推薦図書/小説/あ行

Last-modified: 2024-03-10 (日) 08:20:17

推薦図書/小説/あ行

  • アリュージョニスト以外のネタバレに注意
  • サイバーカラテを実践しよう (知ってる作品があったら、説明を追記しよう)
  • 最下部のコメントボックスで作品紹介を書き込むと、誰かが追加してくれるかもしれません
  • 多分図書じゃなくてもいいと思うよ
  • 参照と類似は呪力です。高めよう。
  • ほんの少しでも推薦図書に見えたのならそれが推薦図書です(邪視)。追加しましょう。五十音順に並んでいます。
  • 編集カラテ入門
    • 発勁用意! 次の2行をコピペして、自分の文章で書き換えます。ここは、Webブラウザ以外のアプリでやるのがオススメ。

      *** タイトル

      -説明1

  • NOKOTTA! 文章が出来たら、Webブラウザに戻り、画面の一番上の「編集」を押します。
  • GOOD! 編集ボックスが出 てくるので、1で作った文章をコピペします。場所は、根性で探してください。
  • COMBO! 「プレビュー」を押して、うまくいってるか確認します。まだこの段階では、誰にも見られません。
  • EXCELLENT! 「ページの更新」を押せば、完成です!!

アリス・イン・カレイドスピア 最近

  • 最近さんデビュー作!
  • 星海社FICTIONSより発売中!


小説

あ行

藍坂素敵な症候群 水瀬葉月

  • 【祝福者】な登場人物による変態異能バトル
  • アニメ化された『C3 -シーキューブ- 』と同じ作者
  • 全3巻
    電子化◯BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて全巻読むことが出来る

アイドル稼業、はじめました! 岩関昂道

  • 知らずにアイドルと知り合った男子高校生が、ひょんなことで女性へ変身する能力を手に入れて芸能界で彼女のスキャンダル事件を解決しようと奮闘する話
  • 女性と男性の両方での芸能活動、TSF、多角関係と魅力的な要素は多いが、それを活かしきれていないのが残念なライトノベル
    • 主人公が鈍感で天然一途なことに加え、肝心のアイドル活動やTS変身に楽しみを見いだせていないのが、その原因なのかもしれない
    • あるいは、中心となる事件自体を複雑なものにしたため、ラブコメ要素にあまり注力出来なかったという点もあるだろう
  • その代わり、芸能界の闇を扱っている割に暗い雰囲気は少なく、
    • 電撃文庫というより、児童文学のような直情体当たりなノリである
  • ただ、作者が芸能界の関連業界の経験者であるため、細かいディテールや小道具にリアリティがあるのは良い
  • それに、謎を追っていく過程自体は十分に面白いし、主人公の目的など重要な部分はしっかり決着をつけている
    →裏取引、価値の交換可能性
    電子化◯BOOKWALKERの月額課金読み放題で読むことが出来る

アイドル 地下にうごめく星 渡辺優

  • 地下アイドルを題材に、夢や己の有り様に悩み苦しむ人の心をていねいに描いた連作短編集
  • しょっぱなからヤバい感じのポエムな文章から始まる話ではあるが、
  • そんな一見ヤバそうな…いや、実際にわりとヤバい「変人」たちにも、万人に共通していそうな弱点や悩みがあるという点から迫り、
    • リアルで面白く、先が気になるストーリーに仕上げている
  • ちなみに、表紙のヤバそうなガラケー美少女は主人公の一人ではあるが、中心となるのは別の人物
    • 読者を地下アイドルの世界に導くのは、地下アイドルについて何も知らなかった四十代半ばの女性会社員なのである
    • 年齢から来る疲労を感じつつも、アイドル世界に恋に落ちる彼女の変貌が、物語全体を駆動していくのだ
  • 少し残念なのが、アイドルの活動よりアイドル関係者の内心に焦点当てているため、ライブなどの描写は少なめなこと
  • けれどそれでも、人間心理の追求と展開の工夫により、たぶん世界に一つだけの、オンリーワンな物語となっているのが実にいい
  • なお、彼氏持ちのアイドルもいるが、特定のファンに異様な執着をもつアイドルもいるので、そのあたりはご安心を?
  • ちなみに、前述した表紙のヤバげな清楚系美少女は、 「仕事で人間に転生した天使」という自己認識を持つことで、つらい家庭生活をやり過ごしていたりする
    →精神制御。【Emotional-Emulator】?
    電子化◯

アウトブレイク・カンパニー 萌える侵略者 榊一郎

  • オタク文化によって、日本が異世界を文化侵略する話
  • アニメ化もしている
  • 全18巻+その後を描いた外伝1巻
    電子化◯

アクセル・ワールド 川原礫

  • いじめられっ子だったデブなゲーマー中学生と、人間の可能性の拡張を目指すヒロインの戦いの物語
  • たぶん、AI的な存在が物語の中核に深く関わっている
  • 『ソードアート・オンライン』にも出てくる「心意」は、イメージの具現化であり、かなり【邪視】的
  • 第二象限の「心意」の中には【浄界】のようなタイプの技もある
  • 記憶を蓄積して、人格を得た呪いの鎧なども出てくる
    電子化◯

悪人 吉田修一

  • ふとしたことから悪人になってしまった男と被害者になってしまった女、そしてその二人をめぐる人々の物語
  • 善悪、そして加害と被害のあいまいさ、ヒトは状況によってどちらにもなり得るという冷酷な現実と、そこにあるかもしれない人情による救いを描いている
    電子化◯

悪魔交渉人シリーズ 栗原ちひろ

  • 悪魔を相棒にした交渉人が、誰も信用しきれない状況の中、オカルト事件に解決をもたらそうとあがいていく話(全四巻)
  • あるいは、彼が己の『邪視』(世界観)を貫いていこうとする物語
  • 主人公が、信念を貫きつつ謎を追うあたり「伝奇ハードボイルド」と言ってもいいかもしれない
  • この作品の主要な魅力は、主人公の独特な人格や思考、それに彼の周囲の人間関係
    • 悪魔はもちろん、メインの登場人物は皆それぞれに、変人ばかりである
  • なお、悪魔は主人公の親友の死体をのっとっていたり、主人公の想い人はその親友が好きだったりと、人間関係にはわりとドロドロな一面もある
  • そして、悪魔は「(面白い)人の死に至る物語」を蒐集するもの
    • つまり作中の事件には人間の情念が関わってくるし、それは当然多くの人を動かす
    • それゆえに、作中には悪魔との共存を目指す世界的な組織や美貌の青年霊能者なども登場するし、相棒の悪魔は、どんなときも常に主人公と契約を結ぼうと、誘導してくる
    • はたしてそんな環境の中、世界唯一の悪魔使いである彼は、無事に事件を解決できるのだろうか?
  • なお、オカルト関係では、美術館に収められる品々の『杖』、悪魔視認能力や信仰でお守りに実効をもたせる『邪視』、物語や交渉の『呪文』、そしてもちろん政治を含めた『使い魔』と、
    • アの四大体系の要素が全てそろっており、それぞれ描写される雰囲気も良い
  • 万象に心を見る世界観
  • 「見る」ことの力
  • 振る舞いの善
  • 解釈
  • 怨霊を使役するということ
  • 過去改変による死者の復活
  • 秘技、他力本願
  • 平和のための交渉
  • 信じるということ
  • そして、約束
  • 作者は他には『オペラ・エタルニテ』などのファンタジーを多く書いている
    電子化◯BOOKWALKER月額課金読み放題で、2023年7月31日まで第一巻が公開中

悪魔のミカタ うえお久光

  • 作品の重要アイテム「知恵の実」が邪視の産物
  • 6・7巻は、小学生巫女による呪文VS邪視対決
  • 「It」編に出てくる吸血鬼「ザ・ワン」もかなりカーティスっぽい
  • 続編まで出たが、未完
  • それでもある程度の区切りはついているし、人間が超常的存在とさまざまなやり方で戦う姿が描かれているのがすごく面白い
    • 普通なら「弱者」に分類されるような女性や子供も、彼女たちなりに戦って活躍している
  • 結構ガチな百合要素もある
    電子化◯BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて、続編666と共に全巻読むことが出来る

アゲイン 高校の同級生が、ペットショップで売られていました。 柳なつみ

  • 主人公の男性プログラマーは、かつて苛烈ないじめを受けた少年だった
  • 社会人となった彼は、かつて自分をいじめていた元同級生の女子が、動物に変えられペットとして売られているところに再会する
  • これは、ディストピアに生きるふたりの物語である
  • 作品社会は、社会評価ポイントという、他者からの評価を唯一絶対の価値としている序列社会であり、つねにAIに監視・管理されている
    • そこでは「人間にふさわしくない」とみなされた者は、ヒューマン・アニマルとして食用や娯楽の対象である動物に変えられてしまうのだ
    • ちなみに作中社会の文明レベルは『ドラえもん』並であり、地震や次元すら制御出来る技術があったりもする
  • 主人公は、その特技である「AIとの対話によるプログラミング」によって結構活躍もする
  • ただし彼は、純粋な善人として描かれているわけでもない
  • その主人公が「なぜ元同級生を元に戻そうとするのか」という謎こそが、この作品の中核であったりもする
  • かなりの長編だが、文章の大半は時間経過と感情の表現なので、情報量自体はそこまで多くはない(アリュージョニスト基準)
  • いじめなどハードな描写があり、言動がやばい人物も結構登場するのでそこだけ注意されたし
  • 関連作品として『ヘルパス 高柱猫の演説「人間の再定義の提案」』と設定資料集(大半は単なる過去の活動報告)がある
  • 2023年7月現在は、推敲中のために休載している
    電子化◯カクヨムにて連載中

朝のガスパール 筒井康隆

  • 朝日新聞で連載された、パソコン通信連動小説。
  • 虚構と現実の壁を、これでもかと破りまくった実験作
    電子化◯

明日の世界で星は煌めく ツカサ

  • ゾンビ災害世界で、魔女で元いじめられっ子とガンナーで元転校生の親友の女子高生バディが、旅をする全3巻のライトノベル
  • 親友の目的が行方不明の姉探しなあたり、『裏世界ピクニック』の影響が感じられる
  • 地水火風を用いた魔術のバトルもあるが、基本は少女たちの関係とハードな中に幸せを作っていくサバイバルであり、『がっこうぐらし』や『少女終末旅行』に近い内容
  • 良くも悪くもテンプレな要素の組み合わせなので、展開の予想は容易だが同時にサクサク読めるという長所もある
  • 憧れの親友と貸し借りなしの対等な関係になりたい主人公の、挑戦と成長、そして選択と決断の話でもある
    →価値、対価
  • こういった設定、そして巨大化するコウテイペンギンぬいぐるみの使い魔が好きな人にはおすすめ
    (電子化◯電子書籍版特典SSあり)

アステリズムに花束を SFマガジン編集部:編

  • SFマガジン百合特集掲載作に、Pixivコンテスト作品や書き下ろしを加えた短編集
  • 死や痛々しい表現も多いが、繊細な感情がしっかり描かれている良作ばかりである
  • 「四十九日恋文」:使用可能な文字数が一日ごとに減っていく、死んだ恋人との交信
    • 「死者が生きてる者の気持ちを理解するだなんてことは不可能だ。こうして文字にすがるのが精一杯だ」
    • 「死者の気持ちを捏造することも、生きてる側の特権だ」
  • 草野原々「幽世知能」:異世界を用いた再帰的な演算装置と理解の話
  • 櫻木みわ×麦原遼「海の双翼」:似通っているが異質な発語器官を持つ異種族ふたりと、主人と感覚を共有できる人造生命の三角関係
    • 言葉の体系を植え付けられた人造生命と、言葉が変化していく異邦人と女性作家の、言葉にまつわるもどかしさについての物語でもある
      電子化◯

Another 綾辻行人

  • ホラー&サスペンスミステリー小説
  • メディアミックスされており、媒体ごとに内容は少し異なる
  • 続編も出て、三部作となった
  • 死の色を見る人形の義眼
    →外力
  • 復活する死者
    • 最初は単なる個人の幻覚とクラスの約束事だったが、
    • 二年目以後は、自動的に共通認識のように復活してクラスに参加するように
    • 死者が「生きて」いる間は、その対価なのか、クラス関係者は死に近づく
    • ただし、クラスの誰かを「いないもの」として扱った場合、帳尻が合うのか、クラスから死者を出すことを防げる場合もある
      →一種のイマジナリーフレンドの共有?運命竜か集合的無意識の抑止力による反動?
      電子化◯

アナザーホリック ランドルト環エアロゾル 西尾維新

  • CLAMPのマンガ『XXXHOLiC』のノベライズであり、公認二次創作の短編集
  • 面白さはそこそこだが、人間への厳しい視線はきっちり再現されている
  • 「禁忌を侵したがる人」や「親友の幽霊からのメール」などが気になる人にはオススメ
  • 幸せになるからにはそれなりの対価が必要だとすれば、過度な幸福というのは、かえって害悪
  • 眼球地球論
    電子化×

あなたの人生の物語 テッド・チャン

  • 非線形言語を習得することは、時間的秩序を超越した認識を手に入れることだった。言語学者である一人の母の覚悟と幸福の物語
  • 「メッセージ」というタイトルで映画化している。映像化にあたってクライマックスを派手にするためか、全人類がこの言語を習得する未来を描いている。時間的非線形言語=絶対言語=恒久平和というのが完全に呪文の座。
  • 台本通りの演劇、しかし演じてる瞬間の迫真性。完結した物語の登場人物に対する祝福。アリュージョニストだ。いや、アリュージョニストは別に運命を肯定してるわけではないんですが扱う題材が似てるので同じ。
    電子化◯

あなたのための物語 長谷敏司

  • 人間を記述する言語「ITPテキスト」 ← 杖と呪文の複合技術!
  • ITPテキストで記述された仮想人格“wanna be”は創造性を持ちうるのか?という話
    電子化◯

アフタースクール・ラビュリントス 潮井イタチ

  • 死闘と手探り感が良い感じな、学生異能バトル小説
  • 「いつの間にか身体がアイテムボックスになってた男子高校生が、いつの間にか自分の体内に格納されてたメカ少女と一緒に現代ダンジョンで迷宮攻略デートする話」
  • 実はかなり理詰めで書かれている……が、やっぱりかなり胡乱な要素が頻出するのも面白い
  • そして展開がスピーディ
  • メカ少女とのやりとりやそのサポートなどが、かなりアを思わせるコミカルさだし、サイバーカラテっぽい表示や支援もある
  • 現在、長期休載中
    電子化◯ ハーメルンにて、ほぼ毎週更新中

アフリカの爆弾 筒井康隆

  • 核爆弾を買った部族の元へ、おっかなびっくり核を運ぶコメディ短編
  • 呪術的なトーテムのように祭り上げられる核爆弾の姿が、「相互確証破壊」という信仰によってその価値を確立している現状に、あまりにもしっくりきてしまうという強烈な皮肉
  • 「土人」という語が使われているが、下手な反差別エッセイより南北問題や人種差別を批判している作品でもある
    電子化◯

アマーリエと悪食公爵 散茶

  • 感情を食べる家系に生まれた「悪食公爵」と、家族問題に苦しむ令嬢の恋と愛の話
  • 公爵は、代々貴族の感情処理を押し付けられている
    • 令嬢も、自分の苦しむ心を公爵に残らず食べてもらおうとするのだが……
      →アキラくんの感情を食べている感情吸血鬼のコルセスカ
  • ぶっちゃけ、ちょっと変わったイケメンにいきなり好意を持たれ、彼を愛でつつ、ひたすらいちゃいちゃするストーリーである
    電子化◯BOOKWALKER月額課金読み放題にて、2024年1月31日まで読むことが出来る

幼い女神はかく語りき 暇奈椿

  • あまてらすはかくかたりき
  • IF歴史の古代日本を舞台に、幼い女神と神を否定する英雄が出会う、神話バトル英雄譚(全二巻)
  • アン・ライス『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』をオマージュした回想形式だが、
    • それこそが、「人間」の可能性を語る主人公のセリフに説得力を与えている一面もある(戦いにおいてもその未来へ続く歴史が力を与えているらしき描写もある)
      クナータの未来回想?架空矛盾史?
  • 表題も、ニーチェの『ツァラトゥストラはかく語りき』のオマージュであり、
    • その表題にふさわしく、この作品も独特な人間讃歌である
  • 回想形式ゆえに、最初から結果がある程度分かっている話ではあるが、
    • 主人公とメインヒロインの二人のよって立つ理念が、真逆であるため、
    • 「どのようにしてその二人が和解したのか」という謎が残り、
    • それが物語を語る意義となっている
      →『聖婚』?
  • そしてその謎や人間讃歌のテーマが、神にすがらず人間の強さを謳う超人主人公のハーレム英雄譚という基本路線に、
    • 本来持ち得ないような真逆の要素を加え、まるで甘味に加える塩のように、その魅力を高めているのだ
  • ただ逆に、その謎が解消された二巻では、物語の持っていた潜在的な魅力やパワーを大幅に使い果たしてしまった感がある
  • テーマである「人間の可能性」についても、
    • 主人公は、スパルタ主義で一般から隔絶した超人で、
    • メインヒロインは、弱さを受容する女神、
    • そして残るは、安きに流れ邪悪に成りがちな民衆にに熱烈な信者と、
      • 人間種族全体を代表するには、本来の意味で役者が足りていない感は、否めない
  • あるいは、橙乃ままれ『まおゆう魔王勇者』のように、
    • 凡人から成長するサブ主人公や新ヒロインなど、モブキャラクターから脱出する人間代表が存在していたり、
    • 英雄の活躍やハーレム傾向の制限など、超人英雄譚と人間種族全体の成長を共存させる工夫が用意されていれば、
    • 話は違ったのかもしれないが……
  • またこの作品、あとがきでしか語られていないとはいえ、
    • 人間讃歌を突き詰めて時代を現代まで進めたため、
    • 当然、例の四文字唯一神とも戦っており、下手をすると封じたり滅ぼしたりしている
    • つまりは、世界の主要宗教に対する明確な侮辱を、行っていたりもするのだ
    • また、日本が唯一、妖精や神と人間が共生するオカルト国家であると設定されている点も、
      • 全世界にケンカを売っているといえなくもない
    • それを思うと、この作品が人気が出ず二巻で打ち切りになったのことも、あるいは作者や関係者の安全という意味では、良かったのかも知れない
      電子化◯BOOKWALKER月額課金読み放題にて、2024年1月31日まで全巻を読むことが出来る

アモス・ダラゴンシリーズ ブリアン・ペロー

  • 貧しい少年が、至高神「白い貴婦人」から善と悪の調停者に選ばれ、持ち前の機智とアイテムの魔法力で戦っていく児童文学ファンタジー
  • 主人公が最初に手に入れる武器は、人魚の女王から託された三叉の鉾
    →槍の少年?ソルダ?コルセスカ?
  • 出てくる神や怪物は民話や神話からの引用だが、女だけの種族ゴルゴンに部下に自分を「お父さん」と呼ばせているゴルゴンのボスなど、アレンジは結構効いている
  • 神々の時代を終わらせる話でもあったりする
    電子化×

あやかしとおばんざい ~ふたごの京都妖怪ごはん日記~ 仲町六絵

  • ほんわか系グルメと妖怪ショートショート集な、ライト文芸(全2巻)
  • 金沢から出てきた料理好きのふたごの兄妹が、うさぎの姿をした女神(白山の菊理媛神=くくりひめのみこと)に見込まれ、
    • 泉鏡花の後継者として、妖怪の存在を語り継ぐ絵物語(ブログ)を書いていくことになるお話
  • あやかしは人と逆で、体を作るのが本、心を作るのが食べ物
  • 主人公たちは、あやかしたちに美味しいご飯を食べさせてもらったり、逆にごちそうしたりするし、
  • 彼らが作っていく妖怪を題材にした物語も、あやかしに依頼されているのと同時に、
    • あやかしや京の人びとからネタやきっかけをもらうことで、書けるようになって生きがいを得ているという側面もある
      →外力、相互性のある『使い魔』的関係
  • なお、作者が同じ「からくさ図書館来客簿」と舞台を共有しており、少しだけそちらも話題も出てくる
    電子化◯第一巻は、BOOKWALKERの月額課金読み放題にて、2023年11月30日まで読むことが出来る

アラビアの夜の種族 古川日出男

  • 千一夜物語を元にしたファンタジー。
  • 物語の中に物語がある多重構造はアリュージョニスト理解にも役立つはず。
    電子化×

アリフレロ キス・神話・Good by 中村九郎

  • 神話なんてありふれてしまえばいい
    電子化◯

あるいは現在進行系の黒歴史 あわむら赤光

  • ラブコメ・中二病設定なりきり異能バトル小説(全十巻)
  • 妹の中二病ノートの設定を元に肉体を得た美少女幽霊たちを、最弱の設定を借りて実体化した美少女死神と一緒に捕まえる話
    • 主人公は、ありがちな中二病設定へツッコミながらも、死神と契約して共に異能バトルを戦っていく
    • また、幽霊たちもなりきっている中二病設定に思い入れがあるので、それを利用して舌戦で状況を有利に運んだりもする
      →『邪視』『呪文』
  • コメディと萌え全振りの内容は人を選ぶし、説明過剰で描写力が不足気味なのが難点
    電子化◯2023年3月31日まで、BOOKWALKERの月額読み放題で三巻まで開放されている

アルサラスの贖罪 デイヴィッド&リー・エディングス

  • 『ベルガリアード物語』の作者たち(元々共著に近かった)が書いた、世界一の泥棒アルサラスが主人公のファンタジー(全三冊)
  • 「神の言葉が書かれた本」を盗むように依頼された泥棒が、ネコでもある女神の霊媒となり、仲間を集め、邪神の下僕と戦う物語
  • ガチ中世な世界観がしっかりしていたり、主人公が嘘と話術の達人だったり、女性たちの存在感が大きいところが特に魅力的な作品である
  • 主人公が命令されてばかりの展開だが、彼が元々ヤンチャな性格であったり、なにより命令するのが彼の愛しい女神(そしてネコでもある)だったりするので、読んでいても不快感はあまりない(猫や女神が好きでない人には当てはまらないかもしれない)
  • 互いに相手の意識の中に入り込める女神と主人公、「家族」と呼ばれる精神の融合、人によって読み方が変わるシナリオアイテムの短剣、過去や未来の改変合戦や再演、そして魔法の源である「本」とアっぽい要素が色々ある
  • TRPGリプレイのように異なる能力を持った仲間たちの協力と本格的な中世戦争が話の中心であり、神様アイテム・神様パワー(いちおう条件は敵軍も同じ)に加え、様々な人々の協力、戦略や戦術で戦う
    • 万全の準備を整えてから戦うタイプの作品であり、ほとんどピンチに陥らないため、ストーリーは好みが分かれるかも
  • ちなみに、主人公が贖罪をする展開は全くない。タイトル詐欺である
    電子化×

ある日、神様がスマホにおわしまして  雨野智晴

  • 女神と組んで、堕落した神に取り憑かれた人間の欲望を満たして浄化していく、魔法少女系ラブコメ現代ファンタジー(全2巻)
    • ゲームと間違えて契約した主人公には、孫悟空の頭の輪のような呪縛がかけられていたりもする(ただし本人がノリノリなので実質無意味)
  • メインヒロインの名前がククリで高天原というワードが出てくるので、日本神話がベースと思われる
  • なお、いきなり全校憧れの先輩がスカートをたくしあげるなど、エロスとノリがぶっ飛んでいる作風
  • お布施で家具アイテムを買わねばならないし、それがMPになるあたりソシャゲよりひどいかもしれない
    →『鮮血呪』?
    電子化◯2023年8月31日まで、BOOKWALKERの月額課金読み放題で全巻を読むことが出来るし、KIndleunlimitedでも全巻0円で読める

暗殺拳はチートに含まれますか? ~彼女と目指す最強ゲーマー~ 渡葉たびびと

  • 互いにライバルで師弟関係な、ボーイ・ミーツ・ガール小説
  • VR格闘ゲームで伸び悩んでいた主人公が、暗殺拳を受け継ぐ少女のコーチをすることによって闘争心を取り戻し、闘技者として再起をはじめる
  • ゲーム独特の「スキル」の存在が、格闘戦をより面白く演出しているのが良い
  • ネット版の後半は、書籍用に改稿したものの見本となっている
    電子化◯ カクヨム連載版

アンティーク贋作堂 ~想い出は偽物の中に~ 大平しおり

  • 両親に死に別れ、変人の兄に振り回されていた少女が、自分の道を見定めていく物語
  • 「偽物には本物の物語がある」という兄の口癖通りに、少女はさまざまなものの価値と物語を見出していくのだ
  • そして彼女は、呼吸をするため、自分に欠けたものを補い、寄る辺を得るため、存在価値を探し出すために小説を書いていた
  • 「物語を求めることでしか、私は私になれないのだ。それが真っ赤な偽物だとしても」
  • クオリアの差異と「嘘」
    →『呪文』
  • ちなみに兄は(わりと残念な)本物なので、あしからず
  • 金沢を舞台にした作品は珍しい
  • 「この世のあらゆるものは偽物なんだよ。そう考えないとつらくて人生なんてやってられないだろ?」
  • 源氏香:『源氏物語』五十四帖に香を見立てた遊び
  • 留守文様:アトリビュートにある意味近い、『源氏物語』の場面を想起させるデザイン(図柄)のお約束
  • 「血」
  • 「墨に五彩あり」:墨の中にはあらゆる色が含まれているという古代中国の言葉。五は陰陽五行から
    電子化◯BOOKWALKERの月額読み放題で読むことが出来る

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? フィリップ・K・ディック

  • 映画『ブレードランナー』の原作として有名すぎるSF小説
  • 共感能力の有無によって、「人間」と「人間でないもの」が区別される時代の話
  • 作品内には、明らかにキリスト教がモデルの宗教「マーサー教」があり、処刑に似た教祖の苦難に共感出来ることが「人間らしさ」の証とされていたりする
  • 外見と振る舞いは本物そっくりな電気羊、人間そっくりなアンドロイド
    • そして社会的地位の象徴として、みんなの欲望の対象=夢となる動物のニセモノ「電気羊」
    • 人間の「ニセモノ」であるアンドロイドは、電気羊の夢を見るのだろうか?
      電子化◯

イヴの物語  ペネローピ・ファーマー

  • なぜ禁断の実を食べたのか、どうしてエデンを出て行くことになったのかを、イヴ自身が物語る創世記の再話
  • 物語を得るために、(物語が存在し得ない)楽園から出た女の話
    電子化×

イコン 今野敏

  • パソコン通信時代のバーチャルなアイドルを扱った警察小説
  • ミステリーというより、刑事たちの成長や友情などの人間関係を中心とした、犯罪捜査の物語である
  • 登場人物の感性はサバイバナイフを恐ろしいと言ったり、ヤンキー漫画を批判したりと旧態依然としているが、
  • 描かれているアイドル像は、時代を先んじた先進的なもの
  • メディアを介して接するため、どうしても得られるアイドルの情報が限られる、というファンの情報格差や元祖バーチャルアイドル「芳賀ゆい」から、アイドルの虚像としての面を切り出すその着眼点は鮮やかである
  • ネット上だけに存在し、公認のアイドルグループ「アリモリ・ファミリー」に歌詞を提供するバーチャルなアイドル「有森恵美」
    →『紀人』?
    • 独自の権威をもつ権威社会のパロディ
  • タイトルの「イコン」も、ロシア正教の用語でアイコンの原義である、神の世界への窓のこと
  • ただ、アイドルSFというわけではないので、せっかくのアイディアがあまり活用されていないのは残念なところ
    • この作品は、あくまで中年男性の主人公が未知の事件相手に奮闘する話であって、バーチャルアイドルは彼が息子に歩み寄る、その媒介物にすぎないのだ
      電子化×

異修羅 珪素

  • 強者が流れ着くファンタジー世界で、多種多様な強さを誇る修羅達が「勇者」を決めるためにトーナメントや陰謀で激突する英雄譚
  • 英雄になれなかった者たちや、英雄や「勇者」になれなかった者たちの話もしっかりと語られているのも、また良い
  • 「おぞましきトロア」「星馳せアルス」「静かに歌うナスティーク」「絶対なるロスクレイ」の戦い方やあり方はサイバーカラテ的だし、「黒曜リナリス」はトライデントっぽい
  • 一対の存在であり、互いにスワンプマン的な転生復活をさせあう修羅・窮知の箱のメステルエクシル
  • 『天眼』と呼ばれる超感覚の異才を持っていた、戒心のクウロも出てくる
  • わずかな欠点は、話が濃厚で長いため読むのに時間がかかることと、官僚である「黄都二十九官」が多すぎて名前を覚えきれないことだが、
    • 後者は非公式Wikiがあるし書籍版では一蘭があるので、別に覚えなくても問題はない
  • エピソードが追加されて書籍化されており、コミカライズもされているし、アニメ化もされた
  • その他ア関連要素の要約
  • 世界にあまねく広がる詞術の力で、異なる言語大系の話者同士でも会話が可能な世界
    • 物体に語りかけて動かしたりすることも可能
  • 殺したくない暗殺者
  • 良心の存在こそが、神の与えた救いだという信仰
    • 心ある生命の一つ一つの眼が詞神
    • 誰よりも罪だと知りながら、その罪を背負い続けて戦うしか無いのだろう
      →アキラくんの殺人の葛藤?
  • 己自身の目的を持たない政治家
    • 政治家には、「誰とでも仲良くする」という媒介の能力だけがあれば良いと語る
  • 不言のウハク:神秘を否定する視界
    →『邪視』?
  • 外なるセテラ:哲学的ゾンビの勇者
  • 誰かが不幸に成るのが許せないゆえの怒り
  • 誰よりも正義と勇気を信じていなかった悪党が説いた教え
    • 無限の可能性、無限の色
  • 共感性の根幹は模倣にある
    • 想像し続けること
  • 誰かに託すということ
  • 魔剣の意志を読み取る魔剣士
    • 過剰な共感性に本来の意思を飲み込ませる
  • 自分が救われることを保証するため、弱者を救い続ける騎士
  • 誰かに願いを託し正常に戻ろうとする民衆の願望が、一つの象徴を、勇者を求める
    電子化◯ カクヨム版
    異修羅非公式Wiki
    電子化◯BOOKWALKER月額課金読み放題にて、7巻まで読むことが出来る(購入特典のショートストーリーは除く)

イスベルの戦賦 新城カズマ

  • "棍棒と呪術"
    電子化×

異世界修学旅行 岡本タクヤ

  • やけに日本のバラエティ文化に詳しい王女と行く、異世界・転移・修学旅行
  • 基本的には仲間を探すお気楽な旅行ではあるが、たまにガチで苦難や投獄があったり斜め上の展開があったりと、冒険の旅成分も十分に含まれているところが良い
    →処刑されたクロウサー分家の『英雄』、ランカーシュ・クァヒートの妄想?
    • 修学旅行らしく現地で色々学んだり、学園イベントを異世界で再現したりする
  • 後付けのチートパワーアップなどは無いが、全裸芸人からギャル、「ハイファンタジー」おたくさんまで、多様なクラスメイトの力で問題に立ち向かう
    • 孤独なチートより平凡で楽しい集団生活こそが、修学旅行の醍醐味なのだ
      →ア三章?
    • まあ、問題自体もクラスメイトのせいだったりもするが、そこはご愛嬌
    • いちばん活躍しているのが、バラエティ司会のノリで進行をする異世界人のマイルドヤンキー王女であり、彼女の社会的地位と権力とお金パワーだったりもするが、それもご愛嬌である
  • 人気投票によって決まる巫女が存在し、投票は神事としてそのまま巫女の信仰パワーとなったりもする
    →外力、シナモリアキラ選挙?
    電子化◯ BOOKWALKERにて、全7巻+新聞連載をまとめた短編集1巻が月額読み放題

異世界チクショー ~コウメ太夫で笑ったら即死亡チート~ 春海水亭

  • 異世界コメディ
  • お笑い芸人「コウメ太夫」のモノマネで相手を笑わせないといけないという、縛りが厳しいチートで戦うハメになった主人公の物語
    • チート能力が引用そのものであり、つまりコウメ太夫を知らない者には全く効果がない
    • だが、この話の主な舞台は異世界なのだった
      電子化◯カクヨムにて完結済み

異世界転生航空力士列伝 𝚰𝚫𝚼𝚵𝚨

異世界転生したけど日本語が通じなかった Fafs F. Sashimi

  • 書籍版タイトルは『異世界語入門 ~転生したけど日本語が通じなかった~』
  • オリジナル架空言語を中心とした、語学学習モノ。
  • 魅力的なヒロインや学習熱心な主人公のおかげで、たとえ言葉を覚えなくても、それなりに物語を楽しむことも出来る。
  • 物語は基本まったりだが、時折不穏な気配も漂い、アンチ・異世界チート転生やイデオロギー勢力の要素もあったりするようだ。
  • 作中言語であるリパライン語を覚えながら主人公の認識と実情のすれ違いを推測したり、周回してレベルアップした語学力で物語を把握し直すのが、一番楽しめる読み方だと思われる。
    電子化◯ カクヨムにて連載中
    KADOKAWAより書籍版発売中
    ウィキペディア記事
    エンペディア記事

異世界ナンパ ~無職ひきこもりのオレがスキルを駆使して猫人間や深宇宙ドラゴンに声をかけてみました~ 滝本竜彦

  • 『NHKにようこそ!』の作者による初の異世界転移ファンタジー
  • 魔法のスキルナビゲートシステムの補助を得て、引きこもりがナンパに挑戦!
    • コミュニケーションスキルを、スキルに分割・明確化することでコミュニケーションを段階化させてやりやすくするという、『杖』的な発想
  • ナンパを人生の至上命題として、ひたすら追求するのが首尾一貫していて良い
  • まだ色々と発展途上ではあるが、作者にすら予測不可能なストーリーは、登場人物が増えるごとに意外性を増していって面白い
  • 主人公の成長によって、闇の塔のシステムを利用して自他をサポートしたり、
    • タワーディフェンスゲーム的な戦い方が出来るようになった
  • また、主人公自身も他者のサポートへ特化しつつあり、

異世界迷宮の最深部を目指そう 割内@タリサ

  • 可愛いメンヘラヤンデレがどんどんでてくる。
  • 感情操作呪術が主人公の最初の武器で最大の病。
  • 宣名が強い。格好良い。
  • 主人公が自我ぼろぼろで道具じみて、その主人公を媒体・舞台装置にして紡がれる最高の百合
    電子化◯Web版へのリンク

いちばんうしろの大魔王 水城正太郎

  • 振る舞いが魔王的であるため、予言どおりに魔王になってしまう男子学生の話
  • 紀的な『物語』
    電子化◯BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて全巻読むことが出来る

いつかの空、君との魔法 藤宮カズキ

  • 第21回スニーカー大賞《優秀賞》受賞作
  • 精霊の声を聞き、箒で飛ぶ少年少女の物語
  • 常に上空を覆う雲によって、空の青さを知らない世界
  • そこは、精霊たちの力に依存している魔法文明の星だった
  • 雲をとり去れるのは、大人が使う魔術ではない
    • それが出来るのは、子供が使う魔法だけ
      • 箒に乗って空を飛ぶショーのような儀式「グラオベーゼン」だけなのだ
  • 木を精霊化させることで、箒飛行のエネルギーに
    • その代わりとして、新たに木を植える循環の風習
      →前身と消費のトリシューラ系『杖』世界観を補填する自然循環・リサイクルの概念?
  • 悩みの打破は、人や精霊の声を媒介してくれる人物によって行われることが多い
  • 二巻、ドッペルゲンガー的な現象を使ったプレゼント、願いの叶え方
    →外力
  • 世界槍っぽい存在もある
  • 魔法系テクノロジーは単純なテレビやスマホ、ドローンなどメディア機器の代替
    • あとは、魔術によって空を飛ぶ乗り物や、自販機の代わりの、コインを飲み物に変換するゴブレットと日用品のみ
      電子化◯ 電子版限定「朝焼け」イラストが収録されている

IT スティーヴン・キング

  • 人生行き詰まりがちな中年男性たちが、復活した悪夢に再び立ち向かう話
  • 恐怖、そして友情と勇気の物語
  • 子供の頃の最高の仲間は、再び結成できるのか?
  • そして、街の惨劇を止めることが出来るのだろうか?
  • 差別やリンチ、凶悪犯罪などアメリカの暗部がこれでもかと出てくる
    • 怪物がそれらの惨劇を引き起こしたりすることもあるが、それは基本的にアメリカの、そして主人公たちを含むアメリカ人の内部にある「悪」なのだ
    • 怪物自体は外部から来た存在ではあるが、それが起こす中でも最も恐ろしい恐怖は、もともと主人公たちの中に、現実のアメリカにある身近なものでしかない
    • そしてそうした闇が深いほど、過去も追い詰められがちではみ出しものの子どもでしかなく、そして今は老いて中年になってしまった主人公たちの、勇気と絆がより輝くのだ
  • 相手の怖いものに擬態する怪物
    →引喩?レイス?
  • 怪物は、邪悪な人間を操ったりもする
  • 対立する超越者の干渉
    • 敵も人間の認識や記憶に干渉出来るが、それに対抗する善なる超越者もまた主人公たちを助ける(ただし肝心なところでは自分で戦わねばならない)
  • 最近では、「ペニーワイズがオススメするシリーズ」という嘘字幕MAD動画のネタにもなった
  • タイトルが簡素すぎて検索しにくいため、図書館などで探す場合は「イット」などと表記を工夫したほうが見つけやすいかもしれない
    電子化◯

いつも月夜に米の飯、米の飯より思し召し ルシエド

  • ポストアポカリプス世界で、ウマ娘のライスシャワーたちと異世界人が、世界をもとに戻すために旅をする話
  • 長期休載中
  • 『ウマ娘プリティーダービー』の二次創作ではあるが、原作を知らなくてもストーリーを楽しむには問題ない
  • アスキーアートをふんだんに使った作風、異世界言語を16進数で暗号化することで表現、といった挑戦的な試みがあるのも良い
  • ただ、ウマ娘の言葉を理解したい場合、常に複数ウィンドウを出さないといけないので面倒ではあるし、スマホで読むにはあまり向いていないかもしれない
  • 主人公の出身地である、宇宙進出を果たした未来文明とウマ娘世界の文化の違いや、それを筆談を使った手さぐりコミュニケーションで埋めていくファースト・コンタクト要素もある
    • 特に、家畜に近い(バイオ系)人造人間である主人公の価値観や社会的位置づけの解釈が面白い
      →トリシューラが目指している、機械が人間の一種として認められた社会?
  • エネルギーや資源を得るための、異世界接続実験
    • 他者を犠牲にする夢の是非について
      →ベアトリーチェの憑依転生への罪悪感
  • 歌詞を個々人で考えて合唱する、未来音楽
    電子化○ハーメルンにて連載中
  • ウマ娘言語変換用サイト
    • ※長過ぎる暗号文は、前から少しずつDELETEキーで削っていけば全部読めます

いぬかみっ! 有沢まみず

  • 主人公が全裸であり「王」の称号を持つので、これは絶対にアリュージョニスト
  • 主人公は、他の【使い魔】の術者をも操る【使い魔】の術者「『犬神使い』使い」
    電子化◯

異邦人 アルベール・カミュ

  • 社会と異質な価値観を持つ男の孤立、そしてその独特の希望を描いた不条理小説
  • 裁判では「母の葬式で泣かなかった」「殺人の理由を『太陽がまぶしかったから』と答えた」ことが非難され、男は・・・
  • 孤立した人間を描いた作品だが、作品自体はわりと人気がある
  • 二次創作として、カメル・ダウド『ムルソー再捜査』が書かれている
    電子化◯

イマジナリフレンド ミタヒツヒト

  • クランテルトハランス(イマジナリフレンド)がメインの小説
  • 主人公のイマジナリフレンドが異性であり、金髪サイドテールでちょっとツンデレ入ってるのが人によっては受け付けないかもしれない。
  • 主人公は仮面ライダーカブト世代らしいので、その基本設定を頭に入れておくと、その奇行を受け入れやすいかもしれない
  • コルセスカ好きな人には向いていると思う
    電子化◯

イマジナリーフレンドと ミシェル・クエヴァス

  • イマジナリーフレンドが、自由と居場所を求めて旅する児童文学
  • イマジナリーフレンド同士の交友もある
  • 起きている出来事自体はハードなのに、どこかしらユーモラスで軽妙な味わいなのも、また良い
    電子化◯

今は千年ほど昔 田村邦夫

  • 平安時代の関東に転生(ほとんどタイムスリップ)してしまった主人公が、現代知識で世界を変えていく内政系のなろう小説(完結済み)
  • 古文風の会話や平安の文化風習の描写、そして毎回のコラム解説があるので、そういうのが好きな人に向いている
  • 主人公の名前がアキラ
  • 主人公が作中で改変した未来からも、転生してくる者がいる
    • その未来では、『E・E』の強化版のような人工知能による精神サポート「精神補綴」があり、「どんな時にも最適な考えがポンと思いつく、しかも周囲と既に調整済みで、ストレスを感じることは全くない」そうで「 思いついたままに何をしても、何も怖いことが無い」らしい
    • ただ、ほぼ設定しか出てこないし、使い方によっては人間を操ることにも使えるようだ
  • 最後の人間、「弥勒菩薩」(他称)による「ハッピーエンド」の模索
    本編リンク
    設定まとめへのリンク
    電子化◯

イリーガル・エイリアン ロバート・J・ソウヤー

  • 殺人事件の容疑者になったエイリアンの裁判をめぐる、法廷ミステリーSF
  • そもそも地球(アメリカ)の法定自体が、一般人には不合理にも思える多くの理屈から構成されているため、エイリアン関係なくカフカ的なディストピアSFの様相があり、それがまた面白い
  • SF設定のみならず、信条描写や法廷での裁判劇の演出も素晴らしい
    • だが、裁判劇のリアリティが高いぶんそのやりとりはまどろっこしいため、法廷ものが苦手な人は飛ばし読みを強いられるかも(それでもかなり面白いが)
    • 異なる文化・価値観を持つエイリアン(地球上にも同じような相互理解困難な人々もいるが…)との対話と理解が進んでいくさまは、ファーストコンタクトSFとしても、かなりクオリティが高いものだと思われる
      電子化×

韻が織り成す召喚魔法-バスタ・リリッカーズ- 真代屋秀晃

  • 堅物ボーイ・ミーツ・ラッパーデビルガールなコメディ・ライトノベル(全三巻)
  • 校則至上主義の生徒会長が、偶然召喚してしまった悪魔少女によって、幻影召喚ラップバトルに巻き込まれてしまう話
    • バトルは『ヒプノシスマイク』とやや似ているが、2013年の第20回電撃小説大賞・金賞の受賞作品であり、そちらより4年早い
  • 主人公は、めちゃくちゃなヒロインに振り回されているうちに新しい世界に気づいていく
  • しかし、彼の行く手には予想外な強敵たちが待ち構えており……
    電子化◯

ヴァルキリーワークス 逢空万太

  • 『這いよれ! ニャル子さん』の作者による、北欧神話を題材にしたラブコメバトル・現代ファンタジー(既刊4巻)
  • クールスケベな主人公が、仮免ヴァルキリーをからかいながら助けるという、魔物ハンターもしくは魔法少女なタイプの作品
  • 異界の事情に巻き込まれたはずの主人公が、ひたすらボケ倒しながらペースを握っていく、コメディ全開の作風である
  • 更に作者が好きな『仮面ライダーW』よろしく合体もする(外見は主人公に統一される)
    • メインヒロインには「智慧の水源(ミーミルズウェル)」という、天界インターネットな検索能力もあるし、完全にWである
      電子化◯2023年8月31日まで、BOOKWALKERの月額課金読み放題で3巻までを読むことが出来る
      さらに、Kindleunlimitedでは4巻までを0円で読むことが出来る

ヴァルプルギスの後悔 上遠野浩平

  • 俯瞰認識者(オーバースケール)=世界と時間を超越したメタ存在である二人の魔女の戦いと、それに巻き込まれた人々の話
  • 運命に振り回される人々と、全知全能に近いメタ存在に立ち向かう者たち
  • そして「炎の魔女」の終わりを語る物語
  • ブギーポップシリーズのスピンオフであり、ビートのディシプリンなどとも繋がりがあるが、前者は『ロスト・メビウス』まで読めば良いし、後者は読まなくても別に問題ない。
    電子化◯

ヴぁんぷ! 成田良悟

  • さまざまな形状・性格の吸血鬼がたくさん出てくる群像劇
  • 吸血鬼を退治するゲームがリアル吸血鬼たちの中で流行っていたり、雰囲気は全体的に軽いがシリアスな部分もある
  • 吸血鬼の血肉を食べてその力を得た「食鬼人」や人工的な吸血鬼などもいる
  • ラブコメも復讐譚も、そして勘違いやすれ違いも盛りだくさんなお話
    電子化◯

ヴィーヴワールド クライヴ・バーカー

  • 90年代イギリスを舞台に、青年男女が活躍する現代ファンタジー・アドベンチャー
  • 絨毯に封印されたファンタジーの国をめぐって、邪悪な存在と戦いを繰り広げる物語
  • 人間の文明社会は凡庸で空虚なところとされており、主人公たちはそうではない夢の国〈綺想郷〉(フーガ)に癒やしと救いを求めるのだ
  • 冒険はスリル満点であるし、魔法もダイナミック、人物描写もしっかりしているのが良い
    • 中でも、不思議な幻想の国のさらに内部に、より不思議な幻想世界が展開されるのが面白い
  • ポリコレ観点から言えば、ファンタジー作品には珍しく、異世界人の中に黒人男性が含まれているところは評価されるべきだろう
  • ただ、作者が〈胸糞悪い〉(ナスティ)ホラーの名手であるため、死人もどんどん出るし、グロテスクでサキュバス的な亡霊魔女も出たりする
  • 妖魅の民(シアカインド)の氏族の一つ、バーブーの絵文字(ヒエログリフ)
    • なんでもその中に押し込めて記憶し、持ち運ぶことが出来る
    • 小さな街一つを収めた例もあるという
      →『呪文』
  • (人が幻想の国の夢を見るだけでなく)幻想の住人である魅の民も人を愛することが出来るのだから、人の世界の夢だって見られるはず
  • 人も妖魅の民も同じ物語の中に生きている
    • 人は生まれ、死ぬことを恐れるけれど、愛によってみな救われるという物語
      →『呪文』第三世界槍?
  • 生まれる前にへその緒で殺した二人の姉を、使役する魔女
    →『使い魔』
  • 世界を絨毯に変えて織り上げる魔法
  • 相手の望むものを、形ある幻として具現化させる魔法の背広
  • そして、関わり読んでいる人ごとに、それぞれ異なる幻想を見せる魔法の本
    →『杖』
  • 一人では発動できず、交流によって相互に影響を及ぼす魅法(ラプチャー)=魔法の基本原則
    →『使い魔』
    電子化×

ウィザーズ・ブレイン 三枝零一

  • オカルトが科学によって発見、解明、実現された世界。主人公が複数の能力(≒アプリ)を使いわける。
  • 主人公の能力は、脳内アプリによる他の能力のエミュレート(模倣)
  • 機械や人間の情報を読み取り、痛覚を共有出来るヒロインもいる
  • 未完作品だが、序盤は一話完結型に近い
    電子化◯BOOKWALKERにて読み放題(月額)

ヴィークルエンド うえお久光

  • ケミカルカラテ
  • 違法薬物で自己認識を乗り物に書き変えて、身体操作しパルクールみたいなレースする話
  • 作品世界は、全ての子供が先天的な共感覚障害と感情の欠陥を抱えるようになった世界であり、感情を抑えるサプリの使用が不可欠となっている
  • リーナ・ゾラ・クロウサーの元ネタの可能性が微レ存
    電子化◯BOOKWALKERにて読み放題(月額)

ウォーターシップダウンのうさぎたち リチャード・アダムス

  • うさぎ神話が重要な役割を果たすうさぎたちの冒険譚であり、建国の話でもある
  • うさぎの英雄神と言えるエル・アライラー
    →アルセス?
    電子化×

嘘つきは妹にしておく 清水マリコ

  • 死人の森の断章感
    電子化◯BOOKWALKERにて読み放題(月額)

歌う石 O.R.メリング

  • 古代アイルランド世界にタイムスリップした少女が、魔法使いの役を割り振られて、とある少女の導き手となる物語
  • 神話の欠落を埋める旅
    →断章編
  • 四つ目の宝がもたらされるとき、意外な解決とともに主人公のルーツもまた明らかとなる
  • 『妖精王の月』など、作者のファンタジーシリーズは、現実世界と妖精界の重なり合いや相互影響があって、どれも面白い
    電子化×

歌う船シリーズ アン・マキャフリー

  • 宇宙船を身体とするサイボーグたちと「筋肉」と呼ばれるその乗組員たちの物語
  • 「頭脳」つまり宇宙船のほうが寿命が長く航海への主導権もあるため、乗組員である「筋肉」たちとの関係も、あまり深刻なストレスにならない点が良い
    →大事にされる拡張身体な知性体
  • 一作目は、パートナーとの出会いと別れを繰り返しながら、仕事と人生を謳歌する女性の話
    • 死別の悲しみを乗り越える話でもあり、異星での冒険もたくさんある
    • そしてもちろん歌の話でもあり、ディラニスト(まず間違いなくボブ・ディランの系譜)という、潜在意識に働きかけることが出来る歌のせいで政府に警戒されている歌手も登場する
  • 二作目以降は新人作家との共著となっており、原作者によるアイディアの委託であると同時に作る側もバディであると言える
  • 『戦う都市』『復讐の船』(執筆:S・M・スターリング)には、都市を身体とする殻人(シェル・パーソン)=サイボーグが登場する
  • 『戦う都市』
    • 宇宙ステーションを運営する男性「殻人」(シェルパーソン)シメオンのところへやってきたのは、気が強いフェミニストの女性「筋肉」だった
    • しかし、彼は、長年の相棒であり親友だった「筋肉」が引退した動揺のため、結果的に彼女の悪評を広め、その怒りを買ってしまう
    • その上、荒っぽい鉱夫たちとの付き合いが長いシメオンと彼女の価値観は、相容れないほど異なるものであった
    • さらにそこへ、迷い込んだ孤児や男尊女卑なマイノリティ文明で育ったイケメンまで現れ、ステーションに危機まで迫る
    • 最悪の出会いから始まった二人は、はたしてステーションを守り切ることが出来るのか
      電子化×

家の納屋にダンジョンがある ―God in the abyss of despair― 止流うず

  • 地獄的な地下迷宮へ潜る話
  • 物語の(主な)舞台は神々の影響力が強く神秘のこもった武具が溢れる辺境
  • フロムゲーっぽい過酷な戦場とそれに抗う闘争心溢れた主人公が魅力的
  • 最近、作者が別の作品の商業化で得たマネーをつぎ込んでイラストがついたりもしている
    電子化◯小説家になろうにて連載中

宇宙消失 グレッグ・イーガン

  • 量子力学的な『邪視』がダイナミックに世界を揺るがし、その危機をも救うSFサスペンス小説
  • 神経を改造して、コンピュータ的な機能をもたせる再結線(モッド)
  • 融合する人体も少し出てくる
    電子化×

海辺のカフカ 村上春樹

  • オイディプス王のような呪いをかけられた少年
    電子化◯

裏ギリ少女 川崎中

  • 触れた相手の願いを逆方向で叶えてしまう「裏ギリ能力」を持つ超能力者、「ユダ」とも呼ばれる少女と主人公の話
  • それは、触れた人の願いを裏切ってしまうために、仲良くなりたくて触れられると逆にその相手とは必ず仲が疎遠になってしまう、という悲惨な能力
  • その能力は心因性のものであり、他人を極度に信じられない幼年期の子供に発生するとされる
    →ユディーア?
  • コテコテベタベタなハーレム系ラブコメだが、わりとテンポよく話が進み文章にもそれなりの魅力はある
  • 《神の視点》そしてその現出である《心の原稿》という、使用条件を満たした相手の心を文章化出来る能力も出てくる
  • 読んでほしいと願うキャラクターと読みたいと思う読者が揃うことで、物語が成立する
  • ニ巻あとがき
    • 小説はそれだけでは記号の羅列に過ぎず、意味がない
    • 読者の頭の中から「意味を借りてくる」ことが出来ないとだめ
      →引喩、外力
  • 第17回スニーカー大賞《優秀賞》受賞、全ニ巻
    電子化◯ BOOKWALKERにて、2022年9月29日まで月額読み放題

裏世界ピクニック 宮澤伊織

  • 「綺麗」という感情からはじまって、めんどくさい感情が錯綜する。百合です。
  • 憧れの人は別の人に憧れいて、あまつさえ依存している。
  • 静謐の瞳を宿し、呪文を暴いて銃をばんばん撃つ女が主人公。卑屈で内気で独占欲が強くてめんどくさい。だけど心底追い詰められた時、ムカツク!で駆動できる奴。ビジュアルはミルーニャ。
  • 都市伝説という呪文で邪視ハックする系の異次元存在が敵。異言もやる。
  • コミカライズやアニメ化もされている
    電子化◯

裏庭 梨木香歩

  • 代々受け継がれる異世界と、心の傷の物語
  • 双子とアイデンティティの話でもある
  • 主人公は、自分に独自性が無いと感じる少女
  • そんな彼女が「借り物」を使って、異世界を旅していく
    電子化×

ウラミズモ奴隷選挙 笙野頼子

  • TPP関連法案への反対を訴えるディストピア小説であり、一種の異世界転移モノとも言えなくもない小説
  • 政治思想小説としてもディストピア小説としても失敗ぎみではあるが、現代日本の一面を切り取ってはいる
  • なにより、今の世の中で幸福になれないタイプの女性が幸福になる条件と、悪の存在を不可欠とする善の姿をきっちり描き出したところは、評価されるべきであろう
  • それに、作者が「ひょうすべ」と呼ぶ表現規制派への憎悪は、おそらく大塚英志との純文学論争に端を発しているので、そのあたりの事情だけは知っておいた方が良いかもしれない
  • ただ、あまりにも悪意的な描写が多いため、精神が安定してない方や悪意に耐える自信がない方、下品な描写が嫌いな方などにはオススメ出来ない
  • ウラミズモ=TPP関連法案を利用して、経済特区から独立した幻想の女性国
    • ウラ+出雲?恨み、裏も含意されているだろう
  • この作品の最大の特徴は、小説の語り手(主人公)のためだけに用意されたようなその世界観と、それへの語り手のスタンスにある
  • この物語の語り手は、陰石の石神と移民女性「市川房枝」の二人なのだが、その二人ともが、物語の主な舞台であるユートピア=ウラミズモになかなか上手く適応することが出来ないのだ
    • 確かにウラミズモは「人喰い条約」と作者が呼ぶTPP関連法案が無く、(基本的に)男も存在せず、作者が蔑視している「ひょうすべ」も思想が異なるフェミニストの「イカフェミ」もいない理想郷ではある
    • だがそれでも、他人との肉体接触自体が嫌いな市川や優しい夫の影を追う石神にとっては、それだけでは安住できる場所ではなかった
    • 女性だけの国家だとしても、そこで完全に価値観が一致しない者にとっては生きづらいのだ
    • それに二人は、正式なウラミズモ国民ではないし、外見も美しくない
    • ユートピアであっても、その体制で評価される経歴や能力・財産を持たなければ、十全な承認は得られないわけだ
  • そこで登場するのが、日本の悪いところを極端に戯画化したディストピア「にっほん」と市川を全力で持ち上げるウラミズモの人びとである
    • 市川は、自ら志願して「にっほん」でも受け入れられない性犯罪者(ひょうすべ)を収容する「資料館」(その実態は一種の風俗を兼ねた絶滅収容所)にわざわざ勤務する
    • そして、ウラミズモの人びとに見下されるためにやって来るとしか思えない「イカフェミ」たち
    • そんな彼らが、市川に価値ある仕事を与え、学位がなくても知性と品格を誇る機会を与え、それまでのマイナスをプラスに逆転させてくれる復讐を通して、移民であっても承認される地位を保証してくれるのだ
  • そして、石神はといえば、長い彷徨の末、ついに邪悪で下品ではない「理想の男」=夫を取り戻すことに成功する
    • 幼女をレイプするとされる「ひょうすべ」への非難に満ちたこの作品世界で、最後に見いだされた彼は……なんでも言うことを聞く「理想の息子」となっていた
    • 他者を悪魔化してたどり着いた理想は、その悪魔と双子のように瓜二つだったのだ
    • 作者の主張の是非はともかく、この結末にたどり着くことが出来たその筆力は、作者が得た数々の文学賞に恥じないものである
    • そのことだけは、誰もが認めざるを得ないだろう
      電子化◯

ウルフガイシリーズ 平井和正

  • 人間社会に隠れ住む狼男の少年が活躍する、ヒーロー小説
  • エロスとバイオレンス、そして人間への絶望と狼への賛美が込められた物語
  • 優しく温厚なのに人間に傷つけられる繊細な少年の話でもある
  • 後継シリーズの『月光魔術團』などでは、人造神話人種となって性転換したり転生したりしているが、一作目以降の評価は大きく分かれている模様
    →エスフェイルや王殺しなど
    電子化◯

運命の剣のきばしら 中村隆資ほか

  • 一振りの剣をバトン代わりにしたリレー小説集
  • 会議を経て書かれただけに、どの作品も力が入っているし、個性あふれる作家陣の作風を味わうことが出来る
  • 前の走者の作品を思わせる要素や、時代とともに変容する刀の姿や扱われ方も面白い
    • 宮部みゆきの「あかね転生」なども、オカルト度が強めで最も異色な作品となっているが、それもおそらくは、他作品の要素をなるべく多く拾ったうえで個性を出そうとした結果だと思われる
      • そのためか、この作品だけは他の短編集には収録されていないようだ
  • また、刀の使い手が明治の(元)会津娘や工兵などバラエティ豊かなだけでなく、その周囲の一般庶民までも人間味あふれる魅力的な姿を魅せてくれているのも良い
  • リレー小説だけに「受け継ぐ」そして「受け継がせていく」ことも強調されており、それもそれぞれの時代に生きる人々を活写するのに一役買っているのかもしれない
  • この作品集に「運命」があるとするのなら、それは影響しあったり時代を超えて受け継がれていく人々の思いのことなのだろう
  • 「敢えて銘を刻まず」
    • 職人の承認と真の傑作が受けるべき外力の話
    • いきなり嫌な上司/クライアントに頭を下げるところから始まる第一作
    • 刀の出自と込められた思いを語りきった、リレー小説の始まりに相応しい名作となっている
    • 亡き師の名を借りた夢のお告げ、という内力との境界が曖昧な外力も出てくる
  • 「明治烈婦剣」
    • 富田常雄の柔道小説『姿三四郎』を知っているとより楽しめる活劇調の一作
      電子化×

エアリアルシティ 川上稔

  • 文字で出来た都市の話。記述が全てという極めて呪文的世界。
  • 言詞砲(バベルカノン)とか出てくる
    電子化×

ASMRたすかる do

  • 「第2回日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト」に参加した短編
  • Vtuber「冬羽乃ネムリ」と同化した地球における、最後の配信の話
    →トリアイナ?
    電子化◯ ピクシブ文芸にて無料公開中

永遠の王 T・H・ホワイト

  • アーサー王物語をユニークに語り直し、リメイクした小説(文庫版上下巻)
  • アーサーの破滅を、近親相姦の罪ゆえと強調している「道徳的」な要素が後半から強くなる
  • ディズニーアニメ『王様の剣』は、これの第一部を元にしている
  • 少年ウォートは、さまざまな動物に変身する経験と動物たちの応援によって、石から剣を引き抜きアーサー王となる
    →王殺し?
  • 時間を逆行して生き、通常と反対に未来を記憶している予知能力者のマーリン
    →オルヴァ、クナータ
    電子化◯

A君(17)の戦争 豪屋大介

  • ファンタジー世界に召喚されたいじめられっ子高校生の戦記物
  • 文章はかなりユルめだが、戦争自体はわりとハード
  • 召喚された代々の魔王(全員居場所がない日本人)が、さまざまな技術や文化を持ち込んだため、中世風の世界なのに敵国の取材が出来る報道機関まであったりする 
  • 残念ながら未完であり、おそらく作者死去のため続きが書かれることはない
  • だが、オタク要素が入った異世界転移ファンタジー戦記としては、そろそろ古典と呼べるほど古いものなのも確か
  • がんばる少年軍師が好きな方には、ぜひオススメしたい
    電子化○BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて全9巻を読むことが出来る

86-エイティシックス- 安里アサト

  • ボーイ・ミーツ・ガールの戦記物の形式で、有色人種差別をしっかりと描いている傑作
  • 人種に関わらず存在する善性と悪性、そして誰でも差別する側になり得ることををしっかり描いている
  • ラベリング
  • 人間の部品扱い
  • 主人公たちのマシンは、欠陥のある量産機
  • コミカライズとアニメ化もしている
    電子化◯ 

英雄と魔女の転生ラブコメ 雨宮和希

  • 前世で殺し合う敵同士だった二人が再会し、それぞれ前世の束縛と向き合う物語(全二巻)
    アルマコルセスカなど過去の因縁持ち
  • 望まれた役割が、コンフリクト(衝突・仕様外の作動)を起こした人造英雄
    →人のための転生暗殺(実質的な自殺幇助)と人命尊重の価値観がコンフリクトしていたアキラくん?
    電子化◯BOOKWALKER月額課金読み放題にて、2024年1月31日まで読むことが出来る

英雄の書 宮部みゆき

  • 「英雄」の暗黒面を描いた、異世界転移ダークファンタジー
  • 世界観のアラなど問題はあるが、アと同じく英雄の暗黒面強調しているので、考えるきっかけにはなるかも
  • これは、千野帽子さんの本のように、定義に人間のあらゆる思想や解釈をふくむ「物語」=『呪文』の「罪/暗黒面」を強調しており、「物語の罪を語る物語」であると呼ぶべきものである
  • ただ、主人公の小学生女子が、(年相応に)あまりに衝動的かつ自己中心的なうえに、まわりの「大人」たちも彼女を子供扱いしているため、不快を感じる人も多いかも
  • それに加えてクトゥルフ神話要素が入っていることもあり、定型的な冒険物語のような終わりを期待するべきではない作品となっている
  • ゲーム風の戦闘も繰り広げられるが、ラスボスとの決戦自体は先送りされるので、そこも人を選ぶ
  • そして、なんでも暗黒面と罪で片付けようとする世界観が強引で、無理があるのが最大の難点
    • まず「英雄物語」だけではすべての「物語」をくくれるわけがないのに、「物語」の罪の全てを「英雄」に背負わせようとしているところに無理がある
    • 「光と影は切り離せない」という話にしても、「影/罪」をあまりに強調しすぎて、「光」の面がまるで無いかのように扱われることが多いのも問題
      • 先行する「物語」をモデルに生きようとすることも否定しているが、それも「夢」や「理想」を叶えることを否定しているようにもとれるため、多くの人には受け入れがたい論理であろう
      • 「邪悪な物語=差別」を無くした例も出てくるが、それにしても「差別をなくす」という「物語」=理想のおかげではないのか?という疑問がぬぐえない
    • 「物語」は「罪」である理由も、それが「嘘」だからだともしているが、そう話している本人が「嘘」を積極的に利用して言い訳さえするのも、もやもやするところ
    • さらに、現実にあり得る少年犯罪を扱っているのに、ファンタジー的な刑罰でそれが片付けられてしまうため、現実社会における犯罪の対処や更生の存在が無視されているところもいただけない
      • 「法」という「物語」を重視するなら(「英雄」に代わる)「法」による解決やそのアップデートを描くことが必要なはずだが、話の中心がファンタジーや概念の要素であるため、それが出来ていないのである
    • 殺人ばかりがほかの加害行為とくらべて重罪として扱われ嫌悪されるのも、バランスを欠いている
    • あるいは、この小説の閉塞感が強いのは、そうした問題に加えて、人間のもつ解釈や創造の力/自主性の価値があまり尊重されていないせいかもしれない
      • この物語では、マイケル・ムアコックの『エターナルチャンピオンシリーズ』のように主人公自身が「英雄」である自覚はないし、(アの『呪文』や『杖』のような)ミーム・概念やメタテクストを操作する技術や思想が導入されていない
      • 作家をふくめた人間「紡ぐ者」は、邪神あるいは紀神として描かれる「英雄」や「物語」に対しては基本的に受け身であり、対症療法的な反抗しか出来ていないのだ
  • とはいえ、そうした難点の代償としてテーマは絞られていて明快なため、少女の成長物語としてはしっかり完結している
  • フロム・ソフトウェア作品みたいな異世界や狩人が出てくるのは良い
  • 空白や間違いが多い"まがいもの辞書"である「アウンカウイの辞書」が主人公のマスコットであり、変身して相棒になったり、他の本とリンクしてその呪文を使えるようにサポートしたりしてくれる
    →サイバーカラテ的?
  • 文庫版解説では、縄田一男が作品の罪責観を、戦中派にとっての負のことばを自分たちの世代にとっての正のことばに転換することに成功した、と肯定的に評価している
    • 「人ひとりの命は地球よりも重い」を「一人の罪を人類全体の罪として背負わぬかぎり、もはや平和はない」とした解釈を、エンタメ界からの決意表明として歓迎しているのだ
  • 世界観を共有する続編として『悲嘆の門』が出ている
  • この物語ではあまり焦点が当てられていない「英雄」に頼ってしまう人間の弱さについては、あるいは村上春樹の冒険物語が参考になるかもしれない
    電子化×

AIと人類は共存できるか? 人工知能学会編

  • SF短編と、AI研究者の解説が組み合わさったアンソロジー
  • 分厚いのが難点だが、さらっと読めて読後感も良い
  • AIを求める欲望の分析や、AI読者の話なども出てくる
  • 参加作家は、早瀬耕、藤井太洋、長谷敏司、吉上亮、倉田タカシの五名(+匿名の研究者)
    電子化×

越佐大橋シリーズ  成田良悟

  • 佐渡と新潟の間にかけられた世界一巨大な橋、その中央部に作られた治外法権の「人工島」に棲む、獣のような奇人変人それに都市伝説たちの物語
    →アの二章や四章六王編
  • 都市伝説「バネ足ジョップリン」:主に『がるぐる!』に登場
    • その正体は島内の情報共有システムであり、秘密結社のようなもの
    • システムの参加者すべてが「バネ足ジョップリン」となり、情報の物々交換を行う
    • 「彼」に出来るのは、導き教えられることと、導かれ教えられることのみ
      →【サイバーカラテ】(シナモリアキラ)に似ている
  • エンジンを【三本足】に持ち、エンジンに動かされエンジンを操るチェーンソー使い(二刀流)の少女も出る
    電子化◯BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて全巻読むことが出来る

エターナル・チャンピオンシリーズ マイケル・ムアコック

  • 秩序と混沌のバランスを取るために、永遠に戦い続ける宿命を持った戦士の話
  • 基本的にアンチ・ヒーロー寄りなシリーズである。
  • 個人的には、火星の戦士は読まなくて良いし、ホークムーンは、気になるところだけ読めば良いと思う。
  • エレコーゼ・サーガなどは、アンチ・チート召喚なところがある。
    • また「英雄」として数多の世界から引用――召喚されつづけるエレコーゼの苦悩は、盗賊王ゼドと似てるかも
  • 「多元世界」の設定が中心にあるので、自作クロスオーバーの先駆けでもあるのかもしれない
  • 戦士の一人であるエルリックは、正義を行おうと欲しているが、魂を喰らう邪悪な魔剣にその生命を依存している
    • そのあたり、結構シナモリアキラ的かも
  • 槍的な英雄を否定していくシリーズでもあり、特にエレコーゼやフォン・ベックの物語ではその傾向が強い
  • エターナルチャンピオンやその宿敵などは、ミームやユング心理学の元型に近い不滅の存在であり、【忘却】による自己の消滅を求めている者もいる
    電子化△(今のところエルリックサーガのみ)

NHKにようこそ 滝本竜彦

  • 大学を中退したひきこもりが送る、迷走系青春小説
  • どこかに強大な悪NHK=日本ひきこもり協会が存在していて欲しかったところだが、
    • 実のところ、そんな陰謀は実在しないことも彼にはよく分かっていたのだった
  • だが、そんな彼を、なぜか謎の美少女が「ひきこもり脱出プロジェクト」に誘ってきて・・・・・・
    →『邪視』と『呪文』による救いの話
  • アニメ化しているし、続編『新・NHKにようこそ!』も同人誌で出ている
    電子化◯

エピローグ 円城塔

  • 読んでる読者を巻き込んで展開する物語の物語。
  • アリュージョニストとアリスピが準備体操になって飲み込みやすい。初めての円城塔としてオススメ。
  • 世にそれはありふれている。氾濫しすぎているにも関わらず、あらゆる時代を通じて価値が変わることのないそれこそは、この世で最も古いまじないの一つ。
  • ――つまるところ、これは恋の物語だ。
    電子化◯

選ばなかった冒険ーー光の石の伝説 岡田淳

  • アンチ・ゲーム風異世界トリップの児童小説
  • あっさりした内容ではあるが、終盤で明かされる学校と異世界の「二重構造」は、異世界チート系を考察するうえで、目を通しておいて損は無いと思う
  • 勘違い勇者だらけの異世界トリップ『二分間の冒険』もオススメ
    電子化◯

円環少女 長谷敏司

  • 最近先生絶賛
  • しりとりにおける言葉の断絶と連関から、行間をもって『神の言葉』を参照する魔法(三章のアレ)
  • 身振り手振りで過去を再演して、未来から過去に参照する魔法(四章のアレ)
  • さらに、その身体操作をする魔法には、間接的に対象の思考も操作出来る可能性が指摘されている
  • 以上のような魔法がありアリュージョニストが参照してる感がひしひしとあります
  • キロン
  • アリュージョニストなアトモスフィアに満ち満ちてるので是非
    電子化○BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて全巻読むことが出来る

エンジェル・ハウリング 秋田禎信

  • 二人の主人公(どちらも女性)の話が、交互に続く構造をしている
  • 未知の精霊アマワに、厄介なちょっかいをかけられる人々の話であり、それに抵抗する話でもある
    • アマワは、間隙に潜む存在
      →『言理の妖精』?
  • 世界の危機が迫る話だが、同時にひたすら無意味な感じの雑談や哲学的考察が続くタイプのファンタジーでもある
    • しかし、登山や学習習慣のように、その過程、探求の旅こそが重要だという話でもある
  • フリウ・ハリスコーが使う水晶眼からの「破壊精霊ウルトプライド」の影の開放は【邪視】に似ている
  • ミズー・ビアンカの「獣の時間」は、【E・E】やある種の【寄生異獣】と似ている
  • 敵が色んな人物のイメージをどんどん引用してくるし、主人公が同じことをやり返す場面もある
  • 償いようがない大きな罪を犯した人びとは、どう生きるべきか?
  • 「硝化の森」も、銀の森とちょっと似ている気がする
  • 「心の実在を証明せよ」
  • 「他者の心」の実在を証明出来るのか?という埋められない地図の空白、残された問題についての物語
    • つまりは、愛の話である
      電子化○BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて全10巻を読むことが出来る

エンダーのゲーム オースン・スコット・カード

  • プレイヤーとコンピュータの関係が、プレイヤーの人生の真実を反映したゲームを創り出す「マインド・ゲーム」
  • ゲームを通じた相互理解
  • これの続編が『死者の代弁者』であり、その要素はこちらにもある
    電子化◯

閻魔大王のレストラン つるみ犬丸

  • そこは、死者がただ一度だけ、誰かと食事をすることが出来る冥界のレストラン
    • 食事相手についての記憶を対価とするその食卓は、死者の煩悩を払い成仏させる試験的な施設である
    • しかしその内実は・・・・・・料理趣味が高じて追放された閻魔大王が、死者の記憶を燃料にして自転車操業を続けている火の車経営のお店でもあった
      →『鮮血呪文』
  • それでも、そこで提供される食事はレストランの語源レトーランの通り、しっかりと「癒やし」の機能を果たしている
  • 華麗なゲリドン・サービスで食卓を演出する男性の給仕(カメリアーレ)もいるし、著名な画家一家の出身の少女も舞台セットをサポート
  • そして、二人のエネルギー源である閻魔は、人情に流されすぎてガンガン力を使いすぎてしまうのであった
  • 続巻が出なかったため回収されてない伏線も少しあるが、話としては完結している
    電子化◯BOOKWALKERにて月額読み放題で公開中

縁結び神社の悪魔さま 森川秀樹

  • 誠実な男性との結婚を望む婚活女子が、神社に封じられたイケメン悪魔とタッグになって、縁結びをすることになるラブコメ・エブリデイマジック
  • 異能で人間の表面的な願望を読み取れても失敗ばかりな悪魔を、大阪女子のツッコミと商人パワーが補完する!
  • 主人公のツッコミが楽しいだけでなく、ちゃんと婚活の本質や、人間の真の望みについての思索もあるのが良い
  • 絶対遵守な悪魔との契約をめぐるやり取りも多い
    →『呪文』
  • アラウンド・ナインティーな外見幼女の巫女使い魔もいたりする
    電子化◯ BOOKWALKER月額読み放題でも、2023年1月31日までは読むことが出来る

王子と乞食 マーク・トウェイン

  • "それは、ある時を境にして世界に浸透した物語類型の一つである。
     王と乞食、ないしはそれに類する庶民などが入れ替わり、それぞれ別の視点から互いの世界を体験するという、かりそめの転生。
     地位の入れ替え、価値の転倒。"
    電子化×

大相撲令嬢 ~聖女に平手打ちを食らった瞬間相撲部だった前世を思い出した悪役令嬢の私は捨て猫王子にちゃんこを振る舞いたい はぁどすこいどすこい~ 川獺右端

  • 「スモウ」概念で、悪役令嬢物語をハックする『邪視』系格闘技バトルコメディ転生小説
  • 相撲の豆知識が面白い
  • 恋愛ジャンル一位をとった。
    • まあ、愛はある。主に相撲愛と猫耳王子への愛が。
  • 書籍化され、二巻目も発売された
    電子化◯ 小説家なろうにて完結済み

狼と香辛料シリーズ 支倉凍砂

  • ファンタジー世界に経済の話を持ち込んで成功したライトノベル
  • 古き神々が忘れられ、勢力を増しつつある商人たちが教会に睨まれている時代の話
  • 店を持つのが夢の行商人ロレンスが、かつて神だったパートナーの賢狼ホロにからかわれたりイチャイチャしながら彼女の故郷を目指しつつ、道中でなるべく儲けようとする物語
    電子化◯BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて第一クール的な17巻まで読むことが出来る

狼と羊皮紙 支倉凍砂

  • 前作を知らなくても楽しめる『狼と香辛料』の続編
  • 聖職者を志す青年コルと狼の血を引く少女ミューリが、人々を助けるために聖典の俗語翻訳に関わったりと、信仰にまつわるトラブルにぶつかっていく話
  • 善人で世間知らずのコルと母譲りの警戒心を持つミューリは良いコンビであり、ミューリが子どもっぽくて普段面倒見られているぶん良いバランスになっている
  • ただし、聖職者(結婚できない)になりたいコルにとって、最大の敵もまたミューリだったりもする
  • 信仰や宗教が話の中心なので「外見」や権威が決定的な力を発揮することも多く、特に4巻では勢力のパワーバランスが「外側」からどう判断されるかが大きな問題となっている
    電子化◯

大おばさんの不思議なレシピ 柏葉幸子

  • 料理がヘタな不器用主人公が、それゆえに異世界の住人のお助け係となって様々な人の人生に関わっていく物語
  • 全ての物語の舞台裏世界が出てきて、そこから誰も読まなくなった悲劇のストーリーへ干渉する話がある
    • 『白鳥の湖』オデット的な女性や設定しか無い人物の救済もある
  • 同作者の作品では、普通の人間が竜に力を与える【使い魔】なファンタジー『とび丸竜の案内人 時間をとんだ竜と女の子の冒険』や『地下室からのふしぎな旅』『ふしぎなおばあちゃん×12』などもオススメ
    電子化◯

推し、燃ゆ 宇佐見りん

  • 推しと共に生きた少女を描いた、私小説的な物語
    ー発達障害あるいはそのグレーゾーンだと思われる女子高生が、ファンを殴った男性アイドルの炎上を受け止めながらも、なんとか生きていく話
    →【炎上】
    • 主人公が、幼い頃に底が鳴る靴を履かされていたということは、ADHD傾向の過動で常に動き回って目が離せなかったということだろうし、
    • 推しのこと以外は記憶力はロクに働かず勉強も苦手なのも、典型的
    • とはいえ、彼女は苦労しながらもややブラックな定食屋(ほぼ居酒屋)でも働けているし、その人生は失敗ばかりというわけでもない
  • そして、この小説は、推しを持つ生活、その膨大な情報量と独特の感覚を、読みやすく鮮やかに描き出している
  • ただ、文章は鮮やかで切れがあるが、その反面、文学史を変革するほどに目を引くような表現や言い回しは不足しているし、
    • 徹頭徹尾、どこにでもいそうで等身大な主人公個人の話として、完結している
    • そのため、他の「推し」を持つ人々や、推しをめぐる社会などについて掘り下げた視点などは無く、
      • 深みや思想などが不足していることは否定できない
  • とはいえ、だからこそリアリティと身近さのある話になっているし、
    • ひたすら個人の心情と半生を書くことで、普遍的な苦悩や痛み、喜びに通じるものを切り出すことにも成功していると思われる
  • 自らの代弁者としての「推し」
  • 多くの人とつながる媒介者としての「推し」
  • 推しの象徴として用いられる『ピーターパン』と『青い鳥』のイメージ
    →引喩(アリュージョン)
  • 抜粋
    • 少年の赤い口から吐き出される言葉は、あなしの喉から同じ言葉を引きずり出そうとした
    • つらいと思っていも良いのだと、誰かに強く言われている気がする
      • 同じものを抱える誰かの人影が、空の小さな体を介して立ち上る
      • あたしは彼と繋がり、彼の向こうにいる、少なくない数の人間と繋がっていた
    • その目を見るとき、あたしは何かをにらみつけることを思い出す
      • 自分自身の奥底から正とも負ともつかない莫大なエネルギーが湧き上がるのを感じ、生きるということを思い出す
  • 推しの世界に触れると見えるものも変わる
  • 推すことはあたしの生きる手立てだった
    • 業だった
  • 推しを推さないあたしはあたしじゃなかった
  • あたしにはいつだって推しの影が重なっていて、二人分の体温や呼吸や衝動を感じていたのだと思った
    電子化◯

御伽の国のみくる モモコグミカンパニー

  • おとぎのくにのみくる
  • 「楽器を持たないパンクバンド」BiSH(解散が発表された)のメンバーであり、
    • 最も多くの楽曲で歌詞を手掛けた作者の初の小説本
  • アイドルになりかったメイド喫茶のメイドと、彼女のたった一人だけのファン
    • そして、理想像「みくる」とその中の人?である「友美」の物語
      →トリシューラとコルセスカ?
  • 同じアニメへの愛好を通じたつながり、幻想と理想
  • 前半は、次々と出てくる情報とリアルな描写が引き込ませるが、
    • 後半は人間関係がかなり強引に変化するためイマイチかもしれない
  • それでも、アイドルやアイドル志望者のその後に興味があるなら、一読する価値は十分にある一冊となっている
  • 誰もが愛を求めて自己への不満と共に生きており、全ての人間が真の意味で等価なのだ、と
    • この物語は、きっとそれを伝える讃歌なのだ
      電子化◯

踊る星降るレネシクル 裕時悠示

  • 学園異能ランキングバトル・ラブコメ・ライトノベル(全7巻)
  • 星を崇める宗教団体が作った町で、さまざまな学生たちが己の個性とこだわりを指輪「レネシクル」で力に変えて、序列を競い合う
    →『地上』の価値観
  • 主人公の青年は、不敗を目指す孤児のヒロインの同門であり、彼女に恋していた
  • だが、過去のいきさつから戦いが出来なくなった彼は、フラれてしまう
  • 時が過ぎ、主人公はヒロインが学園で謎の昏睡状態になったと聞いて、駆けつけるが……
  • 果たして彼は、戦いの痛みを乗り越えることが出来るのだろうか?
  • 異能バトルは、『邪視』系の世界観を押し付けるもの
  • 神降ろしの儀式
  • 名家出身の落ちこぼれ美少女なども出てくる
  • 呼吸と暗示でエネルギー「気炎」を練り上げて戦う(『ジョジョの奇妙な冒険』の波紋法っぽい)「腐海流格闘術」など、既存作品のパロディ要素も多い
  • 神にすら勝とうとする、競争主義的で好戦的なメインヒロイン
    電子化◯ BOOKWALKER月額読み放題で2023年3月31日まで二冊試し読みが出来る

O・ヘンリー短編集 O・ヘンリー

  • 古き良きアメリカの明るさを思わせる楽しい短編集(黒人差別はあまり無いと思うが、ほぼ白人しか登場しない)
  • 『賢者の贈り物』『桃源郷の短期滞在客』 『千ドル』『運命の衝撃』『1ドルの価値』などお金や交換、変装や勘違いがテーマの作品が多い
  • 『黄金の神と恋の射手』 『ハーグレイブズの一人二役』などもオススメ
  • 『最後の一葉』:本物以上の価値を示した偽物の話
    • また、最後の傑作の話であり、死の思い込みという【邪視】を打ち破った【杖】の話であるとも言えるかもしれない
      青空文庫>O・ヘンリー
      電子化◯

お直し処猫庵 お困りの貴方へ肉球貸します  尼野ゆたか

  • どんなものでも修理してくれる不思議なお店で、悩みを解消される人々の姿を描く、エブリデイマジックな連作短編集(全三巻)
    • 更に修理のおまけに、二足歩行で歩く猫の庵主が、一度だけ小さな奇跡を起こすスタンプを押してくれる
    • 悩みの多くはコミュニケーションの問題であり、奇跡は少しだけ人々がコミュニケーションするための勇気を後押ししてくれるのだ
      →『呪文』をサポートする『杖』?ニアのナーグストール?
  • 猫庵では、修理を頼んでいる間、実在する各地の名物お菓子も食べられるサービスもやっていたりする
  • 寒すぎる冬の日など、心が弱りがちなときにおすすめしたい本
  • 「猫庵」には、正式な読み方があるのだが、毎回分かられなくて庵主がスネるのがお約束
    電子化◯

オペラシリーズ 栗原ちひろ

  • 神の時代の終わり、人の時代の直前、救いを求める探索行の物語
  • 故郷を魔物の呪いで無くした生き残りの男が、謎だらけのイケメン詩人と暗殺者で魔法使いの少女と共に旅をするハイファンタジー
    • 天然田舎者とクール陰険美形の男二人のコント的なやりとりが楽しいし、設定や世界観もしっかりしている
  • 名前を持たない詩人、「ない」という意味の「ソラ」という名をもらう
    • 名付けによる傷、余計者(グロソラリア)の影響による変異
  • 不死者と呼ばれる存在(でも殺される)も出てくる
  • 『オペラ・エテルニタ』以下、全八巻
    電子化◯

お前が神を殺したいなら、とあなたは言った ふじやま

  • (言語翻訳以外)一切のチートを持たない小悪党が、異世界転移して実在する神を殺そうとする物語
  • 言葉とロジックで戦う、宗教政治バトル神殺し
  • 長いし理屈っぽいし失敗や鬱展開も多いが、それらすべてが終着点へと繋がっていく
  • 異世界の人間も、それぞれよく思考しており、体制勢力側が強敵揃いなのが良い
    • 異端審問官たちが、ほとんど主役のように扱われている
  • 酷い目にあいがちだが、女性や同性愛者も活躍する
  • 他者は圧倒的不可知
    • 理解するために、英雄という物語となれ
  • 金や権力、実利という神を殺し(物神崇拝をやめさせ)、神格化されない理想を信奉する社会を作る?
    電子化◯ 小説家になろうにて完結済み

俺だけが死んでいる 羽根川牧人

  • 修学旅行へ向かうバスでの事故で、一人だけ幽霊になってしまった男子高校生の物語
  • そして、人生に夢に恋、つまり死後に始まった青春の話である
  • 「幽霊になった」という特殊な状況が、二度とは戻ってこない青春の比喩として機能し、
    • 明るいノリでありながら、哀愁と重みを感じさせる良質なストーリーを形成している
  • 成仏と残留、中立で三つに分かれるクラスの意見
    • そして、主人公の片想い相手の「辛辣姫」は成仏派だったりする
  • 行けなかった修学旅行、出来なかった告白
  • 明らかに主人公に好意を寄せている幼なじみに、報われてない同性の親友
  • クラスメイトだけには、見えるし触れるしスマホもつながる主人公が陥る、ラブコメ展開
  • そして、挫折した夢の残響
  • 悲しみや無念がありながらも、順調に青春を謳歌していく主人公だったが、そこには隠された秘密があり、更なる超常現象も・・・・・・?
  • イマジナリーフレンドらしい存在と話す霊感少女も出てくるし、たぶん『邪視』の話
  • 辛辣姫のキスの「呪い」
    • 目的・夢の手段への零落
  • 否定による肯定、自分勝手な解釈
  • 作中作、受け継がれる才能と夢の話
  • 彼らなりのグリーフワーク
    電子化◯BOOKWALKER

俺、ツインテールになります。 水沢夢

  • フェチズムを極めて変身する【邪視】系ヒーローの戦いを描いたライトノベル
    電子化◯

俺を好きなのはお前だけかよ 駱駝

  • ハーレムラノベの構造を少しひねった、パロディ多めなラブコメラノベ
  • 善意しかないハーレム主人公キャラがもたらす、恋愛圧力の害が描かれている
  • ヒロインたちの恋愛をサポートする「善良な普通の男子高校生」を演じていたが、失敗して化けの皮がはがれた主人公
  • わりとハーレム系ラブコメではあるが、どちらかというと友情の比率が高い物語
  • 幼馴染の少女たちの因縁バトルに終始したり、青春野球部ストーリーになったり(伏線としても重要)する巻もある
    • 誰もが裏表が激しいし、演技と陰謀を行っているが、だんだん本当に仲が良くなっていく友人関係
  • 名前が異なる別人格に近い、押し隠された別の自分
  • 憑依転生のような誕生をしてしまった存在と、その「本体」との関係性も描かれる
  • 嫌われていても感情や楽しさの『共有』で友だちに
  • 「約束は守るためにあるんじゃない。伝えるためにあるものだと俺は思う
    • 人を縛り付けるものではなくて、自分が達成すべき目標であり、手段だ
    • 自分がその約束をした相手を、どれだけ大切に思っているかを伝えるための」
  • 一学期編の最後、交際で選ぶことなんて出来ない、出来るのは好意を伝えるだけという判断
    →ラブコメの選択と所有の問題についての解釈のひとつ
  • 双子の姉妹のような二人
    • 偽物と本物
    • 名前の譲渡(貸与)と共有
      電子化◯

終わりのクロニクル 川上稔

  • 戦後処理、つまり戦争が終わってもなお残っているわだかまりを処理していく話
    • 交渉パートと戦闘パートの両方があり、どちらも面白い
      →抵抗の歴史(あゆみ)との交渉
  • 現代に近い世界が舞台のため(連射王を除く)たぶん一番読みやすい川上作品
  • 可愛さは性別を超越すると思える人や、強気な主人公が好きな人に特にオススメ
  • 文明の到達点に達した世界の出身者であり、全てに退屈しているキャラが複数出てくる
    アレッテ
  • 親世代の三角関係(主人公の母も含めると四角関係)的なつながりが、敵対勢力同士での連絡を可能として、世界を一度救っている。
    →シナモリアキラと相互参照姉妹?
  • 主人公の名前「御言」は、聖書(ヨハネによる福音書)であり、世界のはじめにあったとされるロゴス=世界を構成する論理としてのキリストを意識しているのかも?
    • もうひとりの主人公であるヒロインも、人間を超越した神の肉体を持っていると言えなくもないし、そういった意味でも二人は対だったのかもしれない。
  • 進化して人間になる人形や、文字を力にする概念とか出てくる
  • 非人間型生命体もいっぱい出る
  • 「契約」や「約束」が重視される作品でもある
    ルウテト
    電子化×

陰陽師シリーズ 夢枕獏

  • 名前が「モノ」をくくる唯名論の世界観であり「呪」の時代である平安朝の物語
  • 安部清明の相棒・源博雅は「呪」が全く使えないからこその役割を持ち、ある意味陰陽師以上の力を持っている
    →シナモリ・アキラ
    電子化◯

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