プロマシアの呪縛/第5章~第8章/永いお別れ

Last-modified: 2012-06-17 (日) 18:21:09

■  第3節 第1小節 みっつの道-永いお別れ

 ムバルポロスに住んでいるガルカの
 協力を得ることができたが、それも
 束の間。
 やはり、獣人と人間はわかりあうこ
 となどできないのか。


■ バストゥーク大工房・シド研究室

Cid:なんだね?
 ルーヴランス君は来てないかって?

Cid:いいや、彼はまだ
 戻ってきてはいないかと思うが?

Corenelia:大変よ、シドおじさま!
 蒸気の羊亭にゴブリンがやってきたらしいわ。
 オグビィさんが追い払ってくれたけど
 けが人が出たみたい!

Cid:な、そんな馬鹿な!
 ヒルダさんは無事か!?

Louverance:[Your name]さん!

Louverance:いっしょに来てください!
 ジャボス殿が、連れ戻されてしまいました!

Raibaht:……!
 ジャボス……が……!?

Cid:ジャボス?
 それは誰のことだね?

Louverance:モブリンどもと一緒に
 ムバルポロスに住んでいるガルカです。

Louverance:100年もの間、
 モブリンと人が争わぬように願い、
 モブリンの面倒を見てきたとか…。

Raibaht:ほうっておけ……、
 あれは、ガルカであることをやめたガルカだ。

Raibaht:今度のことも
 おそらく、自ら蒔いた種にすぎない。

Louverance:そうはいきません。
 セルテウスを捕らえるためには、
 彼の協力が必要なのです。

Louverance:[Your name]さん、行きましょう。
 もう一度、ムバルポロスへ!
 
 
■ ムバルポロス旧市街

Tarnotik:オナエェ、探しるなァ、
 ジャボス。ターノティク、知りるよォ。
 石とるの場所ォ2716ゴウなァ、いるなよォ。

Tarnotik:ジャボス、
 独りなァなりたなとォ、扉な閉めたなよォ。
 黄金のカギないなァ、扉な開かなよォ。
 
 
■ 2716号採石場

Jabbos:おまえらは……!

Jabbos:なぜ……、また来た……?
 おまえらとの……話……終わった……。

Jabbos:モブリンたち……、
 俺が……説得する……。だから……頼む……。
 もうしばらく……待ってくれ……。

Louverance:ジャボス殿、
 もう、目を覚ましてください。

Louverance:あなたは100年もの間、
 ここのモブリンたちを説得しつづけてきた。
 ならばもう、おわかりなのでしょう?

Louverance:獣人と人は、種の起原が
 異なる生き物、いくら話を交わしても、
 理解し合うことはできません。

Jabbos:……。

Louverance:確かに人と獣人、
 ひとりひとりならば、種を超えた
 慈しみが生まれることもあるでしょう。

Louverance:しかし種が集いしとき、
 種のもつ「サガ」は、種全体の意志となり、
 抗うことのできない定めとなる。

Louverance:私たちが捕らえるべき
 あの少年……セルテウスに、彼らは
 決して逆らうことはできません。

Louverance:なぜなら獣人たちは、
 まぎれもなく男神の子であり、あの少年は
 まぎれもなく男神の意志を継ぐ者なのですから。

Jabbos:違う……違うのだ……。
 モブリンたちは……、ただ、そう……、
 信じ込まされたのだ……。

Louverance:信じ込まされた?
 なにをです?

Jabbos:よく……、きいてくれ……。
 モブリンたちは……、はるか昔から……
 光輝く……鉄の巨人を……探していた……。

Jabbos:彼らに……大いなる力を……
 与えるという……言い伝えの……
 鉄の巨人を……探していた……。

Jabbos:だが……、
 モブリンたちは……地の底で……
 鉄の巨人ではなく……石像を……見つけた。

Jabbos:だから……彼らは……
 それを……鉄の巨人だと……思うことにした……。
 けれど……いくら祭っても……大いなる力は……
 もたらされなかった……。

Jabbos:その理由を……求めて……
 モブリンたちは……、地上を目指し……
 人をさらい……、書物を奪った……。

Jabbos:俺は……、それを……
 止めさせるために……旅をして……
 石像のことを……調べた……。

Louverance:石像ですか……。

Jabbos:そして……俺は……、
 あれが……男神の石像だと……知り……
 伝説とともに……モブリンたちに……
 教えてしまった……。

Jabbos:しかしそれは……
 とんでもない……ことだった……。

Jabbos:モブリンたちは……
 自分たちが……男神の子ならば……、
 人を憎み……、殺めるべきだと……
 そう思ったのだ……。

Louverance:だから罪滅ぼしのために、
 彼らと一緒にいるというのですか?

Louverance:しかし、それは無意味なことです。
 自らが男神の子だということに、遅かれ早かれ、
 彼らもいずれは気づいたに間違いありません。

Jabbos:違う……違うのだ……。
 タブナジアの……司祭さまが……、
 あのとき……俺に……教えてくれた……。

Jabbos:人の伝説は……間違っている……。
 モブリンたち……、獣人たちは……、
 男神の子ではないと……

Louverance:そんな……!?

Louverance:女神アルタナの伝説を
 タブナジアの司祭が否定したと!?

Louverance:まさか、そのようなこと……
 血迷ったとしか思えない!

Jabbos:そうではない……。
 司祭さまは……俺に……教えてくれた……。

Jabbos:男神は……獣人が……生まれる……
 ずっと前に……すでに死んでいること……。

Jabbos:でも……いつか……
 男神は……生まれ変わる……。
 世界の終わりを……望んで……。

Jabbos:それまでに……本当の……
 鉄の巨人を……探さないと……ならない……。

Jabbos:本当の鉄の巨人を……
 見つければ……、眠れる神々が……
 モブリンたちを……説いてくれる……。

Louverance:……。

Jabbos:そして……
 司祭さまは……、男神の石像を……
 ここから消してくれた……。

Jabbos:モブリンたちは……、
 あの像を失い……、また鉄の巨人を……
 求めて……地の底へ……争いのない世界へ……
 戻ることが……できたのだ……。

Jabbos:大きな輝く石……見つけるまでは……。

Louverance:それは……!

Chekochuk:ジャボス!
 そォいうコト、だァったんなッ!?

Jabbos:チェコチュク!!!

Movamuq:ジャボス!
 アタィたち、ぜェんぶ聞ィたんヨッ!

Trikotrak:ジャボス!
 オゥレたち、だましてたなッ!?
 オゥレたち、裏ァ切ったなッ!?

Jabbos:モヴァマク、
 トリコトラク……。

Swipostik:ジャボス!
 オゥレたち、とォっても、怒ってるなァ!
 わかるなァ? とォっても、だなァ!

Chekochuk:ジャボス!
 オゥレたち、こォんな怒るゥ、初めてなだッ!
 オゥレたち、だァまされたァ、初めてなだッ!

Jabbos:すまない……
 みな……

Jabbos:俺は……、
 最初……たしかに……
 みなのこと……だました……。

Jabbos:人に……聞いたまま……
 モブリンたちが……男神の子……、
 言ってしまった……。

Jabbos:だから……ずっと……
 俺は……探した……。

Jabbos:本当のこと……
 教えてくれる……、本当の……神さま……

Movamuq:ジャボス!
 アタィたち、もォう、だまァされないヨッ!
 アタィたち、もォう、裏切らァれないヨッ!

Trikotrak:ジャボス!
 オゥレたち、もォう、言葉、でないなッ!
 オゥレたち、もォう、言葉、いらねなッ!

Jabbos:みな……
 待ってくれ……

Swipostik:ジャボス!
 グー・ビォンゴ!

Trikotrak:グー・ビォンゴ!

Movamuq:グー・ビォンゴ!

(立ち去る4人のモブリン)

Jabbos:……。

Louverance:待ってください!

Louverance:ジャボス殿、彼らはなんと?
 それに、どこへ行くつもりなのです?

Jabbos:……。
 俺……、もう、ここには……いられない……。
 俺……、もう、さよなら……言われた……。

Louverance:!
 では、私たちと共に来てください!

Louverance:あなたのその力、
 モブリンたちを救わんとしたその強い意志、
 今度は人のために、使っていただきたい。

Jabbos:人のため……?

Louverance:モブリンたちがそうであったように、
 人もまた男神によって、男神の呪いによって、
 滅ぼされようとしているのです。

Louverance:あなたの言うように
 獣人が男神の子ではないというのならば、
 彼らもまた、男神の呪いにかかっている
 だけなのかもしれません……。

Jabbos:男神の呪い……

Louverance:行きましょう。
 バストゥークにいらっしゃる
 シド殿のところに。

Jabbos:……。

Jabbos:わかった……。俺、行く……。
 でも、それは……、みなのため……。

Jabbos:人だけでなく……
 モブリン……みな……助けるためだ……。
 いいな……?
 
 
■ バストゥーク大工房・シド研究室

Cid:なんということだ!
 「世界の終わりに来る者」とは
 男神の生まれ変わりのことなのか!?

Cid:そのような恐ろしいものを
 相手にしなくてはならんとは! ううむ……!

Cid:その少年セルテウスが
 どこへ行ってしまったのかはわからないのかね?

Cid:モブリンたちに尋ねても、
 答えは得られないのかね?

Jabbos:少年……どこかに……
 行ってしまった……。

Jabbos:だが、モブリンたち……、
 あの少年……戻ってくる……信じて……、
 穴……掘り続けてる……。

Jabbos:男神の……生まれ変わり、
 輝く石まで……連れていくため……。

Louverance:……。

Cid:そうか。
 しかし、このままモブリンたちを
 ほうっておいてもいいのだろうか。

Cid:「世界の終わりに来る者」を
 むざむざと5つ目の母なるクリスタルのもとへと
 やるわけにはいかないぞ。

Jabbos:それは……!?

Louverance:しかしシド殿、私たちには、
 ムバルポロスを敵にまわすほどの猶予はありません。
 バストゥーク共和国は、人に宣戦布告した真龍との
 戦いに備えるべきです。

Louverance:ですから、このまま
 モブリンたちの作業を見守ることにしては
 どうでしょうか。作業が終わる頃に
 セルテウスは戻ってくるはずです。

Cid:しかしその場合、
 5つ目の母なるクリスタルへの道が
 開かれてしまう。危険な賭けだぞ。

Cid:……いや、わかった。
 皆の帰りを待ってみよう。プリッシュ君の話を
 聞いてみなくてはならんし、わしの作業の方も
 まだまだ時間がかかりそうだしな。

Louverance:……?
 シド殿はいったい、なんの作業を?

Cid:はっはっは。
 バハムートのところへ行くために
 わしも道を開こうと思ってな?

Cid:我が悪友からの情報では、
 バハムートは、前人未到の新天地、
 遥かなる雲海の果てにいるそうじゃないか!

Cid:我が愛娘、
 「帰ってきたプリティー戦艦シド号」では雲海の荒波に耐えら
 れん。

Cid:もうちょっといろいろと
 教え込んでやらねばな。このままでは、
 手玉に取られて海に落っこっちまう。

Louverance:なるほど、そうでしたか!
 その大改造の見込みは立っているのですか?

Cid:まぁまぁ、見てなさい。
 うまいこと腕の立ちそうな冒険者を
 見つけて、なんのかのと頼んである。

Cid:……だからおぬしたち、
 ムバルポロスの見張りの方、しっかり頼んだぞ。

Louverance:お任せください。
 ジャボス殿から、ムバルポロスのこと、
 モブリンのこと、いろいろと教えて
 いただきました。

Louverance:信頼できる同志にも
 手を貸してもらい、人手も十分です。

Jabbos:俺たちに……任せる……。
 俺……、ムバルポロス……すべて……知ってる……。

Cid:そうか。
 ジャボス君、よろしく頼むよ。

Louverance:……ところで、シド殿。
 プリッシュさんの消息は、依然として
 わからないのでしょうか?

Louverance:実は途中で、
 罪狩りのミスラの話を聞いたのです。

Louverance:詳細はわかりませんが、
 罪狩りのミスラは、ミルドリオン枢機卿の
 罪を狩るために本国より来たとのこと。

Louverance:しかしミルドリオン枢機卿は
 既に亡いと判断した彼女たちは、その罪を
 プリッシュさんに償わせようとしています。

Cid:うむ、そのミスラたちなら
 ウルミア君と一緒にここへ来たぞ。プリッシュ君は
 彼女たちに見つかってしまったものの、隙を見て
 逃げ出したようだ。

Cid:その際にプリッシュ君は、
 「タブナジアの魔石」と呼ばれる大きな魔晶石を
 持ち去ったようなのだが、それについてなにか
 知らんかね?

Louverance:タブナジアの魔石……。
 20年前の戦争のときに行方がわからなくなって
 いたあの魔晶石の塊を、プリッシュさんが?

Louverance:プリッシュさんは
 いったい、あれをどこへ?

Cid:それがわからんから困っている。
 ウルミア君は彼女の身を案じて、夜も眠れぬほどだ。
 ルーヴランス君でもやはりわからんか。

Cornelia:シドおじさま!
 天晶堂の人から知らせがきたわ!
 プリッシュさんが、ジュノに現れたんですって!

Cid:なんだと?

Cornelia:指名手配されてるということを
 説明したのに、聞く耳もたなかったらしいわ!

Cornelia:プリッシュさんになにがあったの?
 わざわざ捕まりに行ったようなものよ!?

Ulmia:……ジュノ……。
 もしかして、プリッシュはあの方に会いに……?

Cid:ん? なんと言ったのかね?

Ulmia:私、行きます!

Cid:ウルミア君!

Cid:ライバート!
 テンゼン君に連絡してくれ。
 至急、ジュノへ向かうようにな。

Cid:ムバルポロスの見張りは、
 黄金銃士隊にでも任せよう。

Cid:[Your name]君は、
 先にジュノへ向かってくれ。

Cid:プリッシュ君が見つからなかった場合は、
 ジュノ大使館邸辺りで一度集合だ。

Cid:もしも彼女が捕まってしまっていたら、
 あそこに連れてこられているはずだからな。

End


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