402 名前:名無しさん@まどっち[sage] 投稿日:2012/09/25(火) 19:07:54 ID:HHJkZv0.0
「ほむらちゃんは本当にすごいなぁ」
放課後に魔法少女仲間とゲームセンターで遊んだその帰り道。
まどかを家まで送る最中にもう何度も聞いた言葉を、まどかは再び呟く。
その腕の中には一抱えもある大きさのぬいぐるみ。
「もう、その言葉は聞き飽きたわ」
少し呆れ顔で私は返す。
「だって本当にすごいんだもん」
「私じゃこの子、お小遣い全部使っても多分取れなかったよ」
なにがあったか簡単に言えば、クレーンゲームで
まどかにぬいぐるみを取ってあげた、それだけだ。
「そんなに難しいことじゃないわ」
「取るのにどういう手順がいいかを考えて、実行するだけだもの」
補足をすれば、ワンコインで、大物を、ではあるが。
「そんな簡単に言えることじゃないと思うなぁ」
「……ねえほむらちゃん、本当にこの子、私が貰ってもいいの?」
「ええ、そのために取ったのだから」
「でも、お金はほむらちゃんが出してるし」
「このくらい大した額じゃないのだから気にしなくていいわよ」
両親から受け取っている生活費はあまり裕福に出来るほどではないが
浪費するような生活を送ってもないので、いくらかの余裕は持ち合わせている。
時折友達と遊びに行く程度、ましてやクレーンゲーム一回程度が響くほどのお財布事情ではない。
「それにまどかが喜んでくれたのなら、私はそれで満足だから」
「でも……」
まだ納得しきれてないようだけど、タイムリミット。
403 名前:名無しさん@まどっち[sage] 投稿日:2012/09/25(火) 19:08:46 ID:HHJkZv0.0
「ほら、まどかのお家に着いたわよ」
この話を打ち切らせようと、言葉をかける。
「あ、うん」
けれどもまどかは門前で立ち止まり、なにやら考え込みだした。
「まどか?」
どうしたのかと声をかける。
と
「そうだ、ほむらちゃんちょっと待ってて!」
先ほどまでの様子とは一転し、そう声を上げ駆け足で家へ向かうまどか。
「まだ帰っちゃだめだよ!」
玄関扉の向こうに消えたところで扉の隙間からこちらへと顔を出し、またこちらへと呼びかける。
訳が分からずに門前に残されていると、程なくしてまどかは戻ってきた。
私のところまで来ると、腕に中に抱えていたものを差し出してきた。
「この子、ほむらちゃんに持っててほしいの」
「これって……」
目の前にあるのは私が取ってあげたものに勝るとも劣らない大きさのぬいぐるみ。
見覚えのあるそれは、まどかの部屋にあるぬいぐるみ達の中でも
特にまどかのお気に入りのものだったはずだ。
「こんな……受け取れないわ」
「私は見返りが欲しかったわけじゃないもの」
「いいの、私がお礼をしたいだけだから」
「それにほむらちゃんなら大切にしてくれるって信じてるから」
そして半ば強引にぬいぐるみを私に持たせると、まどかは逃げるように家に向かった。
404 名前:名無しさん@まどっち[sage] 投稿日:2012/09/25(火) 19:09:22 ID:HHJkZv0.0
「それじゃあほむらちゃん、またあした!」
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まどかの家を離れ、今度は一人自分の家への道を歩く。
腕の中にはまどか愛用の、愛用だったぬいぐるみ。
まどかの部屋で、他の多くの仲間たちと共に
まどかに可愛がられたであろうこの子。
私の殺風景な部屋で、この子が独り寂しくならないよう―――
「私もぬいぐるみ、集めてみようかしら……」
そう呟き、腕の中のぬいぐるみをより強く抱きしめた。
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規制されてるのでこっちで。
モバゲ終了との事なので以前小ネタ出ししたものをちょっと形に。
http://jbbs.shitaraba.net/anime/8286/storage/1326794872.html