サルベージ4

Last-modified: 2020-04-06 (月) 20:53:10

geocities
ハリポタ邦訳改善運動



Magic*Potion

■■魔法・呪文・薬■■

原作者はCharm、Hexなどある一定の基準をつけて分類してるようだが、邦訳は術、呪文、呪いなど整合性がない。
誤訳ではないが、全体的に子供っぽいというか安っぽく感じる。

1巻では日本語の命令は付いていなかった。
でも2巻の決闘クラブ(The Duelling Club)あたりから「エクスペリアームズ! 武器よ去れ」(283p他)とか「ルクラスセンブラ!笑い続けよ!」(285p)とか説明するようになった。
4巻では「クルーシオ!苦しめ!」(上334他)とシリアスな呪文が駄洒落になった。



■Patronus Charm 守護霊の呪文、パトローナス・チャーム

 └Expecto patronum エクスペクト・パトローナム!守護霊よ来たれ!

パトローナスは「自分を守護する力の具現」であり「自分で作り出すもの」だと思う。
守護霊というと「先祖の霊かなんかで常に自分を見守ってくれているもの」というイメージがあるので違和感がある。


■Disarming Charm 武装解除の術

日本語の武装解除というと自分の武装を解くものである印象がある。なんとなく違和感。

 └Expelliarmus エクスぺリアームズ!武器よ去れ!

  「エクスペリアームス」(2巻携帯版)


Accio アクシオ!○○よ来い!

フライ版は「アクシオ」だったけど、映画だと「アッキオ」になってた。


Shrinking Potion 縮み薬

カエルをおたまじゃくしに戻す魔法。若返り?


Wolfsbane Potion 脱狼薬

せっかく原語に「狼殺し(ウルフスベーン)」という強い言葉が入ってて、危険を伴う薬だとわかるようになっているのだから「殺狼薬」にしてもらいたい。

1巻では「とりかぶと=ウルフスベーン」という伏線が張られていた。「下手するとルーピンを殺せそうな危険な薬を宿敵スネイプが作ってくる」というのが面白いのに、脱狼薬ではただの薬みたい。


Sweets*Tool

■■お菓子・玩具・小物・クディッチ関連■■

 日本人に馴染みがなくてわからないとでも思うのか、種類が変えられてるものがある。


Toothflossing Stringmints

「歯みがき糸楊枝ミント」(3巻P255)」→
 「歯みがき糸楊枝型ミント」(3巻携帯版P281)に変更


Treacle Toffee 糖蜜ヌガー

トフィーなのに何故かヌガーに変更

イギリス式トフィーは砂糖にいろんな風味を加えて固めただけ、みたいなお菓子で各地にそれぞれ特産品みたいなのがあったりして、イギリス人にとってはすごく思い入れのある(すごく甘ったるい)お菓子


Fudge ヌガー

Fudgeはファッジでは?
ヌガーは白くてぬちゃ~っとしてる、砂糖の塊みたいな味のお菓子(ハードヌガーもあるけど)


?

「トッフィー(3巻P254)」
 →「タフィー」(3巻携帯版P281) に変更


A cherry syrup and soda with ice and umbrella アイスさくらんぼシロップソーダ、唐傘飾りつき

唐傘は古くさすぎる。「パラソルピック」、もしくは「パラソルの飾り」くらいがいい(3巻10章P261)。

With iceとは氷か?アイスクリームか?


Stoat Sandwich イタチサンドイッチ

Stoat=オコジョ。
でもオコジョは一般的な動物ではないのでこれをイタチにしたのはいいと思う。まさかその後フェレットが多用されるとはこの時点では予想できないし。


Cockroach Cluster ゴキブリ・ゴソゴソ豆板

豆板なんて知らない


GingerNewt 生姜ビスケット

マクゴナガルのオフィスでハリーが生姜ビスケットを食べるシーン。
せめてジンジャービスケットにしてほしかった。
原書ではイモリ(テスト)に関係してるらしい。

綴りの似たお菓子があるらしい。言葉遊びだから注釈いれない限り日本語じゃ説明不可能だろうけどルビをふるとか工夫してもらいたかった。


Puking Pastille ゲーゲー・トローチ

Puking=吐くことだけど、せめて「嘔吐キャンディー」ぐらいでお願いしたかった。

「ゲロゲロトローチ」(5巻上18章P595)


Dungbomb クソ爆弾

ジニーもハーマイオニーも普通に口にしてるけど、普通のティーンの女の子は「クソ」なんて言わないと思う。
Dungbombだから意味はあってるけど「肥やし玉」とか「悪臭爆弾」とか女の子でも抵抗のない言葉にしてほしかった。


Exploding Snap 爆発ゲーム

「爆発スナップ」(2巻携帯版P401)


「真鍮製ものさし」(1巻P102)
 →「真鍮製秤」(1巻携帯版)


Gillyweed えら昆布

昆布はちょっと江戸ちっくすぎて嫌です。

gill=エラ weed=雑草

ドビーが持ってきたGillyweedはびしょびしょ濡れてたから、普通の雑草というよりは、「水草」系?


Floo Network 煙突飛行

暖炉は利用するが、煙突は関係ないし、空を飛ぶわけでもない。また暖炉ならどこでも移動できるわけでもなくネットワークにつながれている暖炉から暖炉にしか移動できない。それなら飛行ではな「フルー空間移動ネットワーク」や「暖炉移動網」とでもしたほうが理解しやすいのではないか?

何故か魔法省の管轄は煙突*ネットワーク*庁(Floo Network Authority)、統一する気0。


Floo Powder フルーパウダー/煙突飛行粉

ルビも「フルーパウダー」だったり「えんとつひこうごな」だったり統一性がない。


Marauder's Map 忍びの地図

学生時代ジェームズ達は自分達の事を「Marauder(マラウダー)」と呼んでいたらしい(作者公式サイトより)

ジェームズ達が自分のことを「しのび(きっと語尾はござる)」とか呼ぶのはあんまりなので「徘徊者の地図(マラウダーズマップ)」とかのが良かった。


Pensieve 憂いの篩/ペンシープ

綺麗な名前だけど、重要アイテムなのに読んだ時にどんなものかイメージできない。


Shooting Star 流れ星

なぜシューティングスターではいけないのか?ロンの使う駄目駄目な箒の感じをだしたかったのか?コメット(彗星だけど)と混同されるのではないか?


Firebolt ファイアボルト(炎の雷)

変な和名はいらない。


Quaffle クアッフル

「クァッツフル」(2巻P157)


Shop

■■店舗・施設・地名・その他■■

Eeylops Owl Emporium イーロップふくろう百貨店

日本人的百貨店のイメージじゃない…


Quality Quidditch Supplies 高級クィディッチ用具店

「高級箒用具店」(3巻P79)
 →「高級クィディッチ用具店」(3巻携帯版P85)


Hog's Head ホッグズ・ヘッド

酒場。上は宿泊施設(邦訳では旅籠。宿のが合ってると思う)


Honeydukes ハニーデュークス

「ハニーデュークス菓子店」(4巻ふくろう通信)


The Hanged Man 首吊り男

4巻1章リトルハングルトンの村のパブ。タロットカードの「吊られた男」 ではないか?という意見あり。

イギリスにはこの手の名前のパブがわりとあるので『首吊り男』が正しいのかもしれない。


The Burrow 隠れ穴

通常翻訳小説では○○屋敷とか××荘などになる場合が多いらしい。

Burrow=巣穴。
ウィーズリー家をいたち(weasel)に引っ掛けてるらしい。英語圏の人にはニヤリって感じなんだろうけどでも別に地下じゃないし。マグル避けしてるみたいだし、秘密基地とかアジトとかのがマシかな?


Number twelve, grimmauld place グリモールドプレイス12番地

本文中では登場人物が「屋敷」と言っていたが屋敷と呼べるほど大きな家ではないんではないか?

「グリモールドプレイス」→「グリム・オールド・プレイス」→「黒妖犬の古い家」という意味らしい。


Knight Bus 夜の騎士バス

原語には夜要素はない。
文中は「夜の騎士バス」と「ナイト・バス」混在。ナイト・バスで統一してほしい。5巻では昼間も運行。


Animagus(Animagi(複数形)) アニメーガス/動物もどき

人に対して「動物もどき」と呼ぶのは失礼な気がする。
せっかく苦労して身に着けた能力なのに、生まれつきというか「動物もどきという種族」に感じる。
変身した姿は「獣身」などでもいいと思うがアニメーガスはアニメーガスで統一してもらいたい。

アニメーガスとは動物もどきになれる人のことなのか?それとも動物もどき=アニメーガスなのか?


魔法省大臣

「魔法省大臣」(3巻P260)→
「魔法大臣」(3巻携帯版P287)に変更


神秘部

「幻の動物とその生息地」P27の「ミステリィー部」は神秘部」のことだろうか?(未確認)


Magical Law 魔法法律

語呂が悪い。
魔法の法と法律の法をあわせて「魔法律」とでもしたらどうか?

魔法法律→魔法律
魔法法律評議会→魔法律評議会
魔法法律執行部→魔法律執行部 とかどう?


Magical Law Enforcement 魔法法執行部

3巻では魔法警察庁


魔法省大臣

日本では総務大臣、財務大臣が普通なんだから「魔法大臣」で統一してほしい。


「魔法事故巻戻し局」(3巻P59)
「魔法事故リセット部隊」(3巻携帯版P65)


security wizard ガード魔ン
変なアソビはいらない。


Mudblood 穢れた血

Mud=泥土、無価値なもの等。汚いものって感じは間違ってないし語感は好きだけど、せっかくの純血にマグルの血を入れた混血のほうが「穢れた血」って感じがする。個人的には5巻ブラック婦人の「芥(あくた→ゴミ)」のが好き。


half-breed ?

breed=雑種。by ドラコ。
ハグリッドやフラーのように多種族の血が混ざってる魔法使いのことと思われる。
そのうちまた出てきそうだからメモ


Goblin rebellion 小鬼の反乱

ゴブリン革命じゃ駄目なの?百姓一揆な感じ?


Gobbledegook ?

ゴブルディグック語(4巻上P138)
ゴブリディグック語(4巻下P134)

『ゴブリン語』でいい。
《口語》 (公文書などの)回りくどくてわかりにくい言葉,お役所言葉.


Weired Sisters 妖女シスターズ

炎のゴブレットのクリスマスパーティーに登場するバンドの名前。 間違いじゃないけど…マクベスの魔女、運命の女神あたりのが…

北欧系神話(?)世界樹ユグドラシルのもとに住んでいるという運命の三女神。
マクベスでは主人公の運命を予言する3人の魔女として登場。

バンドだからかな…


Dark Lord 闇の帝王
Dark mark 闇の印
Dark wizard 闇の魔法使い
Dark Arts 闇の魔術

「闇の○○」とするのは直訳すぎだと思う。
「黒魔術」「暗黒魔術」「闇魔法」のが一般的。

「の」が入るとワンワードとしてとらえにくい。
どの巻も最初にヴォルデモートの説明が入るけど
 「史上最強の闇の魔法使い」「今世紀最強の闇の魔法使い」
 「過去数百年以来最強の闇の魔法使い」「最強の闇の魔法使い」
など、「の」が二回つづくより「最強の黒魔術師」ってほうが迫力があると思う。
もしくはいまどきの子供はダーク○○でも十分に通じる。

1巻P159では黒魔術になってる


My Lord(by 死喰人)・Master(by 他人) ご主人様

メイドさんじゃないんだからご主人様、ご主人様言い過ぎ。
「我が主」「我が君」でいいと思う。
ダンブルドアが「ご主人様(His master)」って言ったときが一番ウケた。そこは主君だろ。


携帯版変更点

ハードカバーと携帯版の変更点
■「平仮名→漢字(例:ひげ→髭)」、「漢字→平仮名(例:今まで→いままで)」という変更は非常に多いので省略。

■必ずしもカタカナである必要のない擬態語は携帯版でほとんど平仮名に変更。
(ドギマギ→どぎまぎ ゾクゾク→ぞくぞく ジッと見る→じっと見る、など)

■形態版は変更するがハードカバーの変更はほとんど無し。

■不思議なことにストーリーになんの影響もないようなもの(固有名詞とか、細かい言い回し)は直すが、明らかな誤訳ほど変更が無い。


Other

長く読みつがれるべき児童書には使って欲しくない変な言葉の数々

cool=グー。Blimey=おったまげー。
闇の陣営の人々はどうやら揉むのが好きらしい。俺様のお守りお疲れ様です。

2巻・秘密の部屋
■"Fat Myrtle! Ugly Myrtle! Miserable,moaning,moping Myrtle!"(UK版P103)マートル
 「太っちょマートル、ブスのマートル、惨め屋・うめき屋・ふさぎ屋マートル!」(8章P201)
■ロンの台詞”Of course I am!”
  「モチのロンさ!」(P237)
■"Little Ginny's been ~"
 "I grew powerful, far more powerful than little Miss Weasley." (UK版P228)リドル
 「ジニーのおチビさんは~」
 「おチビちゃんとは比較にもならないぐらい強力になった。」(17章P454~455)
■"Now, Harry, I'm going to teach you a little lesson."(UK版P233)リドル
 「さて、ハリー。すこし揉んでやろう。」(17章P466)
■"Hasn't got a clue who he is, or where he is, or who we are."(UK版P239)ロン
 「自分が誰なのか、今どこにいるのか、僕たちが誰なのか、チンプンカンプンさ。」
 (17章P476)
■though he pulled with all his might, he couldn't get it out again.(UK版P77)
 騎士が金剛力で引いても、二度と再び抜くことはできなかった。(6章P133)
■and was followed by a second, very odd-looking man.(UK版P193)
 後ろからもう一人、チンケな男が入ってきた。(14章P385,386)

3巻・アズカバンの囚人

■"I don't want any - anyfunny stuff while she's here."(UK版P20)
 「何か――何かキテレツ(太字)なことはマージがいる間いっさい起こすな。」
 (2章P27)
■Trotting towards them were a dozen of the most bizarre
 creatures Harry had ever seen.(UK版P87)
 ハリーが見たこともないような奇妙キテレツな生き物が十数頭、
 早足でこっちへ向かってくる。(6章P150)
■Aunt Marge loved criticising him,(UK版P22)
 マージおばさんはハリーにいちゃもんをつけるのが大好きなのだから(2章P31)
■"I just --- lost control."
 「僕、ちょっと---キレちゃって」(4章、フォーテスキューのパーラーで)
■"It went haywire just as I was trying it to Errol's leg to send it to Harry."
 「エロールの脚にハリーへの手紙を括りつけようとしたら、メッチャ回ったもの」
 (5章、列車の中)
■"A likely story!"(UK版P115)
 「そうでござんしょうとも!」(8章P200)フィルチ→ハリー
■"He's barking mad,"(UK版P125)
 「あの人、チョー狂ってるよ」(9章P217)シェーマス→パーシー。カドガン卿について
■Waving aside the information that a famous murder was after his Seeker, Wood said,(UK版P174)
 「かの有名な殺し屋が、チームのシーカーを狙っているという話は
うっちゃったまま、ウッドが言った。」(12章P305)

※未確認だが、どこかでジョージが「チョー」と言ったのも見た気がする。

4巻・炎のゴブレット

■"We've got our History of Magic exam in ten minutes! Blimey," (UK版P553)ロン
 「あと十分で『魔法史』の試験だぞ!おったまげー」 (下31章P398)
■シェーマス→アンジェリーナ"Yeah, better you than Pretty-Boy Diggorry,"(UK版P230)
 「ああ、かわいこちゃんのディゴリーより、君のほうがいい」(上16章P405)
■He put down the kettle at once,(UK版P11)
 「フランクはヤカンをその場にうっちゃり、痛む足の許す限り(略)」(1章P12)
■「メチャメチャ重症みたいだわ」(8章P177)
 「(略)メチャメチャいやな子でも?」(下22章P54)
 「メチャメチャ吠えながら」(24章p145)
 「ホグワーツでは全部メチャメチャ狂うの。(略)」(28章P293)
■「デブチン」(13章P316)
■「バカチン」(22章P52)

5巻・不死鳥の騎士団

■ダドリー→ハリー"He cheekd me."
 「生(ナマ)言いやがった」
■and with a stupendous effort he and Lupin managed to
 force the curtains closed again.(UK版P74)
 ルーピンと二人がかりの金剛力で、やっとカーテンを元のように閉じた。(上P130)
 ※「金剛力」は他の箇所でも使われている。
■"Nutter. Never met one like him."
 "He's not a nutter, Ron."(UK版P72)
 「いかれぽんちさ。あんなの見たことない」
 「いかれぽんち(太字)なんかじゃないわ、ロン」(上4章P126)
■フレッド&ジョージ&ジニー"He got off,He got off,He got off"(UK版P143~144)
 「ホーメン、ホーメン、ホッホッホー」 (上P251)
■ハリー→ロン"well done, mate."(UK版P152)
 「おめでとっ」(上P269)
■ロン→一年生"Midgets!"
 「ジャリども!」
■"Oooh, Crackpot's feeling cranky,"(UK版P222)
 「オォォゥ、いかれポンチがイライラしてる」(上12章P389)
■"It's a brilliant idea! It'd be really cool if you got on the team!"(UK版P245)
 「それ、すばらしいよ!君がチームに入ったら、ほんとにグーだ!」(上13章P428)
■"Well, once a week sounds cool,"(UK版P308)
 「そうだな、一週間に一回ってのがグーだ」(上16章P544)
■ and Ron said audibly,"Blimey!"(UK版P530)
 ロンは声に出して「おっどろきー!」と言った。(下27章P284)
■"Harry, we saw Uranus up close!"
 "Get it Harry? We saw Uranus -hahaha-"(UK版P701)
 「ハリー、『臭い星』を見たぜ。」
 「ハリー、わかるか?僕たち、『モー・クセー』を見たんだ――ハハハ――」
 (下P581)
 ※上の誤訳にも同じ指摘あり。
■"I'll show you how it is done, shall I? I'll give you a lesson―"(UK版P715)ベラ
 「どうやるのか、教えてやろうじゃないか、え?揉んでやるよ――」(下36章P605)
■"fat and ugly""useless loser"(UK版P365)ドラコの台詞
 「『でぶっちょ』と『おかめ』に――」「『役立たずのひょっとこ』」(上19章P649)
■"These Demembers guard some weirdo prison?"(UK版P38)
 「そのキュウコンバーは、妙ちきりんな監獄とやらをガードしとるのか?」(上2章P62)バーノン
■"Marge bobbing around on the ceiling"(UK版P40)
 「マージは膨らんで天井をポンポンするわ、」(上2章P66)バーノン
■"Dammit"(UK版P73)
 「チッキショ」(上4章P127)フレッド
■"Trust me, you don't want to wake up and find him prowling around your room."(UK版P93)
 「目が覚めたとき、あいつが部屋の中をうろついてるのを見たらさ、
まじ、いやだぜ。」(上6章P163)ロン
■"Course, once Dumbledore turned up on your side,
 there was no way they were going to convict you,"(UK版P143)
 「もち、ダンブルドアが君の味方に現れたら、やつらは君を有罪にできっこないさ」(上9章P252)ロン
■"Hi,"she said brightly as she passed.(UK版P236)
 「こんちわ」すれ違いながら、ジニーが朗らかに挨拶した。(上13章P413)
■"git."(UK版P268)
 「大バカヤロだ」(上14章P470)ロン→パーシー
■"Angelina'll do her nut"(UK版P279)
 「アンジェリーナがぶっち切れるからな」(上15章P490)ジョージ
■"Erm...night."(UK版P294)
 「あム…おやすみなさい」(上15章P517)ハーマイオニーまるで草を食ってる牛みたい。
■"Ho ho,"said Hermione in a bored voice.(UK版P296)
 「おや、おや」ハーマイオニーは、相手にしなかった。(上16章P522)ハーマイオニー→ロン
■"Oooh, who tried to get upstairs?"(UK版P314)
 「おぉぉや、上に行こうとしたのはだーれ?」(上17章P556)四年の女子生徒
■"We know you're up to something funny,"(UK版P11)
 「おまえがへんてこりんなことを企んでるのは、わかってるんだよ」
 (上1章P14)ペチュニア→ハリー
■"You'd get expelled from that freak school you go to."(UK版P18)
 「おまえの通ってるあのへんちくりんな学校から追い出されるんだ」
 (上1章P25)ダドリー→ハリー
■"Right-o,"Fred said brightly,(UK版P97)
 「がってん承知」 フレッドが朗らかに答えて(上6章P171)フレッド→モリー
■"What in the name of Merlin,"said Ron slowly,as they followed Neville,(UK版P322)
 「驚き、桃の木」ネビルの後ろを歩きながら、ロンが呆れたように言った。(上17章P569)
■「マルフォイが体を丸めて地上に転がり、唸ったり、ヒンヒン泣いたりしていた」(上P651)
 ・ダドリーはヒンヒン泣き、震えながら体を丸めて地面(じべた)に転がっていた。(上1章P33)
 ・地面(じべた)に座ったまま(上2章P37)
    (両方とも原書ではground(UK版P23)・(UK版P25)。
    (「地面」は「じべた」とは読まないのでは? 「地上に転がる」っておかしくない?)
■"you useless lump"(UK版P24)
 「役立たずのどてかぼちゃ。」(上2章P37)フィッグばあさん→ダドリー

不明・その他
「狂気の沙汰じゃない」←ここだけぽつんと出てたので良くわからない。正気の沙汰?
「やれ嬉しや」


帯、ふくろう通信
ネタばれが酷すぎるのでないだろうか?
3巻の帯までは、他のマスコミの寸評が載っていた。

1巻・賢者の石
【帯】
世界3600万部のベストセラー
みなし子ハリーは魔法使いの卵
額に残る稲妻形の傷の謎
大人も子供も楽しめるハリー・ポッターの魔法

9と3/4番線から魔法学校行きの汽車がでる
ハリーを待ちうけていたのは夢と冒険、友情、そして生い立ちをめぐるミステリー
ハリーの魔法に世界がとりこ…ニューズウィーク
なんとも不思議な臨場感…日本経済新聞
大人も子供も夢中になれるファンタジー…朝日新聞

【帯・パターン2】
「世界中にハリポタ旋風!!
9歳から108歳までのファンタジー
全世界で800万部のベストセラー」

ニューズウィークの書評までは一緒、下の2行は
「ポッター革命…アエラ
C.S.ルイスやJ.R.R.トルキンの現代版…ザ・タイムズ」
(2000年6月8日発行の初版第45刷)
※「トルキン」は普通トールキンって表記するのでは?

【ふくろう通信】
あらすじが載っていて、
「ヴォルデモートとの運命の対決までの息を飲む展開。」

【ハードカバー折り返し あらすじ(UK)】
‘Follow the adventures of Harry Potter as he discovers the magical,
the dangerous, the unpredictable world of Hogwarts School of Witchcraft
and Wizardry……..

【豆ふくろう通信】(携帯版)
(松岡佑子 〒ふくろう郵便局 隊長ヘドウィグ)

松岡佑子のハリー・ポッター英語教室No.1

辞書を引いてください。この変な4つの単語は全部辞書にあります。
あほう!ぜい肉!半端もの!微調整!これでは翻訳になりませんね。
ローリングに質問すると、言葉の意味は関係がないので、調子のよい言葉に訳してほしいとのことでした。
ダンブルドアはとにかくチャ目っ気たっぷり。そこで、翻訳はこのようになりました。


2巻・秘密の部屋

【帯】
世界3600万部のベストセラー
第1巻を上まわるスリルとサスペンス
ホグワーツ校を襲う姿なき声
全七巻のファンタジー・ミステリー

秘密の部屋で何かが起こる
ホグワーツ校をに仕掛けられた罠。ハリーには隠された力が…

「史上最大のベストセラー」…ニューズウィーク
子供たちが魅了され、大人も魔力に落ちた…婦人公論
ポッター・シリーズのよさは想像力の豊かさ…ニューヨーカー

【ハードカバー折り返し あらすじ】
魔法学校で一年を過ごし、夏休みでダーズリー家に戻ったハリーは意地悪なおじ、おばに監禁されて餓死寸前。
やっと、親友のロンに助け出される。
しかし、新学期が始まった途端、また事件に巻き込まれる。
ホグワーツを襲う姿なき声。次々と犠牲者がでる。
そしてハリーに疑いがかかる。
果たしてハリーはスリザリン寮に入るべきだったのだろうか。
ヴォルデモートとの対決がその答えを出してくれる。

【原書版2巻 折り返しあらすじ】
Harry, Ron and Hermione have returned to Hogwarts School of Witchcraft and
Wizardry for their second year. (But Harry and Ron only just made it - they missed the
Hogwarts Express and had to get their in a flying car...!)
Soon the threesome are immersed in the daily round of Potions, Herbology, Charms,
Defence Aginst the Dark Arts, and Quidditch.
But then horrible things start happening. Harry hears evil voices. Sinister
messages appear on the wall. But nothing can prepare the three friends for
what happens next......

A brilliant sequel to the award-winning Harry Potter and the Philosopher's Stone.


3巻・アズカバンの囚人

【帯】
脱獄不可能のアズカバンから脱走した囚人
死神犬グリムの暗い影
ハリーの命が危ない!

もはや児童書といえない
世界中の子と親の「ハリー・ポッター」…現代
メガセラーは数々の偶然?
それとも、これが魔法?…DIME

【ふくろう通信】
シリウス・ブラック
「アズカバンの要塞監獄を脱走し、ハリーの命を狙う。
実はこの人物、第一巻に登場済み。後半に意外な展開が…」

【ハードカバー折り返し あらすじ】


4巻・炎のゴブレット

【帯】
(上)
ハリーの額の傷跡が激しく痛み
恐ろしい魔の手がじわじわと迫る
しかもハリーとロンの友情にも危機が・・・・・

(下)
初々しい恋ーーー十四歳になったハリーの甘酸っぱいときめき
痛々しい死ーーーヴォルデモートの邪悪な力がついに復活

そして、恐ろしい真実
解き明かされる過去の真相

【ふくろう通信】
(下)は「翻訳者はつらいよ」という内容が2/3
この中で、読者のから食物の注をつけて欲しいという要望があったことが書いてあるが、
注は一切付けないと断言してる。

【ハードカバー折り返し あらすじ(UK)】
 It is the summer holidays, and one night Harry Potter wakes up with
His scar burning. He has had a strange dream, one that he can’t help
Worrying about….until a timely invitation from Ron Weasley arrives: to
Nothing less than the Quidditch World. Cup!

Soon Harry is reunited with Ron and Hermione and gasping at the
Thrills of an international Quidditch match. But then something horrible
Happens which casts a shadow over everybody, and Harry in particular.

A fantastic sequel to the existing Harry Potter adventures:

(この後は大手新聞社数社の書評抜粋)


5巻・不死鳥の騎士団

【宣伝文句】
シリウスよ、になれ。

【帯】
【ふくろう通信】
魔法省のフロアマップとブラック家家系図が掲載されていたが現時点ではアルファードはシリウスの父の兄弟なのか母の兄弟なのかはあきらかにされていない。
不確かな情報を掲載するべきではないと思う。

【ハードカバー折り返し あらすじ】

【UKアダルト版のカバーの見返し】
Dumbledore loweredhis hands and surveyed Harry through his half-moon glasses.
'It is time," he said, 'for me to tell you what I should have told you five
years ago, Harry. Please sit down. I am going to tell you everything.'

Harry Potter is due to start his fifth year at Hogwarts School of Witchcraft
and Wazardry. He is desperate to get back to school and find out why his friends
Ron and Hermione have been so secretive all summer. However, what Harry is about
to discover in his new year at Hogwarts will turn his world upside down......

そのあとはお決まりの「これはすごく面白い話ですよ!」って出版社からの宣伝文句がはいるだけ。
つまり最初のダンブルドアのとこ以外は物語がどうやってはじまるかの説明。
帯みたいに全体のあらすじをかいつまんで説明してるのとは違うと思う。


6巻・謎のプリンス

【宣伝文句】
人はなんのために戦うのか・・・・・・
悲しみを乗り越えて「選ばれし者」が立ち上がる
  ハリーが6巻で最初悩んでいたのは、「どうして自分がヴォルデモートと戦わなければならないのか?」
  「なぜ自分なのか?」っていうことであって、別に人がなんのために戦うのかなんてもう悩んでないと思う。

【帯】
【ハードカバー折り返し あらすじ(UK)】
 Harry’s sixth year at Hogwarts begins, and it feels like a reassuring place
To return to after the strange events of the summer. Disappearances,
Murder and an ominous chilling mist which swirls through both the Muggle
And wizarding worlds are harbingers of more sinister purpose. Voldermort’s
Army is swelling, and with it the Death Eaters are growing bolder and more deadly.
Suspicions are rife, and allegiances questioned as even the safest
Havens cease to feel secure from the Dark wizards. As the storm gathers strength,
Harry must face the terrifying truth of his destiny.

With her irresistibly deft mix of suspense and humour, J.K.Rowling reveals
The sheer intricacy and brilliance of the world she has created,
as the pieces of the jigsaw start to fall in to place.


各国装丁比較

■UK(イギリス)

イラストは表紙のみ。

呪文はすべてイタリック。呪文の言葉そのまま。
つまりラテンっぽいけどラテンそのものではない、JKRが作り出した言葉そのまま。
日本語訳みたいに、いちいち英語(日本語)になってたり、
呪文のあとに英語(日本語)で説明的言葉がくっついてたりしない。

大声で叫んでる言葉を大文字表記する、というのは英語文のお約束。
つまりJKRの文章は普通の英語文の書き方となんら変わるところがない。

■US(アメリカ)

US版はUK版ほどシンプルじゃない。各章ごとにイラストが入ってる。個人的には好き。
 不思議の国のアリスのイラストをもうちょっと丸くして、現代っぽいというか漫画っぽくした感じ。
 ハリーや登場人物のイラストも書かれている(JKRはイラストは描かないでほしいらしい)。
 ごちゃごちゃしてるといえばしてるけどそんなに気にならない。でも5巻からはやりすぎな気も…。

・手紙や新聞記事の箇所
 文字の装飾はなく、文章全体が中央寄せになっている。

・いろいろな会社(?)の宣伝がスピーカーから聞こえてくる箇所(US版P96)
 飾り気のあるフォントになっている。
 うちに入ってるフォントの中ではMonotype Corsivaってやつに似ている。

・新聞記事のタイトルのフォントが読みづらいフォントになっている。
・手紙はイタリック、サインは手書き風で、一人一人違う。
・5巻のアンブリッジの教育令は、魔法省マークが付いている。
・WEASLEY IS OUR KINGが王冠型のイラストになっている。
 (US版19章P404、UK版P358、日本語版上巻P636)

日本語版は、US版を参考にしてるのかもしれない。
王冠と魔法省マークを見てそう思った。


他国翻訳版出版時期リスト
■6巻
 http://en.wikipedia.org/wiki/Harry_Potter_and_the_Half-Blood_Prince#Translations
 (このページの下のほう、Translationsというところにリストがあります。)


友の会掲示板

過去に友の会の掲示板に常駐していた方のご意見を紹介します。
ですが、これはあくまで一意見であり、個人によって感じ方の差があることことを理解したうえででご覧ください。

【132】
前スレ最後の方で、友の会掲示板に常駐してたと言ってたヤシでおま。
何か聞きたいことある?

昔のことでだいぶ忘れたけど、harelip問題のときも、
誤訳指摘スレ削除のときもいたよ。

【133】

132
聞きたいことというか、ここの役に立ちそうなことはどんどんお願いします。

【136(132)】
いやねー、常駐組といっても、邦訳ファンだけじゃないのよ。
原作先に読んだ人向けのネタバレBBSとかもあって、
そっちに常駐してたのさ。
翻訳についての文句は、やっぱりそういう人たちから出てきてね。
用語とか、名前の表記とか、文章の解釈とかがずいぶん違うからさ。
で、そういう人がブチブチ文句書いてると、消されてたわけ。

【137】

136
なるほどー。
そういう文句ってかなり即座に消されちゃうの?
消されたときの向こうからのコメントとか、消されちゃった人たちからの反応はどうだった?
前に誰かそういうツリーこと消されたって言ってたけど、原作組のネタバレBBS
自体が消されちゃったのかな? それともそれは今でも存在する?
教えてチャンでごめん。

【140(132)】
思い出しながら書いてるから、グチャグチャしててスマソ。

当時の友の会は、

会員登録(無料)→組み分け帽子のページで組み分け→会員用のBBSも見れる
というシステムだった。でも、普通の人用のページもあった。
途中から入会の処理が追いつかないらしくて、入会1年まちとか・・・
で、運営ボランティアスタッフを募集してたけど、その人たちの「大活躍」してた。

会員用BBSは巻ごとに板が分かれてた。
本来の運営スタッフのお仕事は、ネタバレのスレを移動させたり、誘導したり、
スレストすることだったとオモ。

私個人はスタッフさんたちの「大活躍」に嫌気がさして、だんだんいかなくなった。
友の会が有料化する前にちょっとのぞいたら、見事に原書ネタバレの板は
閑古鳥鳴いてた・・・

正直、何が削除対象の誤訳だったか覚えてないんだけど
会員用板の場合は、スタッフが「誤訳じゃない」と書き込むことが多かったような印象。

「1巻のスネイプの罠の瓶の並び」←誤訳じゃない認定されてた。
「ハグリッドはスコットランド訛か?」←イギリス滞在経験のあるスタッフが太鼓判
「スタンはコックニーか?」←上に同じ
「Remusはレムスでいいじゃん」←忘れた

そのうち誤訳指摘してた何人かが退会処分くらったみたいで、会員以外の人も
見れるBBSに誤訳スレ作るという暴挙に。それに対する返答が前スレで
晒されてたやつ。

【148(132)】
自分は「海外サイトではハグリッドはWest Countryアクセントって言ってるよ」
「JKRもそういってるよ」って書き込みが、抑えられたのにビックリした・・・

「意見の相違」とか、「知識を披露する場じゃない」とか・・・。

【151】
「スタンはコックニー」、これはまさにその通り。しかもかなり強烈な若者コックニーです。

【153(132)】
「スタンはコックニー」かっていうのは、そのとき出てた説明だと
コックニーというのはごくごく限定された地域の言葉を指す。
(他の地方の人だとロンドン=コックニーにするけど)
スタンはかなりコテコテのロンドンかその周辺のワーキングクラスの
言葉なのは分かるけれど、3巻の台詞だけだと、発音以外は普通の単語
しか使ってないし、それ以上の決め手はないから、コックニーである
ともないともいえない」みたいな説明をしていた人がいたんだけれど、
とにかく松岡さんがコックニーって言ってるんだから、コックニーなの!
文句言うなよ!って感じだった。
議論させない、文句つけさせないって感じで。

【157】
・・・・・言葉というのは流動的だし、いろんな要素がかみ合ってできるものなので
どの方言だって、言語学者によって説はまちまちなんだと思うんです。
すみません、言い切り過ぎました。というわけで言い直すと、スタンの言葉遣いは
「一般的にコックニーとされている方言」ということで間違いないと思います、はい。

とにかく、ナニがどう正しいとか間違ってるとかいうよりも、そういうファンからの
正当な意見や不満を一方的に片っ端からぶっつぶしていく、という体制はかなりの
問題ですね。


スタッフ

翻訳協力 ジェリー・ハーコート (五体不満足の翻訳者。ニュージーランド出身)
       宇尾史子/村松夏子
表紙画・イラスト ダン・シュレシンジャー
デザイン・レイアウト 小関潤
編集・製作 木田恒
発行者 松岡佑子


原作にない勝手な強調(過度のフォント変え)、必要のないイラスト
・いやに安っぽいリドルの墓
・いやに日本風な魔法章印

・ ハニーデュークス店にて。
 血の味キャンディとかがあるコーナーの上にかかってる
 ‘Unusual Taste’ の表示板が、どうやら大看板になり(P255)、
 イラストみたいな大きな囲みの中に「異常な味」とゴシック体で
 でかでかと書かれているのを見たときはのけぞった。
 (原書ではカッコの中に控えめにかいてあるだけ)
 どんな意味があるのだろうと思い、後半を読んでる間中
 「異常な味」が頭を離れなかったよ…。orz


価格・販売方法

世界一高い日本のハリーポッター(炎のゴブレット3990円、不死鳥の騎士団4200円)。
 もう子供がお小遣いで買える値段ではない。大人だってデビュー前のJKR女史のような人は躊躇う値段だろう。
 普通は英語原作より邦訳版のほうが薄くなるのが一般的なのに英語原作が一冊で出ている本が上下巻二冊になるのはおかしい。一冊に収まるように努力してほしい。そうすれば多少なりとも低価格化も可能だろう。
 上下巻分割の販売に原作者が許可を出さなかったから二冊セットの販売だというが、原作者は本当に日本での状況を把握しているのか?原作者が反対したのはあくまで「上下巻の発売日が違う日になる」ことに反対しただけでは?上巻だけ、下巻だけでも購入できるようにしてほしい。
 原作出版から6ヶ月後という日本版の発売も遅すぎる。その間にある程度の情報が入るので(こういう内容だったらしい、○○が死ぬらしい)販売されるころには冷めていることが多い。
 そもそも出版側自らがを「シリウスよ、○になれ」などと内容を予測させる広告を出すのはいかがなものか。
 宣伝広告だけでなく、ふくろう通信、登場人物紹介でのネタばれも酷すぎる。
 また、あくまで影の存在であるはずの翻訳者の露出も多すぎてハリーポッターの魅力を著しく損ねているように思われる。
 携帯版で修正した誤訳部分を、ハードカバーでは修正しようとしない出版社の姿勢にも疑問を感じる。


イギリス文化

 ハリー・ポッターは子供達がイギリスの文化に触れるいい機会だと思うが、単語が強引に日本語になっていて(ライティングデスク→文机/Inn(酒場つきの宿泊施設)→旅籠)、イギリスという国が感じられない。
 しかも昔の日本特有の単語であるため日本のイメージが強すぎて、余計に本の中のイギリスを消している。

 イギリスの生活習慣なんかに触れながら分かりにくいものについての説明を入れる。
 もしくは注釈をいれたり、後書きで説明するようにしてほしい。
 「ライティングデスク」という言葉があれば、自分で調べる事もできるけど、「文机」に変えられてしまうと、調べても日本の文机しか出てこないし、そもそも「文机」と聞いてそれがなんなのか子供達が連想できないなら、わざわざ言い換えた意味がない。
 工夫して向こうの特色を消さないように心がけてもらいたい。

 トライフルみたいなお菓子にはわかるように絵や注釈をつけて説明して欲しいというような読者の声にたいして「読者が物語りに入り込めるように注釈はつけない」 と回答されたらしいが、読み手の自由なイメージの尊重であるのなら、フォント遊びや枠付けの方やイラストのほうがずっとそれを邪魔してると思う。

 物語に入り込むもなにも理解できてないことにたいして感情移入なんてできないし、イギリス文化を理解しないとわからないこともあるのだから(ハリーの名づけ親の件や「プリーズ=魔法の言葉」など)、文章上で表現できていないことにたいして説明する義務くらいあるのではないだろうか?子供の頃から読書好きだったが、日本の明治文学なんかは注釈のお陰で意味がわかってこそイメージが作れたし、それで覚えたことも多かった。注釈をつけないならつけないで、ちゃんと本文中でどのようなものか分かるような文章にしてもらいたい。パロミノなんて普通の辞書には載ってないし、綴りがわからないと調べようもない。
 「ソネット(十四行詩)」など会話の中で不自然にカッコを付けて説明するくらいならルビにするか、欄外注釈の方が良いのではないか?


売り上げ

 ・アメリカでもイギリスでも、毎巻、それまでの記録破りの販売数。
  ("US BEST-SELLERS OF 2005"1.Harry Potter and the Half-Blood Prince - JK Rowling
   2.A Million Little Pieces - James Frey/3.The Kite Runner - Khaled Hosseini
   4.1776 - David McCullough/5.The Da Vinci Code - Dan Brown)
 ・イギリスでは6巻は発売後24時間以内で、前巻の13%増しの売り上げ。
 ・米ブログパルス社(「ブログ」の検索サービスを手掛ける)の今年(2005)の発表によると、
  世界中のブログで話題になった人物部門ランキング1位はハリー・ポッター。

 以上欧米でのハリーポッター人気は相変わらず熱狂的だが下表からも分かるように日本での人気は終息に向かっていると言わざるを得ない。
 原作(邦訳版)の出版数低迷との因果関係を否定することはできないのではないだろうか?

タイトル発刊発行部数
(万部)
値段(円)賢者の石を
100%とする
賢者の石99.125061,995100.0%
秘密の部屋00.094331,99585.6%
アズカバンの囚人01.073801,99575.1%
炎のゴブレット02.113503,99069.2%
不死鳥の騎士団03.092904,20057.3%

対象年齢

 大きな字、不必要なまでのルビ、子供向けの簡単な言葉など、児童書であることを意識しすぎである。
 子供が理解できないと思ってか、イギリス特有の固有名詞(お菓子名、料理名、妖精名など)が日本の言葉に置き換えられているが「○○というものがある」と柔軟に子供は納得、理解するものだし、いま分からなくても、いつか成長して理解するときがくるだろう。今の過保護ともいえる子供への気の使いようはかえって子供の成長を妨げてるだけのような気にすらさせられる。
 内容も英語原作にくらべずいぶん残酷なシーンの描写が軽いものになっている。
 そうかとおもえば突然大人でも戸惑うような古めかしい語(曙光、営巣中、伏魔殿、憂いの篩、克己心、囀る、禿頭、隠遁、嘴、癇癪、劈く、蒙る、瘡蓋、朝餉、厨、いぶかる等)、昔に流行った子供には絶対に理解できないような古いギャグが出てくるから不思議だ。

 そもそも原作者はもともと児童書として書き上げたわけではない。
 今は間違いなく「児童書」のジャンルに属しているし、それを意識してそれなり(強烈なスラングは使わない程度)の配慮をされてはいるが、子供向けの言葉は使ってないし、内容もどんどん重く、残酷なシーンも増えている。
 大人っぽい文章で成人の読者の多い欧米と比べ、ハリーポッターはあくまで子供の読むものだと認識されている日本の状況は残念なかぎりだ。


脚色

 日本語はなまじ一人称や語尾のバリエーションが豊かなためその使い方によってキャラや作品のイメージが大きく左右されてしまう。
 マンガやライトノベルに親しんでいる今の若者や子供たちにとって語尾や一人称はキャラクターを表現するための一種の記号であり、そこには原則としてある種共通の認識感覚がある。
 「俺様」ならジャイアンやバイキンマンのような笑える悪役。
 「我輩」はギャグシーンにのみ登場する自意識過剰キャラ。
 「ざんす」は気取った上流夫人。
 「まーす」は調子のいい超真性おバカキャラといったところではないか。

 ご存知のようにハリーポッターではヴォルデモートは「俺様」、スネイプは「我輩」。リータは「ざんす」、ルーナは「もン」が語尾として使われているが、これからの人称、語尾が読者に特定のイメージを抱かせてしまい、原作本来のキャラクター像との不一致を起こしている。

 またシリウスがヴォルデモートを『あの人』と呼んだり、スネイプがハリーに愛想良く話しかけたりと首を傾げさせられる表現もたびたび目にする。おかしいのではないかと原作をチェックすると全然違う表現が使われている。キャラクターを深く理解していれば起こりようがないような事態ではないだろうか。
 英語読者と、日本語読者のキャラクター像は驚くほど違う。翻訳版が英語原作のキャラクター像を再現出来ていないといわざるをえない状況だ。

 ハリーポッターは11歳からシリーズが始まって5巻現在で16歳なわけだけれど、「僕、○○だ」みたいな助詞抜きの台詞の連発や、3巻ネビルの「いっつもおんなじ帽子。たかーくて、てっぺんにハゲタカの剥製が付いてるの。それに、ながーいドレス」のような不必要に多用される「ー(長音)」や「っ」のせいで11歳で時が止まってるのではないかと思えるような、随分と幼稚で子供っぽい印象を受ける。
 映画「アズカバンの囚人」のときに劇場でTVのインタビューそ受けてた方(一般人)が「なんか子役達が大きくなったなーって…(育ちすぎてて違和感があった)…」と言葉を濁してたが、やはり邦訳を読んでいるといつまでも子供のままのようなイメージになるのではないだろうか?
 反面、「おやおや」や「驚き桃の木」など「年くったおっさん&おばさんが無理して若作りしてしゃべってる」ような印象も受ける。

 原作者本来の文章が読めるイギリス版ハリーポッターには、表紙以外のイラストは一切無い。
 それは原作者が余計な情報をあたえず、文章から感じたままに、自身の想像力で自分だけの魔法の世界を築いてもらいたいと考えたからだろう。

 まるでそれを否定するかのように邦訳版に多用されるフォント変更、文字サイズ変更。不必要なイラスト等、日本版は目から入る情報が多すぎる。マンガ的なキャラクターの一人称、語尾と共に読者にある特定のイメージを植え付ける余計な情報でしかない。もうJ.K.ローリング女史のハリーポッターではなく、翻訳者がハリーポッターを下敷きに作り上げた別の物語である。

 そもそもフォント変更、フォントサイズ変更は原作者のオリジナルからヒントを得たらしいが、イギリス版にフォント変更は見られない。大文字になったりイタリック体を使うくらいで英文作品として考えればいたって普通だ。日本語なら括弧に入れたり、語順や助動詞、間投詞で工夫すればすむ話である。挿絵が許されないかわりに、イメージを膨らませる手段としてフォント変更を多様されているらしいが、そんなものはただのイメージの押し付けだ。隅から隅まで自分の思い通りにしたかったとのことだが、翻訳者の思いではなく原作者の思いを忠実に読者に伝えるのが翻訳者の使命ではないんだろうか?


文章構成

■句読点、擬音など

・句点が多すぎる。日本語の文章は一行に一箇所も句点がないこともざらなのに、ひどいときなんて一行に五箇所以上あるときもあって、文章がぶつぶつ途切れて感じてすごく読みにくい。

・擬音が多すぎる。「ブツブツ言うと、ドスドスと窓際まで行って、もう一度ぴしゃりと窓を閉めた(邦訳5巻上P55)」など、読みにくい上に文章がとても子供っぽく感じる。同じ擬音を使うんでも、カタカナよりひらがなの方が子供っぽくないし、最後の撥音を変えるとずっと大人っぽくなる(例:ドサッと投げた→どさりと投げた)のだから少しは工夫してもらいたい。特にハリーポッターは登場人物、固有名詞にカタカナが多いのでカタカナを多用されると余計に読みづらく感じる。

・長く受け継がれていくべき児童書で不必要に汚い言葉を使わないでほしい。「糞爆弾」とか「ゲロゲロトローチ」など「肥やし」や「嘔吐」に置きかえれるのだから無理に使うことはないと思う。女の子だって読んでいるし、自分の娘に「糞」や「ゲロ」なんて書かれている本を笑顔で薦める母親はまずいないと思う。

・原文で「―(やや短い棒線)」の部分が邦訳では「――――」になってるが(「信じるだろうーーー」「そしてーーーハリーの予想もしてなかったことが起きたーーー足が地上を離れるのを感じたのだ。」)、読みづらいというか間延びした印象を受ける。原文がそうだからと言われてしまえばしょうがないが英文と日本語は違うのだからあまり多用しないようにしてもらいたい。

・三人称、固有名詞の表現がバラバラすぎる。
例えば、「屋敷しもべ妖精」は屋敷しもべ妖精、屋敷しもべ、しもべ妖精、屋敷妖精と4つあるし、「アーサー・ウィーズリー」はウィーズリーおじさん、ウィーズリー氏、単におじさんと最低でも3つある。多分細かく探したらアーサーやパパ、父などもあるかもしれない。一体、なにを基準にしてるのかまったく分からないし、ただでさえハリーポッターは登場人物が多く、日本人には馴染みのない名称、名前が多いので混乱させないでほしい。

・きちんとした校正をしてもらいたい。


■一般的ではない単語
 赤剥けなど一般的とは言えない言葉を何度も使ってる。
必要があるなら構わないし、調べればすむことだが、他の言葉に置き換えればすむような言葉をわざわざ使ってるとしか思えない。それとも、明らかに大人でも理解しがたいと思われる小難しい単語を当てはめたがるのは原作者の『児童書を書いているつもりは無い』っていう発言を曲解しているのだろうか?
「頽れる」など概念的ニュアンスが違う訳もたびたびみられる。ルビなどもわざわざ不必要に一般的ではないほうを採用することがあるが、大げさというか中学生がかっこいい文章書こうとして難しい漢字を使いたがっているみたいな印象がある。
 たしかに辞書には載っているが日本語として合っているならなんでも使っていいということにはならない。原作が普通の英語で書かれてる作品なら、その翻訳も普通の日本語で書くのが原作者に対する礼儀ではないか?
 訳者の思惑で普通はあんまり使われないような言い方や漢字を使うのは納得できない。
昔ならともかく最近出版された本の作家さんは決して使いそうもない言葉が並びすぎる。 「キテレツな」という言葉は意味としてはわかるけど、最近の本では見たことない。「○○はグー!」っていうのも、goodのことだとわかる子供がいるかどうか。今時の小学校は授業で英語やるから逆に不自然さが際立つと思う。今の子供に「チョベリバ」と言ってもたぶん通じないのと同じように「チョー」なんて10年後の小学生に理解できないと思われる。


■翻訳
 まるで通訳されているかのように、原文をそのまま順番どおりにどんどん訳していく。その結果、日本語として奇妙になっている。英文は関係代名詞とかでどんどん長くしていけるけど、日本語はもっとセンテンス短い原語だから、うまく2つ3つに切った方がわかりやすいしリズムもいい。そういう工夫が見られない。
 それに翻訳者が生きた英語、英国を知らないのではないかと思える箇所が山ほどある。いかにも辞書をひきひき言葉を捜しているような印象だ。原書の持つ生き生きとして息吹みたいなものが、邦訳ではほとんど活かされていないのは悲しいかぎりだ。
 原文にはないのに「監督生のバッジ→監督生の金バッジ」など、勝手に単語をくっつけて作文しているのも気になる。後々どんな伏線となるか分からないのだから、小物や調度品の説明を加えるのはいかがなものか。
 一行まるまるすっとばしてるときもあるがそれは単なるミスなのか?それとも原作者の許可をとってやっていることなんだろうか?


まとめ

 誤訳や適さない表現は、どの翻訳作品にでもあるだろう。
 追放された巨人を消え去った巨人としたところで意味は通じるし、だまらっしゃいと言うキャラクターがいたってたいしたことではない。
 だが問題は量である。

 いかにもいきあたりばったりの逐語訳、文章のテンポ感や言い回し、修辞の使い方など、およそ文学作品 を構成するに足る基本的なスキルがつたないこと。
 能力不足故に作品が大部になるほど、また主人公が児童期を抜け、彼を取り巻く社会が広く複雑になるほど、原著との乖離が目立ち、不当につまらなくさせていること。
 とりわけ格調や様式感といった点に無頓着で、全てを口語訳的に処理しようとするために、原著の品位を貶めていること。
 このような傾向から、本来、分厚い作品ながら息もつかせずに読み終わるべきところが、いたずらに冗長感のみが強まっていて実に読みにくい。

 大人にこそ魅力的なこの物語を、よりよい日本語にしてより大人に読んでいただきたい。
 原作のイメージに忠実で、オトナが読んでも恥ずかしくない、子供に読ませても安心な正しく読みやすい日本語でかかれたハリーポッターが出版されるのを切に希望する。