推薦図書/小説/な行

Last-modified: 2023-11-26 (日) 11:02:34

推薦図書/小説/な行

  • アリュージョニスト以外のネタバレに注意
  • サイバーカラテを実践しよう (知ってる作品があったら、説明を追記しよう)
  • 最下部のコメントボックスで作品紹介を書き込むと、誰かが追加してくれるかもしれません
  • 多分図書じゃなくてもいいと思うよ
  • 参照と類似は呪力です。高めよう。
  • ほんの少しでも推薦図書に見えたのならそれが推薦図書です(邪視)。追加しましょう。五十音順に並んでいます。
  • 編集カラテ入門
    • 発勁用意! 次の2行をコピペして、自分の文章で書き換えます。ここは、Webブラウザ以外のアプリでやるのがオススメ。

      *** タイトル

      -説明1

  • NOKOTTA! 文章が出来たら、Webブラウザに戻り、画面の一番上の「編集」を押します。
  • GOOD! 編集ボックスが出てくるので、1で作った文章をコピペします。場所は、根性で探してください。
  • COMBO! 「プレビュー」を押して、うまくいってるか確認します。まだこの段階では、誰にも見られません。
  • EXCELLENT! 「ページの更新」を押せば、完成です!!

な行

ナイトウォッチ三部作 上遠野浩平

  • 遙か未来、人類は謎の外敵と戦いながら宇宙に進出した
  • だが、その戦いはあまりに過酷であったため、人類は、精神を安定させるために、仮想世界の中で二十世紀の夢を見続けていた
  • 『ぼくらは虚空に夜を視る』:主人公は、「現実の世界」におけるオリジナルが精神を安定させるために作り出した、予備人格
    →人工人格としてのシナモリアキラ
  • 人類が作り上げた最強の超光速戦闘機(時間を加速させる)の操縦者は「コア」と呼ばれる
    →コルセスカ
  • アニメ『ゼーガペイン』が好きな人にもオススメ
    電子化×

ないものねだりの君に光の花束を 汐見夏衛

  • 「普通」と「特別」、持つものと持たざるもの、光と影、そして人生のトンネルについての物語
    →トリシューラとコルセスカ、リーナとオリヴィアなど?
  • 少女漫画のような設定を、ていねいな描写で展開している小説
    • 当然、その描写の大半はヒロイン?のイケメンアイドルに集中しているが、
    • テーマ上、恋愛というより、劣等感や信頼などの互いの思いをぶつけ合い、深めていく関係性であるのが良い
  • 完璧超人なイケメンアイドルと仲良くなっていく話ではあるが、
    • そのアイドルに秘密があったり、主人公は彼に嫉妬したりしているため、
    • 話の中心は完全に彼であり、定型的な恋愛イベントをこなすのではなく、ひたすら彼を知って親しくなっていく流れになっている
  • ストーリーの構成も、いきなり、二人での逃避行から始まるホットスタートとなっており、
    • 回想の中、高速で外堀を埋められていく主人公を追っていくうちに、
    • どんどん相手のアイドルに興味を持ち好きになっていく流れに追い込む、イベント・ジェットコースターな展開となっている
  • また、主人公の家族にも存在感があるのも良い
    電子化◯

流れよわが涙、と警官は言った フィリップ・K・ディック

  • 『流れ出せ我が(アツィルト)
    電子化◯

渚さんはガベージダンプを猫と歩む。 紫炎

  • 荒廃した未来、埼玉圏を旅するサイボーグ少女の冒険記
  • 猫っぽいアバターのAIによるサポートは、サイバーカラテに近いといえなくもない
  • 一話が短いため、少しずつ続けて読む読み方に向いている
  • 動物型の機械兵器と人が、エネルギー資源を奪いあう世界
    電子化◯連載中@小説家になろう

泣きながら、呼んだ人 加藤元

  • 母と子のしがらみと絆をテーマにした短編集
  • 母側の傲慢やどうしようもないすれ違いもしっかり描いているが、基本的には親子愛を称賛する方向性
  • 子離れや親離れ出来ていない人物や、自分は親に大事にされなかったという思いからくる兄弟間のいさかい、逃れきれない母の支配など、
    • 悩みは人それぞれで、どれもその人にとっては大問題
      →『使い魔』
  • 自分以外からは見えない母の亡霊の声が、他人からは自分の声だと思われる話はちょっと『邪視』っぽい
    電子化◯

なつかしく謎めいて アーシュラ・K・ル=グウィン

  • 『ゲド戦記』作者による、異世界文化記
  • 空港で退屈と苦痛が極まると、誰でも異世界に旅行できるようになるという設定が面白い
  • ひたすら異世界人類の歴史や文化・生活が書き綴られているだけではあるが、それを鏡として映し出される「我々の世界」との異質性や共通点が興味深い
  • ただ、語り手がインドア派な(おそらく)白人中年女性であるため、男性が好みそうなラブロマンスや何かの獲得というような意味での冒険は、基本的に出てこない
  • それでも、文化人類学や架空史などが好きな人なら、問題なく楽しめるだろう
  • 人間と動植物の「種」の垣根がなくなってしまった結果、遺伝子による就職制限が正当になってしまった次元なども出てくる
    →アヴロノなど
    電子化×

夏の王  O・R・メリング

  • 妖精を信じていなかった活発な少女が、死んだ双子に再会するため、現代アイルランドで夏の王を探す話
  • 贖罪の旅であり、死者や彼岸の話であり、生まれ持った悪性に悩む青年についての物語でもある
  • 『妖精王の月』の続編であり、シリーズものの話ではあるが、そちらを読まなくてもストーリーの理解には問題ない
  • 海賊女王グレイスオマリーが活躍するのも良い
  • この作品での妖精の取替えっ子は、霊媒的な解釈をされている
  • 一つの世界での死が、別の世界での生のはじまりであるという死生観
    • 生においても死においても、単純なことなど無いのさ
  • 「自分の知っていることの限界まで来たら、二つのうち一つを信じねばならぬ。足をつけて大地に立つか・・・あるいは翼を生やして天翔るか」
    電子化×

七つの魔剣が支配する 宇野朴人

  • 死や陰謀と隣り合わせの青春を送る魔法剣士たちを描いた、ハイファンタジー・ダンジョン学園小説(既刊13巻/うち外伝1巻)
  • タイトルの「魔剣」とは、六つ存在するとされる伝説の必殺技のこと
    • Fateシリーズの「燕返し」や、『るろうに剣心』の「天翔龍閃」、『眠狂四郎』の「円月殺法」のような類の秘剣のことである
  • 内容は、作者の言葉の通り「子供向けではないハリー・ポッター」
    • けれど、きちんとアレンジされている世界観、端役まで個性豊かでそれぞれの思考がしっかりしている登場人物たち、
    • 欠点と秘められた「格」のバランスが良い主人公と、オリジナリティあって面白いハイティーン向けの学園青春ファンタジー作品となっている
  • ただ、生徒全員が(呪文で切れ味を調整できるとはいえ)帯剣しており、学園がダンジョンの上に立っていることから分かるように、
    • その青春は死と闇の存在からは切り離せない
    • グロやどろどろした怨念などが嫌いな人には、はっきりと向いていない作品であろう
  • 特に、ヒロインでありながらヒーロー性を持つサムライ少女・ナナオの活かし方が素晴らしい
    • 魔法世界の新参者でありながら戦国で育った彼女の存在によって、魔法学園と剣士たちの死闘がしっかりと結びつき、
    • 新しい世界を形成している
    • その相違点と共通点による両者の特徴の浮かび上がり、同時にその相互理解によって新しい世界/人間関係が構築されていく
    • それこそが、この世界観を繋ぎ止め、同時に駆動する「楔」なのであろう
    • そしてその作用こそまさに、異質な生育歴を持つ学生たちが一つ所に集って友人となるという、「学園」そのものの持つ性質でもある
    • 登場人物と世界観が互いを補強し合うこのカタチこそ、ライトノベルのひとつの完成形といっても良いかもしれない
      →ゼノグラシア/グロソラリア?
  • 魔法生物の使役
  • 魔術師の家系は、子孫を改造したり家の使命を担わせている
    →使い魔、ユディーアなど
    電子化◯BOOKWALKER月額課金読み放題MAXにて5巻まで開放。更に、2023年9月30日までは6~10巻が開放中

何かが深海からやってくる――8月の迷惑な侵略者たち 宮澤伊織

  • 光のサメ戦士と闇のサメ戦士の1000万年に渡る戦いに、男根を二本*1生やす主人公が巻き込まれていく話。
  • 旧帝国軍のサメサイボーグ(光のサメ)VSナチスドイツのサメゾンビ(闇のサメ)とかやるのでアリュージョニスト。
  • 低予算モンスター・パニック映画の引用っぷりが楽しい。
  • ここでいうサメは、二足歩行で竹槍を持つ息絶え絶えのマグロのことを指します。
    電子化×

何者 朝井リョウ

  • 『桐島、部活やめるってよ』の作者の本
  • 就活とツイッターと、その裏に隠された本音と承認欲求の話
  • そして、現代の青春の話
  • 良くありそうな痛々しい人たちの話だが、それをしっかりと書いた本はあんまり無い気がする
  • ただ、就活が空回りアピール合戦になっているのは日本社会の構造的な問題もあるので、その責を個人にだけ負わせるのは酷だと思う
  • 観察者の特権意識
    →アレッテの諦観と倦怠?
    電子化◯

なりきり板より愛を込めて~逆憑依されたので頑張って生きようと思います~ アークフィア

  • 「なりきり」というキャラクターになりきる遊びが、現実に実現した世界を描いた、コメディときどきバトルな多重クロスオーバー小説
  • 短めな文量で頻繁に更新されている
    • その特徴の一つは注釈の多さであり、
    • フィクションのみならず、ネット由来のものも含む慣用句やMADネタまで解説がなされている
    • その解説は丁寧だが、基本的には二次創作であることには変わらないので、それらの作品を知らないと十分には楽しめない
    • 『STEINS;GATE』『蜘蛛ですが、なにか?』そして『Fate/Grand Order』第二部六章妖精國編などのネタバレがあり、
      • 後者二つについては、作中の「罰」のシステムに対して批判も語られている
    • この作品は、二次創作によくあるような、フィクションのキャラクターに転生する「憑依」モノを変形させたものであり、現代日本を舞台として、キャラクターの同士の触れ合いと冒険を描いている
    • あらゆるキャラクターを『Fate/Grand Order』の「疑似サーヴァント」的な存在として、日本人の知識を一部受け継がせて出演させている、と言っても良い
    • まあ基本的には、主人公のオリキャラがさまざまなキャラクターと遊んだりするだけ話なので、雰囲気は他とあまり変わらない「憑依」モノである
    • ただ、ほぼ全てのキャラクターが「不完全に再現されている」「『原作』にクロスオーバーなどが含まれる」という点が異色
      • このため、二次創作の問題点である「キャラクターの再現が不十分」というのが前提の段階でむしろ当たり前になっている
  • たまにシリアス展開もあるが、作者が設定を作るのは好きでもそれを展開させて話を書くのはあまり好きではないらしく、
    • 深刻なムードが高まっても、だいたい状況説明が終わったあたりで話が片付けられ後日談に移る
  • 更に、主人公は無限の力を持つ魔王なオリキャラではあるが、本人は「黒歴史」になってしまった自分に苦悩したり、魔王として敗北することを課していたりと、
    • なるべく「オリキャラ無双」は避けようとしている
  • ただし、それでもたまにそのチート能力を使わざるを得なくなるし、主人公を更に凌駕するオリキャラが「黒歴史」ではなく「現実」の存在として出てきたり、謎のキャラクターが顔出ししたりもするのだが
  • なお、主人公は性転換しているが、特にそのあたりに関わるセクシャルな描写や展開などは存在しない
    電子化◯ハーメルンにて無料連載中

なりたくて妖精になったわけじゃない 田中経一

  • サスペンス系地下アイドル&運営小説
  • 地下アイドルの光と闇の面をしっかり描いており、
    • 特に性やヲタクとアイドルの疑似恋愛について掘り下げている
  • そして、いきなり地下アイドルの自殺から始まる衝撃的なストーリーは、最後まで興味を引き付ける力を持っている
  • ただ残念ながら、これはあくまで地下アイドルとその運営を描いた話であってミステリーではない
    • 推理のためにヒントがきちんと揃えられてはいないし、謎のたぐいは真相が分かりやすいうえに、告白によってあっさりと解消されてしまう
  • また、作者の地下アイドルとアイドルヲタクへの愛と共感が強すぎるためか、どうにも悪人の扱いが甘すぎるきらいがある
  • では、一体これは何の話なのかと言えば・・・・・・これは、地下アイドルとヲタクの生きざまの物語であり、
    • 外道な手段を取ってでも、地下アイドルを地上に出そうとするプロデューサーの話であり、
    • 罪と罰の話であり、
    • そして、アイドルヲタクの愛と自省の話なのだと思われる
    • 一言で表すなら、主役の地下アイドルグループの決め台詞「地獄の底から舞い上がれ、ティンカーベル!」であろうか
  • この小説は、決して無価値ではないしそれなりに意義もある
  • だが、もしこれがきちんと読者が推理をすることが出来るミステリーであれば、
    • そして群像劇に近いドキュメンタリーふうの構成ではなく、一人の主人公を軸としたまとまりがあれば・・・・・・きっともっと面白かっただろう、と思わせてしまう
      • これは、そんなちょっと不完全な小説でもあるのだ
  • 地下アイドルとヲタクは、凸と凹
    • 自立できないため、アイドルに寄生=依存し、どうにか生きるヲタクたち
    • お互い足りない部分を補い合って成長していく
    • メンバーもファンも、傷を負った心を抱えている
    • 凸と凹が一体化し綺麗な正方形を作り上げたとき、ライブは最高の盛り上がりを見せる
      →聖婚?
  • 将来を約束し、今を生き抜く心の支えになる〈契約〉
    →ルウテトの『誓約』?
  • 振り切っていないと、狂っていないと何も生み出せないのがエンタメの世界
    →狂姫リールエルバトリシューラなど、
  • 生涯に七度だけ脱皮できるザリガニ
    →転生?
    電子化◯

ナルニア国物語 C・S・ルイス

  • キリスト教色が強い、異世界転移ファンタジーシリーズ
  • 最後が一種の転生エンドだったり、人を選ぶところがある児童文学
  • 『朝びらき丸 東の海へ』
    • 主人公のひとりである嫌われ者だった少年が、竜に変身したことを切っ掛けに変わっていくエピソードがある
  • 『銀のいす』
    • たとえアスラン(神=キリスト)やナルニアが幻想だとしても、幻想のほうが大事だとするくだりがある
  • 『さいごの戦い』
    • 宗教的な死後の救いを描いている
    • そのせいか、異教への差別意識が強く、信仰に誠実なら異教徒でもアスランの信徒(キリスト教徒)であるとしたり、イスラム教(らしき宗教)を偽りの信仰と明言していたりする
      電子化◯

南極点のピアピア動画 野尻抱介

  • ニコニコ動画が今より活気があり、動画タグ「ニコニコ技術部」にも今より遥かに希望があった頃に書かれたSF小説
  • ニコニコ動画をモデルとした動画サイト「ピアピア動画」にまつわる人々が、色々と大暴れする短編連作
  • 技術の話や専門用語も多いが、そのあたりをナナメ読みしてもストーリーには十分ついていけるし、面白い
  • ボーカロイド小隅レイ(こずみれい/モデルは初音ミク)が色々な形で引用され、様々な形で技術の発展を促進し、世の中を面白くしていく話
  • たとえ世間的に無価値に見えても「面白さ」を追及すること、そして他者からのまなざしによって自己を省みて成長することを肯定する思想が語られている
  • ある種の異邦人も登場するが、それより(挑戦心にあふれていた頃の)ニコニコ運営がモデルのピアピア運営の方がどう見てもヤバいので、そのあたりを知らないとSF要素よりそちらの方が嘘臭く感じてしまうかも
  • ドワンゴ代表取締役会長(当時)の川上氏の解説もついており、現実との違いやニコ動没落の原因の一端なども含めて参考になる
    ニコニコ大百科>南極点のピアピア動画@詳しい解説がある記事
    ニコニコ動画>劇中歌・雲を泳ぐ
    電子化×

なんとなく、クリスタル 田中康夫

  • 本の半分が、注釈(短い解説)とブランド名と余白で出来ている、アリュージョン系小説
  • わりと富裕な学生たちのストレスフリーな生活を描いたこの物語は、現代ではもはや異世界小説と言っても良いのかもしれない
  • 中身は執筆当時の時代性と気分しかないが、それが逆に歴史的資料として価値を持ち評価されていた作品でもある
  • 続編もあるが、登場人物がみんな没落していて評判悪い
    電子化×

2 野崎まど

  • 創作についての物語であり、創作を追求する人々の物語でもある
  • そして「2」の話
  • 作中に登場する理論は、あるいは「真のSF」の存在や、それがあれば「他の全てのSFは過去になる」ことを信仰している人には、相性がいいかもしれない
    • とはいえ、この作品の物語自体は、相性がいいとは言えないかもしれないが・・・・・・
  • 作者は、アニメ『正解するカド』の脚本家でもある
  • どうもこの作者は「読者を驚かせること」にこだわる傾向があるようで、この作品はやたらとどんでん返しが多い
    • 面白くない訳ではないが・・・・・・あえて言うなら、読者の予想は裏切っても、期待と共感や感情移入は裏切っちゃいけないんじゃないか、とそう思わせるような、そんな作品である
    • 情緒と主人公への同一化を基盤とする私小説系と、意外性特化はかなり相性が悪い、と言っても良い
    • あるいは、納得には理解や愛情が必要なのに、情報を開示したり心を開かないままではそれを得られるはずがない、と言うべきか
    • そのあたり、作中のテーマを、この作品自体はあまり貫けていないのかもしれない
  • なお、この作品には色々な要素があるが、作者の不得手のせいか要素ごとの面白さのムラはかなり大きい
    • 理系の話の解説であれば、百点満点評価で百二十点以上を余裕でつけられるが、日常ギャグと個性的なキャラ描写は一点をつけるのも惜しまれるレベルである
  • さらに、他作品のキャラを流用しているせいで、いくつも非日常的な設定が説明もなく盛り込まれるのは、作品テーマに集中させるうえでノイズでしかないと思われる
  • 作中には、ミーム、演劇などアと関わりのある話がいくつも出てくる
    電子化◯ BOOKWALKER月額課金読み放題で読むことが出来る

西の魔女が死んだ 梨木香歩

  • 祖母との交流、「魔女」になる修行を通じて孫娘が成長する話
  • オカルト的に思える直観、一種の【邪視】との付き合い方を学んでいく話でもある
    電子化×

23分間の奇跡 ジェームズ・クラベル

  • たった23分間で、子どもたちの考えを変えてしまう占領教育を描いた短編小説
  • 暴力も脅迫も伴わずに人を操る【呪文】の恐ろしさと、人間の思考や理念のあやふやさを示す、問題提起の書
  • 新任女教師のふるまいが、本当に魅力的に描かれているため、そちらの方面が好きな人にも受けるかも
    電子化×

二番目のフローラシリーズ イザボー・S・ウィルス

  • 『二番目のフローラ』『ほんとうのフローラ』『怒りのフローラ』の三部作・全六冊
  • 特殊部隊の隊員になる夢を持つ少女が、冒険の中で欠けたものを手に入れて成長していく、奇想天外な児童文学系ファンタジー
    →異世界で自分の問題に直面し、再起して新しい義手を手に入れたシナモリアキラと同様の物語形式
  • シリーズ名は『一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事』だが、その副題に反し、主人公の屋敷はあんまり話の中心ではなかったりする
  • 基本的には典型的な勧善懲悪だが、序盤はそうでもない部分もあるのが良い
  • 独特な世界観であり、舞台の文明レベルは移動用の機械を除けば第一次世界大戦前後くらい
    • 舞台は、中南米を思わせる近代的な国家だが、(危険で難易度が高かったり軍で禁じられているものの)一般的な技術として魔法が存在していたり、女性軍人が当たり前にいる世界となっている
  • また、悪役が、アステカをモチーフにした国でテスカトリポカ(煤鏡の神と呼称)を崇めていることもあり、
    • 人間の皮をかぶって変身する魔法なども出てくる
  • ただ、最後の方は主人公が成人していたり、コンドームが出てくるなど、児童に勧めるにはあまり向いてない話でもある(さすがに使用場面は描写されないが)
    • 情景描写は詳細であるものの、汚かったりグロテスクな状況もかなり多く、人肉を好んで食べる精霊や亡霊が出てくるなど人を選ぶ
    • 親も善人ではあるが厄介ものだったり、主人公を信用しなかったりと、最後まであまり仲は改善しない
  • 主人公の善意や挑戦が空回りしたり、それが色々な陰謀とからみあってごちゃごちゃしたりと、主人公が現実と自分の人生への妥協を学ぶ成長こそが、この物語の中心である
  • 彼女の境遇はわりと過酷であり、没落しつつある軍人一家の生まれで将来が決められているだけでなく、
    • 戦争から帰らなかった姉と同じ名前(しかもご丁寧に姓との間に「セグンダ(二番目)」という文言まで入っている)をつけられていたり
    • 戦争でPTSDを負った父や犬や馬の世話をやらされるヤングケアラーだったり、母が仕事で忙しくて帰らなかったりと、現代日本から見ると完全に児童虐待の生活を送っている
  • 靴が本体の悪党「バネ足ジャック」もいる
    →外力
  • 作中世界では、ロボットのように人工心霊が使われている
    • 屋敷が本体で、家人の生命力をキスなどで吸収する従僕霊も存在する
  • 魔法と強く結びついた名家の一族が存在し、家長の前にその亡霊が集まる場面もある
  • この世界の魔法は、この世に流れるエネルギーの源である〈魔法流〉を自分の〈意志〉に変えるもの
    • 呪文も意味不明な記号で表記され、技術の一種でありながらも勝手に出てくる不随意運動のような側面もある
    • というか、主人公は嘔吐のように呪詛を吐き出す、特殊な体質である
      電子化×

ニルスのふしぎな旅 セルマ・ラーゲルレーヴ

  • 森を切り開き文明を築いた人間への賛歌と、自然への愛が共に存在する児童文学
  • また、地理や文化を紹介しスウェーデンに誇りをもたせるために書かれた一種の教科書であると同時に、そうした教養抜きでも面白い民話系ファンタジーでもある
  • 妖精の呪いで小人になることで動物の言葉を理解できるようになった主人公ニルスは、いわば半人間のトリックスターであり転生者(グロソラリア)でもある
  • サブストーリーとして、父を探すガチョウ番の少女オーサと弟のマッツの旅も組み込まれており、魔法や奇跡が無くてもタフな人間の強さを感じさせてくれる。
    電子化×

ニューロマンサー ウィリアム・ギブスン

  • サイバーパンクの基礎教養
  • SF初心者向けというわけではないので読むには注意が必要。
    電子化×

人形の家 ルーマー・ゴッデン

  • 「祈る」ことしか出来ない人形たちを描いた児童文学
  • やがてその「祈り」が、彼女たちにとっての神である人間を動かすことになる
  • イプセンによる同名の戯曲も名作
    電子化×

人間シリーズ 西尾維新

  • 『戯言シリーズ』の外伝であり『クビシメロマンチスト』から『ネコソギラジカル』の間に位置する話
  • 『零崎双識の人間試験』:「殺人は絶対悪でしかない」という信念を持つ殺人鬼が登場する
    →シナモリアキラ?
  • 逃げ切れない運命(本質)の話であり、その否定の話
  • また、自身を「殺人鬼」だと定義する人びとの生き様の話でもある
  • 『人間ノック』まではコミカライズもされている
    電子化◯

人間不信の冒険者たちが世界を救うようです 富士 伸太

  • 追放された軽戦士が、同じような境遇の冒険者たちと出会い、新しい仲間関係を築いていく冒険譚(全六巻)
  • 追放は、パーティー方針と合わないためにあえて放出された一種の思いやりであり、いわゆる古巣の没落を楽しむ「ざまぁ」系とは異なる
  • また、パーティーメンバーは、それぞれギャンブル、酒、アイドルと全員何かしらに依存する対象があり、「適度な依存」を推奨しているようにも見えるところも面白い
  • 聖剣の力で、仲間と「合体(ユニオン)」するし、その聖剣自体も人型に変身して仲間になる
    →『聖婚』、コルセスカヴィヴィ
  • アニメ化もしている
    電子化◯二巻まで、BOOKWALKERの月額課金読み放題で読むことが出来る

人間になりたがった猫 ロイド・アリグザンダー

  • 魔法使いによって「言葉」と「人間の姿」を与えられた猫が、人間社会で冒険を繰り広げる物語
    →断章編など
  • 社会不正とそれに負けない人間の善性を描いた、人間賛歌のお話でもある
    電子化×

ニンジャスレイヤー ブラッドレー・ボンド,フィリップ・ニンジャ・モーゼズ

  • 全てはカラテ、カラテなのだ
  • 爆発四散
  • 古事記にもそう書かれている。
    電子化◯ (ネット上で書籍化した範囲を含め全文(書籍化にあたって細かな違いはあるが)を無料で読むことも出来る)

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ 滝本竜彦

  • 「悪の怪物と戦う」という非日常を媒介とした青春ジュブナイル小説
  • 『NHKにようこそ!』で知られる作者のデビュー作でもある
  • 少女は、陰謀論的な世界の不幸の元凶・絶対的な悪を求め、少年は「終わらない日常」からの逃避として、
    • そして、青春の怒りのぶつけ先として戦いに身を投じていく
    • それは、絶対的な善悪や「大きな物語」としての「戦争」や「革命」が終わった時代
      • バブルが弾け経済の右肩上がりが終わり、それでも「レールが敷かれた将来」を誰もがぼんやりと信じていた頃の話
      • そして彼と彼女のネガティブな幸福の物語である
  • 「悪の化身」の怪物・チェーンソー男
    レストロオセ
  • もはや確かめることすら出来ない、自殺のような死を遂げた友人の怒り、青春の怒り
    • 怒る自分自身にすら怒っていたような、そんな怒り
      →百億の怒り?
      電子化◯

猫町 萩原朔太郎

ネクサス ラメズ・ナム

猫のお告げは樹の下で 青山美智子

  • 神社で、ふしぎな猫から葉っぱのお告げを渡された人びとの人生を描いた、全七作の連作短編集
    →外力
  • 一言だけのお告げには複数の解釈が存在し、悩める人々はそれに一喜一憂しながらも、自分の道を見出していく
    →『呪文』
  • その話の主人公ごとに、生きてきた経験や感性、そして見えている景色やリアクションが異なるのが面白い
  • 「欲しい物が欲しい」青年から、学校に行きたくない小学生、娘に嫌われている父親、そして占い師まで主人公も多様
  • 猫の正体については明かされないが、おそらくは神社の祭神なのではなだろうか(モデルは一言主神?)
  • 占い師やオカルト関係者は、しょせん強大な力の流れにいち早く気づけるだけの「教室の生き物係」程度の力しか無いという観点も独特
    電子化◯

猫の地球儀 秋山瑞人

  • 夢を目指す猫たちの姿を描いたSFライトノベル
  • 舞台設定がしっかりしていて良い
    →『猫の国』
  • さらに、夢を持つものの傲慢さやそれが生活の余裕の上に成り立つという負の側面もしっかり描いていて素晴らしい
  • 夢は、生きるために不可欠な「物語」であると同時に、やがて溢れ出して他者への要求へと変わる厄介なものだとしている
    →『呪文』
  • 進化した猫たちにはハッキング能力があって、ロボットと組んで闘ったりもするし、視界も共有できる
    →使い魔
  • 『焔の章』『幽の章』の全ニ巻
    電子化◯BOOKWAIKERにて全巻読み放題(月額課金)

ねじまき少女 パオロ・バチガルピ

  • 原題は“The Windup Girl”
  • 終節:破『The Winddown Girls』
  • イマジナリーというか上司の霊の幻覚が、良心となり、正義の指針を示す
  • 人為によって変革される自然
    電子化◯

年刊SF傑作選 ジュディス・メリル編

  • 60年代に編集されたSFのアンソロジー
  • 軽妙で楽しく意外性がある短編が集められている
  • 性的に奔放な田舎娘の意外な結婚相手と地球文明の行く末も暗示するその結婚:ウォード・ムーア「マクシルの娘と結婚した男」
  • 人類が克服できない欠点と差別の話:ハワード・ファースト「大蟻」
  • 言語を制約することによる戦争の抑止:クリストファー・アンヴィル「別の名」
  • 空想の至高の境地に浸ることが出来る城と、人間が創り出した神のような肖像画:エリザベス・エメット「魅惑」
    →二次創作による救い?

ノーゲーム・ノーライフ 榎宮祐

  • 無敵のゲーマー兄妹が、ゲームの勝敗で全てが左右される異世界へ召喚される物語
    →コルセスカの【コキュートス】
    電子化○

脳仕掛けの楽園 -壊脳少女と脳を奪い合う戦場- Deino

「ノケモノ会議」 遠影此方

  • 相互監視のシステム「ノケモノ会議」によって守られている実験都市に現れたヒーローとその救いの話
  • ライオンのしっぽを持ったレオという男の子が登場する
  • 凡人と英雄、そしてノケモノの謎、そして可能性
  • 主人公の少女が常識と独自の感性を併せ持っているのが良い
  • 会議の描写などは、ちょっと『ユリ熊嵐』などを作った幾原邦彦監督っぽい
  • 武器が全部使われないところだけが、ちょっと残念
    電子化◯ カクヨムにて完結済み

コメント

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*1 主人公は人間とサメの狭間で苦悩する