19スレ/720

Last-modified: 2014-04-15 (火) 19:22:59
一人分のベッドに二人分の温もりがあった。
私のベッドは少し大きめだから、二人で寝転がっても狭いと思うことはない。
でも枕は一つしかないから、このまま寝るのなら抱き合ったままになってしまう。
カーテンの向こうは暗く、家は静まり返っていた。
部屋は薄暗い青に染まっている。
「ねえ……やっぱり、下で寝るよ」
「……まって」
まだベッドを出ようとはしていないのに、腰を抱き寄せられる。
ほむらちゃん……。
逃がさないようにと、足まで絡められる。
ほむらちゃんは私の家にお泊りにきていた。
ベッドの傍にはパパが用意してくれたお布団がある。
私はそこで眠るつもりだった。
でも、就寝前にベッドでふざけあっていたら、そのまま二人で横になってしまって、
二人して中途半端に眠って、その結果真夜中に二人して目を覚ましてしまっている。
「でも寝づらいでしょ? 枕だけでも」
「だめ……」
お布団から枕を取ろうと身体を動かしただけなのに、強引に抱きしめられて身動きがとれない……。
暗がりでよく見えないけど、ほむらちゃんの顔は怯えてるように見えた。
「そんなにくっつきたいの……?」
私がそう聞くと、小さく頷いて胸をすり寄せる。
普段はあんなに凛々しくて強いのに、こういうときだけは女の子らしいいじらしさを見せてくれることが嬉しくて、
私は、しょうがないな、と言いつつも、内心喜んで甘やかしてしまう。
「ほむらちゃんがいいなら……このまま寝よ」
背中を撫でてそう言うと、ほむらちゃんは息遣いと間違えそうなくらい消え入りそうな声で小さく返事をして、
おでこ同士をくっつけて目を閉じた。
その仕草がまるで祈りを捧げているようで。
カーテンから溢れた月明かりを浴びるその顔は、まるで祈り子のように見えた。
「ほむらちゃん……寝てる?」
「……いいえ」
うっすらと目を開けて見つめられる。
ほむらちゃんのばか。
こんなにくっついてて、眠れるわけないのに……。
「私……眠れない」
わざと甘えた声で言う。
今度は私が甘える番なんだからね……。
さっきされたように、身体を擦り寄せてほむらちゃんを焦らした。
ほむらちゃんはくっついていたおでこを離して、顔を少しだけ浮かせて。
「ちゅ……」
そっと唇を重ねてくれた。
唇が離れるときに互いに吸い合って、いやらしい音を立てる。
静まり返った部屋は音がよく響いて、私はたった一回のキスで身体がキュンと鼓動してしまった。
「ほむらちゃん……眠くなるまで、キスしたい……」
キスをせがむ……。
我慢できなくて同じように足を絡ませて、腰をくっつけた。
「目、つむって」
「うん……」
目を閉じると、焦らすように頬を撫でられてから、唇を擦り付けるようにキスが降ってくる。
「んっ……」
ほむらちゃん……。
唇と舌で、くすぐったいキスを絶え間なくされる。
ちゅ、ちゅ、ちゅ……。
「んゃ……っ」
まだ触れてるだけなのに……おなかの奥が震えて声が漏れてしまう。
少し目を開けると、同じようにうっすらと目を開けて顔を寄せるほむらちゃんが目に映る。
暗くてよく見えないはずなのに、ほむらちゃんのいやらしい顔が頭の中に浮かんできて、私の身体はまたドクンと跳ねる……。
「ぁ……ちゅ……」
我慢できなくて……私からも積極的に唇を重ねた。
ほむらちゃんは私がそうするのを待っていたように、キスのリズムを合わせてくれる。
どうしようどうしよう……キスだけなのに、溶けちゃうよ……。
「ちゅ……まどか、ちゅぅぅ……っ」
やだやだやだ……。
あっけなくほむらちゃんの舌が入り込んで、私の口の中を撫でていく……。
撫でられるたびに私は身体をひくんひくんとくねらせて、はしたなく感じてしまう。
身体が密着してるせいで、私がどれくらい気持ちいいのか……ほむらちゃんにばれちゃう。
「ぁ、ちゅ……ん、ちゅ、ちゅ、ちぅ……ぴ……」
もう、キスというより。
無抵抗な私の口をほむらちゃんが愛撫してくれるだけ……。
それでもほむらちゃんはキスをやめないで、何度も私の名前を呼んでくれた。
溢れる好きの気持ちを伝えたいのに、身体が言うことを効かない……。
「まどか……ちゅぅぅ……ちゅ、ぴ……んん」
舌、舌の裏、歯茎、唇。
どれもほむらちゃんの舌にねっとりと愛撫されて、私のおなかの奥にズンと低い鼓動を響かせた。
「ほむらちゃ……はぁっ…あっ……」
やだやだ……。
何もされてないのに、変な声が出ちゃうよう。
おなかが振動してるみたいに、熱くてジンジンして、声が出ちゃう……。
「ごめんなさい……やりすぎてしまったわ」
「ちが、ちがうの……っ」
頬を撫でてあやしてくれるほむらちゃんの言葉を遮る。
違う。 悪いのはほむらちゃんじゃなくて、えっちな私だもん……。
もっと、もっと、先のことをしたいと願ってしまう。
「あっ……ほむらちゃん……っ」
囁き声のつもりなのに、部屋に甲高い声が響いてしまって、慌てて毛布で口を抑える。
「まどか……聞こえてしまうわ」
ほむらちゃんの言うとおりだ。
私はえっちをするとき、声をいっぱい出してしまうから自宅でそういうことはできそうにない。
でも、このままじゃ……。
「や、やっぱり……下で寝るっ」
それもこれも、こんなに身体がくっついてるせいなんだからね。
ほむらちゃんの腕を解いて身体を離す。
涼しい風が火照った身体を冷ましていく。
「……ごめんね、まどか」
「ほむらちゃん悪くないよ、私が、その……えっちなだけ」
自分で言って恥ずかしくなって、またおなかの奥が響く……。
ドキドキしたらダメなんだってば……っ。
結局、私達はそれぞれ別に眠りについた。
あーあ、ほむらちゃんと寝たかったな……。
でもくっついてると変な気持ちになるし、どうしよう。
えっちなときと、そうじゃないときの区別をしっかりつけること。
当分の課題はコレになりそうだ。