推薦図書/小説/さ行

Last-modified: 2024-04-19 (金) 21:46:45

推薦図書/小説/さ行

  • アリュージョニスト以外のネタバレに注意
  • サイバーカラテを実践しよう (知ってる作品があったら、説明を追記しよう)
  • 最下部のコメントボックスで作品紹介を書き込むと、誰かが追加してくれるかもしれません
  • 多分図書じゃなくてもいいと思うよ
  • 参照と類似は呪力です。高めよう。
  • ほんの少しでも推薦図書に見えたのならそれが推薦図書です(邪視)。追加しましょう。五十音順に並んでいます。
  • 編集カラテ入門
    • 発勁用意! 次の2行をコピペして、自分の文章で書き換えます。ここは、Webブラウザ以外のアプリでやるのがオススメ。

      *** タイトル

      -説明1

  • NOKOTTA! 文章が出来たら、Webブラウザに戻り、画面の一番上の「編集」を押します。
  • GOOD! 編集ボックスが出 てくるので、1で作った文章をコピペします。場所は、根性で探してください。
  • COMBO! 「プレビュー」を押して、うまくいってるか確認します。まだこの段階では、誰にも見られません。
  • EXCELLENT! 「ページの更新」を押せば、完成です!!

アリス・イン・カレイドスピア 最近

  • 最近さんデビュー作!
  • 星海社FICTIONSより発売中!


小説

さ行

最強シリーズ 西尾維新

  • 『戯言シリーズ』で登場した「人類最強の請負人」哀川潤が主役のスピンオフ
  • 人造の天才であり、問答無用で最強な彼女の、恋や愛や生き様の物語
  • つまりは既に人類最強である彼女が、これからどう生きるかという、そういうお話

最強をこじらせたレベルカンスト剣聖女ベアトリーチェの弱点 その名は「ぶーぶー」 鎌池和馬

  • 『とある魔術の禁書目録』の作者による、異世界ファンタジーラブコメバトル
  • タイトルのお気楽さに反して、世界観はわりとシリアスでダーク寄り
  • ゲーム風の魔法によって、異世界で活動できる姿と装備をキャラメイクして、ダンジョン攻略
  • 迷宮から得られる技術から得られる利益を巡る、地球世界の未来をかけた争いもある
  • 思想の違いによる激しい戦いもあり、正義同士がぶつかったあげく、より正しい「正解」が発見されて争いがほぼ無意味だったことが判明したりもする
  • 2巻、『教団』による商業系世界征服陰謀
    • フランチャイズによって迷宮内への販売物流システムを構築、シェアを独占して社会全体を支配しようと企む
    • そのための地ならしとして、影響力のある個人や現地宗教を暴力で排除しようとした
      →『公社』?三章、サイリウス・ゾラ・クロウサーが行った、憐憫の共感による民衆の統一?ポリコレが、クレジットカード会社などの契約条件を左右できる倫理規定となることで、現代に『破門』を再現しているやつの過激版?
  • その強大な力のあまり、環境を産み出すほど成長した最強モンスター群・【ブレイクニュース】の力を原動力に利用している迷宮の罠「ギミック」
  • 【召喚狩人】の鎧、憑依による操作と干渉
  • 魅了&亜人召喚アローコンボ
  • 元々決まった身体を持たず、あらゆる動植物と交配を繰り返し、その長所を子孫に与える力を有していた【イベリコオーク】
    →アヴロノ?
  • ハッキングとジャミングによって、相手の学習・戦闘形態組み換えを阻害し続けることを想定した最終兵器
  • 仮称【スカルウェーブ】
    【語りかける共同墓地】:愛する者の死に耐えきれず生者が故人に寄り添うため、すでに失われた理想を寄せ集めた再現体アンデッド。本物より魂が本物だと主張する偽物
  • 世界を再構築する世界樹
  • 選べなかったカードへの怒りを考慮に入れた、恋する男の選択
  • 残留思念の実体化攻撃、過去の再演
  • 【経験値】を利用したタイムリープ/未来転生
  • 二人の影が重なり合って一人となる大天使
    →相補の魔女
    電子化○ BOOKWALKERにて全七巻読み放題(月額課金)

最後にして最初のアイドル 草野原々

  • 壮大なSFギミックや架空生物の歴史が、読みやすくわかりやすい説明で繰り出される、ワイドスクリーン・バロック・百合SF短編集
  • ただし、グロが苦手・フィクションの犯罪に罰が下されないと気がすまない・姉妹百合至上主義・元ネタの作品イメージを守りたい人などにはオススメ出来ない
  • 主人公が気軽に殺戮を繰り広げるが、あまり残酷さは感じられないし、全体的に前向き
  • 「最後にして最初のアイドル」:『ラブライブ!』を元ネタとする、自己拡張/プロデュースなアイドルとアイドル概念の物語
  • 「エヴォリューションがーるず」:トラック転生から始まる架空進化史。そしてソシャゲとは何か
  • 「暗黒声優」:自己拡張によってパワーアップする、救世主志望者の物語
    電子化〇

最後の晩ごはん 椹野道流

  • スキャンダルで芸能界を追われた元イケメン俳優「五十嵐海里」が、真夜中営業の定食屋で働く話
  • 定食屋には、ときどき未練を残した幽霊がやってくるので、料理で成仏させたりするのだが…
  • 五十嵐は、料理番組のレギュラーでありながら、スタッフの演出頼みのダメ料理人だった
  • しかし、たった一人の幽霊ファンのために彼が底力を振り絞るとき、演出は再現され、
    • そこに料理番組のスターが再演されるのだ!
  • 見方を変えれば、定食屋の店主(男性)が落ちていたイケメンを拾ってくる話でもある
    →異邦人(グロソラリア)?
    電子化◯

最終人類 ザック・ジョーダン

  • 原題は『The Last human』
  • 人類の最後の生き残りである少女が、冒険と陰謀に巻き込まれながら成長するSF冒険物語(上下巻)
  • 上巻は、比較的シンプルな宇宙冒険だが、
    • 下巻は、集合精神のような超人間知性たちによる、宇宙の解説や陰謀の宇宙秩序の話になってくる
      →トライデント、意識・身体の拡張、超越者たちや神々による覇権争い
  • 多様な知性体が共存するネットワーク宇宙では、知的能力で知性体の階層が決められている
    • ネットワークに加盟すれば、超高速通信や移動が可能となるが、それには色々な条件があった
  • ネットワークのシステムなどの世界観は、SNSの紹介文のように快活に説明され、少しずつ明かされるが、
    • その真実には、どことなく不穏さが漂っており、物語のスリルを高める
  • ネットワーク宇宙では、AIの代わりに法定外知性体という低階層の知性が用いられており、
    • インプラント内で執事や友人のように振る舞ったりする
    • 彼らには人権はないが、(動機づけをされてはいても)感情はしっかりあるため、
      • 検索一つにしても、ご機嫌取りをしなければならないのが面白い
      • 最も、それもネットワーク宇宙全体を考えると……
        →トリシューラの目指す未来?機械知性体が、生物と連続性を認められた世界?
  • 主人公の口癖が「女神様」だったり、強かったり賢い女性が多いし、女性上位の種族や「女家長制」が差別的だと扱われている描写も出てくるが、
    • それはただのポリコレ配慮やパロディではなく、ストーリーで意味を持っていたりもする
  • また、キャラクターの提示がとても上手い小説でもあり、
    • 誰も見たことがない異なる宇宙の人々を、しかも一般日本人に馴染みがない関係をモデルとしているにも関わらず、
    • 普遍的に通じる要素を加えた短いセリフや振る舞いによって、それらに自然と親しみを感じさせてくれる
  • 他にも、長い免責事項文書が出てきて、サイバーパンク以後のSFらしさを感じさせたり、
  • マイケル・ムアコックの『エターナル・チャンピオンシリーズ』をリスペクトしていると思しきアイテムが出てきたり、
  • プロメーテウスのような文化英雄、「火を運ぶもの」の神話が重要な意味を持っていたりするのが、面白い
  • 作中に出てくる「撃て」という言葉も、原文は[fire」であろう
  • そして、知性を持つ強化外骨格も出てくるし、機械でも検定を受ければ、人権をもつ「階層内」の知性体として認められる制度もあったりする
    電子化◯公式サイトもあり、少しだけネタバレなイラストもある

サイバー鏡新明智流、免許皆伝の巻。 竹尾 錬二

  • 失伝した剣術流派の復元にのめりこんだ学芸員の短編
  • ひねりや意外なオチなどはないが、その分すっきりとした爽やかさがある話
  • ディティールが丁寧に語られていて読ませる作品であり、そのテクノロジーの発展は、サイバーカラテのようなアプリが完成する前日譚にも思える
  • イマジナリーフレンドならぬイマジナリー師匠も登場する
    電子化◯カクヨムにて無料公開中

西遊記

  • 悟空が天界に神の力や知識を借りに行く展開が、結構多かったりする
  • 三蔵の旅のおかげで監禁から解放された悟空と、旅のために悟空の力が必要な三蔵

坂下あたると、しじょうの宇宙 町屋良平

  • ちょっとSFが入った文学系青春小説
  • 文才にあふれ、ネットでもわりと人気な親友・坂下あたると、彼の影響からこっそりと詩を雑誌に投稿したりしている主人公の物語
  • 才能と創作/『文学』することの意義と、彼らなりの友情と青春、そして宇宙を広げることばの力の話でもある
  • 終盤で一気に急展開を迎えるが、あるいはこの作品の持ち味は、中盤までのぐだぐだでちょっと自意識をこじらせた青春日常ストーリーにあるのかもしれない
  • 突然、詩を暗唱したりする登場人物の言動は、どれもちょっと風変わりだが、それも思春期のあいまいでゆらぐ心情を的確に捉えているようだ
  • SF要素にしても、確かにあるにはあるがあっさり受け入れられ、個人的な危機として淡々とした日常の一部になってしまう
    • そのあたりは、文学を信奉しつつ現代を生きる若者ならではスタンスなのかもしれない
  • 友達が少ない天才の親友とその毒舌彼女と、その彼女のかわいい顔だけが好きな主人公
    • そして、(主人公に輪をかけて)独特の睡眠リズムを持つ親友、その彼が寝ている間だけ素直でかわいくなる彼女、LINEされる主人公という独特な関係
  • 坂下あたるが文学をやる理由、自分を自分でなくすため
    • 文学を頂点とした「愛の三角形」理論
    • お互いに向き合って感情をぶつけ合うと、どうしてもつらくなってしまう
    • そうならないために、文学を間に挟んで、間接的に関わり合う
    • そのとき著者と読者は、『文学』から反射されるものを受け取って文学を愛することが出来る
    • 三角形の頂点を経由するからこそ、オレもオレをやめて『著者』になることが出来る
    • そうすれば、オレも読者も、想像力だけの存在になって、自分自身を俯瞰してみることが出来る
      • 一瞬、自分の現実から空へ飛んで、べつの世界に行くことが出来るんだ
        →ダンテ『神曲』天国篇で語られる、ベアトリーチェを媒介とした神への愛の話が元ネタ?
        →愛を媒介する、媒介者としてのシナモリアキラの可能性?
        →他者を踏み台として悪魔化しなくても、自己のアイデンティティを肯定的に愛することが出来る方法論?
  • 天才の親友の「あえて語らなかった」あるいは「語りこぼした」ことばで、詩を書いている主人公
    →外力?『使い魔』?仮託?『邪視』的な『呪文』の一種?
  • 二人の関係性を創作の糧にしていたネット作家
    →『使い魔』
  • ただ、ヒロインのひとりがちょっと暴走しているので、人によっては受け付けないかもしれない

サキュバス オノレ・ド・バルザック

  • その美しさで多くの男性に愛されて多くの富を得てしまい、そのために非業の死を遂げてしまった女性の魔女裁判を描いた悲劇短編
  • 裁判自体はキリスト教側の論理で行われながらも、その過程で、裁いている教会や男たちの方の邪悪さと差別意識が、はっきりと描き出されている
  • 全体としては、ショード(灼熱)という町の名前の由来を探る話であると同時に、富を持ち目立つと権力によって殺されてしまう、ということを警告する教訓としてまとめられている
  • 女性の生涯は連続ドラマ並みに波乱万丈であるし、魔女の逸話としても面白く、その熱気で冬でも薔薇を咲かせたり、関わった男たちが次々と精力を使い切って死んでいったり、セックス中に宇宙を見たりと派手である
  • さらに、「サキュバス」の女性は、勇敢で情熱的であり、その真摯な反論は美しい
  • けれども、外国人差別に始まり、人種差別、不妊、ハンセン病などへの作品全体に満ちた差別発言と、都合よく自分だけ免罪される司祭の邪悪さ、そして展開がやや強引なところがあるので、そこは読者の鼻につくかもしれない
  • 前日譚である『贖い能う罪』と共に『淫夢魔裁判録』のタイトルで岩波書店『艶笑滑稽譚』に、あるいは東京創元社『バルザック全集第25巻』に『仮初の咎』と『妖魔伝』として収められている
    • しかし、刊行年代が新しい前者であっても、擬古文の文体のせいで一部ストーリーが分かりづらいのが難点
      Wikipedia記事
      電子化×

雑魚神様 鳥村居子

  • ホメオパシー(疑似科学医療)の魔術化
    電子化〇

サ法使いの師匠ちゃん 春原煙

  • 詐欺師もとい、サ法使いの女子高生が活躍する、異世界転移系・無双&ラブコメ系ファンタジー(全二巻)
  • セミナー講師を母に持つ師匠ちゃんは、落ちこぼれ魔法使いの実験で召喚される
    • とにかくポジティブな彼女は、口八丁で魔法をも打ち消し、快進撃を続けるのだった!
      →『呪文』
  • この世界の魔法は、呪文で自己暗示をかけて方向性と威力を決定するタイプ
    • そのため集中妨害に弱い
      電子化◯

ザ・ホスト ステファニー・メイヤー

  • 寄生型侵略宇宙人が主人公のSF恋愛冒険小説(全三巻)
  • 宇宙で一番住人の個我が強い地球という異郷、そこにやって来てしまった女性(エイリアン)が、
    • 優秀だという自分のプライドを守ろうとしているうちに、いつしか芽生えた愛や多角関係、略奪者としての自分の生き方に悩むようになる話
  • さまざまなスリルや葛藤がある冒険であり、種を超えて成立するいろいろな愛の物語である
  • 作者は、ヴァンパイアと人間のロマンティックな恋愛を描いた『トワイライト』シリーズも書いており、
    • この作品も同じくファンタジーやSF、ホラーを組み込んだロマンスである「パラノーマル・ロマンス」に分類される
  • スティーブン・キングのSFホラーを侵略者側から描いたような、独特のストーリーが面白い
  • 主人公は、寄生に抗う〈ボディ〉(ザ・ホスト=寄主)のの人格と共生するハメになり、己の能力を証明するために彼女と戦わざるを得なくなる
  • しかし、共通の敵が出現して対抗するハメになり、〈ボディ〉の想い出を共有しながら共に苦労しながら荒野を旅するうちに、「二人」は「二心同体」の結びつきを持つようになっていって・・・・・・
  • 少し主人公に都合が良すぎる部分もあるが、どうにもうまくいかないところもあって、そのバランスがこの作品独特のリアリティを形成している
  • ただ、感情描写が豊かな作品ではあるが、それでも後半での主人公の決断には、やや唐突さが感じられるのが難点
    • それは、仲間への献身と調和を遵守する宇宙人独特の価値観もあるが、
    • なにより彼女自身が、「仲間」と認識した対象への愛着が強く、その「敵」を激しく嫌悪する感性を持っているからだろう
    • 主人公の言動や決断が一見、極端に見えるのは、彼女にとってのその「仲間」と「敵」が作中で激しく変動するからである
    • この作品は、その点を意識していれば、彼女の決断の軸がちゃんと把握出来るように書かれている
  • また、侵略エイリアンが、自種族を〈ソウル〉と自称し寄生が普遍的な正義であるかのように語るその傲慢さと独善が印象的だが、
    • それでも、あまりポリコレ的な倫理観があるとは言えない、わりと純粋なエンターテイメント系の作品である
  • けれど同時に、(おそらく作者の無自覚のうちに)作品の中には、これ以上無いほどのブラックジョークとして機能してしまっているところもあったりする
    • たとえば、白人女性の「ボディ」の家族が大事にしている最後の避難場所が、「昔からずっと自分たちのもの」と語られる「開拓した」アメリカの土地であったり、
    • 主人公が大学で、他の植民地惑星で知的生命体を犠牲にしていることへの「倫理」について学生から問われて、まごつく場面があったりと、
    • 人間に理解可能で知性ある侵略者をしっかり描いた結果、(当然の話ではあるが)それがアメリカ白人の完全な鏡像になってしまった、という皮肉さが感じられるのだ
  • ちなみに、〈ボディ〉の反抗力には限界があり、〈ソウル〉の意志に反して身体を動かしたりすることは出来なかったりもする
    電子化×

さよなら駐車妖精(パーキング・フェアリー) ジャスティーン・ラーバレスティア

  • ほとんどの人が「自分の妖精」を持ち、その加護を受けている架空の国を舞台とした、ヤングアダルト小説
  • スラングを多用するリアルな少女たちが、うまくいかない日常や自分の運・個性と戦ってよりよい人生を目指そうとする話
  • この作品における妖精は姿が見えないが、ささいなものから「どんなに規則違反しても罰されない」「男の子にモテまくる」などという強力なものまで、それぞれ異なる加護を所有者に与えてくれる
  • だが、主人公チャーリーは自分の妖精が大嫌いだった
  • 「どんなところでも駐車場所を見つけられる」というその加護のために、他人にいいように利用されてばかりだったからだ
  • これ以上最悪な妖精はいないと確信した彼女は、大嫌いだった女の子が持つモテ妖精と自分の妖精を交換しようと試みるが・・・
    電子化×

さよならの言い方なんて知らない 河野裕

  • 通称を「架見崎」シリーズとも
  • 2巻までは河端ジュン一の共著だった『ウォーター&ビスケットのテーマ』を大幅改稿、改題したもの
  • 願いを叶えるために戦う、無人異世界でのバトルロイヤルの話だが、
    • ルールがかなり整備されていて、降参なども可能だし、死んでも元の世界に帰るだけだとされている
  • 頭脳戦を中心とした、集団による異能バトルが描かれている
  • 端末による能力付与
  • 悪事の証拠集めを委託し、その情報によって悪事を阻止せんとする脅迫ネットワーク(主人公が自衛のため制作)
    →外力
  • 男二人と女ひとりの幼なじみグループ
    • みんな同じアニメ『ウォーター&ビスケットの冒険』が好きだが、ウォーター派とビスケット派に分かれる
  • 著者は他にもアニメ化された「サクラダリセット」シリーズや、「階段島」シリーズで有名
    電子化◯BOOKWALKER月額課金読み放題MAXにて、2023年9月30日まで1巻が公開中

されど罪人は竜と踊る 浅井ラボ

  • 魔法のような科学のような技術〈咒式〉を駆使して戦う
  • 敵の強さがアホほどインフレしたり、敵対する人物が高潔な所はアリュージョニストに通じる
    電子化○

戯言シリーズ 西尾維新

  • 「戯言」という【呪文】、言葉だけが武器の語り手が、多くの事件を経て成長し、主人公になっていく物語
  • 「戯言遣い」は、他人への共感が強すぎて自分を冷酷だと定義する男である
    →シナモリ・アキラの殺人鬼への憧れ
  • ただ「殺人のために殺人する」殺人鬼の家族、零崎一賊
  • 全く「人間の価値」に配慮しないその「殺人観」は、シナモリ・アキラの願望とは真逆の殺人鬼であると言える
  • ただし、これらの点は、主に外伝『零崎双識の人間試験』の方で語られる
    電子化○

酸素は鏡に映らない 上遠野浩平

  • ブギーポップシリーズのスピンオフ
  • 人を支配する方法と宝、そして世界の支配者だったある男の最期についての話
    • 人が人を信じるのは、酸素と同じ
    • それは実は毒だが、だがそれなしでは人間は生きることは出来ない
    • 君もまた毒なのだ――――それを理解したとき、君も世界の支配者となる
      →『使い魔』?
  • 他人とは、毒だ
    • 他人は君を騙す、裏切る、利用する
  • だが、それでも誰であっても、その毒なしに生きていくことはできないのだ
  • 酸素は触媒
    • 生命はエネルギーを燃焼させて生きているから、モノを燃やす触媒としての酸素が必要
    • つまり、酸素とは危険なもの。毒
    • そして、人間は、その成分のほとんどは、毒でできているのと同じ
    • 退屈とは刺激がないことであるため、それが好きな者などいない
    • それは、人間の本質が、刺激を求めるようにできているから
    • 他を取り込み、毒で溶かし、燃やし、己のものに造り変えていくことが、生命の本質
    • それは、人が人を求めるときでも、同じこと
    • 刺激物が、毒が、つねにそこには存在している
  • 思い通りにすることが、支配するということではない
  • そもそも"思い"というが、人間は自分が何を思って、何を望んでいるのか、それを知ることが出来ないものだ
    • 自分だけの確固とした意志、そんなものは存在しない
    • 常に他人の目を、その考えを気にしている
    • 立派に見られたいだとか、負けたくないとか、すべては他人の判断に己を委ねている
    • 他人のことを気にしないことなど、人間には不可能だ
    • 一人で平気だと思っている者は、単に自分が一人ではないことに気づいてないフリをすればごまかせると信じている、こすっからい悪党にすぎない
    • 自分がもらっているものを他人に分けたくないというだけの、単なるケチ
  • 自分で見つけなければならない
    • この見えない糸でがんじがらめにされている世界の中で、自分がどこにいるのか、そしてそれを支配するにはどうすればいいのか、その方法を
  • 人間が求めるわかりやすい意味が錯覚に過ぎないとしたら?
  • 真の意味がどこにあるのか、それを見つけ出せた人間は誰もまだ存在していないのかもしれない
    • だから、人は求める
      電子化○

燦然のソウルスピナ  蕗字歩

  • 「ねがい」と責任にまつわる、ダークでヒロイックなハイファンタジー
  • 若き聖騎士と夜魔の姫が出会い、強大な敵に立ち向かうことになる冒険譚(全四巻)
    • 夫が小説を、妻がイラストを担当している
  • 主人公がモテモテなラブコメであり、エロスな要素も強い
    • だが、同時に世界に存在する闇も深く、それはつねに全てを飲み込まんとするのだ
  • 文章においても、荘厳な世界観と、ときにメタにも走るコメディが入り混じり、独特の読み味をもたらしている
  • そしてこの作品は、王族や貴族がメインキャラのファンタジーではあるが、
    • 血統が重要な封建主義の弱点だけでなく、民主主義の暗黒面をも描いており、
    • それは無責任に暴走しがちな民衆の「ねがい」と、「責任」を担うことの必要性という、作品のテーマにつながっていく
  • そして、登場人物たちも皆それぞれの思想や意志をしっかりと持ち、ときに闇を抱えながらも物語を紡いでいる
  • また、回転して起動する異能「スピンドル」も、戦闘面だけでなく、「責任」を担う「意志」の表現としてもしっかり機能しているのが良い
  • 作品の舞台は、人間の領域が人外に脅かされるファンタジー世界ではあるが、同時に、異種族や異教徒の領域を侵略する十字軍や教会組織内の陰謀も存在し、
    • どこか突き放されたように、普遍的な悪として捉えられている
  • ファンタジー数あれど、騎乗でのランスチャージによって活躍する主人公はたぶんこの作品ぐらいであり、ロマンとストーリーをしっかり両立させているのが良い
  • 不死殺しの聖剣を、不死者にも使用可能にする篭手「ハンズ・オブ・グローリー」
  • 「ねがい」の力を注ぎ込む旧世界の遺産
  • 無制限に誰かの「ねがい」を叶える「鏡」
  • 悪を引き受けるもの
  • 願いを託すこと、苦肉の策の選択と決断
  • 「救世主」
  • 「ヒトに限らず生きものというものじゃ、だれかから与えてもらったものしか、別のだれかに与えられない」
    • 救いの循環
      →外力
  • 夜魔は、血に溶けた《夢》を食らう
  • 《閉鎖回廊》(バードケイジ)
    • 「スピンドル能力者」でない者たちは、その領域の主が描く物語の虜囚になってしまう
      →≒『浄界』?
  • 槍と生贄
    電子化◯
    小説家になろう版は現在も無料連載中

斬魔大聖デモンベイン(小説版) 原作:鋼屋ジン 著作・本編:涼風涼 外伝:古橋秀之

サンライズ・コーストライン 神崎赤珊瑚

ザンヤルマの剣士シリーズ 麻生俊平

  • 超常の力を与える「遺産」を巡る伝奇ライトノベル
  • 現代にも通じる問題を描いたその作風は、人を選ぶかもしれない
  • 人々が、それぞれ自分の世界を創って引きこもった古代文明イェマドは【巨人】の世界っぽいかも
    電子化×

しあわせの理由 グレッグ・イーガン

  • SF作家イーガン入門編と言われる短編集
  • 表題作「しあわせの理由」では、病気で快楽の基準を失い、自分で自分自身の好みや物事の感じ方を操作出来るようになった青年が出てくる
    →感情制御、選び取る価値基準の話
    • ぼくの頭の中にあるのは(中略)想像を超えた遠い過去の、人類も原人も含めた一千万の祖先から受け継いだものだ
    • 人はみな、同様の遺産から(中略)自分の人生を作っていく
      • そうやって生きていくことが、ぼくにはできる
      • 意味のないしあわせな気分と、意味のない絶望感がいりくんだ境界線上を歩いていくことが
      • その細い線上に踏みとどまるには、たぶん、線の両側に広がっているものをはっきり知っていることが、いちばんだいじなのだから
        →外力
  • 『ボーダー・ガード』
    • 過去と新時代の境界線の守護者、ほんとうの死とそれが無くなった遠未来を隔てる役割を、自らに任じた守り人の話
    • 不死否定論への批判がたっぷり書かれている
      電子化◯

シェイクスピアの退魔劇  永菜葉一

  • 夢と才能、そして演劇を巡る人間ドラマを描いた、ボーイ・ミーツ・ウーマンな偽史ファンタジーライトノベル
  • 登場人物がみな生き生きとしているのが良いし、夢について、フィクションではあまり描かれないタイプの選択肢を示している
  • 清教徒やエリザベス女王など実在の時代背景や、既存戯曲の要素を組み込んではいるが、
    • 美女化したシェイクスピアの経歴などは完全なフィクションである
  • ロンドンにはびこる亡者(ゾンビ)を撃退可能な手段は、退魔劇作家と退魔女優が演じる退魔劇のみ
    • 主人公である記憶喪失の少年は、劇場に迷い込み、魅力的な(性格がキツイ)美女シェイクスピアと出会い、
    • 彼女を支える『従僕』となって働きはじめる
    • しかし、シェイクスピアには、退魔劇作家に必要な『霊感』が欠けており
    • 逆に、少年には天性の『霊感』があったのだった
    • 劇場の危機、深まる陰謀と人間ドラマ、そして、シェイクスピアの父の死の謎
    • 全ての解決は、「退魔劇」の上演にかかっているのだが…シェイクスピアは、父の汚名を返上するため退魔劇作家にこだわっており、その劇を上演する条件が満たされないのだ
    • はたして、シェイクスピアは、そして主人公は見事、退魔劇を上演することが出来るのだろうか…?
  • ゾンビもののお約束というべきか、この物語の中心はゾンビと戦う劇ではなく、演劇にまつわる人間関係や悩みである
  • また、いくつか明白な欠点もあり、
    • 推理要素もあるものの、オカルトが絡んだり情報が出揃うのが遅いため、ミステリとしてはあまり出来が良くない
      • あくまで、人間ドラマを彩る添え物の一種でしかないのは残念
    • 説明過多な文章も分かりやすくはあるがいささか過剰であるし、黒幕などが狂気で動いていることもあり、そうした心理への納得感についてはイマイチ得られない
  • ただ、肝心のヒロインの魅力と主人公との関係だけはしっかり描ききっているので、話としてのまとまりはちゃんとしている
  • また、『退魔劇』に必要な二つの素質が、どちらも比較的当たり前のものであるというその設定が面白い
    • 退魔劇女優の素養は『強い生命の輝き』=圧倒的な意志の力であるし、
    • 退魔劇作家の『霊感』=『幽世と現世の境をゆく才覚』の正体は、亡者と同じ視点で世界を視る感覚=ゾンビの心=退屈に共感する感性であり、
      • つまりは、欠落や空虚さのことだったりするのだ
        →コヘレトの言葉をよく引用するガドール?アマランサス(ラプンシエル)?
  • この世ならざるものを、『霊感』でそれぞれ異なる幻覚として捉える退魔劇作家
  • 彼らは、形を持たないが現世に強い影響をもたらす、想念や運命といった幽世に属する力を『言葉』というツールに変換して物語を紡ぐ
  • 自分が見る世界は、自分で決める
    →『邪視』?『呪文』?
  • 記憶喪失で不確かな存在のため、シェイクスピアを拠り所にした少年
    →外力
  • 芝居を邪魔しようとしてくる亡者の執念を霧のヒトガタに押し込めてアドリブで撃退し、魅了する退魔劇
    • ヒトガタに役を与えることで、行き場をなくした感情に指向性を与え、芝居の筋に沿わせることで妄念を昇華する
      電子化◯

時空のクロス・ロードシリーズ 鷹見一幸

  • 並行世界トリップと幼馴染の話
  • 前半三部作は、水疱瘡のパンデミックで大人たちが死に、カルト教団がヒャッハーする世紀末世界。
  • 前半三部作ラストの「バースディは永遠に」は「別の選択がなされた」世界であり、少し【死人の森】ぽい
  • チート要素もあるが、最強なのは「日常」そのものである
    電子化○

事件シリーズ 上遠野浩平

  • 戦争を弁舌で止める職業「戦地調停士」のEDと超人的な武力を持つ”風の騎士”ヒースロゥのコンビ+αが送る、ファンタジー世界のミステリー
  • EDがヒースロゥを世界の王にしようと目論んでいたりと、深みがあって楽しい
  • ブギーポップシリーズとのクロスオーバーなども収録されている短編集『彼方に竜がいるならば』もある
  • 『殺竜事件』:片思い女性士官と行く、ゆかいな珍道中(事件解決できないと戦地調停士が死ぬタイムリミット付き)
    • 「竜が殺されること」を突き詰めた話であり、人間について考えさせられる話でもある
    • 巻末の解説ー魔法とはなにか:異世界を描くことの意義
      • 絶対に間違いのない社会なんてものはない
      • 自分たちが間違っているかもしれないと「考えていない」世界の中で、それでも違う道を探そうとするなら、答えは普通の世界の中では見つからない
      • 無理矢理にでも”外側”を探さないといけないが、それがどうしても見つからないのなら、世界まるごと異なるものを考えないと始まらない
      • それは妄想からしか始まらないかもしれないけど、でもそこにしか答えはない
      • 今を全否定するというのなら、そのための足場は今までの世界にはないのだから
        →異世界、コルセスカ?
  • 『残酷号事件』:心を持たない変身ヒーロー。歌〈幻の翼〉
    • 魔法呪文の定義:呪詛と称される生命エネルギーの波動に、術者の精神を共鳴させて生じるもの
  • 『無傷姫事件』
    • お姫様と嘘と世界を動かすほどの強さの物語
    • 何もなかったところから誕生した国家の歴史
      • 曖昧模糊とした疑惑と国家間の利害が、ひとつの国を独立させ、いつのまにか世界平和をも実現させてしまう
      • 上遠野浩平によるファンタジー版日本の物語と言えるのかもしれない
    • 究極の武装と嘘についての考察でもある
      電子化○

地獄堂霊界通信シリーズ 香月日輪 

  • 悪ガキ三人組が、オカルトパワーを手に入れ、怪異とその背後にある社会問題と戦う物語
  • 熱さと人間の闇を描いたホラー要素があって、面白い
  • 言い方を変えるなら、外見や家族に恵まれた子どもたちが、その恵みで育まれた純粋さと善良さをもって、こじれがちな悪を打ち破っていく話でもあると言える
  • 第一シリーズの後は初期の緊張感がなくなったし、作者逝去もあってシリーズ自体も中断しているが、ほぼ一話完結なのでそれほど中途半端な感じは無い
  • 実際に信仰されている神仏の力を借りて小学生が戦う作品はたぶんコレだけだし、小学生霊媒や魔女っ子も出てくる
    →『杖』『邪視』『使い魔』
  • メインキャラ(らしい人物)が、『妖怪アパートの幽雅な日常』にも登場している(こちらは毒親への憎しみなどより闇が深いので注意)
  • イラストは、ハードカバーの児童書版が一番雰囲気が合っていて良い
  • コミカライズもされている
    電子化○

自殺判定士 曽根崎都弦の自殺衝動 黄鱗きいろ

  • 自殺を判定する異能を得た曽根崎と、その親友の事件簿
    • カクヨム掲載作
  • 死に引かれる者たちの物語
  • そして、自殺志願者を引き戻そうとする親友と、死の種類についての話でもある
    →独特な生、転生?
  • 自殺志願者たちが主題ではあるが、しっかりと自殺の苦しさや醜さ、恐ろしさやそれに抗うことを書いているのが良い
  • また、ブロマンス(男性同士の恋愛ではない友情)ものではあるが、親友がこどもっぽくてやたらと面倒見が良い以外は、
    • 特に性的なニュアンスは存在しなかったりする(曽根崎の方はわりとゲイの志向あり?)
      電子化◯

死者の代弁者 オースン・スコット・カード

  • 第一章 1-2 死者を代弁する者
  • 『エンダーのゲーム』の続編だが、一応これだけ読んでも問題なく内容は理解できる
  • 異星人との交流、そして相互理解についてのSFであると同時に、DV父と死別したばかりのヒスパニック系家庭の問題解決をしている話でもある
  • 共同体に溶け込もうとしない少女や、教義にこだわるカトリック社会との和解など、地球人とのコミュニケーションや抱えている問題の延長に、宇宙人との対話がある構造となっている(というか現代日本人から見ると、カトリック社会も十分異質で悪質な社会に見えるかも)
  • ミステリー要素もあるが、真相は、知識さえあればある程度は簡単に分かるようなもの
  • 『幼年期の終わり』などとは逆に、地球人が「遅れた現地文明に接触する進んだ宇宙人」の役割を担っているので、立場逆転の話としても楽しめたりもする
  • ただ、カトリックは、フォローされるし信仰を捨てない人もいるが、非難されがちなので、信者の人は読んで気分を害するかも
  • また、死者の代弁者が大活躍するが、全員が何かしらの痛みを背負う作品なので、主人公無双とも言い切れない
  • 女性人格のネットワーク知性体が登場し、作中で(人間視点から見て)わりとあっさり自立する描写がある
  • 死者の代弁者が、秩序を語ることで作り出している疑惑
  • 作者は熱心なモルモン教徒であるため、善悪は、行為ではなく事前の意図によって判断される=善意で行動すれば結果がどうあれ善という思想が「死者の代弁者」にも反映されているらしい
  • 神様のメモ帳もご一緒にどうぞ
    電子化×

屍者の帝国 伊藤計劃・円城塔

  • 絶対言語やイェツィラーの記述あり
    電子化○

Sister Princess 公野櫻子

  • ある日突然12人のシナモリ・アキラが(略
    • アニメ版には「13人目」も出た
  • 作中においてその実像の詳細が妹の独白の中にしか存在しないお兄ちゃんの存在

持続可能な魂の利用 松田青子

  • 左翼フェミニストにとって優しい、自己肯定と革命の話
  • そして、一切の不快を排除していった先を描いた幻想社会運動小説でもある
  • セクハラしたり、一方的にエゴを押し付けてくる「おじさん」を否定する話なのだが、
    • その方向性は、始まりから既に矛盾している
    • なにしろ、「おじさん」を定義し排除するそのまなざし自体も、また新たな「おじさん」でしかないのだから
  • この小説は、さまざまな人々が日常的に抱いている日本社会への違和感をつづっており、
    • そこには、男性にはなかなか身近に感じられないような、女性に対してのセクハラなどの嫌がらせがはっきりと描かれている
  • そこまでは、社会に提言しているエッセイとして優秀ではある
  • ただ、作者はそれを一気に延長して、作品世界に社会革命を実現させてしまうのだ
    • ロベスピエールやスターリン、文化大革命を例に挙げるまでもなく、革命とは、一方的に他者へ理想を押し付ける「おじさん」の極みである
  • この作品も、最初は日本社会に違和感をもつ女性が、海外移住して日本批判する程度だが、
    • すぐにそれは、「おじさん」に負けている日本女性の弱さへの非難や、謙遜といった日本文化自体の否定へと変わっていく
    • また、物語の視点人物の中には男性もいるし、男性の欲望や「おじさん」的まなざしを共有する人物もいるが、
      • そうしたものも全ては一つの流れに飲み込まれていき、「革命」へ「理想的な未来」へと収束していく
  • その「抵抗」は小市民的な女性の身近な感性にもとづくものであり、
    • 右寄りの思想で、女性への義務として発せられた少子化を憂う「えらい」や「抵抗」は否定され、しかし視点人物たち女性や左寄りの勢力の「えらい」や「抵抗」、母親たちの少子化対策デモは、逆に無条件に肯定される
    • けれど、身近な感覚を発信するエッセイとしては、確かに「抵抗」であり一つの意見でしかなかった自己肯定の感性も、
    • 「革命」という形で他者に押し付けられるようになると、とたんに所属勢力の盲目的な肯定や、個人の顔や名前を塗りつぶす全体主義といった破壊的なシロモノへと変わっていってしまう
    • それに、嫌がらせへの抵抗といった、身近な場面では心強かったはずのアクションも、
    • 作者が知識を持っていなかったり、諸悪を「おじさん」のせいにしている政治の領域へ移ると、
      • とたんに、「とにかくデモ!」「おじさん抵抗勢力を排除すれば全て上手くいく!」といった、ふんわりしたものになってしまう
  • 更に、主人公が憧れる、明らかに(欅坂46時代の)平手友梨奈らしきアイドルも「××」と呼称され、
    • 女性たちの抵抗願望の受け皿として名前を持たない偶像となり、変革の力を持たない主人公の、そして作者の代理人にさせられていくのだ
      →トリアイナ?
  • 更にそれは「理想的な未来」からのまなざしによって肯定され、その「抵抗」の成功は確約されてもいる
    • この物語では、ときどき女学生たちが「過去の日本社会」を調査し批判するパートが挿入されるのだが、
    • それは実は、革命が成功した未来からの振り返りなのである
    • この作品のタイトルは、主人公ポジションの登場人物の空想によるのだが、
    • その空想では、年齢に応じて減る”魂メーターの最大値”を「実は預けていた」「少女たちの楽園」が出てくる
    • 心を守るための避難所であったはずの、その「楽園」は、
      • 確実に実現する未来として、全てが終わった事後の地点から主人公たちの、そして作者自身の「抵抗」と「革命」の正しさを保証してくれるのだ
        →ラクルラールなど、未来からの干渉?
  • そして最終的に「おじさんたちの失策」や「国際社会による少子化陰謀」によって日本は滅び、
    • 「革命」は、それをソフト・ランディングさせるに終わる
    • そして「楽園」では、人々はアイドル「××」と融合して一つになり、肉体と名前を失う
    • これでもはや絶対に、「おじさん」の一方的なまなざしや理不尽な干渉で傷つくことはなくなる
    • 人々は、女性たちは、「人類補完計画」を思わせる実質的な消滅によって、
    • ついに「完全な自由」を手に入れたのだ!
  • マルクス主義が未来を保証できなくなった時代、政治を変革する力を失った左翼とフェミニズムがたどり着いたのは、
    • このような妄想の世界における自己の、そして人類の完全消滅であった
  • つまりこれは、政治や経済を変える力を持てなかった人物が描けるのは、破滅の未来という妄想だけだという一つの結論であり、
    • (作者たちにとって)美しく優しいユートピア/ディストピアという終着点のお話でありました
    • めでたしめでたし(めでたくない)
      →トライデント?
      電子化◯

七人の武器屋 大楽絢太

  • 「やりたいことや自分の才能がみつかります」という(うさんくさい)キャッチコピーにつられて集まった七人の男女が武器屋のオーナーとなり、悪戦苦闘するファンタジーコメディ
  • 結構ガッツリ経営してるし、仲がいい男女がわいわいやっているのが楽しい
  • そして実際に、武器や経営を通してやりたいことや才能が見つかったりもする
    →自己発見の場(舞台)/媒介物としての第五階層(シナモリアキラ)?
  • 寄せ集めのメンバーが、意外な活躍やハーモニーを見せるところはブリコラージュ感あるかも
  • 仲間内でのラブコメもあったりもする
  • コミカライズもある
  • イラストレーターの今野隼史は、後に憑依英雄マンガ『絶体絶命英雄』を描いていたりする
    電子化○BOOKWALKERの読み放題(月額課金)で全九巻がすべて読める

七本腕のジェシカ 木村航

  • 茗荷屋甚六a.k.a木村航による吸血鬼SF
    電子化×

SICK 澱介エイド

  • 精神世界の怪物と戦う少女狩人とそれをサポートする「弟」の物語(既刊2巻)
  • あるいは、恐怖についての話
  • 恐怖と悪夢が題材だけに、グロテスクで残酷な描写や設定も多く、話が進むごとに過激さを増していく
  • 幽骸(コープス)という、敵の残骸を加工した寄生異獣のような特殊アイテムがある
  • 他にも、アに関連する要素もわりとある
  • 魔物ハンターものなので、敵は十分に戦闘で殺せる相手なのだが、真の恐怖はそこではなく……
  • 人の心の闇をしっかり見つめつつ、それだけでもないところも、また良い
    電子化◯

漆黒の王子 アフリカの吟遊詩人=グリオ36の物語 カマ・カマンダ

  • 著者が幼い頃に聞いた民話を元にして書かれた短編集
  • ストーリーは単純素朴かつバッドエンドも多く、心が美しい妹を妬む姉や王を殺す王妃など女性の扱いが悪い話も多いが、アフリカの自然や文化が出ていて面白い
  • BABEL翻訳奨励賞を契機として出版された本であり、十五人が文体を統一して翻訳している
  • 本書の続編『グリオたちの夜』はブラックアフリカ文学大賞を受賞しているらしい
  • 「地上に降りてきた女神」:流星のようにただ一度しか人間を愛せず、手仕事をすれば砂になってしまう女神の話
  • 「粘土の踊り子」:生きた人形と姉妹になって、彼岸にある人形たちの国へ旅立った少女の話
  • 「死の国の死者」:母を甦らせるために、心を寄せる少女を死の国へ連れてくる条件を課せられた少年の話

漆黒の戦鬼 シャドウラン・ノベル First Run 江川晃

  • 第二章 2-9 シェイドラン
  • 有名サイバーパンク+ファンタジーTRPGのリプレイを下敷きにした小説。
  • 日本語で読める
  • リプレイとかちょっと……という人向けに
    電子化×

疾走する思春期のパラベラム 深見真

  • 『この夜が明けるまであと百万の祈り』
    電子化×

死にたいあなたに男子大学生がお肉をごちそうしてくれるだけのお話  夕鷺かのう

  • 特殊なイケメンによる女性への「サービス」を描いたダーク系ライトノベル
  • きちんとした食材にこだわりがある人や、犯罪者や西洋系ホラー、残酷作品が嫌いな人にはおすすめできない小説
    • ただ、ホラー要素はあまり無いというべきか、後述の理由から、作者にとってはこれはホラーではないように思われる
  • そして、状況や料理の描写はかなり克明で上手い
  • 基本的な構造は、タイトル通り(「人を食い物にする人物」に傷つけられて)精神が疲弊した女性に対し、彼が「お肉」をごちそうして癒やしていく話なのだが……
    • その「お肉」の正体を考えると、これが本当に「癒やし」として適切なのかは疑問が残る
    • また、基本的に真相が知らされないことからも「復讐」としての「癒やし」として受け取ることも出来ない
      • 回復の話として違和感が残るのは、ゲストの女性たちも最後までだまされ利用されて終わったり、他の人間関係に支えを求めて終わることもあるだろう
  • あるいはダークヒーローものとしてならアリかもしれないが、結局「彼」もやっていることは他の「人を食い物にする人物」たちと変わらないので、勧善懲悪とは言い切れない
  • 結局、これはひとつの「フェチズム」あるいは「女性の抑圧された悪意や憎しみそして性欲」の話なのだろう
    • それならば、たびたび強調される「彼」の色気や、女性たちが気楽に「彼」のところを訪れる理由、
      • そしてゲストたちが、悪意ある人物たちとセットで扱われたり食事をしなければならないことに、全て説明がつく
    • 「人を食い物にする人物」たちや「彼」は、ゲストたちが気づかないふりをしている彼女たちの別側面であり、
      • それゆえに、彼女たちの「救い」は代行される形で見えないところで完了するし、そうでなければならないのだ
        →外力?
  • 誰も見ていないところでも「配信」を続けたり「彼」の空虚さは、
    • 彼が理想を具現化した萌えキャラに過ぎず、自身の内面を持たない配信だけの存在だということを示している……のかもしれない
      →シナモリアキラ的?
  • 大量の実在文献を使った自己紹介
    →外力
  • 無自覚なカッキウの雛のような人物
    • 他人のせいかを全て奪い取り、自身の記憶も全て都合が良いように改ざんしてしまう
      →外力
  • 結局は邪悪な性質を持った人物であったとしても、してくれたことの全ては否定できない
    →振る舞いの話
  • いつでも欲しい言葉をくれる彼、常に弱りきった女性の前に現れ食事を振る舞ってくれる「彼」
  • 自分のために怒ってくれることへの感謝
    →百億の怒り?
    電子化◯BOOKWALKER月額課金読み放題で読むことが出来る

死にたがりの完全犯罪と部屋に降る七時前の雨  山吹あやめ

  • コロナ禍を背景とした、ちょっと毒の入った日常系ミステリー連作短編集(全四巻)
  • 同居する男子大学生の二人、虐待のため親を憎み、完全犯罪を企む「血」に縛られた悪人よりの御曹司と
    • 彼を止めるために探偵業を始めた「地」に縛られた善人の助手が、
    • 依頼人への干渉方向を競い合う解釈合戦で、ネットの依頼に対応する
      →『呪文』
  • 推理はわりと強引かつ一点突破であり、オシャレ感を全力で狙っているあたりは人を選ぶかもしれない
    • そのぶん、スマートな決着を迎えて、爽やかな読後感にもなりやすくもあるのだけれど
      電子化◯

紙杯の騎士 信野木常

  • しはいのきし
  • ボーイ・ミーツガールズなオカルト式パワードスーツ・ヒーロー小説
  • 平凡な少年が、守るべき人々のため、地球の妖精や妖怪たちの力を借りてクトゥルフ神話の神々に立ち向かう!
  • 最近/品森晶先生もオススメ!
  • クトゥルフ生物災害に襲われても、たくましく生きている人々の日常が良い
    • 水上を走れるパワードスーツも、民生品が普及しており、改造されたりバイク的な扱いとなっている
  • 量産型パワードスーツや一般兵士も活躍する
  • 幼なじみの姉妹もかわいいが、ヒロインは全体的にヤンデレぎみ
  • 作品の中には「人間の境界」を問うような部分もあったりする
  • 『混沌戦線』というシリーズの一作目であり、全エピソード4部作の予定
  • 続編の『一角獣の幻像』もある

シフト 世界はクリアを待っている うえお久光

  • 『悪魔のミカタ』の作者によるファンタジー
  • 寝るとなぜか異世界に転生してしまう若者たちが、生きるに値する価値のためにもがきあがく
    →夢の世界
    • 法も警察もない、生きていくのが苦しい世界でいかに生きるか
  • 三巻で打ち切りなのが玉にキズだが、ある程度すっきりと区切りをつけて終わっている
  • 主人公は、「人外系」に分類されるリザードマンであり、色々あって隠居していたところを色々な出来事を経て引っ張り出されることになる
  • 怪物系は理性をなくしたり、ひねくれて悪意に走るものもいて、差別を受け迫害されることが多い
    →異獣
  • 怪物と勇者は紙一重
  • 「人間系」には、身体にカードスロットがあり、スキルのカードを使うことが出来る
    • 『内観功』や『小周導』などカンフー系の概念を使ったスキルも出てくるし、カードとして人間系の人物なら装着したり他人に渡すことも出来る
    • 思いや記憶を封じ込めた「『共感』(エンパシー)カード」
  • 「世界はクリアを待っている」「勇者が魔王を倒したときに世界はクリアされるのでは?」という預言の呪縛
  • 戦士とともに成長する「生きている武器」
  • 恋のためにあるのかもしれない世界
    →『聖婚』が求められている?
    電子化○

〆切前には百合が捗る 平坂読

  • 『僕は友達が少ない』の作者による日常系百合ラブコメ・ライトノベル(全二巻)
  • レズビアンをカミングアウトした結果、田舎から飛び出さざるを得なくなった女子高生が、〆切を守らない女性作家のところで住み込みで働くことになる話
  • たまに深刻な話題も出るが、基本的には〆切からの逃避パワーで楽しく遊びまくる日常エンジョイ系である
    →外力?
  • 2巻では、有名声優でレズビアンの少女が登場
    • 勘違いもあり、同棲している二人ともが彼女を恋のライバルとして意識するようになる
    • また、「特別でないすぐに忘れられる作品」がモットーだった作家も、特別性を持つライバルの出現でその作風を大きく変えることになったりも・・・?
      →三角関係(トライアングラー)パワー
      電子化◯

下ネタという概念が存在しない退屈な世界 赤城大空

  • 通信端末を介した国民全員の監視によって、下ネタや性的なイラストを描く権利が奪われ、ディストピアと化した日本
  • それに対して敢然と立ち向かった若者たちの、エロスと愛と勇気と友情とパッションと二次性徴と性欲とHの物語・・・という要約でたぶん間違ってないと思う
  • ただ、変態が多数乱舞する下ネタだらけの作品ではあるが、描かれているのはガチのディストピアである
  • 反社会的な団体同士での方針をめぐる対立や、国外逃亡からのゲリラ戦を企む者、ゆとり世代を利用しようとする大人の出現も描かれ、更には、性表現規制を用いた情報と言論の統制を目的とする黒幕もいたりする
  • 全11巻+短編集
  • その内容の大半は、下ネタ、つまりは性的な物事を想起させる引喩で満ち満ちている
    • 痴漢冤罪から始まるところは、人を選ぶかもしれない
  • さらにこの内容で、なんとアニメ化までされている
    電子化◯BOOKWALKERにて全巻読み放題(月額課金)

シャインポスト ねえ知ってた? 私を絶対アイドルにするための、ごく普通で当たり前な、とびっきりの魔法 駱駝

  • 『俺を好きなのはお前だけかよ』の作者によるアイドル・ライトノベル
  • 株式会社コナミデジタルエンタテインメントが手がけるメディアミックスプロジェクトの原作ポジションでもある
  • 主人公があまりの凄腕のため同僚を萎縮させてクビになっているうえに、嘘つきを判別する超能力まで持っているという、追放モノっぽいストーリーが特徴
    • メインヒロインの目標が「アイドルの社会的地位を確立させる《輝く道標》=シャインポスト」であり、
    • それと同時に、主人公には嘘つきが「輝いて見える」というダブルミーニングが、物語にひとひねりを入れている
    • なお、嘘つきのセリフは作中で《 》をつけられることで強調され、主人公の視界を読者も共有できるようになっている
  • また、ストーリーにおけるファンのはたらきかけや役割の比重が大きいのも、この作品の特徴である
    • ファンの反応を観察してリアルタイムでパフォーマンスを調整したり、ファンとアイドルが一緒に歌って危機を乗り切ったりしている
      →外力
  • アニメ化済み
    電子化◯

シャギードッグ 七尾あきら

  • サイバーパンクであり、サイバーカラテを彷彿とさせる格闘プログラムが出てくる。
    電子化×

灼眼のシャナ 高橋弥七郎

  • 主人公が、物語開始時点で、自分が既に「存在しない」ことを自覚する
  • 人間と紅世の徒の合一体である戦士「フレイムヘイズ」
  • マージョリー・ドーの『屠殺の即興詩』の【呪文】感(マザーグースからの引用でもある)
  • 感情に伴う行動を模倣して採集する『人格鏡像』“銀”(『暴君II』)
  • 戦闘力の大半が、他人からの貰い物や借り物という主人公(実質的なラスボスを兼任)
  • 選択と決断の物語でもある
    電子化〇BOOKWALKERにて、完結後の逸話や番外編も含め、最新刊を除いて全巻読み放題(月額課金)

弱キャラ友崎くん 屋久ユウキ

  • じゃくキャラともざきくん
  • 陰キャゲーマーが、リア充女子に「人生の攻略法」を習うラブコメ系ライトノベル
  • 主人公は、好きなゲームへの侮辱が許せず、それが「キャラによる性能差」などない「神ゲー」であることを説いていた陰キャオタク
    • だが彼は、逆にゲームを通じて再会したクラスメイトの「パーフェクトヒロイン」に、人生も「神ゲー」でありお前はそれを侮辱していると説かれてしまう
    • ヒロインの挑戦を受け、彼女の弟子となった主人公の行く末やいかに?
      電子化◯ 

ジャッジメント・ワールド 青田竜幸

  • 少年の外見をした特殊部隊の元隊長が大活躍する、ハードボイルドアクション系ライトノベル
  • お約束要素が多いが、裏切りの多さやしっかりしたキャラクター描写で上手く調理され、安定感のあるエンタメとなっている
  • ただし、こういう作品の傾向として当然ながら、残酷な場面も多い
  • 主人公は、アンチ・超能力、動物と植物の性質を併せ持つ〈複合細胞〉の皮膚=〈鵺〉の皮、そして〈天使〉の「歌」を要求できる機械の左腕を持つ強化兵士〈鵺童〉である
    →シナモリアキラ?
  • 全4巻+短編1巻
  • 最終三部作に入る直前で未完
  • それでも、一話完結に近い形なので結構楽しめる
    電子化◯BOOKWALKERにて読み放題(月額課金)

シャハルサーガ 友野詳

ジャナ研の憂鬱な事件簿 酒井田寛太郎

  • 中学時代の失敗が原因で、人付き合いを最小限にしていた主人公が、美人の先輩と関わることで再起していく日常系ミステリー(全五巻)
  • ジャナ研=ジャーナリズム研究会の話だけに、追求された真実からは人間の悪や弱さが見えてきて、ほろ苦い結末へと至ることが多い
  • 論理型探偵の主人公を、直感善人のヒロインの異なる視座がサポートする
  • また、部外者からの指摘が、事件を解く重要なカギになることも多い
    →外力、異邦人(ゼノグラシア/グロソラリア)
  • なお残念ながら、先輩はプライベートでは眼鏡を外すタイプ
    電子化◯
    また、KindleUnlimitedでも1巻を0円で読むことが出来る

銃皇無尽のファフニール ツカサ

  • 異形と化した友人を自らの手で殺す話

十二国記シリーズ 小野不由美

  • 民意をくみ取って王に「正しい道」を示す神獣の麒麟(ただし、これはあくまで理想的な基準らしい)
  • 妖魔の賓満(ひんまん)は、憑依した人間の身体を操って戦闘技術を与えることが出来る
    →サイバーカラテ
  • 異世界への転生(帰還)、魔法のアイテム・翻訳能力・丈夫な体の獲得、いきなり金髪イケメンにひざまずかれるなど、登場要素を箇条書きにすれば典型的な転生チート小説である
  • しかしその実態は、不条理な災厄によって異邦人となってしまった人々の、過酷な旅路であった
  • 未完だが、主人公陽子の成長譚としては完成している
  • 『図南の翼』
  • 主人公の少女(12歳)は、金持ちの家に生まれたため、どうしても恵まれた暮らしを送らねばならない。
  • そのため、後ろめたさを感じなくなるために、王になる危険な旅へ出ることにしたのだ。
    →アキラくんが、転生補助稼業をやり、トリシューラの国づくりに協力した理由?
  • 「落照の獄」(短編集『丕緒の鳥』収録)
    • 死刑の是非を、賛否両論を感情面も含めて冷静に検討するストーリー
    • 日本とは色々と異なる社会での話だが、それでも異なる舞台だからこそ、問題の本質が浮き彫りになっているところもある
    • 死刑の賛成と反対のそのどちらも、人間の本能のような情緒に根ざしているのではないか
    • 情緒による判断を否定しつつ、妻には(自分と違って)民衆と同じ情緒を抱いて、理性偏重な自分を補って欲しいという、裁判官的な役職の男の願望
      →外力
    • 死刑には犯罪抑止効果は無いが、逆に死刑の乱用はその乱発や国家による悪用を招くおそれがある
    • 邪悪な人間を、ケダモノとして扱うこと自体が、犯罪を誘発している
      • 実際に更生しない、理解し合えない人間も存在するが、
      • それはそれとして、異物を切り捨て(相互理解できない「殺人鬼」のような人間もいるという)受け入れ難い現実を拒むことは、
      • 世界の亀裂をより広げていくのだ
    • 作中、一番の問題となっている殺人鬼の幼児殺しの元ネタは、おそらくヴィクトル・ユーゴー『レ・ミゼラブル』の主人公を変えた事件である、改心後の謎の強盗、少年プチ・ジャルヴェからの盗み
      • その凶行の理由は最後まで不明だが、それもおそらく、悲惨な生育歴をもつがゆえの嫉妬と憎しみによるもの
      • つまり(第一巻『月の影 影の海』の愚かな巧州国の王と同じように)「殺人鬼」は、自らの(弱肉強食な)世界観と(親に愛され他人を愛することも出来る子どもという)眼の前の現実の齟齬が、許せなかったため犯行に及んだのではないだろうか?
      • それはちょうど、彼の死刑を望んだ民衆たちと同じように
      • そして『レ・ミゼラブル』が元ネタだとすれば、それはこの「殺人鬼」も条件や接し方によっては十分に更生出来たはず、という比喩なのだろう
      • それを裏付けるように、舞台となる国には前科を示す入れ墨こそあるものの、他に更生をうながす教育や訓練の類は存在しない
      • また、短期間で連続して犯罪を行った場合、普通は時と共に消えるはずの入れ墨も消えなくなり、社会参加を阻害することがひっそりと記述されている
      • 生きるための手段として犯罪しか思いつけない「殺人鬼」のような人物の場合、更生する余地が無いのだ
      • 粗暴で、人間を手段として扱う彼に何らかの障害があるかは不明だが、いずれにせよ、この国の制度は大して彼の役には立たなかったことであろう
      • ただ、作中ではそのあたりが追究されきっていないのが、少し残念なところ
        電子化×

十二人の死にたい子どもたち 冲方丁

  • 映画『十二人の怒れる男』をオマージュした作品
  • 安楽死するために集まった十二人の未成年が、納得して死ぬために投票と議論を重ねていく
  • ミステリー要素は若干冗長だが、難しい問題にしっかり向き合いつつ話をまとめあげている点は、もっと評価されるべきだと思う
    電子化○

終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか? 枯野瑛

  • 『風邪を引いたとき悪夢を見ない』『猫の鳴きまねがうまくなる』『なんとなく北の方角がわかる』
  • 最古にして最強の聖剣はそんな41の小さな願い事の寄せ集めで出来ていた。
  • 悲劇的な運命が勇者としての説得力を、すなわち呪術的強度を裏付ける。
  • 呪術観が素敵!アリュージョニスト!
    電子化○BOOKWALKERにて全巻読み放題(月額課金)

シュガーアップル・フェアリーテイル 三川みり

  • 妖精が人間の奴隷になっている世界において、銀砂糖師を目指す少女とその奴隷のイケメン戦士妖精の話(既刊18巻)
    • ラブコメと差別のファンタジー
  • 妖精は、なにかに凝縮しているエネルギーに、視線(動物でも可)が当たることで誕生する
    →『邪視』
  • アニメ化もしている
    電子化◯ BOOKWALKERの月額読み放題で三話まで読める

シュピーゲルシリーズ 冲方丁

  • 近未来の都市で重武装テロリストと戦うために四肢を機械化し武装した少年少女の物語。
  • クランチ文体と呼ばれる独特の文章で情報の洪水を叩きこんでくる。
  • ライトノベルジャンルにおいてもかなりのボリュームと内容の濃さを誇る。
  • 杖と呪文の視座補強にオススメ。
    電子化〇BOOKWALKERにて、オイレン・スプライト・テスタメントの全シリーズが読み放題(月額課金)

十万年後の銀河帝国令嬢へ 泡國桂

  • 第2回百合文芸小説コンテスト参加作品
  • 気づいたら、超未来の悪役っぽい令嬢に憑依転生していた21世紀人女性の話
  • 主人公のノリと流れるようなテンポの文章が良い
  • 出だしからは予想しにくいレベルでSF(すこしふしぎ@藤子・F・不二雄)している、宇宙貴族転生百合ライフである
  • パーティーなどのシミュレーションが出てくる
  • また、舞台となっている時代では、沼男再生に近い記憶のバックアップ利用技術が当たり前になっている
  • かなり高性能で、人格を「役」として扱うアンドロイドも出てくる
  • ただ、百合度は(表面的には)低めなのが残念なところ
    電子化◯ピクシブにて無料公開中

重力の虹 トマス・ピンチョン

  • 百科事典的な情報量と知識の洪水。長大かつ難解かつ変態、脱落する読者多数。

シュレーディンガーのチョコパフェ 山本弘

  • アイディア主体のバラエティに富んだSF短編集
  • 「シュレディンガーのチョコパフェ」
    • 世界と人間が互いを規定し合う「規格化」という人間原理の延長にある概念の話
    • イメージ通りになる世界は、理想の世界なのか?
    • あるいは、他者を許容することと、互いに認め合える伴侶を見つけられた者たちと見つけられなかった者の話
    • 世界観を共有する「オルダーセンの世界」や「夢幻潜航艇」もあり、そちらは『アリスへの決別』に収録されている
      →【邪視】、ゼオーティア?
  • 「奥歯のスイッチを入れろ」
    • 加速した世界の描写にこだわったサイボーグもの
  • 「メデューサの呪文」
    • 言語文明と強大な力を持つ言語の話
    • 言語の世界を探索し言語の海で泳ぐことが出来るインチワームたちは、イルディアンサの兎たちに似てるかも
  • 「七パーセントのテンムー」
    • 話が通じなかったりあきれるほどバカな振る舞いをする人々と、哲学的ゾンビと意識の話
      作者による解説

シュレディンガーの猫探し 小林一星

  • 神秘を守り、謎を「解き明かさない」魔女と探偵嫌いの少年の物語
    • 一種のアンチ・ミステリーではあるがきちんと「仮説」という形で推理自体はする
    • 謎は解かない(解消しない)が、問題はきちんと解決していく魔女の姿勢が爽快
    • そして魔女は、事件を元に執筆された魔導書で、さまざまな超常現象を引き起こしたりもする
    • 言わば、ミステリをローファンタジーへと変換していく作品でもあるのだ
      →『呪文』
  • 主人公の妹の特殊能力が「やよいトリップ」なあたり、わりと西尾維新リスペクト
    • ストーリーも、少し戯言シリーズの『サイコロジカル』を思わせるような内容である
  • 魔女の経歴もアを思わせるところがある
  • 呪いの話も出てくる
    電子化◯

順列都市 グレッグ・イーガン

  • 「塵理論的には永劫の未来でまた会えるよ!」の元ネタ
  • 人格をデジタルに扱えるようになった世界で人格をコピーして意識の連続性がどうとか
  • 転生や異世界そして「転生における罪の引き継ぎ」要素もあって、理論の細かい部分を読み飛ばしても楽しめる
  • 「唯我論者国家」:他者を必要としない個人から、無数の個人である国家という人格へ
    電子化○

召喚教師リアルバウトハイスクール 雑賀礼史

  • 学園モノに、格ゲーなバトルに異世界召喚、超能力、その他諸々を詰め込んだパロディ多めのライトノベル
  • 【世界槍】のような、内部に無数の並行世界を持った施設も出てくる
  • バトル要素は、終盤になるにつれ減っていき、最後は、主人公であるアラサー男性教師が帰還する話に落ち着いた
  • ちなみに、ネット連載した続編は、過剰すぎる設定とエロスのせいかエターなっている
    電子化○本編にもキャラが登場する番外編も含め、BOOKWALKERで全巻読み放題(月額課金)

小公子 フランシス・ホジソン・バーネット

  • 愛と思いやりに満ちた幼い美少年が、その好意的な解釈によって、頑固で冷酷な祖父を変えていく【邪視】と【呪文】系の話
    →レオ?
  • 貧しい民衆にも希望や独立精神があるアメリカと貴族が君臨している階層社会のイギリスが、少年を介して接触する話でもあったりする

JORGE JOESTAR 舞城王太郎

  • スーパージョジョ大戦。探偵もあるよ!
  • 過剰さによる楽しさがアリュージョニストに通じる

職業:転生トラック運転手 年齢:42歳 年収:550万 ルシエド

  • 転生者のために力を尽くしたあるトラック運転手の男、その生涯の話
  • そして、その主人である女神の話でもある
  • 複数の既存作品の元ネタがある「多重クロス」ジャンルなので、原作を知っていたほうが楽しめるが、知らなくても十分理解は可能な内容
    • 特に、『3×3 EYES』の二次創作クロスの小説は珍しい
  • 転生トラック使い
    →シナモリアキラ
    電子化◯ハーメルンにて完結済み

処刑少女の生きる道 佐藤真登

  • 処刑人と、彼女に殺されたい不死身の異能者、二人の少女の生きる道(バージンロード)
  • 異能者だけでなく、主人公の妹弟子とその好敵手も含め、百合ざんまい
  • (基本的に)才能が無い凡人の主人公が、技術と発想(と仲間の助力)で強敵に立ち向かうタイプのアクション活劇ライトノベル
  • 時間逆行の副作用で、世界に危機をもたらしてしまう
    →コルセスカの『氷結呪』
  • 異世界人を(生死問わず)加工して、マジックアイテムにする技術もある
    →外力、寄生異獣など
  • 教典型の魔導書も出てくる
  • 既刊7巻
  • アニメ化済み
    電子化◯BOOKWALKERにて、無料の先行試読版がある

小説Wizardry隣り合わせの灰と青春 ベニー松山

  • ハクスラゲー小説の基礎
    電子化○

少年八犬伝 小野 裕康

  • 超小型原爆によるテロをきっかけにディストピアと化した千葉県で、不思議なアイテム「八犬士の玉」を手に入れたことから政府と戦うことになる少年少女の物語
  • 改稿前の上下巻では、玉が宇宙の二つの遺志、まとめる力(秩序)とはじけ飛ぼうとする力(混沌)から出来ているアイテムであり、敵の持つ支配力中心の玉と同じ起源を持っていることが明示されていた
  • わりと長めの作品だが、体制側の母と反体制の父の間で揺れる主人公や異世界技術で悪魔となっている異世界人など、詰めこまれた要素や登場人物は結構魅力的
  • 元ネタの八犬伝要素は、玉と犬とリーダー格の女の子ぐらいしかないので、そこは注意
    電子化×

少年Nのいない世界シリーズ 石川宏千花

  • 〈猫殺し十三きっぷ〉とは、十三匹の猫の首の後にあるビルから落下することで、異世界へ行けるという都市伝説である
  • その都市伝説を信じる少年を止めようとして、7人の少年少女が異世界へ飛ばされてしまう
  • 彼女たちが飛ばされたのは、科学が進み、複数の惑星間を自由に行き来出来る異世界
  • そして、六年の月日が流れ、かつての子どもたちに再会の機会が訪れる
  • 何の支援も無しに異世界へ流された彼女たちは、いかにして異世界で生き抜いたのか?そして今、何を思うのか?
  • 児童文学としての色が強い『少年Nの長い長い旅』は、この物語の過去編であり、同時に刊行されているシリーズの別側面でもある(完結済み)
  • ちょっとトライデントっぽい知性体なども出てくる
    電子化◯

少年の時間 Text.blue  デュアル

  • 上遠野浩平、平山夢明などが参加しているジャンル横断的な短編集
  • 姉妹編に当たる『少女の空間 Text.red』もオススメ
  • 菅浩江『夜を駆けるドギー』:2001年の出版でありながら、現代を先取りしている作品
    • ロボット犬と死体を自称する少年と顔を知らない友達、そして選択と決断の話
  • 山田正紀『ゼリービーンズの日々』
    • アイスブルーの日には道路を右に曲がらない。ビビッドオレンジの日にはフレンチトーストを食べる。ディビーグレイの日には傘を持って出る。チタニウムホワイトの日には机のうえを整理する。ゴールデンブラウンの日にはドラゴンを退治する……
    • 【邪視】と選択と集合無意識のシャドウなドラゴンの話
      電子化×

少年ハリウッド 橋口いくよ

  • 元々は舞台であり、アニメ化もコミカライズもされており、アイドルプロジェクト「ZEN THE HOLLYWOOD」とも連動しているジャンル横断的アイドルプロジェクト
  • 個性豊かな戦隊的イケメンアイドルユニットの成長物語
  • アイドルとは何か、夢とは、夢を叶えた後に何があるのか、それらを真摯に突き詰めている
  • アニメ版は、二代目の少年ハリウッドが初代を受け継ぎ、自分たちなりの少年ハリウッドになっていくオリジナルストーリー
  • アニメでは、劇中劇をまるごとやったりもしている
    電子化◯

ショート・トリップ 森 絵都

  • 元気をもらえる,良いショートショート集
  • 主に世の中が嫌で旅に出たくなった人向けだが、それ以外も楽しめる
  • 元々中学生向けの連載のためか、やたらとあっさりしている話が多いが、短時間での気分転換にわりと役立つ
  • 最終エピソードでは、まるで転生したかのような一種の視点の転換が行われる
    電子化◯

消滅世界 村田沙耶香

  • 「性」や「性愛」の観念が大きく変わった世界で、自らの「性愛」を探し求める一人の女性の物語
  • その日本では、人工授精による出産が常識となり、夫婦間の性行為が「近親相姦」として忌み嫌われていた
  • 「性」と「性愛」と「恋」、そして「結婚」が切り離された世界によって、「常識」が相対化されるのが面白い
  • 人工子宮による男性の妊娠実験、恋愛は結婚した相手以外とするものとされる家族観、社会全体が子どもを養育し全ての成人が「親」になる社会、そして性欲と孤独や寂しさすら消えていく世界
  • それをディストピアとみるかユートピアとみるかは人によるだろうが、思考実験としてまた自らの「性」や「常識」を見つめ直すうえで重要な作品であることは間違いないであろう
  • 作品世界は、フィクションの中の登場人物=「キャラ」との恋愛が主流になりつつある世界でもあったりする
    • ただし、それはそれとしてリアル人間との恋愛やセックスもバリバリしたりするので、オタクには優しくないかもしれない
      電子化○

書物の王国

  • 株式会社国書刊行会から出ている、詩や小説などをテーマごとにまとめた選集
    • 吸血鬼、両性具有、美少年
  • 『11 分身』
    • 幻想文学の主流である分身にまつわる話が収録されている
    • ただ、この本はアンソロジーとしては後発組であり、
      • そういった話の大半は、すでに「本書自身のドッペルゲンガー」として類書も紹介しているマイケル・リチャードソン『ダブル/ダブル』に先を越されてしまっている
      • それでも、民話まで収録したこの本の内容は、それなりには充実してはいるのだが
    • 集められた話の大半は、暗くて重く、殺人や死に至るケースも多い
    • また、そのあらすじは素朴でシンプルである
    • しかしその翻訳文は格調高く、幻想の不思議さや不気味さを描くことに成功している作品も多い
      電子化×

深海カフェ 海底ニ万哩 蒼月海里

  • 読む水族館カフェ
  • 文章は固いが、大量の海の知識が分かりやすく詰め込まれていて、読みやすい
  • 異空間に存在するカフェ「海底2万哩(マイル)」には、心の海に沈んだ宝物が流れ着く
    • そこは、海底生物の美青年が案内する癒やしと再発見の場所なのだ
      →癒やしと再起の舞台としての第五階層(シナモリアキラ)
  • 食物連鎖の転生
  • 海にちなんだメニューも楽しい
    電子化◯

人外少女たちの迷宮攻略配信 赤猫柊

  • 旧題『人外少女たちの迷宮巡り』
  • ゆらぎの神話を用いた、ファンタジーバトルと友情の小説
  • アに酷似した設定も多いが、世界観などけっこう違いはあるので、ホビットとグラスランナーより別物となっている
  • 服を着る習慣を持つスライムなど、人外種族独特の文化や生態が面白い
  • さらに、呪術バトルにも力が入れられており、神をも退ける主人公の『呪文』バトルは、しっかりシャーマンしていて素晴らしい
  • 竜と猫の争いによって人類が絶滅し、人外ばかりになった世界
  • そこでは、迷宮の実況配信が人気を博していた
  • 主人公エイシャは、そんな世界で特に夢を持たないスライムだった
  • だが、そんな彼女も変わらざるを得なくなる
  • 探索者を目指していた親友が、夢を捨てようとしたその時、エイシャは決断する
  • 人外少女たちの命がけの夢と冒険が、ここに始まるのだ!
  • 現在、休載中
    電子化◯小説家になろう
    カクヨム版

神曲奏界ポリフォニカ(小説)

  • 精霊と人間が共にある世界を舞台にしたシェアード・ワールド作品
  • 榊一郎先生を中心に、大迫栄一郎先生、あざの耕平先生と実力に定評があるライトノベル作家がそれぞれシリーズを書いている
    • 登場人物などが、たまにシリーズを越えて顔を出したりするのも魅力
  • 「黒ポリ」と「赤ポリ」を同時に読むなら、ハードボイルド&ミステリーで『刑事コロンボ』ふうの「黒ポリ」から一巻ずつ並行して読むのが、交差要素を伏線として回収できて一番楽しめるかも?
  • 精霊は意志持つ力場であり、通常は不可視だが人間形態を取るものもいる
  • 人間が精霊に依頼するために必要な音楽「神曲」
  • 精霊は、人間が奏でる「神曲」を麻薬のように愛好して力に変え、一種の依存症にもなる
    →外力
  • 『サイレント・ブラック』
    • 『ロマンティック・クリムゾン』と対になり、強大な力を持つ精霊と人間、二種族の共生と利用について語っている
  • 『ウェイワード・クリムゾン』
    • 精霊力を利用した発電所などが登場
  • 『ロマンティック・クリムゾン』
  • 上位精霊は、神曲の代わりに言葉を使い、個我の境界が薄い下級の精霊を集合知性としてまとめて使役することが出来る
    • 己を中心とした集合知性ネットワーク
      電子化◯

人工知能の見る夢はAIショートショート集、人工知能学会編集

  • 人工知能学会の学会誌「人工知能」に掲載された小説を、様々なテーマごとに分類し、第一級の研究者が解説をつけたアンソロジー
  • 参加作家の層は厚めであり、新井素子や宮内悠介から若木未生や神坂一(敬称略)までバラエティ豊か
  • ショートショートなので、短い時間でさらっと読める
  • あまりオチに意外性はないが、バラエティ豊かであり、何度も読み返したくなるような味わいがある作品も多い
  • 哲学的ゾンビを主題にした作品もある
    電子化◯

腎臓!お前を人体パーティーから追放する! 春海水亭

  • 世界の破滅を救う勇者と、彼に金を貸してしまった高利貸しの話
  • 貸した側と借りた側の勢力が逆転しているコメディ・ショートショート
    →四章断章編・オルヴァ王編?非・グレンデルヒ的な資本主義的力関係?
    電子化◯

人生なんて無意味だ ヤンネ・テラー

  • 子どもたちが「人生の意味」を追求しながら、引っ込みがつかない苦境へと追い込まれてしまう話
  • デンマークでは中学の副教材に使われているらしいし、訳者あとがきも教科書的
  • しかし、内容は結構ハードで暴力や性的な内容もある
    • 捉え方によっては、いじめのような集団の暴走という【使い魔】的ホラーとして読むことも出来るくらいである
  • ニヒリズムに陥った少年が引きこもった
    • 意味なんてないという彼を否定するために、子供たちはそれぞれ自分が一番意味があると思うものを持ち寄って「意味の山」を作る
    • 意味の山は、やがて少年以外の子供たち全員にとっての意味になっていくが…………
  • 個人的な意味や価値とその流通、共有出来る価値との混同の話?
    電子化×

新世界より 貴志祐介

  • 徹底的に「平和」と安全のために作られたディストピア
  • 子鬼の悪鬼感
  • 奉仕種族
    • 外見による差別というルッキズム
      電子化◯

新本格魔法少女りすか 西尾維新

  • 主人公が異能を持たないタイプの現代異能バトル小説(全四巻)
  • 万人を幸福にするため世界征服をもくろむ男子小学生が、魔法少女とタッグを組んで魔法使いたちと戦う
    • この世界の魔法は、(ほとんど)一人一能力の異能タイプであり、後天的に魔法使いになることは出来るがその性質は術者の精神に依存する
  • 作者が、ミステリー作家にしてマニアそしてジョジョの大ファンである西尾先生であるため、バトルは謎解きと頭脳戦が中心
  • 更には「なぜ魔法少女なのか」「なぜ敵が一人ずつ襲いかかってくるのか」など、設定の謎にもしっかりと答えがある
  • 表題にもなっているりすかは、時間操作魔法で大人に変身するタイプの魔法少女
    • そして彼女が魔法を使うためにはリストカットで血を流す必要があるため、この作品は『化物語』を超えるアニメ化不可能性を誇っている
      →トリシューラ、メイファーラ
  • 作中の称号などにクトゥルフネタが入っているが、クトゥルフ神話そのものは物語に関わってはいない
  • なお、主人公は物語開始以前の事件によってりすかの血で作られた心臓で生きているのだが、そのエピソードについては、掲載誌廃刊のためか未だに語られてはいない
  • 長きにわたり絶筆状態にあったが、セルフクロスオーバーや他作品での登場人物の発言、作者が羽海野チカ先生の姿勢を見習ったなどの経緯により、連載を再開
    • 作中でも言及されているとおり、(1巻の)約17年後に最終巻が刊行、作中テーマの回収も終え、見事に完結を迎えることとなった
      (まあ、経緯についてはリアル戯言遣いな作者の言なので、その信頼性はそれなりでしかないのだが)
  • また、イラストの影響で主人公の性格が変更されている
    →外力
  • 最終話を読んだ後、第一話を読み直すと少し発見があるかも
  • 『魔法の王国』となっている長崎方言の影響で、語順が独特なりすかの方言も面白い
  • ただ、物語の語り手である主人公の邪悪なまでの尊大さやその急激な変化など、彼についてはあまり人好きがしない要素が多いのが難点かもしれない
    • その露悪な態度には、彼が(正当防衛とはいえ)多くの魔法使いを殺害している罪の自覚や「成長」というテーマなどが絡んでいるので、必然的なものではあるのだが……
      →「殺人鬼」として自己を定義するアキラくんの狂気、『シナモリアキラ(鎌鼬)
  • コミカライズもされている
  • 文庫版も出ているがイラストは無いし、第一巻の表紙イラストは、新書判の方が作中のイメージにあっているかもしれない
    • ちなみに2022年8月25日現在、文庫判およびコミカライズはまだ未完結である
      電子化◯

神託学園の超越者〈トランセンダー〉 秋堂カオル

  • 青春異能バトル学園ものライトノベル(全二巻)
  • 「世界が小説である」ことを知ってしって無気力になってしまった中二病系異能者男子が、不屈の〈無能〉女子と出会うことで変わっていくボーイ・ミーツ・ガール
  • 主人公の異能は、世界を小説として俯瞰するもの
    →『呪文』系世界観の『邪視者』
  • 登場人物たちの思考が単純で精神年齢が低いが、それが同時に、問題に真正面からぶつかる熱血展開にストーリーを絞ることにもつながっている
  • ラブコメが本格化するのは二巻であり、神の正体などについてもそちらで明かされる
  • ラッキースケベやセクハラがたまにあるので、そこは人を選ぶ
    電子化◯

侵略する少女と嘘の庭 清水 マリコ

  • 呪いと嘘と打ち捨てられたものの物語
  • 『嘘つきは妹にしておく』『君の嘘、伝説の君』に続く「嘘」三部作の最終巻
  • がらくたなんかじゃないと、脆さを知りながら幼さを庇護し続ける態度がアリュージョニスト
    電子化◯kindlunlimitedにて0円、BOOKWALKERでも月額課金読み放題で読むことが出来る

人類は衰退しました 田中ロミオ

  • 単なるメルヘンなコメディと見せかけて、実は知性と人類について追求しているSFだったりする作品
  • まったりした雰囲気の中に、ブラックジョークとパロディが冴え渡り、多様な知性体が暴れまわる
  • 夜の民の生態的に
  • 溢れかえるパロディや引用もアリュージョニスト的
  • SFだし衰退してるしたぶんサイバーパンクの一種なのではないでしょうか
  • ファンタジー的でもあるしオカルトパンク…?
  • 2巻のウィルスや8巻のARがコルセスカの浄界のアレであるし、サイバーカラテなお料理教室もやるし、共有できるVRな感じの夢世界も出てきたりする
  • 彼岸へと帰ろうとする子どもたちや逆にこちらの世界へ招かれる新しい命も描かれており、さらにそれらとの関わりが主人公の少女の成長物語ともなって、一話で二倍美味しい物語でもある
  • 本編完結後の短編集も面白いよ!
    電子化◯BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて、全巻読むことが出来る

人類補完機構シリーズ コードウェイナー・スミス

  • たぶん『鼠と竜のゲーム』が、ゆらぎの神話で「猫が竜に強い」とされる元ネタ
    • セリアック=ニアのような、猫と一体化した人間が出てくる
  • 「補完機構」の元の言葉「インストゥルメンタリティinstrumentality」の原義は「道具」「手段」そして媒介者や仲介者、すなわち「霊媒」であると言える
  • 『クラウン・タウンの死婦人』など、物語の冒頭であらかじめ先の展開が「歴史」として示されるという予言的な構造を持った作品が目立つ
  • 『スキャナーに生きがいはない』:感情の有無を、目盛りによって手動切替出来るサイボーグたちの物語
  • 『青をこころに、一、二、と数えよ』:積層加工されたネズミの脳が、人の心から仮装人格を産み出して問題を解決する
    • 物語の中の人物も出てくるし、ブサメンの犯罪者にも救いがあったりもする。
  • 『スズダル中佐の犯罪と栄光』:「猫の国」そして過去改変による援軍
  • 『アルファ・ラルファ大通り』:人類を活性化させるために、危険や失敗が解放された時代
    • 復活した冒険とその結果
      電子化◯

心霊科学捜査官シリーズ 柴田勝家

  • 心霊現象が科学で解明された時代を舞台にした、バディものオカルトミステリー
    • 方言で喋る下駄履きの民間陰陽師と、民間の霊能力を信じない堅物刑事が、現代のオカルト事件を追う
    • 主題は「人の思い」にあるため、恐怖演出は少なめな作品
    • 代わりに作者が専攻している民間呪術のウンチクは、たっぷりある
  • この作品における心霊現象は、あくまで「霊子」という物質とそれが生物が殺される際に変化した《怨素》によって発生する残留物質の反応に過ぎない
    • しかし、人はそこから死者の思いを読み取るのだ
      →死者の代弁者
  • 『ゴーストケース』:地下アイドルの話
    • 地下アイドルと宗教儀式の類似性が指摘される
    • アイドルという幻想
      →四章地下アイドル迷宮
  • 『ファントムレイヤー』:女子校でゲームアプリの呪いを追う話
    電子化◯

スカイクロラ 森博嗣

  • アリュージョニスト読者に勧める、トライアルアンドエラーの転生者の話
  • 押井版アニメもあるが、そちらとはストーリーやキャラの性格は結構異なる
    電子化◯

スキップ 北村薫

  • 女子高生が、未来にタイムリープしてしまった話
  • ある日「時間に置き去りにされてしまった」ことに気づいた中年女性の話であり、青春の話
  • また若さと自尊心、そして、出来ることとやるべきことの話でもある
  • 大量の引用と、現代では通じない引喩によって演出されるジェネレーションギャップ
  • 主人公は、ある意味で異世界転生者(グロソラリア)だといえる
  • 「時と人」三部作の一作目
    電子化×

スキルテイカーとチート売りの魔女 鰤/牙

  • 才能の外付けと幸福の物語
  • あるいは、ダークヒーローにすら成りそこねたある男と幼馴染の、なんてことのないささいなお話
    小説家になろう
    電子化○

スクラップド・プリンセス 榊一郎

  • おっとり系の姉と主夫系の兄、そして子猫系の妹が織りなす兄弟愛ファンタジー(途中からSF要素がガッツリ入ってくる)
  • プログラム風の魔法やしっかりした世界観、そして多様なキャラクターが織りなす楽しい掛け合いが魅力
  • 人類のフランケンシュタイン・コンプレックスのせいで、人間の主人を必要とするように創られたロボット少女(詳細は外伝参照)などロボなキャラも出てくる
  • 【仮想使い魔】の元ネタのような魔法もある
  • 2巻には、人類補完計画的な融合や「絶対に揺らがない絆」の存在を否定している箇所がある
    電子化◯BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて、外伝『サプリメント』シリーズも含めて全巻読むことが出来る

鈴波アミを待っています 塗田 一帆

  • 突然謎の失踪を遂げたVtuberと、そのオタクの物語
  • ジャンプ小説新人賞2020テーマ部門《金賞》を受賞した作品の長編版
  • コロナ禍に突入した時期を背景として、バーチャル界隈の楽しさや問題点をつめこみつつ、しっかりとエンタメに昇華している
  • 憧れからの模倣によって変身した、アイドル的な存在
  • 振る舞いの力
  • ちなみに、表紙イラストを描いているイラストレーターも、Vtuberのキャラクターデザインで有名で自身もVtuberもやっている「しぐれうい」氏
  • 短編版は、『少年ジャンプ+』誌上で漫画化されている
    電子化◯

涼宮ハルヒの憂鬱 谷川流

  • 第3章 特権者のヒロイック・シンドローム、さもなくばアズーリア・ヘレゼクシュの憂鬱
  • ハルヒにおいては未来人、宇宙人、超能力者、異世界人の中で異世界人だけがいない
  • ゼオーティアにおいて宇宙人の存在は否定されているが……?
  • 後に『驚愕』にて異世界人との遭遇が実現したが、それは本来交わることがないはずの平行世界の住人であった
    →シナモリ・アキラとアズーリア
  • 『暴走』に収録されている「エンドレスエイト」では、特定の条件を満たす(ハルヒが納得する)まで、ループを続ける終わらない夏休みが描かれた
  • そして律儀にもアニメ版でも8回映像化され、悪い意味で伝説となった
    →アズーリアやルウテトのタイムリープ
    電子化◯『驚愕』まで、BOOKWALKERの読み放題(月額課金)

スタートボタンを押してください D・H・ウィルソン&J・J・アダムズ編

  • ゲームやゲーム的な世界観を描いた短編集『Press Start to Play』から、十二編を厳選して翻訳した短編集
  • 介護とVRゲームの関わりを描いた「猫の王権」無敵の人が出てくる「リスポーン」ゲーム的な世界への変化を描く「救助よろ」あたりがアと関係ある
    電子化◯

スターメイカー オラフ・ステプールドン

  • 幽体離脱して精神生命体になり、宇宙の創造者の意図を見極めにいく思索系の話
  • 宇宙の創造者(=神)の意図は、はたして善なるものなのだろうか?
  • 二種族の「人類」が共生して文明を築いた星や植物人類、ヒトデ型人類など様々な人類の文明の興亡が描かれている
  • 第二次大戦直前に書かれただけあって、善悪のコミュニティ同士が戦うイメージには、迫真的なものがある
  • (ただ、この作者は祖国であるイギリスを善代表だと思おうとしているが、もう現代では、誰もそれを素直に信じることはないだろう)
    電子化×

スティーヴ・フィーヴァー ポストヒューマンSF傑作選 山岸真

  • Fマガジン創刊50周年記念アンソロジーの一つ、未来、正確には「テクノロジーによって変容した人類の姿」を描いたSFの傑作選
  • 悲劇や暗い話も多いが、喜びや希望がないわけではない
  • 表題作や、記憶と人格を複写した記録の話「ウェディング・アルバム」ニセモノだらけの村「グリーンのクリーム」がアと特に関連性が関係ある
    電子化×

捨てられた聖女はダンジョンで覚醒しました 真の聖女? いいえモンスター料理愛好家です!  朝月 アサ

  • 悪役令嬢版『ダンジョン飯』
  • あらゆる部分が未熟かつテンプレの域を出ないが、
    • さすがに、物語のなかで最重要な部分であるラブストーリーや主人公の成長、そしてご飯の美味しさやダンジョン攻略の緊張感は、
    • それなりのパワーや魅力があるのが良い
  • ただ、追放ものとしてのお約束などストーリー上の課題はすべて一巻で済ませてしまっていて、
    • 二巻は外伝に近くなってしまっていたりもする
  • また戦闘はあまりにあっさりしすぎていて、苦戦を演出するのか無双させたいのかはっきりしていないところがある
  • 過去の世界の再現であるダンジョン
    世界槍
  • セリフから推測するに、敵勢力は主人公たち人間と女神に世界やその素材となった巨人を奪われた側らしい
    →世界槍の奪い合い、「5-27 舞台裏の死角⑤」であった『旧世界』の話?
    電子化◯
    小説家になろう版も無料で公開中

ストライク・ザ・ブラッド 三雲岳斗

  • ヒロインへの吸血によって扱える『使い魔』を増やしていく、使い魔系吸血鬼ライトノベル
  • 魔術やオカルト絡みのトラブルが山ほど起きる
    電子化○19巻までBOOKWALKERにて読み放題(月額課金)

すばらしい新世界 オルダス・ハクスリー

  • ディストピアSFの古典であり、タイトルは皮肉によるもの
  • 安定最重視の技術官僚社会では、人びとは階級によってしっかりと分断されており、その境界を崩さないように生まれながらに洗脳を施されていた
    →順正化処理
  • ほとんどの人が問題を感じていないディストピア(けれど老いも苦悩もない)で、それでもそれに逆らい苦痛と苦悩を求める蛮人
  • 宗教が廃止され、代わりに大量生産とそのシステムの代表者であるヘンリー・フォードが崇められている
    電子化○

スペルシンガー・サーガ アラン・ディーン・フォスター

  • 音楽が魔法になる【呪文】の魔法、スペルシンガーの力を得た青年が冒険を繰り広げる、ユーモアファンタジー
  • 共産主義に染まった住人が登場する、珍しいファンタジーでもある
    電子化×

砂男 エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン

  • コッペリアの原作というか元ネタというかそういうの
  • ミヒトネッセが砂茶な理由?
  • 人間と人形、そして視座の話
    電子化◯光文社版ならkindle unlimitedにて0円

スノウ・クラッシュ ニール・スティーヴンスン

  • 「4-46 オルヴァ王と十二人のシナモリアキラ0」でルリが発した「アキラ・シナモリ・プロタゴニスト」の元ネタ
  • 主人公はヒロ・プロタゴニスト。ドレッドヘアの日本人。世界最後のハッカー、世界最高の剣士、誇り高きピザ配達人(作中世界のアメリカで、ピザ配達人は最も名誉ある職業)。
  • 近未来与太話に神話与太話が悪魔合体する。古代シュメールでは、法・技術・人心をプログラミングする言語が存在した、とか。
  • 「舌がかり」(ゼノグラシア)も出てくる
    →【絶対言語】
    電子化×

スマイル アンド ゴー! 五十嵐貴久

  • 東日本大震災の被災地、宮城県気仙沼から勢いで結成されたアイドルグループの物語であり、実話を元にしたフィクション
  • 原題は『気仙沼ミラクルガール』
  • 元ネタは、現在も活動を続けている「SCKGIRLS」だが、内容はほぼ架空のものである
  • 二人の主人公、引きこもり少女と巻き込まれた出戻り・元ミュージシャンの視点を交互に行き来する構成
    • そうして二人の視点から読み勧めていくうちに、第三の主人公の存在が浮かび上がってくるという仕掛けとなっている
  • また、選択と責任の話でもある
    電子化◯

住めば都のコスモス荘 阿智太郎

  • 主人公が保育士志望の少年であるという、異色の変身ヒーローコメディ
  • 契約金に目がくらんだ主人公は、銀河連邦警察にパワードスーツを制式採用してもらうための最終審査コンペにうっかり参加、ヒーローとして戦うハメになってしまう
  • 変身前後で立場や好感度が変わる人間関係があったり、お約束が楽しい
  • 主人公のパワードスーツ「ドッコイダー」には、特殊な音波(α波デュエットミュージック/可聴域を超えた音波の麻薬。依存性はない)で装着者の恐怖心や躊躇を吹き飛ばすシステムがついている
    →感情制御
  • 全4巻+外伝2巻
    電子化◯BOOKWALKERWALKERにて本編読み放題(月額課金)

スワロウテイル人工少女販売処シリーズ 籐真千歳

  • 揚羽の格好が店員さんの元ネタっぽい。
  • 揚羽/真白はブルーで双子で相補
  • 宣名
  • がらくた
  • 群青司祭の年をとるほど幼くなるのとか
  • ナノマシン群体ヒューマノイドである人工妖精自体がスキリシア=エフェクの夜の民っぽい
    電子化◯

スレイヤーズシリーズ 神坂一

  • 凄腕だが、貧乳でワガママで強欲、悪人に人権を認めない天才少女魔道士が、様々な変人と繰り広げる冒険ファンタジー
  • 作中で魔族が一柱滅ぼされたため、その魔族の力が使えなくなった
    →たぶん三章の「ペレケテヌル神働術使用不能事件」(3-8、ミルーニャ救出の副産物)の元ネタ
  • 装着者を喰らうキメラの鎧ザナッファー、その完全版である魔律装甲 ( ゼナファアーマー ) 、剣にして魔族のドゥールゴーファ、そして光の剣(烈光の剣/ゴルンノヴァ)など能力をブースト出来る道具型の生物?がわりと多い
  • オリジナルの背中を追い続けたゆえに、オリジナルを超えられなかったコピー・レゾなど、悪役や脇役も結構味がある
  • 2018年10月20日に、18年ぶりの長編最新刊が発売された
    電子化◯1stシーズン的な15巻までBOOKWALKERにて読み放題(月額課金)
    さらに、2023年7月29日現在、最新刊まで読み放題で開放されている

青春ブタ野郎シリーズ 鴨志田一

  • 暴走する超能力のような病「思春期症候群」によって、表現される若者の苦悩と青春と恋の物語
  • 「思春期症候群」にはSF的な理屈付けがされ、シュレーディンガーのネコの話も出てくる
  • マゾヒスト的な行動を繰り返し、青春真っ盛りに暴走する「青春ブタ野郎」
    →シナモリアキラ?
  • 矛盾する思いがもたらす、相対的な時間減速と加速
  • 未来視
    • 未来視による、他の未来視能力者なども含んだ未来のシミュレーション
    • 擬似的な過去改変
      電子化◯

聖魔女たち 北原樹

  • 想像を実現させる【邪視】的な超能力を得た思春期の少女たちを描いている、中学生以上向けの短編集
  • 幼なじみの少女を少年騎士に変身させて自分はその従者となる、魔法の呪文で嫌いなものを消す、片思いの相手の身体を変化させる、念じたとおりに人を操る・・・少女たちの能力は強力であり、自分でも制御できなくなったりする
  • ストーリーは単純で文章もすごく上手いわけではないが、思春期の鬱屈の描写と、なにより自分に誠実で気さくな登場人物たちが良い作品である
  • 姫を放っておいて悪竜と仲良くなったり、シングルマザーに「良い子」を押しつけられた不満を「消す呪文」で解消しようとした少女が、その呪文の本来の正体を知って救われたりと、オチも良い
    電子化×
    絶版

星魔バスター 丘野ゆうじ

  • 異星からの転生者が、善の精神生命体に呼び出されて悪の侵略者と戦う、異能バトルなライトノベル
  • ストーリーはシンプルだし、エログロ要素もあるが、素朴な感じに面白い
  • 他の星で敗れた転生者の力のかけらを求めて両勢力がぶつかり合う展開や、ヤクザに堕ちたプロレスラーが少しだけ活躍する展開などもある
  • 絶版だが中古はまだ出回っている模様
    電子化×

精霊がいっぱい! ハリイ・タートルダヴ

  • 原題は『The Case of the Toxic Spell Dump』
  • 内容を踏まえて訳すなら『魔法文明の見えざる疑惑!?電話と書類で環境問題と戦う公務員ライトSF!』といったところ
  • 環境保全局に勤める主人公デイヴが、魔法処理場の廃棄物問題に絡んだ事件に巻き込まれる、お役所捜査・マジックパンクファンタジー(上下巻)である
  • 主人公が、一般的な宗教加護(ユダヤ教)しか持たず、戦闘も不得手な公務員である物語は、かなりレアかもしれない
    • それでも彼は、しっかり交渉を繰り返して活躍出来るのである
  • 表紙裏には「ユーモア・ファンタジイ」とか書かれているが、その実態は起きる事件はわりとハードな「改変歴史ものSF」である(ユーモアはけっこうある)
  • 空飛ぶ絨毯や避妊用の酒など、出てくる道具はほぼ科学文明の代用品ではあるが、
    • その背景には、伝染の法則(感染呪術)や類似の法則(類感呪術)などちゃんと魔法的な原理が存在するし、
    • クローゼットからショットガンの代わりに爆破杖が出てきたり、封印や結界が一般的に普及していたりと技術体系はかなりしっかりしている
  • 特に、クローン小鬼を使った電話などの製品は、(魔法的な)ハッキングに対抗できる一種のAIとしても機能しているのが面白い
  • また、この魔法世界ではカトリックをはじめ多数の宗教が存在しており、
    • 「信仰が力になる」という魔法の基本原理によって多様な効果を便利に扱われて、大抵は互いに上手く共存している(「あの世」/異界に関する技術などたまに他の信仰と衝突はするようだが)
    • これに関連して、主人公が(あまり敬虔ではない)ユダヤ教徒である設定も、十分活かされており、
    • 非キリスト教徒的な観点からの批判や評価だけでなく、宗教由来のユニークなパワーとしても武器となっている
  • そして、この作品世界では、神の扱いも独特であり、
    • 信仰を失った神は消滅するが、それは環境(魔法環境/セコロジー)問題の一種、生態系の危機として捉えられている
    • そして、人類にとってその神の権能が有用だと認められれば、その神は「保護」され、儀式や信仰などを〈救世軍〉などの資金で維持されることも可能なのである
  • 読む際の注意点としては、上巻表紙の女精霊がセクシー過ぎるので、公共交通機関などで読む場合はブックカバーの装着を推奨したいところ
  • また、主人公が恋人とかなりラブラブなところは、少し読者を選ぶかもしれない
  • 更に、環境問題を扱ってはいるが、どちらかというと文明の進歩などを肯定するところがあるので、
    • ポリコレ原理主義派にとっては、嫌いな作品となってしまうかもしれない
  • 魔法の基本原理では、誰かが何かを信じれば、それはその人間にとって真実
    →『邪視』
  • 作品世界では、先天性の異常に吸血鬼や狼憑きだけでなく、アプシュキアと呼ばれる「魂が存在しない」障害が存在する
    • アプシュキアでも芸術家や魔術師にはなれるが、死後は天国にも地獄にも行くことが出来ないという
      →哲学的ゾンビなど?
  • この作品の設定のアイディアは、世界ファンタジイ大会での発言をはじめ、多くの人に依っているという
    →外力
    電子化×

精霊の木 上橋菜穂子

  • 迫害された先住民文化と、魂の復活の話
  • 人類が移住した星の少女が、滅びたはずの先住民の超能力に覚醒したために、政府に追われることになる
  • 宗教や文化だけでなく、普通の人びとが、一般人でも可能な知恵と工夫で政府と戦うところもあって面白い
  • 著者の処女作であるため、色々後の作品とスタンスが違うがSFアドベンチャー物に慣れている人なら、こちらの方が楽しめるかも
    電子化◯

生徒会の一存 葵せきな

  • ハーレムによる「誰も不幸にならない」状態を目指す主人公と、それを受け入れるメンバー
  • 小説自体が、登場人物によって執筆され、検閲編集を受けているというメタな部分もある
  • 『ひぐらしのなく頃に』の影響を受けていて、さまざまなアニメのパロディが多い
    電子化◯BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて、全巻読むことが出来る

セイバーマリオネットJ あかほりさとる

  • 男しか居ない惑星に、女性を復活させるために現れた「心を持った女性型アンドロイド」の話
  • コピーとオリジナル、そして機械女性と人間の男女の三角関係の話でもある
    電子化○

世界は愛を救わない 海老名龍人

  • 「グリッチ」と呼ばれるささいな超能力を持つ高校生たちが、その能力で自分たちの世界を変えようとする話
    • 実質的には、技術による心の改変を行うかどうか、という決断の物語である
      →『E・E』
  • 殘念ながら、一般的な意味での「世界征服」は行わない
  • また、扱われるテーマの重大性に反し、作者の文章力が追いついていなかったり、淡々とした文体が少しミスマッチなのも殘念
  • しかしそれでも、きちんとその重大なテーマに向き合っている点や、それを物語に昇華させている点は評価されるべきであろう
  • 作中では、ポリコレに反した言動も多く見られはするが、これはある意味何より「政治的に正しい」ストーリーであり、
    • リアルな「多様性」や「寛容」について描いている(XやLGBT問題で良く議論される異質性も話題に出てくる)
    • そこもまた、この小説のまぎれもない美点であろう
  • その他のア関連要素
    • 「仲間」の切り分け。同類に思えた間柄のそれぞれの違い
      →『使い魔』
      電子化◯

瀬川くんはゲームだけしていたい。  中谷栄太

  • 全てをゲームで考えるゲームオタクの高校生が、変な美少女たちにからまれる学園コメディ
  • ラブコメ要素もあるが、基本的にはゲームオタクたちが友情を深めたり一緒に遊ぶ話である
    コルセスカ
  • 惜しむらくは、ゲーム要素もラブコメ要素もあまりインパクトや魅力を打ち出せていないこと
  • 出来事や設定に意外性はややあるが、それほど重大な危機や悩みがあるわけでもなく、全体的にパワー不足は否めない
    電子化◯

Self Reference Engine 円城塔

  • 自己消失オートマトン、未来から過去への弾丸、Self Différance Engineなどこれからの引用が多い
    電子化○

星界の紋章/戦旗/断章 森岡浩之

  • ボーイミーツガールスペースオペラ 最近先生も活動報告で非常に面白いと一押し。読んで損なし。
  • アールヴのアーヴ感。(妖精がエルフではなくアールヴなのは、一因としてこの作品に登場する種族アーヴに語感を似せたため)ついでにアーブは作中で勢力によっては人間ではなく生体機械とみなされている。
  • 緻密な世界観と森岡節と言われるアイロニカルな皮肉の応酬の会話が売り
    電子化△(断章が×)

聖剣使いの禁呪詠唱 あわむら赤光

  • 転生モノで主人公がコキュートスとか言ってるしコルセスカの前世の一つでは(違う)
  • 厨二。コテコテの厨二。陳腐化した、当たり前のことが当たり前に起こる展開。でも、だからこそ当たり前に格好いい!
  • 「思い…出した!」で、二つある前世の記憶を想起することによってパワーアップする主人公は、ちょっとルウテトっぽいかも
    電子化○

セーブ&ロードのできる宿屋さん ~カンスト転生者が宿屋で新人育成を始めたようです~  稲荷竜

  • セーブポイントを出せる引退冒険者が、宿泊客を過酷な修行で鍛えることで、その非常識なやり方を客に驚かれるタイプの俺SUGEE(全4巻)
    • 主人公には裏の顔もあり、セーブ能力を使って過去の精算のついでに悪をこらしめていたりもする
    • 自分以外を死に戻りさせられる能力は、少し珍しい
      サリア コルセスカ
  • 宿なので、醤油ラーメンを出したりしてクリエイト系のSUGEEもいちおうやる
    電子化◯

世界の死角-Blind spots in the world- 篝帆桜

  • 不思議な世界を旅しながら、思索によって生きる意味を探る幻想小説
    • SF的なユートピア/ディストピア都市も登場するが、基本的には主人公の自問自答がメイン
    • 主人公の名前が明かされないこともあり、イギリスの道徳劇『エブリマン』のような寓話的なストーリー
    • つまり、あらゆる人間に通じるような、普遍的なテーマを描こうとしている話であるように思える
  • 世界の中心のような縦長建造物=世界軸も出てくる
    →世界槍
    電子化◯カクヨムにて完結済み

世界を愛するランダム・ウォーカー 西 条陽

  • おっとりした男性の後輩と小柄でパワフルな女性の先輩の二人が、世界各地を調べて回る連作短編
  • 『キノの旅』などとの大きな違いは、主人公たちが他より文明が発達した天空国家の配下であること
  • 描写力もオチもまだ発展途上な感じだが、様々な国や状況が描かれていて楽しい作品
  • ア読者には、特に「ビート侍」編がオススメ
    2023年7月29日現在、カクヨムで試し読みが出来る
    電子化◯第一巻のみ◯BOOKWALKERの読み放題(月額課金)

世界征服~白いケイトと真夏のベルビアージェ~ 木村航

  • 邪視者の身体乗っ取り話
    電子化×

世界の中心、針山さんシリーズ 成田良悟

  • ごく普通の凡人を中心として、さまざまな非日常の集団が集まってくるオムニバス系ストーリー
  • 「非日常」の文脈に対抗できる、「日常」の人びと
    →呪術の媒介としてのシナモリアキラ?
  • 【邪視】な妄想に取り憑かれている人物もわりといたりする
    電子化◯BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて、全巻読むことが出来る

絶望的エロゲ世界を救え!日曜朝ヒーロー!気弱女神!エロゲオタク! ルシエド

  • 戦隊ヒーローが、その熱烈なファンである女神の依頼を受け、逆境でしかない同人陵辱エロゲRPGの世界で戦う話
  • あるいは、ニチアサ戦隊由来の『模倣子』(ミーム)が、エロゲ世界を侵食する『呪文』の物語と言ってもいいかもしれない
    • 戦隊の怪人は元々みんなチートなので、それに勝ち抜いてきたヒーローの実力も折り紙付きである
  • だがしかし、子供向け番組のヒーローは、あまりに純情かつ真面目すぎた
  • 陵辱エロゲ世界は、そんな真面目な善人ほど食い物にされる邪悪世界
    • しかも、すでに管理していた女神は倒され、上位世界『現実』まで逆侵攻によって滅んでいる
  • 果たして彼は、こんな世界を救うことが出来るのか?
  • ※ちなみに、彼の武器は、イタリア語で技名を発声する銃で(変形して剣にもなりま)す
  • 特撮ヒーロー、神の視点でサポートする女神、アドバイザーのエロゲオタクの情報支援の三位一体・外力戦闘法
    →サイバーカラテ?
  • なお、この作品は、同作者の『職業:転生トラック運転手 年齢:42歳 年収:550万』と世界観を共有しているようなので、そちらを知っていると少しニヤリと出来るかもしれない
  • それから、全年齢向けなので、その点はご了承下さい
    電子化◯ハーメルンにて完結済み
  • また、大幅加筆されて、カクヨムでリメイク新連載もされている>カクヨム>えっちなゲームのヒロインちゃんと日曜朝ヒーローさん、とポンコツ女神様、とD○siteを極めたオタク君

ゼロの使い魔 ヤマグチノボル

  • 異世界! 召喚! 使い魔!
  • 召喚に主人公である必然性が無いように思われたため、設定を流用した二次創作が大量に作られ
    • この作品の二次創作SSから、異世界転生ものが生まれていったと言っても過言でもないくらい大流行した
  • 使い魔として召喚された主人公が、犬扱いされる
  • 作者は死去したが、生前に選任された代筆者によって完結している
    電子化◯BOOKWALKERの読み放題(月額課金)にて、全巻読むことが出来る

千里眼シリーズ 松岡 圭祐

  • スーパーヒロインがひたすら活躍する、トンデモ催眠アクション小説
  • 【杖】よりの【呪文】によって繰り出されるそのストーリーは、荒唐無稽にして気宇壮大
  • 版ごとにこまめに修正されているようなので、そこだけ注意
  • 主人公とその師の擬似的な母子関係
    →ルウテトとラクルラール
  • 『千里眼 運命の暗示』
  • 「気功」という「かたち」を用いた心身操作
    →肉体言語魔術
    電子化◯

1984年 ジョージ・オーウェル

  • 選択肢無きディストピアの古典
  • この小説の時代における過去は真理省が作るものであり、いくらでも改変可能である

戦闘破壊学園ダンゲロス  架神恭介

  • ゆらぎの神話的シェアードワールドから生まれた商業作品。
  • 邪視的手法で獲得した能力を持つ魔人達が杖の論理で能力バトルするよ。
  • 続編の飛行迷宮学園ダンゲロスでは文脈操作能力の持ち主も出てくる
    電子化◯

戦闘城塞マスラヲ 林トモアキ

  • 目付きの悪さから就活に失敗し、自殺を考えていたヒキコモリが、電子ウィルス美少女精霊と共に、世界の支配者の座をかけたなんでもありのトーナメントに出場する話(全五巻)
  • ハッタリで勝ち抜いていく勘違い系ストーリー
  • だが、ハッタリだけでそうそう上手くいくわけもなく……
  • 未来視の魔眼(偽)
    • しかし、あるいはそれこそが……
  • 「天界クロニクル」シリーズの一つであり、『ばいおれんす☆まじかる!』、『お・り・が・み』に続く三作目
    • ただし、『ばいおれんす☆まじかる!』は未完であるし、
    • 前作までを読んでいなくても、ストーリーの理解には基本的に問題はない
  • また、最高位の魔人「アウター」(外なるもの)も登場するし、
    • あらゆる魔物の元ネタ的な存在の暗黒神も登場する
      電子化◯BOOKWALKERにて読み放題(月額課金)

蒼穹のアトラス フランソワ・プラス

  • アルファベット26文字にちなんだ、風土記ファンタジー短編集(全3巻)
  • 架空の島オルベが作った地誌の一冊、という様式でつづられている
  • 絵本形式だが、文章のほうが多いし、内容も基本的には子供向けではないので注意
  • 話自体は淡々と進むのであまり面白くはないが、色鮮やかに描かれた独自の文化や宗教、生物や風俗は美しい
    電子化×

双血の墓碑銘 昏式龍也

  • 幕末吸血鬼異能バトル・ライトノベル(全三巻)
  • 新選組などの有名人、可愛くて銃使いのヒロインなど、魅力的な要素をきっちりまとめあげている
  • 特に、異能《墓碑銘》(エピタフ)が信念を基にしているゆえに、しっかりと戦うキャラクターの矜持や心情が描かれているのが良い
    • 不死なる者が己が死を知るという矛盾
    • 死を乗り越え生きる決意を持った者だけが、自分の魂に刻まれた真理を知り、二百年を超えて生きる力と異能を得ることが出来る
  • なお、作者は、lightのアダルトゲーム『Vermilion -Bind of blood-』で吸血鬼モノの書き手として、著名なゲームシナリオライターである
  • 吸血を通じた記憶の取り込み
  • 血族の上位者に反逆可能な性質を持ち、それゆえに利用もされている「ユダの血族」
  • 義手をあらゆる武器に変化させる「鉄腕ゲッツ」
  • 代演を己がアイデンティティとする人物も出てくる
  • 血液を固体化し、通貨や税金として使用可能な《血晶》
  • 人工(吸血鬼工)的な吸血鬼?
  • 神を再び作り出そうという計画
  • 血族ではなく、国という人工的な概念でまとまっている国民国家の米国
    • 血族を捨てた吸血鬼たちの国
      電子化◯

双神のエルヴィナ 水沢夢

  • そうしんのエルヴィナ
  • 女神ラブコメディで、バトルローファンタジーなライトノベル(既刊3巻)
  • 作者は『俺、ツインテールになります。』で有名
  • 女神に初恋した大金持ちの御曹司(12歳)の主人公が、武闘派最強の女神と命を共有し、
    • 共に他の女神たちと戦うことになる話
  • そして再会したメインヒロインは、性格が全く違う破壊神だった
    • 果たして本当に彼女は、主人公の初恋の相手なのだろうか!?
  • 見つめ合うことで互いに視界を同じ金色に統一して「合体」技を発動、巨大ロボになって戦う『聖婚』的な技もある
  • 人間の心のエネルギー(「やる気)を人工的に作り出して活用する、巨大な塔も建設されている
  • こじつけや思い込みを実現させる、『邪視』的な固有能力持ちの武器も出てくる
  • 女神たちのノリが色々とヤバい
  • また、女神は独特の異文化を持つ蛮族、もとい支配階級種族であり、そんな彼女たちとの相互理解もテーマのひとつ……なのかもしれない
    • (本来は、無数にある人間界と女神たちは共存共栄の関係にあるようだが、それは裏を返せば植民地的な支配と搾取にも成り得るようだ)
  • 会話のやりとりは軽妙で、多種多様な引喩が用いられてることで、コメディ色を更に増強している
    電子化◯

走馬灯のセトリは考えておいて 柴田勝家

  • 「生と死」「現実と仮想」「信仰と棄教」の3つの境界の中で惑う、全六編のSF短編集(巻末の解説参考)
  • 日常の延長として入り込みやすく、どこか穏やかで心に寄り添うような、少し不思議(SF)でさわやかな物語が集まっている
    • ゲーム化した伝統行事を通して、コロナ禍における人々の関わりに迫った「オンライン福男」
    • 信仰と質量そして『忘却』についての『邪視』系の話「クランツマンの秘仏」
    • 宗教を寄生(共生)虫として、機械人類の目から語られる宗教史「火星環境下における宗教性原虫の適応と分布」
    • 人類の絶滅後、日本人を演じながら暮らしている宇宙人たちが考察する「本物」の話と、その日常「絶滅の作法」
    • そして、記録から死者を再現する「ライフキャスト」業者の主人公が、バーチャルアイドルの再現を介して己や魂の存在に向き合う表題作と
  • どれも面白く、アとも関係ある話ばかり
  • 転生などの要素もある
  • 著者は、第2回ハヤカワSFコンテストの大賞を受賞し、デビューしている
  • 小説家でありVtuberの届木ウカの解説も、必見
  • 著者の作品には他にも心霊科学捜査官シリーズもある
    電子化◯

ソードアート・オンライン クローバーズリグレットシリーズ 渡瀬草一朗

  • 公式二次創作な外伝(全三巻)
  • 『空ノ鐘の響く惑星で』や『陰陽の京』の作者が、和風VRMMOを舞台に魅力的なキャラクターたちによる謎解きと冒険を描いている
  • 本編に登場した人物や事件とのつながりもあるし、バラエティ豊かなあやかし小路のお店も面白い
  • 外見が幼い社会人とグラマラスな女子高生の百合っぽい関係もあるよ!
  • 『杖』的手法による死者との向き合い方
    電子化○BOOKWALKARにて全巻読み放題(月額)

ソードアート・オンライン プログレッシブ 川原礫

  • 本編で省略された「ダンジョンをひたすら登る」部分をもう一度語り直している外伝
    →世界槍
    電子化◯

ソード・ワールド2.0 剣をつぐもの 北沢慶

  • TRPG『ソード・ワールド2.0』の世界を舞台にした、少年の冒険物語
  • 良くも悪くもスタンダードな内容であり、ボーイ・ミーツ・ガール、ラブコメ、友情、謎を抱えた仲間など一通りの要素が揃っている
  • 残念ながら、作者の既存作ほど主人公は「過剰なダメージを負いながら戦う」ことはない
  • しかし、登場人物やその戦略の設定はしっかり描写されており、どのキャラもそれなりに活躍している
  • また、持ち主に強大な力や特殊な能力を与える代わりに、「穢れ」などの悪影響をもたらす魔剣がたくさん出てくる
    →外力
  • 転生要素や因縁の戦いもある
  • ただ、あとがきは地雷要素の一つとされる「登場人物と作者との会話」なので、それが苦手な人はあとがきは読まない方が良いだろう
    電子化◯ BOOKSWALKERにて全四巻が月額課金で読み放題

増補 夢の遠近法 山尾悠子

  • ひたすら美しい幻想小説なのだが、その美しさが精巧な時計細工を覗いた時の感嘆に近い。
  • つまりサイバネティクスとオカルティズムのマリアージュ的文章と言える!たぶん!
    電子化◯

そしてぼくらは仲間になった 小嶋陽太郎 髙森美由紀 福島直浩 虹山つるみ 向山湘吾

  • 児童文学の名作『ズッコケ三人組シリーズ』にならい、若い作家たちがそれぞれの三人組のストーリーを描いたアンソロジー
  • 他のクラスメイトから浮きがちな男女三人が祭りの晩に偶然名チームとなる話や、三人目の仲間がVRゲームロボットの話もある
  • どのチームにもリーダー格がおらず対等な関係となっていたり、はぐれ者の集まりが多いのも特徴
    電子化×

ソフィーの世界 ヨースタイン・ゴルデル

  • 鏡映しの二人の少女
  • 上位世界の作者に、反逆する下位世界人
    →どちらかというとアリスピ
    電子化×

空色パンデミック 本田 誠

  • セカイ系をモチーフとしたボーイ・ミーツ・ガールの直球ラブストーリー
  • 妄想が暴走する病「空想病」の危険を防ぐために、世間公認で厨二病即興劇がくり広げられる世界
  • 妄想にとらわれてしまう【邪視】の病に即興の【呪文】で設定を追加する邪気眼バトル
    →どちらかというと『アリス・イン・カレイドスピア』
  • 他者を共通の空想に巻き込む(邪視)ヒロイン。ついでにサブカル趣味。
  • そのヒロインが主人公(異なる視座)と出会って天地創造型(神)になるあたりがアリュージョニスト。
  • 劇中劇の「脳や心臓が無くても動けるリビングデッド少女」が、【再生者】や骨組みの花のマリーっぽいし良い味出してる
  • トライデントッぽい人類の精神統合(インテグレーション)の概念とか、憑依型転生っぽい記憶と精神の継承も出てくる
  • 主人公が、現実と空想の混同に悩むあたり『涼宮ハルヒシリーズ』のオマージュであり、一つのアンサーなのかもしれない。
    電子化△(漫画版のみ)

ソリッドファイター 古橋秀之

  • 好きな技とパーツを選んで自分だけのバー○ャキャラをつくろう!
  • 復刊ドットコムにて復刊投票受付中
    電子化×

それでも異能兵器はラブコメがしたい カミツキレイニー

  • 「月をかじる」ほどの強大な超能力に目覚めてしまったヒロインと、彼女の願いを叶えてラブコメしようと頑張る男の子の話
  • 大国がそれぞれ超能力者を兵器として保持していたりと、基本設定は古典的だが、
    • 主人公が、ヒロインの心境をツ◯ッターから読み取ったり、超能力を増幅するドローンがあったりと道具立てはわりと現代的
    • 更には、主人公自身もナノマシン移植手術で、一時的に不死身の超人になったりもする
      →外力
  • バトル描写も心情描写もしっかりしていて、ストーリーにメリハリと緊張感があるのが良い
  • ただ、結末が未完というべきか、「俺たちの恋はこれからだ」で終わってしまうところだけが残念なところ
    電子化◯

それでも、好きだと言えない 赤月カケヤ

  • 幽霊少女と頭でっかちな陰キャ少年のボーイ・ミーツ・ガールな恋愛小説
  • 出会いや絆が人に影響を与える『使い魔』系の話
  • 幽霊少女がアドバイザーとなることで、少年の学園生活は変わり始める
    →外力、転生アプリによる肉体同居?
  • しっかりとテーマを貫いたストーリーは、波乱万丈かつ納得がいく展開で良い
  • ただ、回収されない伏線らしき部分もあるので、そこだけは読んでいて少し不満が残る部分かもしれない
    電子化◯

それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ 庄司卓

  • 未来のIF世界から、スポーツ化した宇宙戦争にスカウトされた、20世紀末の女子高生たちの話
  • STGのノリと戦法を応用して、宇宙戦争で快進撃!
  • 古武術の要領で、敵艦を投げ飛ばす「格闘戦艦」も出る
  • 主人公チームの宇宙戦艦には、相方に合わせて変化するサポートAIが搭載されている
  • 一時期中断していたが、完全版が出て完結した
    電子化○

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  • 時空の巫女(ときのみこ)は、読みがなを間違えていたので、た行に移しました