イベント2017/壊塔戦　豊穣の塔【序】

▲塔魔目録ネタバレ
(※目録順に並べています)

• 候補者として召喚され、レースが始まる。
  だが、その候補者はまず調べておきたいことがあった。
  過去の候補者争いと結果。
  そして、過去の王がどのように語られているか、である。
   
• 塔界を探索する前に、まずは許される範囲で基底部を探索した。
  暗殺と取られぬよう、他の候補者からは大きく離れ、魔神を使役して調査を行う。
  何も残っていないことは考えられなかった。
  『何かを後に遺したい』と考えないヒトばかりではないはずだ。
   
  生命ある限りは、自分の何かを後に遺したいのが本能であるはずだ。
   
• やがて候補者は見つけた。
  地下に通じる入り口。隠されているが「欲すれば」直ぐにわかる偽装。
  まるで『お前の求めているものはここだ』と言わんばかりの遺跡。
  その内部に書物の山を発見し、魔神を通して内容も確認する。
   
  そして候補者は……彼女は名づけた。
   
  その遺跡を『賢者の図書館』と──
   
• 過去の候補者レース参加者が残していた記録。
  どこからか召喚したであろう大量の書物。
   
  知らぬはずの言語を読むことができた。知らぬ概念を理解することができた。
  これもまた塔界の、この基底部の力なのかもしれない。
  彼女は塔を伸ばすよりも、知識を深くすることに熱中していった。
   
• 過去の王の記録を見る度、そして自分の記憶をたどるたびに疑問が残る。
  何故、暴君は生まれるのか。何故、名君を目指さないのか。
   
  力足らぬ暗君であればまだわかる。
  力も知識も足りていれば名君とはなるだろう。
  だが、なぜ過去の王には必ず「暴君」が存在するのか。
   
  暴君と化した王はどんな理由から想像を欠如させたのか。
   
  彼女は、そんな自分の考えもまた「想像力」が足りないと知りながらも、過去の記録を更に調べ上げる。
   
• 命と呼ばれるものが好きだった。
  ヒトだけではない。動物、植物、動く動かざるも関係ない。
  生きているということ、その奇跡はなんと眩いものだろう。
  そして、自分もその一端であることがなんと素晴らしいことだろう。
   
• 名君も暴君も根は同じではないのか。
  自分の理想、自分の中の世界をそのまま発現したからではないのか。
  では、自分が王となったとき、この世界を生命で満たすことはできるのか。
   
  ……考えていても仕様のないことだった。
  レースからは大きく遅れ、他の候補者は既に先を行っている。
  王になるため、他者を欺き、陥れながら。
   
• 生命は素晴らしいものである。
  だが、仮に自分以外の候補者が王となったとき、他の生命をどう扱うのか。
  候補者を蹴落としてまで王となったとき、感覚は狂わないのか。
   
  その時──『私』は初めて、自らが王となることを望んだ。
   
• 生命を守れる王になろう。
   
  この世界が枯れているならば、生命で満たせる王になろう。
  他の候補者にしてもそうだ。
  陥れ、蹴落とす、裏切る。そうしたことばかりでは、互いに荒んでしまう。
   
  例え他の候補者と争うことはあっても、自らを律して接しよう。
  命を奪うために策を弄するのではなく、レースに純粋に勝つことを考えよう。
  欠片でも後ろめたいことのないように、真正面から他の候補者にぶつかろう。
   
• 生命を信じる王になろう。
   
  生きようとする力は純粋だ。生きたいと思う心に偽りはないはずだ。
  生きていれば、会話ができる、物に触れる、考えることができる。
  例え自らを裏切った相手であろうと、構わず自分は信じ続けよう。
   
  自分の信じたいものを信じる自由があってもいい。
  一人くらいはそんな候補者が居てもいいではないか。
  そんな候補者が王を夢見てもいいではないか。
   
• 生命を生み出せる王になろう。
   
  この世界で、既に枯れた命を蘇らせるだけではない。
  新たに生命を根付かせ、生命に満ちた世界にしたい。
  自分の記憶からでもいい、他の候補者からの記憶からでもいい。
   
  そうだ、気になるではないか。
  他の世界の生命の軌跡を。その軌跡が交わったとき、なにが起こるのか。
  生命はどんな奇跡を見せてくれるのか。
   
• 生命を守り、信じ、生み出したとされる王。
  そんな女王であった彼女の塔内部は生命に満ちていた。
   
  基底世界に放たれるまで、塔の下層部にて生み出され、守られ、進化する生命。
   
  その全てを見守り、外敵を排除する神鳥「カラドリウス」
   
  ……ここで一つ、記録に残そう。
   
  基底部に異世界から召喚されるのは、候補者だけである。
  塔界から生命を持ち帰ることは行えない。
  塔魔の一部であれば遺物として可能ではあるが、まさしくそれは異物である。
  では、どのようにすれば持ち帰れるのか。
   
  塔魔をその場から切り離す。支配権を自らに移し替える。
  そうすることで、遺物ではなく、そのままを自らの塔へ持ち帰ることができる。
   
  命を作り出す、命を維持するために、自動的である「塔魔」を支配下におく。
  自らの塔に配置し、力を得て、時には力を与え、変質させていく。
   
  『ドミネート』はここから始まった。