■ 第3節 第1小節 みっつの道-永いお別れ
ムバルポロスに住んでいるガルカの
協力を得ることができたが、それも
束の間。
やはり、獣人と人間はわかりあうこ
となどできないのか。
■ バストゥーク大工房・シド研究室
Cid:なんだね?
ルーヴランス君は来てないかって?
Cid:いいや、彼はまだ
戻ってきてはいないかと思うが?
Corenelia:大変よ、シドおじさま!
蒸気の羊亭にゴブリンがやってきたらしいわ。
オグビィさんが追い払ってくれたけど
けが人が出たみたい!
Cid:な、そんな馬鹿な!
ヒルダさんは無事か!?
Louverance:[Your name]さん!
Louverance:いっしょに来てください!
ジャボス殿が、連れ戻されてしまいました!
Raibaht:……!
ジャボス……が……!?
Cid:ジャボス?
それは誰のことだね?
Louverance:モブリンどもと一緒に
ムバルポロスに住んでいるガルカです。
Louverance:100年もの間、
モブリンと人が争わぬように願い、
モブリンの面倒を見てきたとか…。
Raibaht:ほうっておけ……、
あれは、ガルカであることをやめたガルカだ。
Raibaht:今度のことも
おそらく、自ら蒔いた種にすぎない。
Louverance:そうはいきません。
セルテウスを捕らえるためには、
彼の協力が必要なのです。
Louverance:[Your name]さん、行きましょう。
もう一度、ムバルポロスへ!
■ ムバルポロス旧市街
Tarnotik:オナエェ、探しるなァ、
ジャボス。ターノティク、知りるよォ。
石とるの場所ォ2716ゴウなァ、いるなよォ。
Tarnotik:ジャボス、
独りなァなりたなとォ、扉な閉めたなよォ。
黄金のカギないなァ、扉な開かなよォ。
■ 2716号採石場
Jabbos:おまえらは……!
Jabbos:なぜ……、また来た……?
おまえらとの……話……終わった……。
Jabbos:モブリンたち……、
俺が……説得する……。だから……頼む……。
もうしばらく……待ってくれ……。
Louverance:ジャボス殿、
もう、目を覚ましてください。
Louverance:あなたは100年もの間、
ここのモブリンたちを説得しつづけてきた。
ならばもう、おわかりなのでしょう?
Louverance:獣人と人は、種の起原が
異なる生き物、いくら話を交わしても、
理解し合うことはできません。
Jabbos:……。
Louverance:確かに人と獣人、
ひとりひとりならば、種を超えた
慈しみが生まれることもあるでしょう。
Louverance:しかし種が集いしとき、
種のもつ「サガ」は、種全体の意志となり、
抗うことのできない定めとなる。
Louverance:私たちが捕らえるべき
あの少年……セルテウスに、彼らは
決して逆らうことはできません。
Louverance:なぜなら獣人たちは、
まぎれもなく男神の子であり、あの少年は
まぎれもなく男神の意志を継ぐ者なのですから。
Jabbos:違う……違うのだ……。
モブリンたちは……、ただ、そう……、
信じ込まされたのだ……。
Louverance:信じ込まされた?
なにをです?
Jabbos:よく……、きいてくれ……。
モブリンたちは……、はるか昔から……
光輝く……鉄の巨人を……探していた……。
Jabbos:彼らに……大いなる力を……
与えるという……言い伝えの……
鉄の巨人を……探していた……。
Jabbos:だが……、
モブリンたちは……地の底で……
鉄の巨人ではなく……石像を……見つけた。
Jabbos:だから……彼らは……
それを……鉄の巨人だと……思うことにした……。
けれど……いくら祭っても……大いなる力は……
もたらされなかった……。
Jabbos:その理由を……求めて……
モブリンたちは……、地上を目指し……
人をさらい……、書物を奪った……。
Jabbos:俺は……、それを……
止めさせるために……旅をして……
石像のことを……調べた……。
Louverance:石像ですか……。
Jabbos:そして……俺は……、
あれが……男神の石像だと……知り……
伝説とともに……モブリンたちに……
教えてしまった……。
Jabbos:しかしそれは……
とんでもない……ことだった……。
Jabbos:モブリンたちは……
自分たちが……男神の子ならば……、
人を憎み……、殺めるべきだと……
そう思ったのだ……。
Louverance:だから罪滅ぼしのために、
彼らと一緒にいるというのですか?
Louverance:しかし、それは無意味なことです。
自らが男神の子だということに、遅かれ早かれ、
彼らもいずれは気づいたに間違いありません。
Jabbos:違う……違うのだ……。
タブナジアの……司祭さまが……、
あのとき……俺に……教えてくれた……。
Jabbos:人の伝説は……間違っている……。
モブリンたち……、獣人たちは……、
男神の子ではないと……
Louverance:そんな……!?
Louverance:女神アルタナの伝説を
タブナジアの司祭が否定したと!?
Louverance:まさか、そのようなこと……
血迷ったとしか思えない!
Jabbos:そうではない……。
司祭さまは……俺に……教えてくれた……。
Jabbos:男神は……獣人が……生まれる……
ずっと前に……すでに死んでいること……。
Jabbos:でも……いつか……
男神は……生まれ変わる……。
世界の終わりを……望んで……。
Jabbos:それまでに……本当の……
鉄の巨人を……探さないと……ならない……。
Jabbos:本当の鉄の巨人を……
見つければ……、眠れる神々が……
モブリンたちを……説いてくれる……。
Louverance:……。
Jabbos:そして……
司祭さまは……、男神の石像を……
ここから消してくれた……。
Jabbos:モブリンたちは……、
あの像を失い……、また鉄の巨人を……
求めて……地の底へ……争いのない世界へ……
戻ることが……できたのだ……。
Jabbos:大きな輝く石……見つけるまでは……。
Louverance:それは……!
Chekochuk:ジャボス!
そォいうコト、だァったんなッ!?
Jabbos:チェコチュク!!!
Movamuq:ジャボス!
アタィたち、ぜェんぶ聞ィたんヨッ!
Trikotrak:ジャボス!
オゥレたち、だましてたなッ!?
オゥレたち、裏ァ切ったなッ!?
Jabbos:モヴァマク、
トリコトラク……。
Swipostik:ジャボス!
オゥレたち、とォっても、怒ってるなァ!
わかるなァ? とォっても、だなァ!
Chekochuk:ジャボス!
オゥレたち、こォんな怒るゥ、初めてなだッ!
オゥレたち、だァまされたァ、初めてなだッ!
Jabbos:すまない……
みな……
Jabbos:俺は……、
最初……たしかに……
みなのこと……だました……。
Jabbos:人に……聞いたまま……
モブリンたちが……男神の子……、
言ってしまった……。
Jabbos:だから……ずっと……
俺は……探した……。
Jabbos:本当のこと……
教えてくれる……、本当の……神さま……
Movamuq:ジャボス!
アタィたち、もォう、だまァされないヨッ!
アタィたち、もォう、裏切らァれないヨッ!
Trikotrak:ジャボス!
オゥレたち、もォう、言葉、でないなッ!
オゥレたち、もォう、言葉、いらねなッ!
Jabbos:みな……
待ってくれ……
Swipostik:ジャボス!
グー・ビォンゴ!
Trikotrak:グー・ビォンゴ!
Movamuq:グー・ビォンゴ!
(立ち去る4人のモブリン)
Jabbos:……。
Louverance:待ってください!
Louverance:ジャボス殿、彼らはなんと?
それに、どこへ行くつもりなのです?
Jabbos:……。
俺……、もう、ここには……いられない……。
俺……、もう、さよなら……言われた……。
Louverance:!
では、私たちと共に来てください!
Louverance:あなたのその力、
モブリンたちを救わんとしたその強い意志、
今度は人のために、使っていただきたい。
Jabbos:人のため……?
Louverance:モブリンたちがそうであったように、
人もまた男神によって、男神の呪いによって、
滅ぼされようとしているのです。
Louverance:あなたの言うように
獣人が男神の子ではないというのならば、
彼らもまた、男神の呪いにかかっている
だけなのかもしれません……。
Jabbos:男神の呪い……
Louverance:行きましょう。
バストゥークにいらっしゃる
シド殿のところに。
Jabbos:……。
Jabbos:わかった……。俺、行く……。
でも、それは……、みなのため……。
Jabbos:人だけでなく……
モブリン……みな……助けるためだ……。
いいな……?
■ バストゥーク大工房・シド研究室
Cid:なんということだ!
「世界の終わりに来る者」とは
男神の生まれ変わりのことなのか!?
Cid:そのような恐ろしいものを
相手にしなくてはならんとは! ううむ……!
Cid:その少年セルテウスが
どこへ行ってしまったのかはわからないのかね?
Cid:モブリンたちに尋ねても、
答えは得られないのかね?
Jabbos:少年……どこかに……
行ってしまった……。
Jabbos:だが、モブリンたち……、
あの少年……戻ってくる……信じて……、
穴……掘り続けてる……。
Jabbos:男神の……生まれ変わり、
輝く石まで……連れていくため……。
Louverance:……。
Cid:そうか。
しかし、このままモブリンたちを
ほうっておいてもいいのだろうか。
Cid:「世界の終わりに来る者」を
むざむざと5つ目の母なるクリスタルのもとへと
やるわけにはいかないぞ。
Jabbos:それは……!?
Louverance:しかしシド殿、私たちには、
ムバルポロスを敵にまわすほどの猶予はありません。
バストゥーク共和国は、人に宣戦布告した真龍との
戦いに備えるべきです。
Louverance:ですから、このまま
モブリンたちの作業を見守ることにしては
どうでしょうか。作業が終わる頃に
セルテウスは戻ってくるはずです。
Cid:しかしその場合、
5つ目の母なるクリスタルへの道が
開かれてしまう。危険な賭けだぞ。
Cid:……いや、わかった。
皆の帰りを待ってみよう。プリッシュ君の話を
聞いてみなくてはならんし、わしの作業の方も
まだまだ時間がかかりそうだしな。
Louverance:……?
シド殿はいったい、なんの作業を?
Cid:はっはっは。
バハムートのところへ行くために
わしも道を開こうと思ってな?
Cid:我が悪友からの情報では、
バハムートは、前人未到の新天地、
遥かなる雲海の果てにいるそうじゃないか!
Cid:我が愛娘、
「帰ってきたプリティー戦艦シド号」では雲海の荒波に耐えら
れん。
Cid:もうちょっといろいろと
教え込んでやらねばな。このままでは、
手玉に取られて海に落っこっちまう。
Louverance:なるほど、そうでしたか!
その大改造の見込みは立っているのですか?
Cid:まぁまぁ、見てなさい。
うまいこと腕の立ちそうな冒険者を
見つけて、なんのかのと頼んである。
Cid:……だからおぬしたち、
ムバルポロスの見張りの方、しっかり頼んだぞ。
Louverance:お任せください。
ジャボス殿から、ムバルポロスのこと、
モブリンのこと、いろいろと教えて
いただきました。
Louverance:信頼できる同志にも
手を貸してもらい、人手も十分です。
Jabbos:俺たちに……任せる……。
俺……、ムバルポロス……すべて……知ってる……。
Cid:そうか。
ジャボス君、よろしく頼むよ。
Louverance:……ところで、シド殿。
プリッシュさんの消息は、依然として
わからないのでしょうか?
Louverance:実は途中で、
罪狩りのミスラの話を聞いたのです。
Louverance:詳細はわかりませんが、
罪狩りのミスラは、ミルドリオン枢機卿の
罪を狩るために本国より来たとのこと。
Louverance:しかしミルドリオン枢機卿は
既に亡いと判断した彼女たちは、その罪を
プリッシュさんに償わせようとしています。
Cid:うむ、そのミスラたちなら
ウルミア君と一緒にここへ来たぞ。プリッシュ君は
彼女たちに見つかってしまったものの、隙を見て
逃げ出したようだ。
Cid:その際にプリッシュ君は、
「タブナジアの魔石」と呼ばれる大きな魔晶石を
持ち去ったようなのだが、それについてなにか
知らんかね?
Louverance:タブナジアの魔石……。
20年前の戦争のときに行方がわからなくなって
いたあの魔晶石の塊を、プリッシュさんが?
Louverance:プリッシュさんは
いったい、あれをどこへ?
Cid:それがわからんから困っている。
ウルミア君は彼女の身を案じて、夜も眠れぬほどだ。
ルーヴランス君でもやはりわからんか。
Cornelia:シドおじさま!
天晶堂の人から知らせがきたわ!
プリッシュさんが、ジュノに現れたんですって!
Cid:なんだと?
Cornelia:指名手配されてるということを
説明したのに、聞く耳もたなかったらしいわ!
Cornelia:プリッシュさんになにがあったの?
わざわざ捕まりに行ったようなものよ!?
Ulmia:……ジュノ……。
もしかして、プリッシュはあの方に会いに……?
Cid:ん? なんと言ったのかね?
Ulmia:私、行きます!
Cid:ウルミア君!
Cid:ライバート!
テンゼン君に連絡してくれ。
至急、ジュノへ向かうようにな。
Cid:ムバルポロスの見張りは、
黄金銃士隊にでも任せよう。
Cid:[Your name]君は、
先にジュノへ向かってくれ。
Cid:プリッシュ君が見つからなかった場合は、
ジュノ大使館邸辺りで一度集合だ。
Cid:もしも彼女が捕まってしまっていたら、
あそこに連れてこられているはずだからな。
End