不死鳥の騎士団/1~5章

Last-modified: 2021-11-19 (金) 22:21:35
 

1章

眠たげな静寂

■日本語版 1章 p.10
鉄砲でも撃ったようなバシッという大きな音が、眠たげな静寂を破って鳴り響いた。

■UK版 p.9
A loud, echoing crack broke the sleepy silence like a gunshot;

■試訳
銃声のような大きな音が、眠気を誘う静寂を破って鳴り響いた。

■備考

  • sleepy silence=眠気を誘う静寂
  • 鉄砲はバシッという音は出さないと思う。


ゴロゴロ

■日本語版 1章 p.20
低くゴロゴロと聞こえる車の音

■UK版 p.15
the low grumble of traffic on the road

■備考

  • 車の音はゴロゴロではないと思う。


胃が引っくり返った

■日本語版 1章 p.31
胃が引っくり返った。

■UK版 p.21
His stomach turned over.

■試訳
ハリーは吐き気を覚えた。

■備考

  • イディオムに turn one's stomach というのがあり
    怒りや焦り、ショックでむかむかする(気分が悪くなる)こと。overついても同じ。
    ジェットコースターで振り回されても気分が悪くなるでしょ。
  • こういう身体の一部を使った言い回しは、言語ごとに独特のものがあるから
    胃がひっくり返ったと直訳しても意味が分からないわな。
  • その箇所はディメンターの姿を確認したところだから、
    『ハリーは吐き気を覚えた』とか素直に訳してもショックの大きさがわってきていいかもね。


2章

手を揉みしだいた

■日本語版 2章 p.36
フィッグばあさんは手を揉みしだいた。

■UK版 p.24
Mrs Figg, wringing her hands.

■試訳
怒って両手に拳を握りしめた。


盆に返らず

■日本語版 2章 p.42
こぼれた魔法薬、盆に帰らずってとこか

■UK版 p.27
it's no good crying over spilt potion, I suppose ...

■試訳
「こぼれた魔法薬を嘆いても仕方がない…か」

■備考


坊主

■日本語版 2章 p.44
「坊主、どうした?(省略)」
■日本語版 2章 p.44
「坊主、誰にやられた?(省略)」
■日本語版 2章 p.52
「坊主、続けるんだ」
■日本語版 2章 p.53
「坊主、どうして転んだりした?」
■日本語版 2章 p.59
「追っ払ったんだな? え、坊主?」

■UK版 p.28
‘What is it, son?(省略)’
■UK版 p.28
‘Who did it, son?(省略)’
■UK版 p.32
‘Go on, son,’
■UK版 p.33
‘How come you fell over, son?’
■UK版 p.36
‘Fought'em off, did you, son?’

■備考

  • ダドリーがディメンターに襲われた所。
  • 全部バーノンからダドリーへの台詞なんだけど、
    親バカの親が自分の息子のことを「坊主」と呼ぶものだろうか?
    「腕白小僧」とか「悪戯小僧」とかいう言い方はするけど…。
  • ちなみにハリーのことは「小僧」(原書ではboy)。
    途中でどっちを指しているのか分からなくなって、邦訳は読んでいて少し混乱した。


気配は微塵も見せない

■日本語版 2章 p.63
ハリーの両親の殺害が、辛い話題だろうなどという気配は微塵も見せない。

■UK版 p.38
without the slightest sign that the murder of Harry’s parents might be a painful topic to anybody.

■試訳
(略)気遣いは微塵も見せない。

■備考

  • 「気配」じゃなくて「気遣い」では?


最後のあれ

■日本語版 2章 p.68
「私の最後のあれを思い出せ。ペチュニア」

■UK版 p.41
Remember my last, Petunia.

■備考

  • 原作の厳格なイメージぶち壊し。
  • ダンブルドアからの手紙なのに「私」…
  • 作者のFAQによると「my last」は「my(Dumbledore's) last letter」という意味で、
    ハリーをダーズリー家に預けたときに携えた手紙のことらしい。
  • また、last には「最後の」という意味のほかに「この前の」という意味があり、「my last」は「この前の手紙」と訳すのが適切。


3章

ショック状態

■日本語版 3章 p.79
ハリーはショック状態だったが、

■UK版 p.47
despite his state of shock.

■試訳
ハリーは呆然としていたが、

■備考

  • 魔法界の人々の突然の登場にとても驚いている場面。
  • 「ショック状態」は命の危機にあると想像する。


ハート型の顔

■日本語版 3章 p.79
色白のハート型の顔、キラキラ光る黒い瞳、髪は短く、強烈な紫で、つんつん突っ立っている。

■UK版 p.47
she had a pale heart-shaped face, dark twinkling eyes, and short spiky hair that was a violent shade of violet.

■試訳

  1. しっかりとした額にふくよかな頬、すらりと通った顎を持つ色白の丸顔だ。瞳はきらきらと黒く輝いている。つんつんと突っ立たせたショートヘアは、強烈な紫色をしていた。
  2. 逆三角形の顔で、瞳はきらきらと黒く輝いている。つんつんと突っ立たせたショートヘアは、強烈な紫色をしていた。

■備考

  • ハリーを迎えにきた闇払い達。その面々を描写しているシーンにて、トンクスの容姿についての文。
  • いくらなんでも heart-shaped face を「ハート型の顔」とは強引すぎる直訳。
  • キャラクターの外見の描写は、物語文学において読み手のイメージをふくらませる重要なもの。「ハート型の顔」では、どういった容姿なのか全くわからない。
  • そして、無理に一文で容姿を説明しようとしているために、読点がやたらと続く読みにくい文となっている。
  • 「キラキラ」がカタカナなのに、同じオノマトペの「つんつん」がひらがなである。文章に統一性がないのがよく分かる。
  • heart-shaped face(ハート形の顔)は、日本語で言う「逆三角形の顔」の事。(「自分のことを英語で伝える! 基本フレーズ80」より)


ヘフハ

■日本語版 3章 p.81
「ラッキー?ヘ!フ!ハッ!」

■UK版 p.48
‘Lucky, ha!’

■備考

  • 迎えにきた騎士団メンバーに「ダーズリー達が出かけててラッキーだった」と言ったハリーにトンクスが返した台詞。
  • 日本の子供達のあいだではきっと明るくておもろいネーチャンと認定されたことだろう。
  • 「ha!」はバカにしたような「ケッ!」というか「フン!」。
  • 谷川俊太郎訳の「ピーナッツ(スヌーピーの原作)」ではそのまま「ハ!」
  • 「へ!」と「フ!」をどうして入れようと思ったのか…


4章

声を低く

■日本語版 4章 p.102-103
「(略)それと、ホールでは声を低くしてね」

■UK版 p.60
“(略) And keep your voice down in the hall,”

■試訳
「(略)それと、ホールでは静かにしてね」

■備考

  • “Keep your voice down.”は「ちょっと声が大きいよ」 「静かにして」 と注意するときによく使う表現。
  • 「声を低くしてね」だと、低い声なら大声でもOKになってしまう。


ふくろうが途中で傍受される

■日本語版 4章 p.108
「(略)あの人は、ふくろうが途中で傍受されるかもしれないって言った」

■UK版 p.63
’(略)he said the owls might be intercepted.’

■試訳
「(略)先生がふくろうは途中で捕まるかもしれないって言ってた」

■備考

  • "intercept"には途中で捕らえる・(電波を)傍受するという意味があるが、この場合可能なのはふくろうを捕獲して連絡内容を調べる事である。
  • そもそも、傍受は電波に用いる語なので日本語として間違っている。


いかれぽんち

■日本語版 4章 p.126
「いかれぽんちさ。あんなの見たことない」
(略)
いかれぽんちなんかじゃないわ、ロン」

■UK版 p.72
“Nutter. Never met one like him.”
(略)
“He’s not a nutter, Ron -”

■備考

  • いかれぽんちとは、軽薄で頭が悪い間抜けな男性のこと。
    1950年前後の流行語で昭和時代にはよく使われたが年々使われることが少なくなっている。
    日本語俗語辞書より)
  • こんな言葉をロンとハーマイオニーに言わせるな。


老女

■日本語版 4章 p.128
窓の向こうに黒い帽子を被った老女がいて、叫んでいる。まるで拷問を受けているかのような叫びだ
■日本語版 4章 p.128
老女は涎を垂らし、白目を剥き、叫んでいるせいで、黄ばんだ顔の皮膚が引き攣っている。
■日本語版 4章 p.129(※原文は改行なし)
ルーピンとウィーズリーおばさんが飛び出して、カーテンを引き老女を閉め込もうとした。
しかしカーテンは閉まらず、老女はますます鋭い叫びを上げて、(省略)
■日本語版 4章 p.129
老女の顔が血の気を失った。
■日本語版 4章 p.130
老女の叫びが消え、しーんと沈黙が広がった。

■UK版 p.74(※原文は改行なし)
a window behind which an old woman in a black cap was screaming and screaming
as though she were being tortured
■UK版 p.74(※原文は改行なし)
The old woman was drooling, her eyes were rolling,
the yellowing skin of her face stretched taut as she screamed
■UK版 p.74(※原文は改行なし)
Lupin and Mrs Weasley darted forward and tried to tug the curtains shut over
the old woman, but they would not close and she screeched louder than ever,
■UK版 p.74
The old woman's face blanched.
■UK版 p.75
The old woman's screeches died and an echoing silence fell.

■備考

  • シリウスの母親の表現、老女。
  • 彼女が死んだのは1985年で、5巻の10年前。(シリウスが25くらいの時)
    肖像画が年をとるかどうかはよくわからないけど、校長たちの肖像画が白髭まみれになっていないところを見ると、たぶん死んだ時から変わらないんじゃないかと思う。
  • ここでは口語表現の「おふくろ」や「女主人」、「年配の女性」の意味ではないだろか?


5章

お言葉だが

■日本語版 5章 p.147
「お言葉だが、モリー、わたしは、この子が誰か、はっきりわかっているつもりだ」

■UK版 p.84
‘I'm perfectly clear who he is, thanks, Molly,’

■試訳
「この子が誰かなんてことはよく分かっていますよ、お言葉ありがとうモリー」

■備考

  • あのいやみったらしい「ありがとう」はシリウスの性格を表す大事なセリフだと思う。


自分を転覆させようとしている

■日本語版 5章 p.156
「(略)ダンブルドアが嘘をついて、自分を転覆させようとしていると信じ込むほうが、どんなに楽かしれない」

■UK版 p.89
“(略) It’s so much more comfortable to convince himself Dumbledore’s lying to destabilize him.”

■試訳
(略)失脚させようとしている(略)

■備考

  • ここの「自分」はファッジの事。
  • それをいうなら「失脚させようと」だろ。




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