(なかなかうまく決まったじゃな~い)
(フ……決まったぜ……)
(決まった……)
(決まったぜ……)
(やはり、SPFポーズは5人揃ってやるのが一番だ……)
ギニュー特戦隊がそれぞれ好きなポーズを取りながらそんなことを考えていた時、
研究所では混乱の嵐が吹き荒れていた。
「調査隊はどうなった!?」「隕石が落ちた衝撃で気絶している模様です!」
「調査隊のビデオカメラにアクセスします!」「中継ヘリを飛ばせ!」
「衝撃で近郊の街にも被害が出ています!」「調査隊に応援を向かわせろ!」
「爆心地に救助隊を出します!」「映像はまだか!?」
「アクセス完了!映像をモニターに出します!」
調査隊の撮った映像がモニターに映し出された。
5つの異形な影。間抜けたポージング。爆発。砂嵐。
「あれは……いったい……!?」
隼人は思わず言葉を漏らした。
ゲッター乗りとして長い間戦ってきた彼でも、こんなことは初めてだった。
そのうちに、中継ヘリが到着したのか、映像が上空からの物に変わる。
5つの色とりどりな人の形をしたものが、奇妙なポーズをとっている。
その後ろにはクレーターと、まだ形を保っている隕石。
「まさか……隕石の映像を拡大しろっ!」
カメラが隕石に寄り、その様子がはっきりと映し出される。
事前の調査通り、直径3mほどの球形。
あちこち焦げていて、表面からブスブスと煙を上げている。
窓のような透明な部分があり、その奥には機械らしきものが見える。
「まさか、あいつら……!?」
その時。
一瞬眩い光が画面を覆ったかと思うと、激しい音とともに画面は砂嵐となった。
「中継ヘリが撃墜されました!」
その報告を受けた時、竜馬が動いた。
ゲッターロボGを特戦隊のもとに走らせる。
「竜馬待て!相手は得体が知れないんだ!もうちょっと様子を見ようぜ!」
「うるせえ!ヘリまでやられて、黙ってられるか!正体なんざ直接聞いてやらあ!」
竜馬は弁慶の制止も聞かずに特戦隊の前に躍り出ると、
「やいてめーら!人様の家なぎ倒して変な踊り踊るたあ、いい度胸だな!」
と、叫んだ。
すると、赤い男がこれに答えた。
「変な踊りでは無い!SPF(スペシャルファイティング)ポーズだ!!」
モヒカン男と青い男がさらに叫ぶ。
「なかなか手荒い歓迎をしてくれるじゃな~い?」
「おかげで自慢の宇宙船がまっくろくろすけだ……」
「だが、その方が半年もかけてこの辺境の星に来た甲斐があるってもんだぜ」
それを聞いた竜馬が一喝する。
「ふざけたこと言ってんじゃねえ!」
「何が宇宙船だ!てめぇらは宇宙から来たってのかあ!?」
緑の男と角男が答える。
「まあ、こんな辺境の星じゃあ、知らなくても無理はないなぁ~」
「ならばっ!改めて教えてやろう……いくぞっ!!」
「「「「おうっ!!!!」」」」
モヒカン男が叫ぶ。
「リクゥーーームッ!!!」
後ろを向いて右手を右上に伸ばし、左手を曲げ、手は肩と平行に。
脚を開いて、肩越しに前を見ろ!
青い男が怒鳴る。
「バァーーータァ!!!」
両手を水平に、指先をピンと伸ばし、右足で片足立ち。
左足は折り曲げて、若干前かがみに、でも視線は前を向く!
赤い男が声を張る。
「ジィーーースッ!!!」
左手左足を対角線に、左腕は曲げて。
拳を頭の横に置き、左足は90°!
緑色の男が絶叫する。
「グゥルドッ!!!」
脚を肩幅に開いて、左拳をあごの前に。
右手で左手首を掴んで、顎を引く!
紫角男が吼える。
「ギニューーー!!!」
右膝立てて、左膝をつき。
両手を握り、斜め下に開き、前を見据える!
「みん」「な」「そ」「ろ」「って!!」
「「「「「ギニュー特戦隊!!!!!」」」」」
そのあまりのエレガントさに、辺りに華が舞うように見える……気がする。
バラバラバラバラ……
新しい中継ヘリのローター音が響き渡る。
バラバラバラバラ……
「……それで、何しに来たんだ?」
呆然と見ていた一同だったが、弁慶の言葉で気を取り直した。
「そ、そうだ!一体何しに半年もかけて来たんだ!?」
竜馬の問いかけにリクームと名乗ったモヒカン男が答えを返す。
「宇宙からの来訪者と言えば、決まってるじゃな~い?」
そう言うとリクームは手の平を顔の前にかざした。
その手はなんとなく……いや、確実に光を帯びている。
今度は気のせいでは無い。
「まさか……」
隼人の呟きに答えるかのように、リクームが叫んだ。
「侵略よっ!!!!」
それと同時に、手を前に突き出した!
そして、眩い光が辺りを覆う!
「うっ!!」「なんだっ!?」「うわっ!」
リクームの手から光線が走り、ゲッター達の間を通り抜けた。
そして、その奥の山脈に向かって伸びていき……
ド ワ オ !
ズズズズ……ブワオオ……
「う、嘘だろ……」
「山が……消しとんじまった……」
激しい爆発の後、煙が晴れたその場所に、山は無かった。