ベース弦のハーフラウンド化

Last-modified: 2010-08-26 (木) 19:27:48

はじめに

手元に使用済みのベース弦が転がっていて、なおかつハーフラウンドワウンド弦にに興味があったので、その場のノリで実験してみた。

基礎知識

  • ベース弦は主に、(ラウンド/ハーフラウンド/フラット)ワウンドという3種類に大別される。
  • ラウンドワウンド
    • 最も一般的な弦。芯線に丸い断面の巻線を巻き付けた物。ギラギラとした明るい音がする。
    • 指触りはざらざら
  • ハーフラウンドワウンド
    • ラウンドワウンドの表面を削り取り、半月状の断面の巻線としたもの。
    • 多分音はラウンドとフラットの中間?
    • 指触りはややざらざら
  • フラットワウンド
    • 芯線に板状に潰れた巻線を設けたもの。
      • あるいはラウンドワウンドを塑性変形でそのようにした物や、ラウンドワウンドを削り取った物もあるらしいが、近年では一般的じゃないと思う。
    • 音は丸く暖かく、曇った感じ。サスティンが無い。フレットレスベースに良く張られる。
    • 指触りはスルスル

実験方法

  • 弦を段ボールなどの上に置き、弦の長手方向にヤスリで削る(スライドの引っかかりを防止するため、また、削り量の均一化のため。)
    • 巻線の半径よりややとどめた切り込みを程度を目安に。
  • 20cmあたり、10~20往復程度で削れた(正接した場所のみ)。意外と柔らかかった。
    • 1本あたり10分くらいだろうか、予想だと。全てやらなかったので。

実験結果

  • 使い古しの黒い弦を使ったので前後が分かりやすい。

実験前

  • 典型的なラウンドワウンドの表面
    DSCF5683.jpg

実験後

  • 光っている部分が削った箇所。
  • その部分だけ隣接する巻線との間隔が狭まり、触った感じやや滑りが良くなった。
  • 巻線の半径程度にとどめることで、巻線が切れたりすることはなさそうだった。
    DSCF5684.jpg

あとがき

  • 使用済みベース弦に対して、ヤスリで巻線の半径程度の距離を削ると、見た目上、触感上はハーフラウンドになる事が確認できた。
  • 今回の実験結果、使用済みのラウンド弦をハーフラウンド化することは非常に有効な方法ではないかと考えた。理由を以下に示した。
    • 使用済みラウンドワウンドは、金属疲労により音に腰が無く、サスティンが暗い。これはラウンドワウンドとしてはNGだが、この特徴はフラットワウンド寄りとしてなら活かす事が可能となり、使用済み弦でもハーフラウンドとして長く再利用できる可能性がある。
    • 同様に、ラウンドワウンドはその巻線の間に詰まった汚れによりアタックの音が劣化する。表面研磨によりこれを少なからず除去でき、改善できる可能性がある。
    • 使用済みラウンド弦が、マイナーな存在で高価なフラットワウンド弦として再利用できれば、一石二鳥となり追加コストがかからない。
  • 今後、暇であり気が向いたらハーフラウンド化した死亡弦を張り、減少した線密度からくるチューニング時のテンション変化の影響と、出音を確認するつもりである。