ライブ音源作成

Last-modified: 2010-02-27 (土) 15:54:01

これは、サークル所持のMTRでライブを録音した音源を、部員に配布するための手順を示したものである。

ライブ音源作成とは?

ライブ音源作成とは、サークルのみんなの行ったライブをきちんとした記録として残す大切な役割である。その仕事として実際に録音するファイルにする編集する管理する配布すると大きく5つがあげられる。このライブ音源は追い出しなどでいなくなってしまう人への土産として、また自分のライブを反省する材料として非常に重要なものだ。その責任は、ライブ音源作成などと一言でかたづけられないほどあまりにも重大である。と煽っておいたところで、以下にひとつずつ作業を記す。

ステップ1 録音する

ライブ会場へ行こう

まず、わがMSCのクソ重たいMTRを抱えてライブ会場へ必ず行くこと。これはかなり重要なことだ。MTRはサークルにひとつしかない。ゆえに、いかなることがあろうともキミが行かねばライブは録音されない。たとえ面倒だろうが、自分が出てなかろうがライブには出席すること。どうしても欠席しなければいけない場合は他のMTRの操作がわかる人に代役を任せよう。
他の携行品として、電源ケーブルコンデンサマイク変換プラグ(赤白がオス、プラグ側がメス)、変換コネクタ(3.5φ ステレオプラグ → 6.3φステレオプラグが望ましい)、ヘッドフォン(モニター用)、単三電池があげられる。基本的にどれも欠かすことができないので行く前にはきちんと確認しよう。

マイクをセットしよう

マイクに電池が入ってることを確認したら、マイクを録音したい場所に固定しよう。MSCではZippy Hallでライブを行うことが多いため、Zippyでのマイクを固定する場所はぜひ覚えておこう。PA卓の向かって左側、ケーブルのごちゃごちゃした付近だ。ケーブルを絡ませてしっかり固定しよう。
なお、この場所の近くでビデオを撮影することが多いため一言「すいません、マイク気をつけて下さい」と声をかけておこう。マイクには指向性があり、音を録音できる方向は決まっている。それがずれたりぶつかったりすると後の仕上がりに関わるので気をつけよう。
楡陵祭ライブでは紙コップか空き缶にテープでしっかりと固定し、PA卓のど真ん前に設置しよう。お客さんに当たってずれないように位置も固定すること。

MTRを使おう

ここまできたところでMTRの電源をいれて、MTRの残り容量を調べよう。ライブをマイクで2ch録音するのでライブの時間×2分の時間が必要だ。いらない過去のライブなどがあったらばんばん消していこう。次にライブの日付などわかりやすいタイトルをつけた新しいプロジェクトを立ち上げる。そして、マイクを赤白ケーブルで変換しMTRのトラック1と2へ接続して、ダイレクト録音でトラック1と2を選択すれば第一段階は完了だ。
第二段階は録音レベルの調整だ。RECORDボタンのみを押し、音が入力されているか確かめよう。それができていればあともう少しだ。録音レベルを大きすぎず、小さすぎずくらいに調整しよう。調整はフェーダーではなく、ツマミで行う。ツマミの近くにPEAKというランプがあるが、それが点灯するとオーバーレベルとなり音割れが起きる。音割れした状態で録音されるとそこから音源をクリアな状態へ持っていくことは難しい。だが、録音レベルがあまりにも低いと音量をあげたときに一緒にノイズも増幅されてしまう(いわゆるサー音)。MTRを見ながらPEAKが少し余裕を持って点灯しないくらいの大きさに設定しよう。Zippy Hallで録音する場合は、だいたい時計の3時付近にツマミをひねれば問題ない。
あとはライブがはじまる少し前あたりになったら、RECORDボタンを押しながらPLAYボタンを押そう。これで録音がはじまる。ライブが終わってからSTOPボタンを押せば、Now writing...と表示が出て録音完了だ。注意してほしいのは、RECORDボタンを押してからPLAYボタンを押しても録音しているような状態になるのだが、これは停止しても録音されていない。この二つの状態の見分け方はRECORDボタンが点滅しているかどうかだ。点滅していれば録音されていないので間違いないよう確認しよう。

ステップ2 MTRからPCへファイルをうつす

時間との戦い

さて、ここまできたらあとは楽勝…と思ってるのならそれは甘い。確かにMTRにはCDドライブがついている。これで、CD-DAやwaveで出力できれば一瞬ですむ。が、それは飾りだ。何代にも受け継がれてきたMTRにはそのような機能などない。というか壊れている。読み出しも書き出しも不可能だ。
ならば、一体どうやってファイルにするのか。その答えはひとつ。ライブをリアルタイムと同じ時間聞くことだ。つまりMTRでライブ音源を再生し、それをそのままPCで録音するという手法だ。もうおわかりのことと思うがこれは非常に時間がかかる。ひとライブ約3時間×年間ライブ本数約12本で計算すると、PCに取り込むだけでまるまる36時間かかる。決して馬鹿にはならない時間だ。覚悟してもらいたい。

さぁ、取り込みだ

まず2chで録音した音源のパンをLRに振り、同じくらいのレベルで再生されるようフェーダーを調節する。このときコンプレッサーをかけてやると音のゆれ幅が少なくなり、その後の音処理がやりやすくなる。また、マイク1本の空気録音であるためどうしても高音域が削れてしまう。その分の音域を補正しておこう。Hiの4khz以降を少し持ち上げてやると自然な感じに聞こえることが多い。
あとはその音源を実際に聞いてみて確認する。このとき気をつけるのは、ボーカルがちゃんとセンターから聞こえるかどうかだ。ヘッドフォンを変えたりスピーカーを使ったりして、モニター環境を変えながら確かめていこう。WaveSpectraを使って定位を調べたりするのも効果的だ。というのは、モニター環境が変わるとそのスピーカーやヘッドフォンの特性(例えばローが強く出る、高音域がシャリシャリするなど)もまた変わってくるので音源自体の印象が変わってくることがある。どのような環境でもよく聞こえるのがいいミックスやマスタリングの理想だ。チェックは怠らないようにしよう。
この補正した音源を、SoundEngine Freeなどで録音する。こちらの録音レベルも同じようにPEAKを超えないよう、また小さすぎないよう調整しよう。
MTRのPhone outまたはLine outとからアウトしてPCにインプットしよう。そのためオスオスのプラグになっているステレオケーブルは必須アイテムだ。PCのLine inに接続する(Micだと音が増幅されることがある)。このPCのLine inはPC純正でついているものを使うのではなく、サウンドカードまたはオーディオインターフェースにインしてPCへとりこむ。というのは、PCは音声再生専用の機器ではなくPCまわりにはノイズが放射しているため、PCで音源を取り込むとノイズがのってしまうのは仕方のないことである。であるから、PCに直接とりこむのではなくそういった機器に迂回して録音することでよりクリアな状態で音源をとりこむことができるのだ。MSC用のオーディオインターフェースを導入することも場合によっては必要かもしれない。

ステップ3 編集する

このライブ音源をライブ単位で管理するかバンド単位か、それとも曲単位にするかは自由だ。好きにやろう。ただし、waveファイルはファイルサイズが大きいため、バンド単位でwaveファイルを調整しようと思うとけっこうなスペックが要求される場合があるので注意だ。音源の編集には先述のSoundEngine Freeが効果的でやりやすい。
1バンドのライブを曲ごとに分割するやり方を紹介する。waveファイルをそのソフトで読み込んだら、曲の終わったタイムラインに「ここにマークを追加する」からマークを挿入する。これを1バンドのライブ分繰り返す。終わったら、音源をすべて選択したのち(ファイル全体が白黒反転すればおk)、「マークで分割保存」を選択する。そうすると挿入されたマークのタイミングごとにファイルが分割されて保存される。
音量感としては曲では-15db、MCでは-20db近くあれば聞きやすいので、オートマキシマイザなどを使って音圧をあげよう。また、音源がはじまるときはごく短めにフェードインを、終わるときにはフェードアウトをいれると自然な感じに仕上がり、ブツ切り感は消える。他にもグラフィックイコライザなどで音域を補正したりすれば聞きやすくなるが、そこまで求めるかどうかは時間とやる気次第だ。

ステップ4 管理する

ここまでくれば音と関わる仕事は終わりだ。できあがったwaveファイルをmp3に変換し、わかりやすくライブごとにフォルダにまとめておこう。ファイルの種類にはwmvやm4aなど他の形式も候補にあがるが汎用性からここではmp3を推奨する。mp3へのエンコードには午後のこーだなどのエンコーダーを使うことが考えられる。ビットレートは固定の場合192kbps程度が妥当か。320kbpsあれば文句なしだがファイルサイズが大きくなるため自分のPCと相談してきめよう。
配布や整理などの面からも考えてファイルにはタグをつけておこう。タグとはそのファイルの情報(ライブの日時・曲・バンド名など)のことである。膨大なファイルにタグをつけるのは大変なので、super tag editorなど一気に整理できるアプリでタグをつけよう。自分がわからないバンドの曲をコピーしているバンドもあるだろうが、その場合は無理して曲名をつける必要はない。どうしても見栄えがよろしくないと思ったらその出演者になんの曲をコピーしたか確認してみよう。
これは余談だが、MSCの場合事前告知の段階でバンド名が確定してないモノが多く、ライブ直前でバンド名が決まるバンドは多かれ少なかれ存在する。バンドをやっている方はできれば、はやめにバンド名をつけてほしい。ついでにいうと、適当なバンド名だと仮称か本当にその名前なのか判断つきかねる場合がありますよ。後で整理する段階で割を食うのは音源作成担当になってしまうので思いやりを。音源作成担当はバンド名がわからなかったら部会やライブ後に確認するといい。
あとはファイルが消えないように保管しておくだけだ。OSとは別のHDDに保管したりバックアップをとったり、MSCHDDに入れておけば文句なく100点だ。余裕のある人はどんどんやろう。が、あくまで任意だ。
ちなみにこのライブ音源管理に大変なファイル容量を食う。ひとライブ約500MB×年間ライブ本数約12×年数4とすると、約24GBがMSCのライブで埋まることになる。ちなみに筆者のPCは現時点で32GBがMSCライブで埋まっている。これをしっかり守り後世へ伝えていくのも役目と割り切って、惜しみなく容量を使おう

ステップ5 配布する

最後の関門だ。これをもって音源作成の仕事は終わりになる。が、ここでも難問が待ち構えている。
それはあまりに大きいファイル容量だ。mp3のみの配布なら容量を4~6GB付近まで抑えられるが、それでも下手をするとCD-Rで7枚近く必要になる。これで一人分なのだから追い出し時期はCD-Rが何枚あっても足りないという状況に陥りがちだ。泣く泣く自腹を切る…なんてことにはならないよう計画的に考えてみよう。

CD-Rでの配布

まず、CD-R50枚で1000円としてそれプラス何かケースやカバーを用意したとすると、だいたい7人分で1500円かかる。この代金は会計に請求できるとは言え、大きい金額だ。これがおいそれと在校生向けに音源配布できない理由のひとつである。
解決策として追い出される人に自分でCD-Rを用意してもらうという手段があるが、追い出す人への贈り物に何か見返りを請求するようで筋が通っていないような…配布するときはだいたい配布日を決めて行動するが、卒業生が忙しいその時期に運よく日程が空いてるとも限らないのも注意されたし。

メッセンジャーでの配布

無料で、かつ相手とコンタクトがとれればいつでも配布できるのは大きい。同様のソフトにはSkypeなどがあげられる。が、この手段にもデメリットは存在する。まず、PCを持っていない人へのフォローがない(今どきそれはないと思いたいが)。メッセンジャー人口が少ない。それに一度に送信できるファイルは3つまでで、ライブは何十本もある。転送速度が遅い人が相手だと朝までかかって終わらないなど地獄をみる

FTPでの配布

無料で、かつ相手の都合のいいときだけ時間があればファイルを配布できる。自分は鯖を立ち上げたら放置、と両者の都合を考えると一番いい方法だろう。が、この手段のデメリットとしてみんなFTPをまったく知らないこと(情報教育で学んだはず…?)、配布元であるFTP鯖を常時立てられる人間が限られていることがあげられる。やはり知名度で劣るのか、今までこの方法を発言して芳しい反応がかえってきたことはない

アップローダーでの配布

どこかのアップローダーを借りて、そこにファイルをzipやrarなどにまとめてアップして配布するやり方だ。大容量のファイルを無料でアップロードできるところは少ないのでこれも再考の必要がありか。アップローダーの候補としてはAxfc Uploaderがある(他情報求む)。passをかけてファイルをアップするが、passの告知には部員にしか渡らないであろうメーリングリストを使う。

補足

MTRのボタンは利きが悪くしっかり押さないと反応しないことが多い。コツは強く長めに押すこと。
それと音源作成で悩むのは、どのライブを録音するかの判断だ。MSC主催の新歓ライブや追い出しライブ、これは音源作成の義務だ。しっかり録音しよう。
問題は部員主催の個人ライブだ。近年これが増えているが、これを録音するか否か。ハッキリ言ってグレーゾーンであり、どちらでも構わない。一応頼まれたら録音するというスタンスのつもりだったのだが、頼まれたことは一度もない。なので、自分から「録音しましょうか?」と聞いて確認してみるのが一番いいだろう。

総括

と、このように音源作成係は大きな役割を担っている。それに伴って作業量も多いのだと思えば納得できるハズだ。この仕事はMTR使い放題の権利自分のライブを真っ先にチェックできる特典がついている。どちらも今後の音楽生活を向上させる上で欠かせないものとなるのは間違いない。さぁそこのキミも是非音源作成担当になろう!いや、むしろなってくれ

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