死の秘宝/20〜22章

Last-modified: 2024-03-30 (土) 04:29:57


20章

スモモ飛行船

■日本語版 20章 p.28
「スモモ飛行船だ。異常なことを受け入れる能力を高めてくれる」

■UK版 p.327
"the Dirigible Plum, so as to enhance the ability to accept the extraordinary."

■試訳

  1. 思い込みプラム
  2. 啓蒙プラム

■備考

  • この実を日本語版は「スモモ飛行船」と訳しているが、
    本当は"Dirigible(コントロールできる) Plum(スモモ/プラム)"
    ルーナ父の説明から、思考等をコントロール出来る(多分思い込み)プラムと分かる。
    つまり正体は何か特殊なプラム。
  • どう考えても飛行船は木にならないのでせめて「飛行船プラム」だよね。
    モノは「プラム」なので。

21章

死神 その1

■日本語版 21章 p.32
「そして、『死』が三人に語りかけました――」

■UK版 p.330
'"And Death spoke to them ―"'

■試訳
「そして、死神が三人に語りかけました――」

■備考

  • 常に大文字から書かれるDeathというのは「死神」の事。
  • おとぎ話で「死」を登場人物にしたら抽象的過ぎて不自然。
  • p33「死神が透明マントを持っていたの?」「死神は怒っていました」等、
    以降に出てくるDeathを死神と訳すと自然になる。
  • he,himという表現。
     p33「こっそり人間に忍び寄るためさ」('So he can sneak up on people,')
  • 19章にも同じ様なケースが見られる。
  • *notes

死神 その2

日本語版 21章 p.33
「~そして、『死』を免れるほど賢い三人に、それぞれ褒美をあげると言いました」

■UK版 p.331
and said that each had earned a prize for having been clever enough to evade him.

■備考

  • 『死』だと「免れる」が来るが、『死神(彼)』だとevadeは別の意味になりそう。
  • 参考

死神 その3

日本語版 21章 p.36
『死を制する者』

■UK版 p.333
"master of Death"

■備考

  • これも死神?

迷信どっさり

■日本語版 21章 p.42
「迷信の一つだよ。『真夏生まれの魔女は、マグルと結婚する』、『(あした)に呪えば、夕べには解ける』
『ニワトコの杖、永久(とこしえ)に不幸』。聞いたことがあるはずだ。僕のママなんか、迷信どっさりさ」

■UK版 p.336
‘One of those superstitions,isn't it? “May-born witches will marry Muggles.” “Jinx by twilight, undone by midnight.”
“Wand of elder, never prosper.” You must've heard them. My mum's full of them.’

■試訳
「迷信の一つだよ。『五月生まれはマグルに嫁ぐ』、『黄昏に呪えば、夜半には解ける』
『ニワトコの杖に栄えなし』。聞いたことがあるはずだ。僕のママなんか、迷信ばっかりさ」

■備考

  • ラブグッド家で、ロンが魔法界の迷信について話すシーン。
  • モリーが迷信を信じるタイプだと言っていますが、そういう人を「迷信どっさり」とは言わないと思う。
  • 結婚のジンクスも「真夏」と「マグル」で頭韻だと思う人は居ない。
    「五月生まれはマグルに嫁ぐ」で良いじゃん。「嫁ぐ」とすれば魔女(女)と書かなくても良いし。
    「ニワトコ」と「とこしえ」はまあ良いけど苦しいねw
  • may-bornは五月生まれで、五月は真夏では無く初夏なのでは?と気になりました。
    原書がMで韻を踏んでるのを訳でも踏襲したのかもしれませんが、
    内容を変えたら駄目だと思うんですが…。
  • 普通、時間で考える時はtwilightは黄昏時なんだけどね。
    夕方の薄明かりが残る状態。
    「The Twilight of the Gods」は「神々のたそがれ」。
  • midnightがどうして夕べになるんだー。
    中学生でも「真夜中」って分かるだろ。
  • 恐らく原文が韻を踏んでいるから、(twilight, midnight)
    (あした)に呪えば、夕べには解ける』で語呂を良くしたつもりじゃないかな。
    「黄昏に呪えば、夜半には解ける」で原文に近い言い方も出来るのにね。
  • by twilightというのは「夕暮れまでに」っていう時間の問題じゃなくて
    「夕暮れの薄明かりで」(薄明かりを光源にして)っていう意味だと思うけど?
    薄暗い所でよく見えないまま呪いかけても夜中までには解けちゃうよって事じゃないの?
  • *notes

ドサッという金属音

■日本語版 21章 p.50
吐き気を催すようなドサッという金属音が繰り返し聞こえた

■UK版 p.
He heard (略) a series of sickening metallic thuds

■試訳
ぞっとするような金属的衝撃音が連続して聞こえた

■備考

  • ラブグッド家を訪ねて三人兄弟の物語を聞いた後に爆発が起きたシーン。
  • 金属音でドサッとは可笑しく無いですか?
  • このthudsというのは、必ずしも「ドサッ」「ドスン」という擬音で表わすもんじゃなく
    「衝撃音(複数形)」と言う事だよね。
    a series of sickening metallic thudsと有るから
    「ぞっとするような金属的衝撃音が連続して聞こえた」という事だ。
    (吹っ飛ばされたゼノが螺旋階段を頭から転げ落ちていく音だから)
  • 日本語はオノマトペが豊富なので、使うなら当然金属音に相応しいものを選択して
    「ガン、ガン、ガン」て感じだろうが、幼稚になるのでガンガンは無くても良いかも。

22章

ひざまずく

日本語版 22章 p.76
小さなラジオのそばにひざまずいていた。

■UK版 p.355
kneeling on the floor beside the little radio.

■試訳

  1. 小さなラジオのそばに膝をついていた。
  2. 小さなラジオのそばで膝立ちになっていた。
  3. 小さなラジオのそばに座っていた。

■備考

  • ポッターウォッチのパスワードを当てたロンに呼ばれ、ハリーがテントの中に入ったシーン。
  • 日本語で「ひざまずく」は祈りを捧げたり忠誠を誓ったりするイメージが強いのでは無いか。
    (画像検索ではプロポーズが圧倒的に多くヒットする。次いで偉い人に傅く図)
  • kneeling on the floorは正座から片膝を立ててしゃがむ様な行儀の悪い座り方まで当て嵌まる。
    (画像検索では殆どが両膝を付いた正座)
  • 二人でラジオに集中しているのかと思ったら、ハーマイオニーは手持ち無沙汰で剣を磨いていたとある…

ごたごた

日本語版 22章 p.79
現在のごたごたから抜け出した暁には

■UK版 p.357
if ever we get out of this mess,

■試訳
現在の混乱から抜け出した暁には

■備考

  • ポッターウォッチでのリーのセリフ。
  • messがごたごた…

ほとんど常に

■日本語版 22章 p.81
ほとんど常に正しい

■UK版 p.358
nearly always right

■試訳

  1. いつでも正しい
  2. 大抵の場合正しい
  3. ほとんどの場合正しい

■備考

  • ポッターウォッチでのリーマスのセリフ。
    以前に身籠ったトンクスから逃げてハリーと同行したいという申し出を受け、大喧嘩(?)し決別して以来のリーマスからハリーへのセリフ。
  • nearlyとalwaysを分けて訳した様だが、nearly alwaysで一つの意味になる(たいてい、いつでも)。
  • 「ほとんど」と「常」は併用したら可笑しい。
  • 直後に感動したハーマイオニーが復唱するのがダメ押しになっている…

構内

日本語版 22章 p.81
構内で

■UK版 p.358
within the grounds of Hogwarts

日本語版 22章 p.81
構内で逮捕されかけました。

■UK版 p.
has narrowly escaped arrest within the grounds of Hogwarts

■試訳

  1. ホグワーツの敷地内で
  2. 学校の敷地内で
  3. 校内で

■備考

  • ポッターウォッチでのハグリッドのニュース。
  • 直前に「ホグワーツ校の名物森番」とあるので、「ホグワーツ」の重複を避けたようだが…
  • 原文では辛うじて逮捕を免れた感が出ているが、邦訳では軽い。

レイピア、諸刃の剣

日本語版 22章 p.83
『レイピア、諸刃の剣』にしたいって言ったじゃないか!

■UK版 p.359
I told you I wanted to be "Rapier"!

■試訳
『レイピア』にしたいって言ったじゃないか!

■備考

  • ポッターウォッチでのフレッドのセリフ。
  • 原書では「諸刃の剣」に当たる語句は無い。
  • レイピアとはフェンシングで使われる武器に似た細身の剣。
    RPGなどではそのまま「レイピア」、漢字にするなら「小剣」となっている。
  • 確かに両刃だが、日本語で「諸刃の剣」と言うとブロードソード等の幅広の剣をイメージする人が多いのでは無いか。
  • 双子の片割れと両刃とを掛けたコードネームという事を教えようとしたのならあからさま過ぎである。
  • こんなものに無理矢理注釈(しかも意味が分からない)を付けるなら、パースニップに付けてくれないかな…?

ヴォルデモートは海外だ!

日本語版 22章 p.85
ヴォルデモートは海外だ!

■UK版 p.360
He's aboad!

■試訳
あいつは海外だ!

■備考

  • ハリーがうっかり名前を呼んでしまい、捕まってしまう重要なシーンの直前。
  • 日本語版では「ヴォルデモートは海外だ!」って言ってしまっているせいで、
    その後ハリーが「ボル」って言いかけた時にロンが止めようとする緊迫した場面が台無しになっている。
  • これ「あいつは海外だ!」と訳しても通ずると思うんだけど。

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  • 死ってデスのことだったんだ…日本語で死っていうと現象とか抽象的なイメージで、現象がどうやってしゃべったり物くれたりするのかイメージできなくて気持ち悪かったところだよ… -- 2014-09-25 (木) 22:24:56
  • 『レイピア、諸刃の剣』引っ掛かってました。二種類の別の武器じゃないのか?どういう意味なんだ?と… -- 2016-06-22 (水) 21:52:08
  • あと日本語で「諸刃の剣」と言うと、武器名というより慣用表現が一般的だと思います。成功したらメリットは大きいけど失敗したらデメリットも大きい、のような。 -- 2016-06-22 (水) 21:53:11
    • 国語辞典にも「非常に便利だが、その分危険も大きい」といった意味しか載っていませんね。 -- op2chスレ主 2022-07-26 (火) 11:51:15
  • 日本人のアラサー、アラフォー世代にとって「諸刃の剣」はでかい剣だよねwドラクエのガイドブックのイラストの影響はでかいね -- 2017-01-29 (日) 03:45:36
  • 死神その1 UK p.330 死神その2 UK p.331 死神その3 UK p.333 ひざまずく UK p.355 ごたごた UK p.357 ほとんど常に UK p.358 構内 2つあるけどどちらも同じですよね? UK p.358 レイピア UK p.359 -- ヘキサ 2018-10-05 (金) 20:40:13
  • 死という実態のないものを、死神という実態のあるイメージの湧きやすいかたちにするからこそお伽話となりうるのに。タイトルは死の秘宝でも、お伽話の中は死神としたほうが分かりやすいよね。日本の民話でも、「玉手箱のなかには『時』が入っていました」なんてしないわけで…。 -- 2021-11-30 (火) 08:25:16
    • 判りやすいたとえだ -- 2023-04-24 (月) 21:45:43
  • 全体的にオノマトペの使い方が変な気が -- 2024-03-19 (火) 22:26:02