■ 第5節<神を名乗りて>
突然倒れ、医者のところに運ばれたというプリッシュ。
彼女の病とはいったいなんなのか、そしてそれを治すためには?
■ ジュノ上層・モンブロー医院
Monberaux:さきほど運ばれた
患者の知り合いですか? あ、あなたは確か……。
(Ulmiaが駆け込んで来る)
Ulmia:ここに運ばれた女性の知り合いです!
彼女は!?
Monberaux:ああ、あなたもあのお嬢さんの
お知り合いなのですか。ではご一緒にどうぞ。
Monberaux:ただ……ひどい状態なんです。
意識があるのかないのか、ひどく苦しまれていて……
Ulmia:プリッシュ!
Tenzen:おぬしは!
Monberaux:お知り合いですか?
こちらのご武人は、昏倒したお嬢さんを
ここまで運んできてくださった方です。
Monberaux:こちらの冒険者の方は、
お嬢さんのお知り合いの方のようで……
Ulmia:プリッシュ?
なにがあったのです、プリッシュ?
Prishe:……世界の……
Ulmia:え?
Prishe:……終わりに……
……来る……者……
Ulmia:世界の、終わりにくる者……?
それは……?
Tenzen:!?
(鳳凰丸が鍔鳴りを起こす)
Prishe:呼んで……いる……
……だまれ……
Prishe:……や、やめろ……
Ulmia:アミュレットがない!
Ulmia:アミュレットはどうしたのですか!?
彼女がいつも身につけているアミュレットです!
Tenzen:そのようなものは、
最初からなかったでござるが?
Ulmia:そんな!
Ulmia:そうだわ、PCさん、
あなたの持っているアミュレットをください。
Ulmia:きっとそれが同じ役割を……。
お願いです、プリッシュを助けるために!
Monberaux:一応は、落ち着いて
眠りについていますが、今度は目覚める気配が
一向にありません。いったい、どうしたことか……。
Monberaux:さん、
あのアミュレットのせいなのでしょうか?
Monberaux:あれはあのとき、
ここを逃げ出した少年から渡されたものですよね。
あの不思議な少年ならこの原因を……
Tenzen:その少年とは、もしやあの少年で
ござるか!? ジュノ政府が追っている!?
Monberaux:ええ、
あなたもご存知なのですか?
Tenzen:うむ、ジュノ大公宮にて、
その危険な少年の話を小耳にはさんだでござる。
Tenzen:……なるほど、その少年と同じ
アミュレットを、あのおなごは持っていたので
ござるか。となると、そのために狙われた……?
Ulmia:そんな……。
あのアミュレットは、大聖堂のミルドリオン枢機卿
さまからいただいたものだときいております。
罪人に関係があるものではございません!
Tenzen:ミルドリオン枢機卿……?
Ulmia:はい、プリッシュが小さい頃に
ある事故で大きな怪我を負ったとき、ミルドリオン
枢機卿さまがお守りとしてくださったものだとか。
Ulmia:プリッシュはあれを
肌身離さず持っていないといけないのです。
それなのに、だれがあのアミュレットを……。
Monberaux:やはり、あの少年が
自分のアミュレットを取り戻しにきたのでしょうか。
しかし、あの少年を北方の遺跡「ソ・ジヤ」で
見かけたという話をきいたばかりなのですが……。
Tenzen:なに!? それは本当か!?
Monberaux:……え、ええ。
凍傷の手当てをしたジュノの兵士が
こぼしてましたよ。その知らせを受けて、
親衛隊がボスディン氷河に向けて旅立つとか。
Tenzen:なるほど、
ボスディン氷河にある遺跡「ソ・ジヤ」とやらに
第4の石が!? 早速向かわねばならぬでござる!
Monberaux:あ、お待ちを……!
Monberauq:……「ソ・ジヤ」は、
天晶堂が管理しているはずです。ご出立の前に
許可をいただいたほうがいいかもしれません。
Tenzen:そうでござったか!
かたじけないでござる! ではごめん!
*この後、天晶堂での立ち入り認可を経てソ・ジヤ、異界の口へ。
<BC戦突入>
Tenzen : ……PC殿!
Tenzen : どうでござる!?
ここらで見かけられたという、
あの少年は見つかったでござるか!?
Tenzen : 我輩、この中央塔付近をも
くまなく捜索したものの、少年とやらを
見つけることかなわなかったでござる。
Tenzen : 残ったのは、この先……
!?
Tenzen : これは……この寒気は……
Tenzen : ここは、いったい?
なにかの儀式が行われた場所でござろうか?
Tenzen : ……あれは!?
Tenzen : あのおなごは、
ジュノで休んでいるはずでは!?
Tenzen : ……少年!?
Prishe : おまえ、俺を助けてくれたのか?
Prishe : これを……? あいつに……?
Tenzen : 待て!
おまえがあの少年とやらでござるな!?
Diabolos : 裏切りモノメ!
私からハ 逃げられヌゾ!
Tenzen : 夢の霊獣ディアボロス!?
Tenzen : まさか、既にここは、
彼の夢の中なのでござるか!?
>
Diabolos : いくラ 戦ってモ 無駄ダ。
これモマタ 夢のひとツニ 過ぎなイ。
(倒したはずのディアボロスが何体も現れる。)
Diabolos : 私は 夢を 司るモノ。
どんナ 夢モ 私の夢ト ナル。
さァ 私の夢の世界デ 静かニ 眠れ……
Tenzen : そうはいかぬ!
(テンゼンが刀を抜くと刀身が炎に包まれる。)
Diabolos : ……!?
その炎、フェニックス!?
Tenzen : いかにも、この刀「鳳凰丸」に
宿るは、命の霊獣フェニックスの息吹!
そして我輩は、武士テンゼンと申すもの!
Tenzen : 我輩、そなたたち霊獣の放った警告
「世界の終わりに来る者」が現れんとの言葉を
きき……
Tenzen : 我輩も共に戦わんと、
ひんがしの国から参った次第!
Tenzen : 既に5つの母なる
クリスタルのうち、3つものクリスタルが
「虚ろなる闇」に取り囲まれている……。
Tenzen : さぁ、母なるクリスタルを守る
霊獣として、「虚ろなる闇」を滅するがために、
共に戦おうではないか!
Diabolos : なニ?
虚ろト 戦うダト?
Diabolos : なるホド。
フェニックスは いまダ 半身を 失ってイルノカ。
Diabolos : だからコソ
1万年前の 戦いを忘レ 人ニ
無意味ナ ことヲ させるのカ。
Tenzen : 無意味!?
無意味とはどういうことでござるか!?
Diabolos : 教えて やロウ。
「虚ろなる闇」とハ あるベキ
理に 従って 永遠に あるモノ。
Diabolos : あるベキ 理とハ 魂の理。
「虚ろなる闇」ハ おまえタチ 人の魂ノ
奥底にモ あるモノ なのダ。
Prishe : 俺たちの……?
Diabolos : だからコソ 人は
「虚ろなる闇」かラ 逃れるコトハ できなイ。
Diabolos : 「虚ろなる闇」ノ
傍らニテ おもえにモ 聞こエタ はずダ。
Diabolos : 「虚ろなる闇」ガ 呼ぶ声。
それニ 答えル 自らノ 「虚ろなる闇」ノ声。
Tenzen : あの声が……?
Diabolos : 人よ しかシ
絶望すル 必要ハ なイ。
Diabolos : 1万年前 クリューの民モ
同ジ 絶望に 落とサレ そのたメニ
ここ クリューの街デ 私は 生まレタ。
Diabolos : 私は 夢を 司るモノ。
人は 私の 夢の世界デュナミス にテ
生き続ケル ことガ デキル。
Diabolos : 虚ろニ 体を食わレ それヲ 失ってモ
その心ハ 私ノ 夢の中デ 永遠と 生き続けル。
Diabolos : 「世界ノ終ワリニ来ル者」ガ
現れ もはヤ 人が 滅びニ 抗う術ハ
残されてハ いナイ。
Diabolos : ……さァ 私の夢ヲ 受け入レル のダ。
既に 多くノ 人ガ デュナミスにテ 生きてイル。
Diabolos : そこハ 満ち足りてイテ
争いのなイ 世界ダヨ。
Prishe : だまれ、ばけもの!
誰が夢の中で生き続ける道なんか選ぶか!
Prishe : 勝てない戦いだって!?
そんなのやってみなきゃわかんねぇじゃねぇか!
Diabolos : 女……
おまえモ 「虚ろなる闇」ノ 声ヲ
きいたかラコソ 我が夢ヲ みたはズ。
Diabolos : あの声ヲ 聞いたト いうノニ
「虚ろなる闇」ヲ 恐れぬト いうノカ?
Prishe : へへんだ!
「虚ろなる闇」なんかぜんぜん怖くねぇよ!
Prishe : 俺はダブナジアの戦いでも生き残った!
あきらめさえしなきゃ、人にはいくらでも
生き残るチャンスはあるんだ!
Prishe そうだろ、PC!?
- 「はい」を選択
Diabolos : なんだト?
なゼ 夢ガ 目覚めていク? 私の夢ガ……!?
Diabolos : ……そうカ、なるほド……
我が夢ニ そなたヲ 招いたワケデハ なク
そなたノ 夢ニ 私ガ 招かレタ のカ。
Diabolos : ……となるト
まさカ そノ女 あのトキノ……?
Diabolos : いや しかシ この輝キ……、
この輝キハ……、クリスタルノ……
(画面が白くなり場面が切り替わる。)
(テンゼンが気が付き起き上がる。)
Tenzen : PC殿、大丈夫でござるか?
Tenzen : あの少年は……、
逃げられてしまったでござる……。
Tenzen : あの少年がなぜ、ここにいたのか、
それにディアボロスの言っていたこと……。
Tenzen : ううむ。
わからぬことだらけでござるな。
あのおなごに会いにもう一度、ジュノに戻るでござる。
■ ジュノ上層・モンブロー医院
Monberaux:あの娘さんでしたら、
意識を取り戻しましたよ。
Prishe:いや、そうじゃない。
きっとミルドリオン様は、俺に託したんだ。
Ulmia:託した……? なにを……?
Ulmia:あぁ、PCさん。
プリッシュを助けていただいて本当に
ありがとうございました。
Ulmia:なにが起こったのか、
プリッシュからだいたいの話を聞きました。
Ulmia:彼女は夢の中で、
得体のしれない化け物に捕われていたとか?
Ulmia:あなたとテンゼンさんのおかげで、
プリッシュは意識を取り戻すことができましたが、
彼女のアミュレットは見つからなかった
そうですね……。
Ulmia:アミュレットのことといい、
夢のことといい、私たちの預かり知らないところで
いったいなにが起こっているのでしょう?
Ulmia:PCさん、
あなたはなにかご存知なのではありませんか?
Tenzen:それはこちらが知りたいことでござる!
Tenzen:そなたと共に現れた少年は、
我輩、ジュノ政府、そして殿も
追っている危険な罪人。
Tenzen:あの後、少年は再び姿をくらまし、
いまだジュノ親衛隊もその身を捕らえること
できぬ様子。
Tenzen:プリッシュ殿、答えていただきたい。
何故、あの場所にあの少年がいたのでござる?
あの少年はどこへ行ったのでござる!?
Prishe:……さぁな。俺にだってよくわからねぇ。
とにかくわかったのは、あいつがおっちゃんの
言うような危険な罪人だろうがなんだろうが、
俺はあいつに助けられたってことだけだ。
Prishe:それより俺にとって問題なのは、
あいつよりも、あの化け物の方だぜ! おっちゃん、
あの化け物のこと知ってるみたいだったな?
Prishe:ありゃなんなんだ!?
なんで俺があんな目にあわなきゃなんねぇんだ!?
Tenzen:うむむ……。
ディアボロスは、夢の霊獣でござる。
Ulmia:霊獣、ですか?
Tenzen:霊獣とは、大いなる力を持つ
生ける神々。ここヴァナ・ディールには「5霊獣」
と呼ばれる、5体の生ける神々がいるでござる。
Tenzen:彼らははるかな昔、
ヴァナ・ディールを包み込もうとしていた
悪しき意志からヴァナ・ディールを守るために
戦ったそうでござる。
Tenzen:その5霊獣のひとつは、
我輩の刀「鳳凰丸」に祝福を与えてくださった
再生の鳥フェニックス。
Tenzen:そして、夢の使者ディアボロス、
星月の導きフェンリル、虹の子カーバンクル、
空の覇者バハムート……。
Prishe:バハムートだって!?
Tenzen:バハムートを知っているでござるか?
我輩は「世界の終わりに来る者」を止めるため、
中の国に現れたというバハムートに会わんと、
ひんがしの国より海を渡ってきたでござる。
Ulmia:!
Prishe:そういえば……、
リヴェーヌ岬んとこに登ったとき、
バハムートが「世界の終わりにくる者」が
どーのこーのって喋ってたな。
Ulmia:それにプリッシュ、
あなたも眠りのうちにそう口走っていました。
いったい、「世界の終わりにくる者」とは
なんなのです?
Prishe:……さぁ、俺にもわからねぇ。
でも、おまえたちが来る前に、ディアボロスが
その話をしてた。どうやら、「石の記憶」って
歌に関係してるらしいんだ。
Ulmia:石の記憶……
Prishe:ディアボロスは
「世界の終わりにくる者が現れるとき、
おまえたちが交わした契約が果たされる」
って言ってた。
Prishe:だからあいつに、
バハムートに一刻も早く会えって……。
Tenzen:契約!?
その契約というのは、いったいなんでござる!?
Prishe:残念だけど、
それも俺にはさっぱりわかんねぇよ。
Prishe:ただ、契約のこともあいつのことも、
きっとバハムートが知ってるはずだ。
タブナジアに帰ればきっと……。
Tenzen:タブナジアへ帰れば?
もしや、そなたたちはタブナジアの者でござるか?
Ulmia:ええ。私たちはタブナジアから来たのです。
それも、タブナジアに突然現れたバハムートに
会おうとして、タブナジアからこちらの大陸に
転移させられてしまったのです。
Tenzen:そうでござったか!
しかしそれはまた、なんという幸運か。
Tenzen:我輩、天晶堂のアルドどのに、
タブナジアへわたる船を願い出ていたのでござる。
お二方にはぜひとも、バハムートの元へ道案内を
頼みたいでござる!
Prishe:そうか、アルドが言ってた
客ってのはおまえのことだったのか?
Prishe:よし、じゃあさっそく
タブナジアへの船を出してもらおうぜ!
Tenzen:うむ、そうしようでござる!
Prishe:……そうだ、
それと!
Prishe:言いにくいんだけどよ、このアミュレット
俺にしばらく貸してくれ。
Prishe:タブナジアまで逃げてこれたら、
おまえのこと、かくまってやるからさ?
Prishe:……じゃあな!
End