各話メモ/第5章

Last-modified: 2024-01-18 (木) 00:22:08

第5章 そして夜が明けたあと、百億の怒り

5-0 エレクトラには向いてない

エレクトラ

wikipedia>エーレクトラー

復讐劇の主役。前章で言及されたギリシア悲劇オレステイアにも登場する。

Wikipedia>エレクトラ・コンプレックス

エディプスコンプレックスの女児の場合を言い、女児が父親に対して強い独占欲的な愛情を抱き、母親に対して強い対抗意識を燃やす状態を指す

キニス
ラテン語で灰
  • 「これは珊瑚の角が生えた蛙の世界に行ったときの土産だ。大海蛇の魔の手から助けた姫君にいたく気に入られた俺は、彼女の愛の証であるこの見事な珊瑚の角と情熱的な接吻を賜った。
    珊瑚の角は、バル・ア・ムントの槍にも使われている。
    本当に助けた礼の品なのだろうか?
    ゆらぎの神話百科事典>ジヌイービ
  • 「ざまあ見ろクソジジイども、秩序派(ディスケイム)が仇敵である混沌派(クロウサー)にただひとつだけ劣っていた『根源に至る鍵』をこの俺が手に入れたんだ! 数多の異界を渡り歩き、弔いの祭司(イヴァダスト)の死せる悪夢の中でようやく見つけた。この藍神(クリマ)の母体さえあれば、俺はもう落伍者なんかじゃない」
    ゆらぎの神話百科事典>イヴァ・ダスト
  • 「ペラティアの血統なんざ呪いでしか無かったが、お前たちのためなら俺はいくらでも王族をやってやる。博物城は君臨するための王を育てるための揺り籠であり祭壇でもある。俺が竜の冠を被り、トライデントの細胞として威光を振りかざせば、ディスケイムだろうがクロウサーだろうがリーヴァリオンだろうが手出しは出来ない」
    ゆらぎの神話百科事典>ペラティア
    リーヴァリオン皇についてはアリス・イン・カレイドスピア?に記述あり。
  • 「実は、お前には会わせたい子がいるんだ。ずいぶん前に『上』で『子宮』を見つけた。ノーグの末裔だ。
    ティエポロス

5-1 枯れ木激して死灰に至り、苗木人立ちて雲路を砕く

  • 竜神信教と槍神教は不倶戴天の敵同士だ。その図式はほぼ『上』と『下』の対立の構図を引き写したものである。
ラハブ

Wikipedia>ラハブ

ラハブの家は赤い紐によって見分けられた。このことから、後世の娼館では客に業種を示すため赤い看板が窓に取り付られけた。またタルムードでは、「ラハブ」という名前は「男を射精させること」に関連があるとしている。

別の意味としては、詩篇やイザヤ書に登場する海の怪物。紅海に生息し、レヴィアタンと同一視される。

  • 東京ビックサイト

    たとえば小さな箱型建造物の上に巨大な逆三角形が屹立し、更にその上に橋が築かれて虚空に開いた『扉』へと繋がっていたり。

  • あそこの露店で牽牛種(アステリオス)の錬金術師が牛黄(ごおう)を売っていたわ! やっぱり自分の胆嚢から取り出したのかしら?」
    コトバンク>牛黄
  • とはいえ自分産の呪物で小遣い稼ぎをするのは誰でもやっている。
  • 『ペリュトンの鹿茸(ろくじょう)』と言って生えかけの袋角を売ろうかなと冗談を言うくらいだ。
    コトバンク>鹿茸
  • このままだと第五階層における丐幇(かいほう)の類に目を付けられるのも時間の問題だ。
    Wikipedia>丐幇
  • 泥や砂埃に塗れて薄汚れたキノコ人間は片腕を無くしていた。

    信仰上の理由や生理的嫌悪感から義体化技術を拒絶した者。

  • 呪物分析アプリ『犬のお巡りさんのきもち』
  • 合法のやつなら普段からな。近頃はキノコ由来らしい新薬にハマッているが
  • 自転車で空飛ぶおじさんもぬめぬめクラゲも見えない。虹色の音楽もだ
    自転車で空を飛ぶのは、映画『メリーポピンズ リターンズ』?
    はてなキーワード>メメクラゲ
    たぶんポケモンのメノクラゲの元ネタも同じ
    虹色の音楽はアニメ『プリティーリズム・レインボーライブ』ネタ。
    共感覚持ちの主人公は、音楽の色が見える。
    また、緊張のあまり世界が灰色に見えるようになったこともあった。
    Wikipedia>プリティーリズム・レインボーライブ
  • なあに、ちょっとばかし喚いたりするかもしれねえが、どうせカスの隠花
  • 「暴れシナモリアキラだ! 暴れシナモリアキラが出たぞー!」
    幾原文脈ふたたび
  • 「どうか気をお鎮め下さい! その対の竜角、さぞ名のある戦士とお見受けしますが、なぜそのように荒ぶるのです?!」
    宮崎駿『もののけ姫』序盤、アシタカのタタリ神に対する台詞が元ネタと思われる
    『もののけ姫』は銃や鉄によって自然や獣が駆逐される時代の物語。デイダラボッチ(シシ神)≒夜の民?
  • 蜥蜴人には無数の氏族が存在しているが、中でも『溶岩を母とするもの』『溶岩から生まれたもの』を名乗る灰混じりで黒い鱗の氏族といえばジャドナゲンをおいて他に無い。
    ゆらぎの神話百科事典>ジャドナゲン
  • 都市国家ザドーナ
    アリス・イン・カレイドスピア?
  • 『アルト』の名前が出た瞬間、ユディーアはわずかに息を止めた。
  • この場で『メイファーラ』を名乗っている以上、無関係の名前に反応するのはおかしい。たとえ自分の中に流れるペラティアの血が遠い因縁を感じているのだとしても、それを悟られてはならない。
    ミルーニャの分析ミス(メイファーラの出自を知らなかったため?)
    アルトの血を引くユディーアにも、第五階層の王位継承権がある?
  • 誇らしき灰蜥蜴人の王国ペラティアは滅びた!
  • 銃や汚染呪詛、化学兵器のように規制されるべきなのでは?
    化学兵器も規制されてる
  • 百会(ひゃくえ)肝兪(かんゆ)太衝(たいしょう)内閲(ないかん)神門(しんもん)、いずれかあるいは全てを突いて怒気を鎮める。
    怒りを鎮めるツボ
  • 確か竜導師は戒律で殺生禁止だったからちょうどいいや。ラズに押し付けよっと」
    ラズリ=ジャッフハリム、店員さんのこと。
槁木死灰

goo辞書>槁木死灰

身も心も生気がまったくなく、何の働きもしないたとえ。無欲で無心なさま。

5-2 怒りについて(前編)

  • 怒りについて
    怒りについて
    炎は黄金を証明するのセネカ著。賢者は怒らないんだよねーって話。
  • たくさんあったはずの、かけがえのないものたち。
    • それらが、たった一つの『価値あるもの』に出会ってしまっただけで無価値なものに変わってしまっただなんて、そんなのは残酷すぎる。
    • だから『ユディーア』となるべく育てられた少女はこう考えるようにした。
    • ユディーアは最初から価値あるものなど何も持っていなかったのだ、と。
  • 「いやいや。機械女王に封じられてねえ
    領地を与えて支配者にする方の「ほうずる」だと思われる。
    グレンデルヒやオルヴァのように、マレブランケ任命は封印を兼ねているとも言えるが。

『そんなふうに怒らないで、落ち着いて話をしよう』という冷静な振る舞いは、怒りの価値を貶める。

  • なぜか街路の端で黒檀の民と握手をしていた連れに声をかける。
  • 赤亜竜の仮面を被った天眼の民男性
    『憤怒の相』を意味する仮面。最後に見たのは博物城
  • ユディーアは裏切り者だ。
    • 栄えあるレストロオセ四十四士の末裔として『ユディーア』を襲名していながら、あろうことか対立する派閥の竜神信教と通じているのだ。
    • 『下』の大国ジャッフハリムには二つの勢力があり、互いに主導権を奪い合っている
  • しかしながら、四十四士のひとりが主君レストロオセをその手にかけ逃亡するという事件が起きてからジャッフハリム国内では両派の間で緊張が高まっている。
    カーイン
    ただしこの暗殺には裏がある模様
  • 『塔』で競い合った旧友ラズリこと、竜神信教では巫女の同期生だったフィレクティはこんな事を言っていた。
    ラズリフィレクティ確定
  • ユディーアは裏切り者だ。
    • いったい誰を裏切っているのだろう、と彼女はよく考える。
    • 裏切りを自覚するほどの『自分』が果たしてユディーアの中に存在しているのだろうか。
    • あたしは、どこに立っているつもりなの?
  • 何かをしても成し遂げたという実感が無い。
    • このまま空虚な達成もどきを成し遂げた気になって、虚無感のまま死ぬ。
    • そんな予感がずっと彼女の足を引いている。
  • 色が無いのだ。最初は素晴らしく美しいと感じられた使命。人生を賭けるに値すると思わせてくれるほどの価値ある運命。共に苦難を乗り越えたことで育まれた唯一無二の絆。
    • だがそれも時間と共に色褪せていく。
    • 何もかも、モノトーンに変わっていく。
  • 聖妃レストロオセは配下に裏切られ、致命的な呪いに倒れた。
    • 強大な死の呪いが運命を規定している以上、暗殺の呪詛はもはや効果をなさない。
    • 面会謝絶のまま誰の前にも現れない以上、その動きは誰にも掴めない。
  • カーイン真実が語られる
  • この男がたとえに出してきたシナモリアキラやサイバーカラテに感じていた不快さの正体が、いまわかった。
    • 空虚なのだ。この男と同じく、価値が無い。
    • それどころか、あったはずの価値を玩弄し、貶めてすらいる。
  • ユディーアは思う。
    • 復讐は無価値だ。けれど、かつて価値があったことを示す手段は復讐しかない。
    • それが過去、どれだけ大切なものであったのか、それが失われたことでどれだけの嘆きと怒りと憎しみが生まれたのか、それを証明するのが復讐だ。
  • あるはずのない楽園を奪われたものは、怒りを信じて血と闘争に酔うしかない。

5-3 自称、幼馴染み

  • 「黒い、角?」
  • 漆黒の肌、苦痛に歪んだ顔、その額から生えているのは二本の角だった。
  • 位置の問題でユディーアの角とは呪術的にやや意味合が異なる。『頭の一部』ではなく『顔の一部』とされる器官だ。

5-4 裏切り者の誓い

  • ア、レオとカー、オ
    検索よけ。アキレオとカーレオ
  • 「承知の通り、これから九日間の『祝祭』が始まる。
    • 最初の三日で『血脈』のクロウサーが動く。続いて『口舌』の手足たる『司書』たちが、最後に『両足』のセレクティフィレクティが救世主奪取に動く。
    • 更にリーヴァリオンの残党が『子宮』の中に潜んでいるはずだ。
    • この世界に干渉し、『心臓』の掌握を狙う上位細胞。
  • クロウサー、ディスケイム、リーヴァリオン。救世主を守るということは、これら超越者たちと敵対するということに等しい
  • そう、問題は来訪者たちだ。人知を超越した異界の神々。
    ゆらぎの神話百科事典>飛来神群
  • 『主という使い魔を操る』などという主従の逆転があってはならない。
  • 幼い救世主は正しく成長し、使い魔たちを導く善き王に成長する。
  • これこそが苦しみの中にある人類が望んだ正しい救済の物語だ。
    シナモリアキラとトリシューラの関係性との、明確な差異?

    はじめにトリシューラは行為の主体を自らに設定した。それは行為の責任を全て機械であるトリシューラが担うということを意味する。だがそれだけでは使用されたいという俺の意思や欲望に従っているだけだ。責任や意思、決断すら他者に委ねるというだらしのない欲望に。それは俺みずからが彼女を道具と見なしてその人格を否定しているに等しい。

    反照して、欲望を相手に向ける。絶えざる相互参照によって、双方向的に欲望を取り交わす。人と機械である俺たちは、どうあっても非対称性の中から逃れられない。対等ではいられないし、いつだって一方的に欲望を向けて、相手の人格や尊厳を損なってしまう。

    だから、せめてその向きを変えるのだ。非対称の向きを変え、上下関係を交互に入れ替え、要求を受け入れては拒絶し、利用して利用される。

    そのように変化し続ける構図すらも人と機械という非対称性の断絶の前にはやがて力を失うだろう。ゆえにトリシューラは『人になること』を指向し続けなければならない。いつか人として完成したとき、彼女は逃れがたい非対称の絶対的上位に立つことができるだろう。であれば、俺が目指すべき道は一つしかない。

    俺は『機械になること』を指向すればいい。道具になり、誰かに使われることを己に課し続ければいい。不可避的に非対称性の中に組み込まれ、絶対的下位に置かれる、そんな存在になることが、俺の暴力性を制御するための道になるはずだ。

    俺たちの関係性は古典的な人と道具の力関係を転倒させたものだ。それがひっくり返ったとき、そこには「人同然の道具」が「道具同然の人」を使うという、当たり前のようで転倒している、錯綜した絵図が出来上がるのだろう。

    それは当たり前の光景過ぎて、一周回って面白いかもしれないと、俺は思った。
    (幕間 『棒(ワンド)』/引用者による中略・抜粋済み)

  • 「『子宮』、そして生まれたばかりの『心臓』を君たちは守り抜かなければならない。僕が選んだ『正しい語り手』たちと合流させ、物語を紡ぐんだ。君たち四人の『妖精の運び手』はそれぞれが正しい道への案内人。誰かが道を見失っても他の誰かが正しい道を示す、そういうふうにできている」
    • 救世主の未来を憂いたルーシメアは正しい道をあらかじめ用意しておくことに決めた。
    • 単一の道、単一の視座では傀儡にするのと同じだ。
    • ゆえに用意されたのは『四つの視座』、すなわち理の妖精を宿した語り手たちの物語。
    • 君たち『運び手』は『語り手』も同時に守らねばならない。すなわちアズーリア、セリアック=ニア、クレイ、そしてシナモリアキラ、この四人のことを
      福音書>Wikipedia
  • 「当然だけど、救世主トリアイナを細胞のコントロール下に置かないようにするというのは『天眼』と『脳』も含んだ話だ。その時間の僕が干渉しようとしたら、カーイン、君が止めなければならない。わかってるね?」
    未来のルーシメアVS現在のレオの対決の構図。
  • そして、『脳』と『髪』は同盟関係にある。
  • セリアたちは『呪文の座』に与するふりをしながら『使い魔の座』として動くことになります
  • そして表向きはガロアンディアンを本拠地とする『杖の座』とも共闘するという姿勢も維持しなければならない。二人の立場は不安定な上に流動的だった。
  • 第二細胞クナータが転生したのち、第一細胞トリアイナの守護者にして筆頭使い魔を任じられるのはユディーアである。
  • 「だからあたしは魔女の敵。全ての魔女は、はじめから競い合う好敵手なんだから」
  • 目を瞑って身体を震わせながら、舌を出して悶絶していた。どうやらまだ熱かったようだ。
    猫舌。
  • 「そもそも、セリアは変な語尾でキャラ付けしたり妙な鳴き声で可愛さをアピールするのはどうかと思います。にあ」

    「自分の名前を一人称に使うような、幼児性とかわいらしさを取り違えた女がハルは嫌い」(3-4 天の鴉と月の兎)

5-5 第一の誘拐

  • 死せるイヴァ=ダストの見る夢から溢れ出した暗黒の力が迫っている」
  • 「異界の理に尋常な手段で対抗してはならぬ。夢には悪夢。灰には炎。氷にはまなざし。邪神どもに力で勝つことはできぬものと深く心に刻め」
  • 二番目の月イヴァ=ダストは飛来神群、あるいは来訪者と呼ばれる異界の神々が住まうとされている隣接異界である。そしてこの世界で長い歴史を持つクロウサー家、リーヴァリオン家、ディスケイム家といった血脈の祖は来訪者であるという伝承があり、それは事実だった。
  • 「スキリシアと槍神教圏との緊張は高まっています。下手をすると全面戦争に発展しかねないほどに。最悪の場合、アズーリアは自分の故郷や同胞と戦うことに」
  • 新しい景色を映し始めた聖女の瞳から、血の涙が流れ落ちていく。ユディーアはこの現象を知っている。記憶が歪み始めているのだ。
  • 「なあに、これ。この記憶は何、わからない、虹と洞窟、お花と氷、それにとっても綺麗な蝶々? こんなの違う、おかしいわ。お母様は、違う人よ!」
  • 聖女の記憶に存在する『母』の姿が書き換わったということは、彼女の子であり転生先である救世主の存在が変質したということだ。
  • 「どこさ行ったアルテミシア。もう素体がおめえしかいねえだよ。あの娘っこを組み込んで、今度こそ完璧なベフォニス王をこさえるだ。おらの、おらの王国、おらの第五階層ぅ」
    アルテミシア
  • 「相変わらずね宝石の悪魔。女王ディミラッサを誑かした時のように、その娘も沈黙のままに操っているのですか。同じ猫の取り替え子とはいえ、獅子王の代わりにはなりませんのに」
    ディミラッサ>ゆらぎの神話百科事典
  • テテリビナという言葉の意味を麗人は知っている。それは致命的な証明だった。
    • 表向き霊長類系の無徴種族ということになっている勇士カーイン。その秘密を知るのは四十四士でもごく一部に限られる。
    • 歩行する巨大な花。そうとしか言い様のない姿は紛れもなく『テテリビナ』の自称に違わぬ彼らの本質だった。すなわち世界がまだずっと単純だった頃、物質界の楔を植物に選んだ原初の妖精アールヴたち、『花のアヴロノ』の生き残りである。
  • 「咲き誇れ、『妖華絢爛螺衣光鞭ビューティーウィップ』!!」
    『幽☆遊☆白書』の蔵馬の技である薔薇棘鞭刃(ローズ・ウィップ)から。
    先祖返り≒前世の姿に戻る点や敵を植物の養分にする点も、蔵馬のオマージュだと思われる。
    螺衣光鞭(らいこうべん)も安能版『封神演義』のオマージュか。
    蔵馬>Wikipedia
    雷公鞭>ピクシブ百科事典
  • 「凍レ、『氷血のコルセスカ』」 
  • 「こノ屈辱をよく覚エておけ、キニス・ペラティア・ディスケイム。そシて魂に刻メ。俺の名はアルティウス。ガロアンディアンを破壊スる、新シい亜竜王の名前だ」
  • 「それでは、楽しい言震兵器の準備を続けましょうか。この堕落した都を破壊するために」

5-6 神話の子供たち

  • 占い師たちは逆さまの森が灯す不可思議な光を使った『第五階層だけの星読み』で顧客を獲得しようとそれぞれ裏路地や四つ辻に陣取って競い合うように商売を始めた。
  • 『豚好きハデス』様のお噂は耳にしておりますが、
  • 「驚則気乱、わたわたパンチ」
    腎臓(はらわた)破壊でわたわた
  • 死にかけの男が奥歯で何かを噛み潰す。
    スパイ映画などで、仕込んだ毒薬を潰して自害するお約束。
  • 「ここでシリアスな本編からちょっと離れましてー! 楽しい気晴らし(ディヴェルティスマン)をご覧入れましょうー!
    ディヴェルティメント>Wikipedia
  • 「前向きだね。リーナのノリと相性が良さそう。だからかな」
  • 彼女こそ、竜神信教における第五の巫女エスメラルダ。
  • 間もなく始まる『祝祭』に備えて呼び出された竜神信教派の切り札である。
    龍帝の巫女>ゆらぎの神話百科事典
  • 最も怪しいのは『使い魔』だ。トライデント内部の勢力争い。
  • 故に、ユディーアは敗北後に意識を取り戻してからリーナたちに連絡を取っていなかった。
  • 敵がクロウサーである可能性が存在するためだ。
  • 『アルティウス』という名乗りを思い出す。彼が『本物』なら、『槍の民』が動き出したということも有り得た。
  • 「可能性の枝は四つ。ああ、話が繋がりました。聖女様の居場所は『占い師狩り』を意欲的に行っている方々の拠点。『公社』に抵抗を続ける辺境区の四大ギャングたちですね」
    • 迷宮刑罰者が結成した探索者集団、『ゴーリーズ』。
    • ネビロン氏族の半妖精が結成した組織犯罪集団、『十戒』。
    • 黒檀の民による互助組織、『ハルムシオンの風』。
    • ティリビナ人たちによる自治独立を訴える組織、『ティリビナ同胞団』。
  • 「『同胞団』に関しては私に任せてください。竜神信教はティリビナ人コミュニティへの布教も行っていますので、こっそり内情を探るくらいのお手伝いはできそうです」
  • 「しゅぴんと託宣来ました! 竜帝様がその四人の名前なら帝城の宣名碑に刻印されてるって教えてくれましたよ!」
    • 彼女が司るのは第五の創世竜、竜帝ガドカレク。『最も偉大』とされる帝王の紀竜である。
    • 竜帝が司るこの『権威』や『名声』といった呪力はその人物が高名な英雄や偉人であればあるほど高まる。
      ガドカレク>ゆらぎの神話百科事典
  • 虹国(ヴァルニア)の言語支配者、『傘の魔女』ライラ・ラプス。ベフォニス王家の千年摂政、『双頭』ノゴルオゴルオ。ティリビナ人の大脱出を成功に導いた英雄、『花のアヴロノ』スーリウム。そして守護の九槍『元』第六位、『竜牙槍』アルティウス。ただアルティウスは故人で、騙りか再生者かわからないです」
    ライラプス>Wikipedia
    ノゴルオゴルオは、【オルゴーの滅びの呪文】のアナグラム?
  • 「トロル王国の双頭政治って世界史で習ったけど、比喩じゃなかったんだ」
    Wikipedia>二頭政治
  • 「『はじまりの子供』。神が『人類』の呪文で創造した眷族種の祖だね。
  • 「そして当然、テテリビナも最古の妖精ですね。アヴロノという言葉が生まれるより前に分岐した混沌派の物質化妖精。天秤の紀人エルティアスの庇護下に無い、移り気の紀神ミクニーと豊穣の紀神ガリヨンテの気まぐれな愛の証。
  • ユディーアの血はあの巨大な鱗に遠い時代の神秘を感じていた。
    • 理性では無く本能の確信。身体の奥底に眠る何かがあの鱗を知っている。
  • 「あの子の血を擬人化度の高いガドカレクが欲しがるのは仕方無いよ。けどそうだね、クナータの血がそういう使われ方をすることも考慮しておかないと。あの子は救世主を生む『子宮』であると同時に、始まりの獣を呼び起こす生贄でもあるんだから」
  • しかしセージの治療によってどうにか戦えるようになったユディーアにしても正体不明の呪いをかけられているという不安要素がある。
  • むしろ不死者や運命に守られた特権者を封じ込めるための、神話レベルの戦いに慣れた者が行う弱体化を狙った一手である可能性が高い。

5-7 夢界の兇手

凶手・兇手>コトバンク

  • 「辺境区を支配する新興勢力のボス猿ども。『にっこりゴーリー』、『豚好きハデス』、『拳骨アサブ』、『緑天主ロードデンドロン』。この名前が出たら関わらない方がいい」
  • あいつらの拠点の正面にぶら下げてある大量の生首は立木トラストを妨害しようとした地上げ屋の成れの果てで
    Wikipedia>立木
  • 典型的な『ノロ=テリスの鉄願の民』だ
    鉄願の民の正式名称の初出?
  • これは紛れもなくジャッフハリムが生み出した最大の罪、『長寿者(メトシェラ)』の特性に由来するものだ。
    Wikipedia>メトシェラ
  • 納刀状態で自動的に呪文詠唱を開始するサーベル。
    おそらくマンガ『ダイの大冒険』に出てくる武具「ダイの剣の鞘」(強化後)のオマージュ
    タメればタメるほど魔法威力が強化される剣
    ピクシブ百科事典>ダイの剣
  • 夢馬が見せる幻影は暴力的に相手の無意識の底にある忌避感を刺激する。
    • 「キニス、可愛い俺のキニス」
    • どこかで見たような男性に、これもどこかで見たような女性がのし掛かっている。
    • 女性は自分のものとそっくりな鉤爪で男性の肉体を引き裂き、飛び散る泥にも構わずに淡々と殺戮を実行していく。
    • 泥の胴体をバラバラにして放り捨てる。生首はなおも「キニス」と呼び続ける。
    • 女性は男性の後ろに隠れていたもうひとりの女性を引き摺り出して八つ裂きにする。
    • その腹から取り出されたのは小さな赤ん坊。泣き出した赤子の瞳が十字に輝く。
  • やめて、その子にまで手を出さないで。
    • それだけは許容できない。受け入れたくない。
    • あたしから、もう何も奪わないで。
    • 悪夢に反抗することは許されていない。
    • ユディーアがユディーアとして生を受けた以上、身体に流れる血の意思が定めた秩序には従う義務がある。
  • よくも私のチワックスを!
    チワワ+ダックスフント
  • 死神シェロンの弟子を自称する凄腕の暗殺者
    死神シェロン?については前章を参照のこと

5-8 トリシューラ暗殺計画

  • 「わたし、前に極天主テララの高弟を仕事で転がしちゃったのね。
    転倒させたわけではなく、暗殺したということだと思われる
  • 「私の目的は暗殺阻止と『王殺し』の身柄確保。私、彼のファンなのね。ずっと追いかけてて、ひとつになって融け合いたいって夜ごとに夢を作るほど大好き。死んでてもいいけど魂は確保したい」
  • どうやら怒りによって共感を集めて支持を得てきた動画配信者のようだ。
  • レナリアの説明によれば『マレブランケ』とは紀人都市における議会に相当する、専制君主トリシューラが選んだ紀人の意思決定機関なのだという。だからこそ第五階層の各勢力は自分の息がかかった人材を『シナモリアキラ議員』にしたがっているのだ。
  • 「俺は『シェボリズ』を名乗り、トリシューラとシナモリアキラ、そしてアズーリアを殺す」
    • レストロオセ四十四士がひとり、シェボリズ。
    • 魔将エスフェイルの父にして祖、人狼種族の英雄。
      四章「死人の森の断章6-2 微睡む太陽と月のパペットリー」「死人の森の断章1-2 『集い』」「4-31 王と物乞い」で登場したりその存在が語られている。
      ゆらぎの神話百科事典>シェボリズ
  •  確か燐血の民で、二つ名は『鉄亀砕き』。亜竜殺しドラゴンスレイヤーの凄腕だ。

    「『鉄亀砕き』か『逆鱗喰い』はいるか?」「セラメルならいま隣界だ」(5-1 枯れ木激して死灰に至り、苗木人立ちて雲路を砕く)

  • 「にあー。むり! 疲れてる! もう寝る! 寝ない子は死ぬ!」
    寝子(ねこ)

5-9 怪物退治

  • 巨大犯罪組織『十戒』。そのルーツは『ヒュールサス』のアヴロノ氏族が形成していた『祭司・自警団・集団婚斡旋者』を兼ねた集団にまで遡るという。
    『ヒュールサス』は、四章断章編に出てきた国家であり、死人の森の前身
  • 労働が価値を生み出すように、時間や命数から硬貨を削り出す。
    労働価値説
    商品の価値は、それを作るのに必要な労働量で決定されるとする説
    共産主義の主要な主張である「資本家による労働者の搾取」の根拠となる重要な説であったのだが、現在では否定されがちである
    需要と供給でモノの価値が決まる市場や、かける労力と入手できる資源量がほぼ無関係な場合がある天然資源の採取と相性が悪い説でもある。
    コトバンク>労働価値説
    Wikipedia>労働価値説
  • 両替の際に上乗せされる利益や仲介手数料は槍神教の資金源のひとつである。
    イエス・キリストの時代に、エルサレム神殿で商人たちもそうして利益を得ていた
    神に奉納するには古代の貨幣でなければならず、その両替の役割を担う者が必要であったのである
    ちなみにイエスは、そこで「神殿でそんな利益を得るな」とキレて神殿で暴れた(解釈は諸説あり)エピソードでも有名
  • 「イベントと戦闘をスキップ。成功判定ごと跳ばせ」
    おそらくTRPGの文脈
    一般的なTRPGでは、「その試みが成功するか否か」でサイコロを振るなどして成功判定をする必要がある
    ただし(システムにもよるが)能力値が十分に高い場合、その成功判定をせずに「成功した」とみなすことが出来る
  • やり過ぎなくらいの冒険を乗り越えた先に二人を待っていたのは道端に直立する三脚の松明だった。
    • 「ここが中間地点、いや違うな。多分ボス前だ。用心しな」
    • 言いながらセラメルは松明の前で膝を突いて祈り始めた。
      ゲーム『DARK SOULS』では、篝火が回復・復活ポイントとなっている。
  • 「感じる、感じるだよ、おめたつの自文化中心主義(エスノセントリズム)にまみれた『まなざし』を! おらたつの『郷里ことば』を蔑み、品のねえ田舎モンって馬鹿にしてんだろ? 気持ち悪い傴僂せむしの怪物、とっとと田舎に帰れってなあ!」
    Wikipedia>エスノセントリズム
    コトバンク>せむし
    そこまで言ってない。
  • 倒されるべき敵、正義と道徳に敵対するもの。
  • それが種族的特徴のみならず、地方言語や方言と結びつけられた時、何が起きるか。
    • 民族的アイデンティティや政治・信仰・教育・行政の境界を分かつ『独立の芽』。
    • 太陰が最も危険視する不和の要因であり、言震の火種となり得る『土地の呪文』。
    • 大衆の分断と対立を煽り、郷土愛を憎悪に変換するデマゴーグ。
    • 方言使いノゴルオゴルオは世界の言語秩序を破壊する言語テロリストなのだ。
      Wikipedia>独立戦争

5-10 夜明け前の沈黙

  • 散布された黒紫の呪毒を浴びた虫の身体の一部が隆起して脈動している。奇妙な既視感。あの瘤が虫たちを使い魔に仕立て上げているのだろうか?
  • キノコ人の偉人や英雄たちは志半ばで美しい茨に絡め取られて落命した。
    スーリウムの犯行?
  • ドラトリアは言震に襲われ、聖俗のバランスをとる象徴としての巫女姫を失い、いま困難に見舞われている。この事態の遠因に『呪文の座』が関わっていないとは言い切れない。
  • 聖なる祭司の素質があれば幻覚を見せられたはずだよ。
    • 敵の狙いが幻覚毒を有したキノコ人聖職者であることを記憶に焼き付ける。今のは迂闊な発言? あるいはそれを教えに来たのか。だとすると何故?
      Wikipedia>マジックマッシュルーム
  • ディスケイムとは複数系統の秩序派血統魔術師によって『純血の多様性』を維持しようとする思想集団だ。含まれる種族は多く、岩肌種がいてもおかしくはない。
  • 「ああ、イエレドか? あれはおらたつの傑作のひとつだよ。紀源分離と基礎構築はレストロオセとガドールが、異獣化はおらほの祭壇で仕上げた。まだ見所のある言語支配者どもがいた時代の話だよ、懐かしいなあ」
  • 「ディスケイムの計画には幾つもの保険が掛けられてる。亜竜王の落とし胤から脈々と受け継がれてきたペラティアの血統と、似せた名の死体に亜竜王の鱗を移植した紛い物の器。失敗した方は成功した方の全てを奪い、その『天眼』で救世主誕生を見届ける。どっちが亜竜王になっても問題はねえっちゅうわけだ」

以下、勢力の動きは各章のまとめも参照のこと。

  • 「まずは祝祭前半のレースだ。スーリウムが独自に機械女王暗殺を企ててるのはこっちでも把握してるが、おらたつの考えは違う。王国は正面からでっけえ力で打倒したほうがいい。正統な王としての威厳を示す必要があるからな。
    • おめえが暗殺者をやっつけてる間、おらたつがスーリウムを抑える。ついでにどう動くかわかんねえパーンの奴もどうにかしてやる。
    • 「未来回想によれば、祝祭の中三日は亜竜王祭の再現になるだ。おめえとアルティウスはそこで王位を巡って争う。完成した亜竜王が聖女を守り、最後の三日間で他の勢力からの妨害を凌ぎきる。
  • 「おめえが王位なんぞ求めてねえのはわかってる。だが、血が目覚めれば自ずからそれを望むようになる。そういうふうに最初から決めてあるだよ。闘争と流血、力の証明こそが亜竜王に必要な権威だ」
    • 「それがこの呪いの意味ってこと?」
    • そいつはおめえが『血』を活性化させるたんびに進行する。その『鉤爪』ばっか使ってっとさっさと縮んでしまうからやめとけ。
  • 守護の九槍アルティウスは大魔将ズタークスタークとの戦いで死亡したとされている。修道騎士として戦っていた以上、迷宮内で探索者であるセラメルと知り合う機会もあったのだろう。
  • 方言使いにとって話し言葉は書き言葉に優越する。正式な書面や血文字による誓約儀式などが無くともノゴルオゴルオは口約束のみで相手の魂を呪縛することが可能なのだ。
  • ノゴルオゴルオと約束した魔槍の製作期日は祝祭の六日目まで。
  • 「手伝う! もうすぐ回復する! アズーリアたちもすぐに来る! へたれユディーアに一人で解決はむり! 頼り下手な子は潰れて死ぬ!」
  • そもそもあの方言使い、ディスケイムの忠実な手足などで満足するような手合いには見えない。何らかの野望を胸に秘めて来訪者ディスケイムを利用しているだけということも考えられる。
  • 二つの種族が隣り合えば諍いが発生し、そこに歴史的な遺恨があれば衝突は避けられない。
    • 人の意思が衝突すれば、言語もまた衝突する。
    • 言語の衝突とは文化の衝突であり『世界をいかに切り取るか』という視座の衝突でもある。
    • ノゴルオゴルオはそこを突くことができる。
    • 方言使いはわずかな歪みを増大させることに長けた言語魔術師だ。
    • 仮に対立する両種族の居住地域に地理的な連続性が無いとしても、植民地支配の歴史があれば方言連続体が描くグラデーションの一翼を担うことは可能だ。ガロアンディアンの多種多様な種族すべてが無関係ではいられないだろう。
    • その言葉は方言か、それとも個別の言語なのか。それを決定するのは言語的特性よりも地理的要因や政治的理由であることが多い。
  • 竜王国はかつて黒竜ダエモデクを外敵と定めることで共同体を維持していた。
    • 亜竜王と黒竜の戦いが終わったあと、旧四十四士の原型となった最初の勇士たちは民を纏め上げるために何をしたか?
    • 全く同じことを繰り返したのだ。
    • ジャッフハリムの暴君にして狂怖の女王『呪詛レストロオセ』こそ世界の敵。
    • 邪悪な魔王に対抗するため、理想の下に集えと中原に呼びかけた結果として現在のジャッフハリムが生まれたとされている。倒すべき邪悪として定められた異獣は大魔将イェレイドと名を変え、ジャッフハリム国民の敵意と憎悪を集め続けている。
    • 否、義国圏も鈴国圏も『敵を異獣』と規定してまとまっている点で差はないのだ。
    • 異獣とは言震を回避するために呪祖レストロオセが創造した偉大なる発明、人に望まれた呪いである。
      コトバンク>スケープゴート
      ニコニコ大百科>スケープゴート
      ピクシブ百科事典>ゼロレクイエム
  • 「来訪者たちのスタンスを覚えてる? クロウサーは混沌に満ちた世界に己の血を行き渡らせることを。リーヴァリオンは秩序の光で満たされた神の王国を。ディスケイムは英雄と怪物が相克する正しさと醜悪さを曖昧に許容する灰色の物語を。それぞれの望みはこんな感じに解釈するとわかりやすい。はっきり言って、ディスケイムは私たちレストロオセ四十四士のスタンスに近いわ。当然だけどね」
    秩序と混沌は、マイケル・ムアコックとポール・アンダースン、そしてTRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』とコンピュータRPG『ウィザードリィ』と『女神転生シリーズ』(以下メガテン)によって広まった分類
    秩序・混沌・中立のどれかを選ぶストーリーが多いメガテン以降では、各分類のいずれも長所と短所があるように描かれることが多い。
    Wikipedia>属性(ダンジョンズ&ドラゴンズ)
  • ノゴルオゴルオは異獣の始祖たるイェレイドを創造した言語支配者たちの一人。
    • 方言使いは殊更に自分自身を怪物化して邪悪に振る舞っていた。
    • 彼もまた、魔将のように自ら罪を背負って人々が結束するための敵になろうとしているとでも言うのだろうか? 暴動、内戦、言震に発展しかねない呪文テロは『試練』だとでも?
    • 目的が崇高だとしても、手段は邪悪だ。しかし魔将だって本来はそういうものだ。
  • 「そのままの意味よ。パーン・ガレニス・クロウサーは勇士ミシャルヒ及び勇士ベフォニスと行動を共にしていたんだけど、ノゴルオゴルオとアルティウスに襲撃を受けてベフォニスを奪われてしまっている。生死不明の二人はさっきあなたのお友達のところで見つかったわ」
    • パーンとミシャルヒはミルーニャと行動を共にしているらしい。
  • 我々の同盟者ではあるけれど、油断ならぬ古い北狄(ほくてき)でもある」
    Wikipedia>北狄
  • 現在はレストロオセ四十四士として結束している諸侯たちだが、その中でも『四方の王』とされるベフォニス、クエスドレム、ハルハハール、ダエモデクといった有力な君主たちは元々中原の鈴国圏を脅かす敵対者だった。
  • ユディーアも歴史的な知識としては理解している 上方勢力に対抗すべく結束しているとはいえ、ジャッフハリムもまた遺恨や地政学的な必然による対立からは逃れられない。
  • クナータが攫われ、倒すべき敵の黒幕はディスケイムと判明した。
    • だがディスケイムとはユディーアの生家であり、所属するジャッフハリムの同盟相手だ。
    • 恐るべき来訪者だとしても、その全てを一度に敵に回すのは危険に過ぎる。
    • 何事にも妥協は必要だ。現実的にはディスケイムの力を受け入れるしかない。
  • 「思則気結、うじうじパンチ」
  • 「テッシトゥーラさん、何を考えていまさら連絡を?」
    •  最初の接触はこの第五階層ではなく、地上の第一階層でのこと。
  • 表のクナータがあなたに教えてたやつはちょちょいっていじった記憶だからさ
    • 「わたしじゃないよ? クナータがやったの。裏側のリーヴァリオンが。ここまではわたしたちの予定通りなんだよね、実は。あの子は自分からディスケイムへの釣り餌になってくれたってわけ。表の方には自覚が無いけどね」
  • 「あれに本体なんて無いよ、クロウサーじゃあるまいし。新しき美の神ミエスリヴァや最強の妖精王ラータエルスが最も有力なリーヴァリオンで、帝国がその棲家ってだけ。わたしやクナータみたいな妖精王の資格者は来訪者リーヴァリオンと一体化し、その光を身の内に取り込めるの。そうやって生まれた端末個体は『麗蝶の翼翅』として世界各地に散らばってる」
    • 来訪者リーヴァリオン。聖女クナータの内側に潜むものと同じ、アヴロノ種族を支配する絶対的上位存在の御使いこそが彼女の正体。
  • 「クナータという存在は生贄に捧げられ、その魂は転生して救世主に至る。その未来を変えることはできない。でも呪文的に解釈を変えることはできる。あらかじめ用意しておいた人工妖精の素体に『ティエポロス』として定義した魔女の存在を分離して封じれば、意識を継続させたままあなたの友達は生存が可能ってわけ」
    • けど新しいティエポロスは異能を失って通常の時間認識を持った人格になるから、その記憶も人格も変わってしまうかもしれない。
  • 「リーナ・ゾラ・クロウサーなら足止めでいい。血の中に潜む来訪者だけを殺す手段を私は持っている。
  • ルッキズムと選民思想に偏った民族主義者、信仰を盾に愚行を正当化する神の走狗、地方と中央の対立と分断を創作する扇動者。そして一度痛めつけられたくらいじゃ懲りない聖女のストーカー。
    スーリウム、ライラ、ノゴルオゴルオ。
    最後の一人はアルティウスか?
  • 最悪の事態が発生した場合、第五階層の住人を皆殺しにすると彼女は言ったのだ。
    • 「これは来訪者リーヴァリオンの決定であり、同時に太陰の決定でもある。
    • 自動化した呪文竜たちの防火壁(おへや)を構築するのに数日。祝祭が始まったら一日ごとに『キューブ』を組み上げて、九日目にきちっと完了する予定かな。ちなみに必要無ければ六層に投げるだけだから、無駄にはならないよ
  • 一つの階層をまるごと滅ぼせると豪語するような怪物を相手に正面きって反抗するような力はユディーアには無い。
    • 彼女の言葉ははったりなどではない。何せ前例がある。
  • 異界が隣接する特異点となった第五階層での言震は致命的な事態を引き起こしかねない
  • 「あなたは、太陰の言語魔術師?」
    • 「ハルベルトと同じく、槍神教との橋渡し役ってところかなー。おっと、わたしの立場は内密にね。ついでに明かすとわたしもトライデントの細胞だったりするんだよ。
  • 銅貨十枚が銀貨一枚分です。軍勢召喚の門にもなっているので、何かあればそれを使って来て下さい」
  • ディスケイムとリーヴァリオン。上位存在たちの間で、ユディーアはどっちつかずの態度を続けるしかない。破滅と隣り合わせの綱渡りは、ユディーアに利用価値が無いと判断された瞬間に終わるだろう。
  • だからユディーアは正面から勝ちに行くという選択肢を最初から捨てていた。
    • 事態を打開するのが自分である必要など無いのだ。
    • 裏で密かに這いずり回って、最後の最後でアズーリアとトリアイナを巡り合わせることができればそれがきっと正解になる。
  • どのような発動原理だろうと、『自分だけの世界』を求める行為は究極的に『氷血呪』という名の『紀』に繋がっている。
    • ユディーアはアルティウスと固定された世界観を奪い合い、敗北した。
    • 融血呪は他我と融け合うが、氷血呪は逆に個我を固体化・確定させる。
    • 早い話が『自分の世界』をより強固に確信するだけで氷血呪の第一歩と言える。
  • 『自分だけの世界』を望む者同士が衝突すれば勝利者が世界と未来を手にすることになる。時間停止能力者同士の戦いが一時的に拮抗するのはそのためだ。
  • 身体が過去に遡る呪い。それが意味するところの意味はひとつ。
    • 解呪のために必要なのは、より強い『自分の未来』を示す確信に他ならない。
    • ならばユディーアは未来を取り戻す必要がある。
  • ディスケイムの思惑に乗ってやろう。
    • それが仕組まれた計画、定められたレールの上であっても。
    • その上で奴らを破滅させてやると、ユディーアはあの日に願ったはずだ。
  • どれだけ時が巡り、世界が新しい夜明けを迎えても、過去が変わることはない。
    • 形にすらできなかった感情は、静かに心の底に堆積し続けていく。
    • たとえ強引な救いが全てを光の下に連れ出してしまったとしても、隠され続けていたものは確かにそこにあったのだ。少なくとも過去視によって他者の心を暴き続けてきたユディーアは、そう思わなければ誰も救われないと信じていた。
    • 呪文なんていらない。
    • 美しい言葉に変えてしまうことで、醜い感情に変えてしまうことで、世界は決定的に変質してしまう。優柔不断なユディーアはその歪みを恐れていた。
    • いいや違う。これからもずっと、その続きは沈黙だけ。
    • それだけが、ユディーアに向いている唯一のことだった。

祝祭前夜1『死者への慰め』 

  • 「資格のある者が『虫王の卵』を用いれば、理性を有した邪神が復活するとのことです。
    • 「邪神ダレッキノの卵は全部で五つ。うち二つはその場で孵化し、残り三つを持ってキノコ人グループと虹犬の一人が逃走中。第五階層に繋がる『門』を目指して移動中とのことです」
  • 「同士討ちで死んだなら樹人化したはずだ。トルウートの奴、足止めが狙いか。自殺者の森を局地展開できればキノコ人たちを強制隔離できる」
  • 「無茶を言うな。この場から撤退したらヴィティスの呪いで異獣認定されるだろうが。同じことをやった連中をさんざん殺してきたのを忘れたわけじゃないだろう」
  • 第四位が率いる次元騎兵部隊がこちらに急行しているとのこと。
    騎兵隊の到着を知らせる突撃ラッパで絶体絶命の窮地から救われるのは、アメリカ映画のお約束(ゾンビ映画などのブラックなパロディでは、逆に主人公たちが全滅させられることも)
    騎兵隊(映画)
  • 壷のようなフォルムの食虫植物たちが次々とその大顎を開き、甘い香りで虫たちをその溶解液の中へと誘っていく。
    Wikipedia>ウツボカズラ
  • 大神院は隷属させた少数種族が力を合わせることを病的に恐れている。地上の秩序を守るための忌まわしき序列化の呪いはモバンたちをずっと孤立させ続けてきた。
  • 守護槍の第九位が司る秘蹟の名は『病者の塗油(アノイント)』。
    • 前任者であるキロンが行うそれは穢れや悪霊を払う聖なる癒しとなって現れていたが、私が行うものは違う。
    • 終油の秘蹟。臨終にある者に対して行われる死への慰め。
    • つまり欺瞞だ。
    • 殺した相手を憐れみ、その罪が赦されることを祈る。
    • 異教の作法による臨終の儀式。それは死に行く者への最大の冒涜だ。
    • 相手の尊厳を踏みにじる傲慢を、私はためらわない。
    • それが修道騎士として、守護の九槍として戦うアズーリア・ヘレゼクシュが引き受けるべき罪であるからだ。
      Wikipedia>病者の塗油
      Wikipedia>マザー・テレサに対する批判
      魂まで消滅しているところを見るとコトバンク>御霊信仰に近い怨霊に対処するための行為でもあるのかもしれない。
  • そこで横たわる屍と歌の力で和解することができるとでも? できたとして、それは悪辣な洗脳なのでは?
    一章および四章・断章編から引き継がれている問題(テーマ)
  • 「わたくしは歌の力を信じている! 気分の高揚、一時の熱狂、霊的な歓喜と神秘体験の共有! 最も古きまじないのひとつ! どんな馬鹿にでも方向性を与えてやれる伝播と浸透に優れた人心操作の呪術! 歌とは! 大衆を支配するために存在する最適な手法なのです!」
  • 私と同じ非霊長類型の異形。
  • その本質を隠さないということは、上方勢力に従属することを良しとしない信念の持ち主であることを意味している。和解は不可能。戦うしかない。
  • それはねじくれた名も知らぬ植物と、それらと渾然一体となって溶け合う様々な昆虫の集合体だった。
    Wikipedia>冬虫夏草
  • 死霊使い。身体の奥底が震えた。先ほどまで振るっていた黄緑の稲妻、その熱がまだ残留しているのか。
    ガルズマリーの因縁
  • どのような思惑か、キノコ人たちは死者であるヴィティスを第四階層の掌握者に据えたまま間接的に階層を制圧しようとしていた。
  • 我らが苛烈にして純粋なる槍、ソルダ総団長の言葉を思い出す。
    • 解釈違いを殺せ、イメージの主流を奪え、理想の世界を勝ち取れ。
    • 全てはチョコレートリリーの未来のために。
    • 私たち(われわれ)の敵は、皆殺しだ。

祝祭前夜2『今、ここにある断絶』

タイトル
Wikipedia>今そこにある危機

  • 当該区域で活動中の修道騎士は速やかに『猫のゲーム』に備えて下さい
    異世界『猫の国』によって定められた「階層の奪い合い」という戦いの形式の名称であると思われる。
  • 精神支配された術者の浄界は弱体化していることが多い。死霊術師の技量にもよるが、かのガルズ・マウザ・クロウサーでも死者の浄界を発動させた際には生前の半分の強度でしか維持できなかったと言われている。
    再生魔将は弱体化していた
  • 許せなかった。邪悪な略奪者が口にする正しさなんていますぐに否定してやりたい。
    三章ラストで邪悪を自認したアズーリアに、直撃不可避なブーメラン発言
  • 呪わしい第七位の浄界とティリビナ人の呪力は不思議と相性がいい。
  • 「どれだけ強い心を持とうとも、価値観や倫理観の境界線を書き換えてしまえばお終いでしょう? 生も死も、善も悪も、全ての境界線はわたくしが定める」
    ピクシブ百科事典>八雲紫
  • そもそも降伏した相手の殺害はイストリンお姉様が定めた戦時国際法で禁止されている
    • ハルベルトが口にしているのは言葉の上だけにしか存在しない建前で、少なくとも大断絶以降には対異獣に対して用いられたことが無いルールだった。
  • 「そうやって、あなたたちはキノコ人を迫害してきたの? 仲間同士で連帯して、あなたたちの正しさで黙らせて、よってたかって彼らをいじめて」
    • それでも、あの言葉は『呪文の座』に必要だったように思う。ハルベルトは末妹候補ゆえにそれを口にしなければならなかったのだ。
  • 「悪く思わないで。私たちは『ティリビナの街路樹の民』なんだ。地上の秩序に組み入れられた以上、こっち側のやり方に合わせていけるって証明しなきゃ生き残れない」
  • 「私は黒檀の民とティリビナ人との間に生まれたの。ずっと黒檀の民として生きてきたけど、レルプレアへの信仰心を隠して槍に祈るのはとてもつらかった」
    • マリナは黒檀の民社会で生きているが、同時にティリビナ人としての信仰とアイデンティティも有している。
  • 私がキノコ人の呪いに抵抗できているのは『共生』のやり方を知っていたから。
  • 『使い魔』系統の術者が己の半身とも言える存在を失った時に生じる自我崩壊が起こる危険がある。
  • だがそれは同時に、『みんな』でなければいいという論理の肯定ではなかったか。
  • 自分自身の力不足が憎い。本当に必要なことを選べないことがもどかしい。
  • 「待って、おかしい、おかしいよ。みんな敵を作りすぎてる。私、いまティリビナ人を『私たちじゃない』って感じてた!」
  • 『選択肢がない』というのは便利な言い訳だ。
    • けれど直面すると縋るしかなくなる。
  • 機械女王は超一流の呪術医だ。ガロアンディアンに存在する優れた医療技術、多種族共生のために存在する使い魔系呪術を活用すれば二人は絶対に助かるに違いない。
  • 遠い複眼に宿る呪力には確かな理性がある。
    • あれは人だ。この世界に住んでいる、恐らくは虫態アヴロノの変身者。
  • 悪い予想は当たっていた。第四階層にキノコ人を手引きした内通者がいたのだ。
  • 『虫王の庭』
    • 要するに槍神教に迫害された虫態のアヴロノとティリビナ人が潜んでいた隠れ里だ。
    • 二つの種族は仲が良いわけではないけれど、自分たちが生き残るための同盟を結び、これまで共生を続けてきたらしい。
    • この世界槍が元々は世界樹であったと明かされるまでは秘匿されていたと聞いている。
    • 加えて言えばガロアンディアンとクロウサー家が合同で開催する箒レース、そのコースとして設定されている異界のひとつでもある。
  • こうして新しく発見された異界をレースの開催地にするのは第五階層をまとめるための工作の一環らしい。
    • 祝祭にかこつけて『第五階層の非ガロアンディアン人』を『第五階層の一員』として取り込んでしまえということらしい。かなり乱暴で反発を招かないかと心配だった。
  • 「えっと、なんか都合良く変な腕が飛んできて」
    ミルーニャの新装備だった
  • 「それから私がもうひとり出てきて囮になってくれたり。
    ミシャルヒ
  • あと燃えるニワトリが放火して山火事になりかけてた! 消火活動で大変そうだった!」
    炎冠のヒュドラボルテージ
  • でっかい石像がパンチしてたの! 
    ミルーニャ【盲目の守護者像】(ブラインド・ガーディアン)
  • 上を見上げることができる限り、私の心はまだ折れたりしない。
    • 多分それは、祈りだった。

祝祭前夜3『黒蟲騎士団』

  • 「それは、関係者に腕のいい夜の民がいたのでお願いしただけですよ。ここ最近、気疲れする人脈ばっかりできて正直うんざりでしたが、たまには役に立ちますね」
    おそらくミシャルヒのこと
  • 「わかるよ。私も九槍になってから偉い聖職者の人とか市議会の人とか聖別メーカーの人とかに挨拶回りして箔付けで隊員入れてくれとか言われたもん」
    Wikipedia>聖別
  • 私は無言でローザを後ろに押しやり、ハルベルトが沈黙の呪文を唱えた。
    (3-3 半熟英雄)の時のミルーニャと同じ扱い

    「沈黙はx、雄弁はy、兌換紙幣の論理回路、煌めく金めく銀なる詩吟」

    呪術の発動によって、ミルーニャの口に立体映像の罰印が張り付いてその声を封じたのだ。

  • 確か第六階層は復活したアルト王とマラード王が融合した『天主』と呼ばれる存在に支配された再生者の国と化したとかなんとか。
    • 第六階層に潜む竜王国の残党たち。祝祭を目前にして、掌握者アルト・イヴニルに従う五大騎士団が第五階層の周辺で何かを企んでいる。
  • 「実は私がここを訪れるより前、この土地の虫態アヴロノたちと交渉するためにガロアンディアンから人員が派遣されていたのです。彼、いや彼女? とにかくその人物のおかげで現地住民からの信頼が得られていたのですが」
    • その消息が忽然と途絶えてしまった、とミルーニャは続けた。
  • 「あなたはお留守番ですよ、おばかウサギ」
    • 「その呪詛、かなり重いやつですよね。治療を受けて絶対安静です。ライブを控えているんですから」
  • 「外からやってきた虫態アヴロノ、つまり第六階層勢力の正体には目星が付いています」
    • 「『黒蟲騎士団』。かつての竜王国において五大騎士団の一翼を担っていた虫態アヴロノ戦士団。亜竜王アルトの父祖ダーカンシェルをさらに遡り、その父神カズキスはこの『黒蟲騎士団』の団長たちの親でもあるといいます」
    • 「亜竜王の親戚ってこと?」
    • 継承権を巡る戦争の神話もあるそうです
      カズキス
  • 最初はへなちょこ妖精ウサギを担ぎ出すつもりだったんです。あんなんでも妖精皇帝エフラスの血を引いてますからね
    • ハルベルトのお母さんはアヴロニアの皇女様なんだった。イルディアンサとアヴロニア、二つの世界の友好を象徴する夫婦の血を受け継ぐハルベルトは、アヴロニアの皇位継承権こそ無いものの、妖精たちから尊重されているという。
  • 「レースの妨害と第四階層でのテロ、だいぶ方針が違うように思いませんか? 敵は複数の勢力が徒党を組んだがゆえの脆さを抱えているように思います」
  • 「虹犬たちは奴隷のキノコ人を解放するとかで奪っていったそうですよ。そこに駆けつけたのが黒蟲騎士団。怖い虹犬たちを追い払ったそうです」
    ノゴルオゴルオと同じ口実でキノコ人を従えている
  • 「よし、消息を絶っていたマラコーダです。マレブランケのリーダー」
  • 髑髏や時計といったアクセサリで身を飾っているのが不吉に思えてならない。
    灰の色号
  • キノコ人が掌握しやすい、操るのにうってつけの力。それが黒蟲騎士団であったことは認めましょう。前回はそちらを侮っていたことも
  • 第五階層の住人がどうして第六階層に対する人質になり得るのか。
    マラコーダは古の妖精王ハジュラフィンの転生体(魂が劣化したコピー)であるため?
  • 現在、虫態アヴロノたちは箒レースの運営側に大事にならない程度の嫌がらせを続けている。逆に言えば大事になることを恐れているのだ。
    • もしライラが第五階層に向けて犯行声明を出せば、ガロアンディアンはこの場所に武力介入する口実を得る。それは黒蟲騎士団にとって望むところではないのだろう。
  • 「さあ、今こそ残りの卵を解放する時! 存分に暴れなさい!」
    重要なキーアイテムをここで全部消費した?
    本命の卵は他にある?

祝祭前夜4『正しい神の殺し方』

タイトル:津守時生『やさしい竜の殺し方』

  • 現れたのは天道虫、蟷螂、蜻蛉にそれぞれキノコを混ぜたような怪物。

    常識を超えたサイズの蜻蛉(ドラゴンフライ)が暴風と瘴気を撒き散らしながら空を舞う。背後に付き従うのは四体の虫。死番虫、虻、天道虫、蟷螂。(4-33 ガロアンディアンの真竜王)
    『黒蟲騎士団』と虫王ダレッキノの子は、同じ種族構成
    何らかの関係がある?
    ゆらぎの神話百科>暴風の五王

  • 「堅気さんに迷惑かけんじゃねえ」
    騎士団というより、完全に任侠系団体の言動である
  • 「大いなる槍よ、この身に聖マフスハノンのごとき忍耐を授けたまえ!」
    アズーリアの仲間マフスの名前の元ネタ?
  • 内側と外側。味方であるローザでさえ切り分ける自分の思考。
    • それでも、私は。
  • 「約束するから助けてくれ、『汚物屋』などという名で人生を縛られるのはもう嫌だ!」
    『汚物屋』たちキノコ人の若者、脱落
  • 敵がどれだけ強大であっても、それが集団であるのなら。
  • 私のフィリスはその構造を解体できる。
    その性質は、皮肉にも【レイシズム変数(ヴァリアブル)】に酷似している
  • 「聖レメスの力を参照した弓矢だ。自分にとっての超越者には抗えまい」
  • 見るからに戦闘用の機械的呪具がミルーニャの肘までを覆っている。
    • 気穴開門(アチューンメント)
      パーンの技の再現

      (アキラくん、正解。あれは『気』と本質的に同じもの。波動とか、生命エネルギーとか、闘気とか呼ばれてるなんか素手でボコスカやるのが好きな人たちが纏うよくわかんない呪力の一種だよ。別名『超鍛えた俺は強いパワー』)(死人の森の断章2-3 暗がりの中へ)

  • 味方であるローザすらアレッシオや大神院に通じているのではないかと考えている私がどうしてこの白騎士だけは無条件で信じられるのか。
    • それは多分、この相手が決して私と相容れることがないからだ。
    • 九槍である私には許されない、尊い在り方。
    • 私はそんな白騎士に二度も窮地を救われた。
    • きっと、私は期待しているのだと思う。
    • 何にだろう。それは分からない。
    • 今の私は、希望の名前さえ知らないのだった。
  • この地の住民たちに慕われている黒蟲騎士団が友好を示している時点で私たちの選択肢はひどく狭められている。
    • シダリスたちの排除を選んだ段階で、この地に住むアヴロノたちの支持は得られなくなることは確実だった。
    • ライラとキノコ人という敵の存在が黒蟲騎士団を『正義の味方』にしてしまっていた。
  • 「アズ隊長っ、そいつ『シュガ氏族』です! 西の森の魔王! 蛇蝎王の眷族ですよ! 異形の諸部族なんかと一緒にいたら殺されちゃう!!」
    ゆらぎの神話百科事典>異形の諸部族
  • 同じ種族であることと敵であることは両立する。
  • 「『歌姫』とやらの言葉は確かに耳に心地良い。異なる他者同士が手を取り合い、助け合うことは美しく素晴らしい。相手からの拒絶と否定を考えなければの話ですが。『分からず屋』がいる限り、理想の外側を排除するしかないでしょう? 私を敵と定めていることがその証明です」
  • 「結論から言えば、私とあなたは同じ眷族種にされてしまっているのです。とある『神』の影響を受け、『槍の民』という存在に仕立て上げられている」
    • どうやら拒絶に成功しているようですね。
    • おそらく九槍や四英雄のような大きな力を有した存在はみなその資格があるのではないだろうか。
  • 共闘しませんか?
    • 「共闘といっても、今の対立構造を崩して仲良しこよしをするつもりはありません。それとは別に、より上位のレイヤーでの協力ができないかというお話です」
    • 私は父を取り戻したい。
    • 「もはや『槍神』は別の存在に変質しています。大神院が崇める地上の最高神は既に名を奪われた負け犬に過ぎず、諦め悪く私の父やあなたの神に寄生して生き延びている厄介者の『邪神』に過ぎない」
    • 私はこの『元槍神』を便宜上『ハグレス』と呼んでいます。
    • 神を騙るものハグレス。
    • それが私とライラにとっての共通の敵。
      ゆらぎの神話百科事典>絡め取る楽園ハグレス
  • 「私の知る限り、槍の民に覚醒した上でその宿命を完全に否定した人物はたったひとり。松明の騎士ソルダ・アーニスタだけです」
    • 「槍の民でありながら父神の権能を奪い取って勝利した特異点。彼は槍神の手駒たる大神院に面従腹背し、この世界槍でのみ絶対的な力を手に入れました。それは槍神に対する優越権。力を奪われ弱体化した槍神が他の神格を乗っ取らなければ活動できないのは、この世界槍ではもはや槍神として存在できないからです」
  • 「中央の大神院と辺境の松明の騎士団が鬩ぎ合いを続けるように、この地では勝者たるソルダと敗者たるハグレスが上位の次元で存在闘争を繰り広げています」
  • 「マレブランケのアルレッキーノとして宣言しよう。アズーリア・ヘレゼクシュが『槍の民ではない』という確証が持てるまで、第五階層の主要都市部への侵入、すなわち紀人都市シナモリアキラとの接触を禁止する」
    • 「祝祭だのライブだの再会だのがやりたければ、この私を倒すか『槍の民としての宿命』とやらを拒絶してからだ」
  • 「信用できなくても、共闘はできる」
    • ガロアンディアンとクロウサー家が合同で執り行う箒レースで勝負を仕掛けます。最高位の霊媒たる私とあなたでハグレスをレースに引き摺り出し、最強の来訪者たるクロウサーに轢殺させる
      もはや暴走列車みたいな扱いのクロウサー
  • 下界では人と人が断絶を深め、天界では神話的スケールの陰謀が繰り広げられている。
    • 英雄と定められ、自らその道を選んだ私はその両方に立ち向かわなくてはならない。
    • それでもやるんだ。
    • 私は邪神の奴隷なんかじゃなくて、チョコレートリリーのアズーリアなんだから。

幕間『正しい未来の選び方』

  • 「大いなるガリヨンテの名において」
    神々>ガリヨンテ
    樹木神レルプレアの項目も参照のこと
  • 恐らくは何かの祭具。穀物や果実を詰め込んだ角。豊穣、豊作、そんなイメージを喚起させられるような象徴的な道具のようだ。
    ファウナにも関連する「豊穣の角」(コルヌー・コピアイ)
  • 瘢痕文身(スカリフィケーション)と呼ばれる黒檀の民に伝わる慣習だ。
    Wikipedia>スカリフィケーション
    •  黒檀の民社会において、それを女性が顔に刻むことはある種の誓いを意味していた。
    • 戦士である夫が果てたのち、その弔いのために戦場に赴くという誓願。寡婦は魂を大地に捧げることで女戦士に生まれ変わる。
  • 空を飛び交う女面の怪鳥どもが葉を啄むたびに幹に人面が浮かび上がって苦痛の声を漏らす。
    怪鳥ハルピュイアイ=ハーピーは、オデュッセイアや神曲の地獄「自殺者の森」に出てくる怪物である
  • 「レイシズム変数(ヴァリアブル)。『光り物を追い回すしか能がないカラス』『馬鹿な鍛冶屋』『獲物も狩れない草食(じゃくしゃ)』『のっぽの観光客』『魚臭い田舎者』」
    【ロディニオの三本足の民】(使い魔のカラス)、【エルネトモランの燐血の民】(セラメルなど鍛冶屋が天職)、不明、【鉄願の民】?【ウィータスティカの海の民】
  • 「彼女がウネム。今の私たちにとっての指揮官」
  • 「我々を、統合体を裏切るつもりかっ、センチネル!」
    データの終了を示すデータである番兵(センチネル)のダブルミーニング
    Wikipedia>センチネル
  • 「これは粛清だよ、ゲートキーパー。不要な司書は一掃する。私たちこそが狂王子の理想を継承し、時代の要請に応えて正しくアップデートする存在だ」
    ゲートキーパーは、通信を監視・管理する人のことも意味する
    Wikipedia>ゲートキーパー
  • ウネムという女の頭上、直前まで何もなかった空間に方形の水晶ケースが出現し、淡く発光してから消えたのだ。
    • そこに収められていたのは小さな頭部。月人の子供の生首だった。
    • 兎の耳であるようにも妖精の耳であるようにも思えたし、その両方であったような気もするが、印象と記憶は曖昧に混濁してはっきりとは定まらなかった。
      四章で回収されたヴァージルが、水晶魔導書のパーツ扱いにされている
  • プリエステラは心を開いてくれそう。『器』に向いてるよ。本当の意味でアルラウネ断章に愛された巫女だね。明らかに私よりも重要な記述を宿してるみたいだった
    アルラウネ断章は遺伝子そのものであるため、巫女によって記述は異なるようだ
  • 「スーリウムはライラに始末してもらう。そのために奴を計画に引き入れたんだから」
  • 殺害や解体、存在否定や抹消くらいだとライラは『忘却の向こう』から帰ってくるってだけ
  • 「ライラとキノコ人が『悪玉』として虫態アヴロノたちを脅かしたところに『善玉』の『黒蟲騎士団』が駆けつけて守る。そこに『地上の修道騎士』も加勢して一件落着って筋書きなわけ。敵がいっぱいいると、そのうちのいずれかとは利害が一致して協力できそうな気がしない? 気のせいだけど」
    • 「お前たち、キノコ人武装勢力と最初から繋がって、いやそれ以前に『黒蟲騎士団』や第六階層とも結託していたというのか」
      浜田廣介『泣いた赤鬼』的なカモフラージュ
  • ライラたちは姿を隠し、本物の『虫王の卵』を運び込んでその時を待つ。
  • アクィラ
    戦国乱世で死んだアキラくん疑惑のあるヒト
    ゼオーティアにおける「アクィラ」については、シナモリアキラ参照
    『チョコレートリリーのスイーツ事件簿2nd 第14話 デーツ・ミーツ・ナッツ』以来の久々の登場である
  • 私は引き続き『ハルムシオンの風』への工作と並行して分断呪詛の伝播を行う。お前はシナモリアキラ選の準備だ
  • ウネムという女は悪意を機能的に運用している。
    • それが結果としてどのような悪意を連鎖させるのかという影響も含め、狙った通りの憎しみが育つように画策しているのだ。
  • 「これは私たちの意思。だから、何があっても兄さんのせいじゃない」
    イルス洗脳
  • 「で? べらべら喋ってた計画はちゃんと使うつもり? それともまた誰かに聞かせるために用意したブラフ?」
  • さて、どうだろうな。
  • どこかの誰かに見せつけるように、緞帳が上がるのを意識して声を張り上げた。
    ヴィヴィ=イヴロスのような振る舞い
  • これより我らリビュエー隊が演じますは不和歌う怪鳥ハルピュイアイ!
    • それは嘆声でもあった。焼かれて死に逝く亜大陸人が絶望の中で響かせた歌。
    • 祝祭前夜。醜い怪鳥たちが喉から絶望の歌を絞り出す。
      敵も歌う
  • 首謀者である『汚物屋』は捕縛され、残るキノコ人解放戦線の幹部『葬儀屋』『虫飼い』は逃走したものの共に重傷を負い管理権限もカーズガンの配下である呪術師たちによって剥奪されていた。
  • それは自然な言葉をいちどバラバラに分解し、もういちど綺麗に再配置した結果として生じてしまった微妙な違和感だ。
    Wikipedia>音声合成
  •  アレッシオの眼球表面を高速で文字列が流れていく。
    網膜投影?
  •  金の斧には『沈黙』、銀の斧には『雄弁』と刻まれている。
    3章でミルーニャを沈黙させたハルベルトの呪文、ふたたび
  • 「黙るのと喋るの、アンタに必要なのはどっち?」
    金の斧と銀の斧の選択。
    イソップ寓話『金の斧』
  • 「あんなボカフェ見たことないぞ。マーチPが新作ひっさげて祝祭で新しいコをお披露目するって噂は本当だったんだな」
    • それはボーカルフェアリーと呼ばれている。
    • メロディーと歌詞を入力することでサンプリングされた人の声を元にした歌声を合成するというソフトウェアであり、杖に寄った音楽系呪術師たちにとっては馴染み深いツールではあった。

ボカロ、VOCALOID

  • このソフトを利用して仮想使い魔を『調教』するコンポーザーは慣例として『P』や『楽士』などといった敬称で呼ばれている。

『P』はアイドルマスターシリーズのファンネームから由来する、「〇〇P」といった形式で名付けられるボーカロイド作曲者のニックネーム
『楽士』は劇中でボカロ文化を取り扱ったRPG『Caligula -カリギュラ-』シリーズにおいて敵の幹部集団に「~の楽士」といった呼称が使われている事の引用か

  • 「計画に問題が無ければ、あなたは普通の後輩としてデビューするんですよ。もちろん、彼女の軌道修正役としてね」
  • 祝祭で世界平和ーとか歌っておいて身内でギスってるとかマジでオワコンじゃん
    Wikipedia>オワコン
  • すぴあーとかいう素材女がだめだめだったら、満を持して新世代アイドルの出番ってわけ
  • 全世界の愚民ども。このボーカルフェアリー・ハチェット様の時代がすぐに来るんだから!
    ハチェットは小型の手斧
    ネイティブアメリカンにおける和解を意味するフレーズでもあるとか
    Wikipedia>Hatcet
  • 蛇蝎王ハジュラフィン。その血を受け継ぐシュガ氏族。槍神の教えを受け入れず、妖精の帝国と敵対し、地上文明圏と相容れない『異形の諸部族』。
    • 異獣として人類の大半と敵対している蛇蝎の王国はその一方で確固たる文明圏を持たず、呪力資源の不足を補うために『星見の塔』に接近するに至った。
    • マラコーダが末妹選定に身を投じることになったのもその縁ゆえのことだが、トリシューラの配下となってからというもの、すっかりその事実からは遠ざかっていた。
  • 偉大なる妖精皇帝エフラスの父、紀人ネビロン。
    • 悪逆の暴君としてアヴロニアを放逐された混沌の申し子にして闇妖精の盟主。
    • その末裔たちは『魔王』の威光を傘に犯罪と暴力によって闇の中で命脈を繋いでいる。
    • 「『十戒』ね。『豚好きハデス』が動き出したか」
      ネビロン
      ネビロン氏族
  • アヴロノ社会において、黒い肌は反社会的組織のイメージと結びついている。
    • それゆえか敵を見下ろすローザの目は冷ややかだ。
    • マラコーダは少しだけ考えてしまう。この少女の仲間には黒檀の民が含まれていた。
    • 黒檀の民とネビロン氏族は人種どころか生命の在り方として根本的に異なる存在だが、果たしてそのような事実はどれだけ認識に影響を及ぼすだろう。
  • 「生き方を選べなかったものたちの最後の選択、行き場がなくなったものたちの吹きだまり。そういう側面があるのよ、ガロアンディアンには」
  • 祝祭ライブはそういう可哀相な人たちを救ってあげるために必要なんですね。ちゃんと改心してまともになるならいいけど
  • 「祝祭はあくまでも象徴。切っ掛けに過ぎない。未来をより良くするのは個々人の行動。もちろん、私たちガロアンディアン中枢の働きにもかかっている」
  • 溝を埋める方法も、溝が何なのかもマラコーダにはわからない。
    • この断絶は、おそらく理解よりもっと根本的な位置に存在している。
  • 「先の事なんてわかんない。とりあえず今はやりたいことやって楽しく生きてればそれでいいかなって。英雄の部隊とか紛争地帯で祝祭とか、大変だけど退屈しなさそうだし」
    • だから、嫌な奴は視界に入らなければ許容できるし、『歌姫』のように素晴らしいものを理解できるのであれば許容の域はその分だけ広がる。
    • 彼女のような在り方こそ普通というものだ。
    • しかし、言葉通りの思想の持ち主であると安易に思い込むのも危険ではあった。
  • パルサ家はアヴロノ社会では『当主が小鬼化して落ちぶれた名門』の典型例として語られている。
    • 強大な妖精王であった『リグリーマ総督』は自我の崩壊と同時に『光明皇帝』を僭称してリーヴァリオン皇家に反旗を翻した。
    • 不遜な叛逆者が帝国の剣と称されるアストレッサに討ち取られたのは数代前のことだ。
      アストレッサ家については、アリス・イン・カレイドスピア?参照のこと
  • 生まれてすらいなかったであろうローザには実感などあるまい。
    • そうであっても、『家』と『血』は思想に呪いを残す。
    • マラコーダはそれを経験から学んでいた。
  • ファラゾーラの廃棄妖精ごと酸毒の沼に沈めてやったことも一度や二度じゃない
    ファラゾーラはアリスの家系
    『異形の諸部族』と対立していた
  • 油断はなかった、それでも強制的に敵意を喚起されている。
  • 「マラコーダさん、だったな。こいつは恐らく『精神加工』って奴だ。似たような症例をバラニーダの戦場で見たことがある。黒アヴロノの傭兵は戦場の死体から発生する瘴気を媒介にして他人を操れる」
  • ガザとアデンという二人のティリビナ人はアズーリアの隊でローザと作戦行動を共にする仲間だ。
    • マラコーダの目から見て、彼らの行動は自然なものに思えた。
    • だがどうしてだろう、その口調には奇妙な後ろめたさがあるようにも思える。
  • ネビロン氏族の『精神加工士』は達人であれば国すら傀儡にする。
    • かつての魔王ネビロンはそうして妖精王たちを従えていったのだ。
  • ローザが使っているのはセレスティアルゲイズの香水だ。
    • セレスティアルゲイズは宝飾品や腕時計、眼鏡やカラーコンタクトレンズ、衣料品からレザーアイテムまで幅広く扱う高級邪視ブランドだが、香水でも知られている。
    • マラコーダの知識が正しければ、ローザは魔女が創業したセレスティアルゲイズでは珍しいユニセックスなタイプの香水を使っているようだ。
      セレスティアルゲイズは、コルセスカの愛用ブランドでもある
  • ローザという少女のことは何もわからないに等しい。
    • だから『案外と趣味が合うのかもしれない』とか、『彼女がティリビナ人と仲良くしたがるのは、生まれや家に対する複雑に屈折した反抗なのかもしれない』などと決めつけるべきではない。
    • この先どう転ぶのかはわからないのだ。
    • 少なくとも、今はまだ。
  • 『いいですか、サリア。どんな理不尽に思える死にゲーでも、優れたクリエイターはきちんとした解法や習熟プロセスを用意しているものです。『できること』をひとつずつ数えて、積み上げたものを確認していきましょう。優れたレベルデザインのゲームほど過去の経験が今に活きる。その繰り返しがプレイヤーを強くしてくれるんです』
    • 当のコルセスカはその強敵を使用者の血を啜る魔槍とか氷の杭打ち機とかピーキーな武器を担いで初期レベル全裸プレイでしばき倒していたので当時のサリアは『お前の言うことなんか参考になるか』と臍を曲げていたものだが、今ならわかる。
    • あれは金言であったと。
      ツッコミどころしかないゲーム思考主従
      とは言え、『邪視者』はイメージで世界を改変できるので「どんな困難でも打開できる」という強い信仰は、実際に可能性を産み出し不可能を打破する力となるのであろう
      ただ、この信念は同時に「ゲームクリエイター」=世界の創造主=神or世界槍の掌握者への信頼でもあるため、邪視主従にとっての最大の脆弱性でもあるのかもしれない

ちなみに、コルセウカが杭打ち機を使っているのは、サリアとの初共闘が吸血鬼エルネトモランの吸血雲だったため
白木の杭は、吸血鬼特攻武器である
杭打ち機=パイルバンカー使いの吸血鬼ハンターと言えばこの人→ピクシブ百科事典>シエル先輩>第七聖典

  • いずれにせよスーリウムとて絶対ではない。
    • 推測でしかないが、スーリウムはライラ・ラプスを避けたがる傾向がある。
    • これに気付くためにライラに三度も敗北し、一度などは目標を奪取されてスーリウムごと敗北を喫して撤退する羽目になってしまった。
  • そして、『レルプレアの巫女』というのは重要度の大小こそ存在するが意外と少なくない。
    • というより、現在の第五階層に引き寄せられるように集められているのだ。
    • おそらく、超越的な上位存在の思惑によって。
  • 「あった! 奴らの伝承通りだ。氷雪藻(ひょうせつそう)、彩雪の間。封印の場所がここで正しければ、スーリウムの本命はここで間違いない」
    Wikipedia>氷雪藻
  • (『苔の賢人』がボケてなきゃそうだな! あのじーさん、同じこと何度も繰り返しやがるしだいぶ記憶も怪しそうだったけど!)
    ゲームNPC的な挙動
  • 『とある洞窟にそれは封印されておる。『異なるティリビナ』の可能性、いつか復活する偉大なる救世主の魂は赤雪の洞窟の奥深くで逆さまの木に封じられている』
    Wikipedia>クリフォト
  • サリアが出会ったのはキノコ人ともまた少し異なる隠花族だった。
    • 古代のティリビナ人は様々な在り方を模索していた。
    • そのなかのひとつが『(シアノバクテリア)』と共生した地衣類。
      Wikipedia>藍藻
  • 『死人の森』はガロアンディアンの死人たちを呑み込む過程で幾つかの種族に干渉したようだ。ルウテトが仕掛けた布石。『意図的な冬の魔女伝承の歪曲』がそれだ。
    • あの古い紀神は置いたきりの布石を幾つも抱えている。『十戒』がそうだし、『ディスペータ』もそうだった。当然、他にもあるだろう。
  • スーリウム。怨敵を呪い、恨み、怒りに身を焦がす。
    • 忌まわしい自己愛。独善的な美の感性。
    • あらゆるものを自分の好ましい枠に押し込めようとする傲慢さ。
    • 反吐が出そうだ。絶対に殺す。
    • 変わり果てたコルセスカの在り方を賛美する大輪の薔薇を思い出し、戦意を燃やす。
      だが、サリアの「氷血(コールドゲーム)のコルセスカ」への執念も、自分の好ましい枠へ押し込める解釈という意味では、スーリウムと変わらない
  • その名前を『朱雪華(しゅせっか)の魔女』という。
  • その目覚めは隠花族を救済し、顕花族に破滅をもたらす。
    • 本来はライラ・ラプスが手に入れて隠花族の切り札として活用するはずだった最悪の厄災だが、スーリウムは傘の貴婦人に先んじてそれを奪取することで最強の虹犬を打倒することを画策していた。
    • 美しいテテリビナとして存在を上書きされたコルセスカがキノコ人たちを虐殺する光景を見ながら、奴はあろうことか楽しそうに笑っていたのだ。

5-11 空使いは知らんぷり

  • 『本当の自分』がどこにいるのか、リーナにはわからない。
    三章でアズーリアが抱えていたのと同じ問題
  • 文句のつけようのない『空使い』の卵は、けれどあっけなく塀から落っこちて割れてしまった。
  • リーナは元気で脳天気。暗い言葉は似合わない。
    抱えている生まれへの嫌悪と憎悪の否定
  • 「流石にファラゾーラ以外は集まっているようだな」
    ファラゾーラは『アリス・インカレイドスピア』のアリスの家系
    後継者であり人造生命体であるアリスによって、滅亡している
  • クラス全員で元の世界に戻らないといけないのに俺はその空白に召喚されたことよりずっと最後の枝にっ」
    クラス転生
    本当に異世界転生者だったのか、それとも狂気による妄想なのか
    『邪視者』にとってその二つの間に差異はないので、判別不能である
  • 失われた血統、ガレニス。その魂を手に入れたのならば、彼女は今度こそクロウサーとして完成するだろう。
    クロウサー始祖は、女性である?
  • 瞳が金色に輝く。背後に伸びた影がいびつに歪み、広がった翼と拗くれた帽子のシルエットが壁に映し出される。
    これまでダウザールとリーナが取り込んできたクロウサー血族の特徴
    金色の瞳が死霊使いガルズマウザ
    翼はリーナのゾラ
    帽子は「3-29 黒百合の子供たち」でリーナに力を託したハルティール・エジーメ・クロウサー?エジーメ家の力