21章
無傷で対決
■日本語版 21章 p.6
シリウスに手紙を送り、ハリーが、無傷で対決したドラゴンを出し抜いたことを知らせるためだった。
■UK版 p.317
…so that Harry could send Sirius a letter, telling him that he had managed to get past his dragon unscathed.
■試訳
シリウスに手紙を送り、ハリーがドラゴンの攻撃をなんとかすり抜け、痛手を受けずにすんだことを知らせるためだった。
■備考
- 邦訳の「無傷で」は「出し抜いた」に掛かっているのだろうが、
この位置では「対決した」に掛かっている様にも読めるので分かり難い。
またハリーは完全に無傷でドラゴンの攻撃をかわした訳では無いので、
unscathedの訳は「痛手(重傷)を受けずに」とした方が良いのでは。 - 更にこの場面を始め19章~22章位で「ドラゴンを出し抜く」という表現が沢山使われているが、
「出し抜く」は「他人の油断につけこんだり、相手をだましたりして、人より先に物事をする」と言う意味の言葉。
ハリーが切り抜けた第一の課題はドラゴンを上手く騙してかわすのが目的の試合ではあったが、
何か「先に物事をする」訳では無いので「出し抜く」というのは相応しくないのでは。
get pastの訳なら「すり抜ける」「攻撃をかわす」等とした方が良いのでは無いか。 - 更にこの部分・get pastの前にmanage to(何とか成し遂げる)が入っているので、
試訳の様にした方が原文の感じが伝わったと思うがどうだろう。
がっぽり宿題
■日本語版 21章 p.20
「ベクトル先生がハーマイオニーに、がっぽり宿題を出してるといいな。」
■UK版 p.325
‘I hope Hermione got loads off Professor Vector,’
■試訳
「ベクトル先生がハーマイオニーにどっさり宿題を出してるといいのに。」
■備考
- ロンのセリフ。
- 「がっぽり」は一度に沢山の金が手に入ったり、または出たりする様を表す俗語なので、
この場合は「どっさり」「たっぷり」等の方が良いのでは。
いつか
■日本語版 21章 p.37
「ハリー・ポッター……ドビーがいつかあなたさまをお訪ねしてもよろしいでしょうか?」
■UK版 p.419
"Harry Potter... can Dobby come and see you sometimes, sir?"
■試訳
「ハリー・ポッター……ドビーが時々あなたさまをお訪ねしてもよろしいでしょうか?」
■備考
- sometimesは時々、いつかはsomedayですよね?
22章
おたおたするタマ
■日本語版 22章 p.50
――自分が死んでも授業を続ける妨げにならなかったビンズ先生のことだ。
たかがクリスマスごときでおたおたするタマではないと、みんなそう思った。
■UK版 p.342-343
― as Binns hadn't let his own death stand in the way of continuing to teach,
they supposed a small thing like Christmas wasn't going to put him off.
■試訳
――自分の死さえ授業を続ける妨げにならなかったビンズ先生のことだ。
クリスマスのようなささいなことで自分を見失う人ではないと思われた。
■備考
- 「おたおたするタマ」って凄く下品な言い方だと思う。
原文は普通の英語みたいだし。 - 教授の事なのに「おたおたするタマじゃない」とかは酷いな。
魔法の学校じゃなくてヤクザの学校みたいだ。
- 前半部分も日本語としてちょっと変じゃないですか?
23章
重すぎまーす
■日本語版 23章 p.68
「オグワーツのたべもーのは、重すぎまーす」
■UK版 p.441
‘It is too 'eavy, all zis 'Ogwarts food,’
■試訳
「ボリュームありすぎマス」
■備考
- 「heavy=重い」は直訳し過ぎと言う意見と
調理法含めての脂っこくてカロリーが高そうな感じが出ていて良いと言う二つの意見に割れている。
コムサ!
■日本語版 23章 p.91
「もしーも、ポルターガイストがボーバトンに紛れ込むようなことがあーれば、追い出されまーす。コムサ!」
■UK版 p.364
‘and eef a poltergeist ever entaired into Beauxbatons, 'e would be expelled like zat.’
■備考
- ダンスパーティーの場面でのフラーのセリフ。
- 原文では‘like zat’なのに、わざわざ(こんな風に)とルビを付けて「コムサ!」というフランス語になっている。
(!も勝手に付けている) - またこれに答えるロジャー・デイビースの‘Like that. Yeah.’(同ページ)というセリフも「コムサ!うん」となっている。
どちらも余計な脚色では無いか。
24章
特ダネ
■日本語版 24章 p.115
リータ・スキーターの特ダネ
■UK版 p.377
Rita Skeeter's Scoop
■試訳
リタ・スキーターのスクープ
■備考
- 24章のタイトル。
- 特ダネでも間違いではないが、Scoopはそのままスクープでいいと思う。
混血
■日本語版 24章 p.129
「混血の仲良しがいなくて寂しいのか?」
■UK版 p.385
‘Missing your half-breed pal?’
■試訳
「雑種の仲良しがいなくて寂しいのかい?」
■備考
- ドラコからハリーへのセリフ。
- ハリーは混血(half-blood)でhalf-breed pal=ハグリッドなので、ここは誤訳だと思われる。
やってみろだわ
■日本語版 24章 p.143
やるならやってみろだわ!
■試訳
やるならやってみなさい!
■備考
- やってみなさいじゃダメなの?
ヒトのでき損ないな
■日本語版 24章 p.144
あんな、ヒトのでき損ないみたいな女のことでオタオタするなんて、絶対ダメ!
■UK版 p.493
He should never have let that excuse for a human being upset him!
■備考
- "excuse for a human being"で、人でなしみたいな意味になるのだと思います。
みっともない人、哀れな人の形容に使われるイメージ。
「ヒトのでき損ないみたいな」何て、酷いな…
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- 確かにhalf-bloodは混血、half-breedは雑種で区別したほうがいいな。 -- 2020-10-18 (日) 05:25:51
- 同意 -- 2024-03-10 (日) 20:16:05
- いらない脚色がおおすぎる -- 2022-04-05 (火) 14:06:19
- すごく同感です -- 2022-08-15 (月) 18:18:43
- コムサってなんだ -- 2024-04-13 (土) 23:31:11