22日から23日にかけての些細な出来事。(110-719)

Last-modified: 2009-05-24 (日) 16:38:19

概要

作品名作者発表日保管日
22日から23日にかけての些細な出来事。110-770氏09/05/2409/05/24

作品

「寝たのか?」
「うん、寝ちゃったわ。」
 
そういってドアの隙間から覗き見るとスヤスヤと寝息を立ててる子供達が見える。
やれやれ、起きてる時はまるで小さいハルヒだと言わんばかりの元気さの子供達も寝ちまえば、可愛いものだ。
もっともどっかの誰かさんも、同じように寝顔は可愛いんだけどな。
 
「どっかの誰かさんて誰の事かしら?」
 
どうやら声に出てたようだ。見上げる視線が突き刺さる。
もっとも怒ってるというより、からかってると言った方がシックリくる視線だ。
長く伸びた綺麗な黒髪を1つにまとめ、その相変らず銀河を写し出したような瞳を供えた女性。
 
「どこの誰って自分の奥さんの事に決まってるだろ?」
「・・・全くそんなの何時見たのよ。」
「そりゃ毎晩の様に拝ませて貰ってるからな。」
「むぐっ。・・・だったらあんたの間抜け面を今度カメラで取って額に飾っておいてあげるわ。」
 
やれやれ変な事を考え出したが、本当に実行しそうだから困る。
まぁ子供が寝ちまった後の時間は大人の時間だ。
大人の時間といっても変なものではないぞ。
単に遅くまで起きてるってだけだ。・・・・・・まぁそれがそのまま『子作り』に発展したのは・・・ってもういいだろ!
週末のこの時間はゆっくり2人で語る時間でもある。
って今日はなんのネタが出てくるやら。っとふとカレンダーに目を通すと『5月23日』に花丸印が付いていた。朝出かけたときは付いていなかったから昼間の間に妻が付けたんだろう。
はて?23日に何か特別な事ってあったか?
 
「何みてんのよ。」
「いやな、『23日』に何か特別な事ってあったか?」
「う゛・・・・・・・・・ちょっとね。大した事じゃないわよ。」
 
と言いながら明後日の方も見てるが耳まで真っ赤にしてるので何かがあるのはバレバレだ。
その時、たまたま見つけた『とある物』の話を思い出した。
そうだな、互いにいい年だから思い出話の1つにでも良いだろう。
 
「そういえば憶えてるか?」
「・・・何よ。」
「高校の時の事だ。確か『ラブレターの日』ってのがあっt「わー!わー!わー!わー!」
 ってなに騒いでるんだ子供達が起きちまうだろって、如何したんだ?お前顔がしゃれにならんくらい赤いぞ。」
「・・・べ、別に良いじゃない・・・・・・で?それが何よ。」
「何って言われてもな。まぁしいて言うなら今の俺とお前の関係はあの時決まったのかなって。」
「そ、そうだったかしら?良く憶えてないわ。」
 
抜かせ。俺よりも頭の出来のいい家の奥さんがアンナ大事な事忘れるものかよ。
まぁそこまで行く間に紆余差曲あったのは間違えないんだがね。
 
「大体、告白は面向かって言われるのが良いって言っておきながら、自分からは恋文だからな。」
「な、なによ悪いって言うの?」
「いや、まぁなんだかんだ俺の奥さんは可愛いって事さ。」
「む~~~~、大体ねあたしがアンナ物書かないといけなくなったのも全部アンタの性なんだからね! ・・・・・・アンタがさっさと面向かって告白してくれてたら、態々アンナ事しなくて済んだのに。」
「しかしなぁ~。差出人不明な上に一言『好きです。』って書かれてたら不思議に思うだろ。」
「だ、だからって全校生徒の前で告白させるような真似しないでよね。まったくなんでアンナ事にあったのよ。」
「ひとえに某名誉顧問の暗躍とだけ言っておこうか。」
「う~~~~~、やっぱりあたしでもあの人には勝てる気がしないわ。」
「因みにサポートはドジッ娘なメイドさんだ。」
「えぇ~~~~!!」
 
どうやらコレには驚きだったようだな。あの一件は殆どが先輩方の暗躍により成り立っていたのさ。
もっとも俺は単に『宇宙人』『未来人』と来た下駄箱の手紙が次は『超能力者』だと思って関係各所に聞き取りを行なった為に事が大きくなったのが真相なんだが。
 
「まぁお蔭でお互いに素直になれたんだし良かったんじゃないか?」
「まぁそれはそうだけど。」
「でも何で今日の所に印なんかつけたんだ?」
「・・・・・・例のアノ手紙を子供達に、正確には上の娘に見つかっちゃったのよ。それで理由を話したら『自分も書く』って。」
 
ムッ!それは聞き捨てならん事を耳にしたな。未だ上に娘は幼稚園だというのに一体何処のどちら様だ。
娘を貰いたいならばこの俺!の前に『特盛りメイド』や『レッドバルーン』や『古武術使い』や『ヲタク魔法使い』を倒してからにしてもらおうか!!
 
「フハハハハハッ!!」
「何切羽詰った顔で不敵な笑いこぼしてんのよ。」
「あぁ、娘に忍び寄る悪い陰を駆逐する為に四天王を召喚したところだ。」
「まぁそんな所だろうと思ったけどね。はいコレ。」
「?何だコレは?」
「良いから読んで見なさいよ。」
 
そういわれて手渡された一通の手紙。
可愛らしい子猫の封筒に入ったその手紙には一言『パパだいすき』と幼い文字で書かれていた。
 
「・・・何感動してんのよ。」
「父親としてこんな嬉しいことは。判ってくれるよね嫁には何時でも会えるから。」
「何劇場版ガン○ムの名台詞でしめようとしてんのよ。させないからね。」
「ダメか?」
「ダメよ。それにもう一通あるんだから。」
 
そういって渡された封筒。さっきの物とは違うがこっちも中々可愛らしい物だ。
見ると顔を真っ赤にした妻が明後日の方を見詰めながらもチラチラとこっちを見ていた。
やれやれ、どうやら此処で開封した方が良さそうだな。
取り出した便箋にはこれまた一言『愛してる』の文字が。
やれやれ
 
「な、何よ。」
「出来れば面向かっていって欲しいものだがね。」
「そ、そんな恥ずかしい事出来るわけないでしょ!」
「そうかい。・・・・・・・・・ハルヒ」
「なに、キョン」
「そのポニーテール。似合ってるぞ。」
 
驚いてこっちを見た妻のその唇にそっと自分の唇を重ねた。
まぁ今からは大人の時間ということさ

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