりをする人でしたから、
そのときも冗談だと思って聞いておりました。
Equette : なんでも海岸に出る魔物が、
大切に隠し持っているらしい、と。
Equette : 魔物がそのようなことをするなんて、
信じがたいのですけれど、
Equette : この年になると、何があっても
おかしくはないとも思ったり……。
Equette : 今は
あの話がおとぎ話のひとつだったとしても、
信じてみたくなりますわ。
Anteurephiaux : あれ?
お姉さん……どこの人?
Anteurephiaux : ……ふーん、旅の途中なんだ。
……ボウケンシャなの?
Anteurephiaux : うわぁ、すごいねぇ。
あのね、ぼくもボウケンがしたいんだ。
そしてね、宝をハッケンするんだよ。
Anteurephiaux : そしたらね、
町のみんなにも宝を分けてあげるんだ。
Anteurephiaux : でも、
ちっちゃいから遠くに行ったらダメって、
みんなが言うんだよ……。
Anteurephiaux : ぼくは早く大きくなりたいんだ。
Anteurephiaux : ジケーダンの人に
話を聞いたりすると、うずうずしてくるよ。
Anteurephiaux : でも、危ないからって、
海岸にさえ行かせてもらえないんだ……。
だからぼく、海も見たことない……。
Anteurephiaux : 海岸には
いろんな珍しいものがあるんでしょ?
不思議な貝とか……。
Anteurephiaux : 珍しいものって、
モンスターも好きなんだって。
Anteurephiaux : ……やっぱり、
海岸って危ないのかな……。
Anteurephiaux : お姉さん
何か見つけてきてくれる?
Anteurephiaux : そしたらぼく、
とってもうれしいな。
Anteurephiaux : そうだ!
ぐるぐるしたカタチの、音の出る貝がいいな!
Anteurephiaux : うわぁ……、おもしろい貝だね。
見せて見せて?
Anteurephiaux : この貝って、
ぶぅおーって鳴らないんだね。
つまんないの。
Anteurephiaux : でも、変なカタチだねぇ。
なんでこんななのかなあ?
Leporaitceau : こら!
Anteurephiaux : うわっ!
Anteurephiaux : レポルーツォ!!
びっくりしたじゃないかぁ。
Leporaitceau : 勝手に
人の物を持ち出しちゃいけないと、
何度も言ったろう?
Anteurephiaux : 誰のかなんて分からないもん。
お姉さんが海岸で拾ってきたんだもん。
Leporaitceau : そうなんですか?
Anteurephiaux : いま
見せてもらったばかりなんだよ?
Leporaitceau : ……仕方ないなぁ。
でも、これは没収だ。
おまえはすぐに物を壊すからな。
Anteurephiaux : ……ええええ。
やだよー。
Leporaitceau : やだじゃない。
Anteurephiaux : えええええええー。
お姉さんも何とか言ってよー。
Leporaitceau : あぁ。
エケットさん、そんなことを言ってた
……ような気もするなぁ。
Leporaitceau : 最近、
話半分にしか聞いていなくて……。
そうでしたね。
Leporaitceau : それなら、
エケットさんに持っていってみましょうか。
Anteurephiaux : ……えぇっ!
待ってよー。
ぼくも行く!
Equette : あらあら。
……まぁまぁ。
Anteurephiaux : お姉さんが
海岸で見つけたんだよ。
Leporaitceau : この方はとても、お強いらしいです。
モンスターから手に入れたそうですよ。
Equette : …………。
Equette : …………この音……!
Equette : ほら。
あなたも聞いてごらんなさい?
いつも話してあげているでしょう?
Equette : これは、昔の海の音。
……タブナジアの海の音よ……。
Leporaitceau : はぁ……
そうですか。
……どうも。
Leporaitceau : …………。
Leporaitceau : ねぇ。
……ねぇ!
Leporaitceau : ぼく、おっきくなったら
あの海の向こうに行きたいな!
Leporaitceau : とめてもダメだからね!
Leporaitceau : ねぇ!
聞いてるの?
Leporaitceau : ママ!パパ!
……待ってってば……!!
Leporaitceau : …………。
Leporaitceau : ……これは……。
Equette : 大丈夫?
Leporaitceau : はい。
なんとか。
Leporaitceau : ……。
Leporaitceau : この貝は、
ぜひエケットさんが持っていてください。
Equette : いいえ。
私は海の音が聞けただけで十分ですよ。
Leporaitceau : でも、この旅の方も、
同様におっしゃってくれているんです。
Equette : そう言ってくれるなんて
嬉しいのだけれど、いいのかしら?
Leporaitceau : ぜひ。
Anteurephiaux : いいなあ。いいなあ。
いいなあ。いいなあ。
Leporaitceau : ……やれやれ。
君はほら貝のほうが好みじゃなかったかい?
Anteurephiaux : そうだけど。
でも、いいなあ。
Anteurephiaux : 大人だからって
なんだかずるいや。
Leporaitceau : そうかもしれないね。
でもこれは、
エケットさんに差し上げようよ?
Leporaitceau : アントレイフィオが
もう少し大きくなったら、
海に連れていくと約束するから。
Anteurephiaux : うん。
それならいいよ。
Equette : 代わりにはならないかもしれないけれど。
これではどうかしら?
Anteurephiaux : なんなの?これ。
へんなの。
Equette : これはね、
旅する人を導いてくれるお守りですよ。
Equette : これがあったから私は、
今ここにいるのかもしれないわ。
Anteurephiaux : ふーん。じゃあ、
すごいの?これって。
Equette : ええ。
そう思いますよ。
Anteurephiaux : そっかぁ。
Anteurephiaux : でもね、
それなら、このお姉さんが
持ってた方がいいよ!
Leporaitceau : アントレイフィオはいい子だな。
Equette : 私もそう思いますよ。
Anteurephiaux : そうかな?
えへへへ……。
Anteurephiaux : ぼく、早く大きくなって、
お姉さんに負けないボウケンシャになるね!
メメントマフラーを手にいれた!