ハルヒと親父 外伝ーキスキス (110-714)

Last-modified: 2009-05-24 (日) 15:20:11

概要

作品名作者発表日保管日
ハルヒと親父 外伝ーキスキス110-714氏09/05/2309/05/24

 

作品

小さいハルヒ:ねえ、親父は母さんにキスするの?
親 父 :する。だが、見せんぞ。
小ハルヒ:なんで? ケチ。ケチ親父。
親 父 :人に見せるようなもんじゃないからだ。
小ハルヒ:なんで? 親父、ヘタなの?
親 父 :おまえはトイレに入ってるところを人に見せるのか? それと同じだ。
小ハルヒ:親父、下品。
親 父 :鼻をつまむな。つまむなら自分のにしろ。
小ハルヒ:いいじゃない。減るもんじゃないんだから!
親 父 :おまえ、それはエロ親父のセリフだぞ。
小ハルヒ:えー。あたしエロくないよ。
親 父 :いや、エロい。エロエロだ。
小ハルヒ:子供にエロいって言う大人のほうがエロいわよ!
親 父 :それはそうだ。
小ハルヒ:やーい、エロ親父。
親 父 :おまえはそのエロ親父の娘だぞ。
小ハルヒ:うっ。
親 父 :だいたい、なんでそんなもの見たいんだ?
小ハルヒ:こ、好奇心よ! だって今日はキスの日でしょ。
親 父 :威張るような理由じゃないな。第一キスなんか、人のを見たってどうしようもないぞ。自分でするもんだろ。
小ハルヒ:せっかく子供が聞いてるんだから、もっとちゃんと答えなさいよ!
親 父 :子供だからっていばるなよ。
小ハルヒ:あんただって、親父ってだけで偉そうじゃない!
親 父 :親父だから偉そうなんじゃない、偉いから親父というんだ。
小ハルヒ:また。訳のわからないこと言って!
親 父 :おまえにも分かるように説明してやる。ハルヒ、おまえ、赤ん坊はどうやってできるか知ってるか?
小ハルヒ:うっ。し、知ってるわよ、具体的に細かいところまでは知らないけど。
親 父 :バカな親がバカな娘を育てたとする。バカな娘は、なにしろバカだから、バカな男をつれてきて、こいつと結婚するという。バカな親の方は、すこしだけバカ娘よりは長生きしているから、このバカ男といっしょになっても、ろくなことにならないことぐらいは分かる。だから反対する。するとどうなる?
小ハルヒ:どうなるのよ?
親 父 :バカ男とバカ娘は、たくさんセックスして、今度は腹に子供をつくってから、やってくる。どうだ、これで文句ないだろ、と大威張りだが、文句はありありだ。人の娘をはらます前に、自分の仕事を探しやがれってんだ。……という具合に、そこ抜けのバカもセックスするし親にもなる。てめえらだけで苦しむだけならいいが、自分の子供を袋叩きにしたり日干しにしたり、あげくの果てには、バカでダメな自分たちは他人から助けてもらって当然だと勘違いしやがる。そんな輩はお天道様が許しても、この金さんがゆるさねえ。
小ハルヒ:あんた、金さんじゃなくて、ただの親父でしょ。
親 父 :ただの親父だが、その時はカミナリ親父になる。
小ハルヒ:で、キスの話はどうなったのよ?
親 父 :安心しろ。キスくらいで子供はできん。
小ハルヒ:そんなこと誰も聞いてないわよ! もういい! 母さんに聞いてくる!
 
****
 
小ハルヒ:親父に聞いてもふざけるだけだから、母さんに聞くわ。
母さん :まあ、なにかしら?
小ハルヒ:キスってどういうもの?
母さん :そうねえ、基本的には良いものかしら。ハルヒも結婚するなら、キスが上手な人がいいわ。
小ハルヒ:どうして?
母さん :だって毎日のことだもの。
小ハルヒ:母さんと親父、毎日キスしてるの?
母さん ;朝と晩、お父さんが出かけるときと帰ってくるとき、あと何かちょっとしたことがあったときとか、ね。
小ハルヒ:ちょっとしたときって? 
母さん :んー、たとえば母さんがドジして、包丁を落としたとするわね。そうすると、お父さんが包丁を拾ってくれて、「気をつけろよ」といって、ついでにチュッってしていくわ。
小ハルヒ:な、な、な、なにそれ? 訳わかんない。
母さん :簡単にいうと「バカップル」と言うのかしら。
小ハルヒ:そんなことでキスしてたら、しょっちゅうキスすることにならないの?
母さん ;ええ。しょっちゅうしてるわよ。
小ハルヒ:あたし、見たことない!
母さん :ふふ。お父さん、照れ屋だから。
小ハルヒ:むー。
母さん :ハルも好きな人ができて、キスしたらわかるわ。
小ハルヒ:ぶー。母さんまで親父と同じことを言う!
母さん :親の願いなんて、そう違わないものよ。ハルが幸せなキスができる女の子に育ったら、母さんはそれだけで満足よ。
小ハルヒ:それだけでいいの?
母さん :あとのことは、ハルなら大抵うまくやれると思うわ。
小ハルヒ:キスってそんなに難しいの?
母さん :キスは難しくはないけれど、誰とキスするか、その人をハルが選んで、逆にその人がハルを選んでくれるかどうか、そこが難しいと言えば難しいかしら。
小ハルヒ:うーん。
母さん :誰だって、人の心はわからないでしょ? ハルも相手の気持ちが分からない、相手もハルの気持ちが分からない。それに互いに想い合っていても、一緒には生きていけない人たちはいくらもいるわ。でもね、うまくいくときはうまくいくの。母さんたちがそうだったようにね。So it goes. そういうものよ。

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