38スレ/一緒に

Last-modified: 2014-04-28 (月) 19:39:36
284 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/11/25(日) 20:55:27.28 ID:gEMtJuOJ0
 ロダに上げるほど長くもないので、こちらに投下で。
 3レスほど頂きます。
(設定はIFのワルプルギスを乗り越えた世界)
 ほむらちゃんを好きになっちゃったけど、女の子同士だし――大切なお友達なのに告白なんて出来ない。
 だからせめて、態度で表してみることにした。ちょっとでもいいから、伝わったら嬉しいなって。
 でもそれは――大変な道のりだったのです。
 先ず今日の学校帰りのこと。
 いつもは手なんて繋がないけれど、二人っきりだしいいかな、なんて思って、ちょっぴり勇気を出して繋いでみた。
 すると、少し驚いた顔をしてきょとんと私を見ているほむらちゃん。何か思いついたらしく、ポケットをごそごそ……。
「気がつかなくてごめんなさい。私はあまり寒くなかったから――私の手袋で良ければ使って?」
 今度は私がきょとんとしながら「ありがとう……」とお礼を言い、その手袋を借りて嵌める。
 うー、嬉しいけど……複雑な気分だよ……。ま、まだまだこれからだよね!


285 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/11/25(日) 20:58:03.32 ID:gEMtJuOJ0
 そして翌日の学校帰り。
 ちょっと行儀が悪いけれど、その日は寒かったし、コンビニに寄りコーンポタージュを購入。
 ほむらちゃんは何も買わなかったみたいだし、チャンス到来だね!
 プシュッと音を立ててプルタブが外れる。そして一口飲んで……。落ち着いて――自然に、自然に誘えば……!
「ね、ねぇ? ほむらちゃんも一口ど、どうかな?」
「あ、え、いいわ。悪いもの。まどかが買ったものだし……」
 
 残念だけど、ここで断るのは織り込み済みだよ!
「え、えっとね。私一人じゃ飲み切れそうにないし――だめかな?」
「――そうね、それじゃ一口頂こうかしら」
 滅多に見れないにこっとした笑顔を見せられて、渡すのも忘れてぽーっと見とれてしまう。
「まどか……どうしたの? 顔に何かついてる?」
「そ、そうじゃなくって、あ、は、はい、どうぞ!」
 
 慌てて差し出す私に怪訝な顔をするも、コーンポタージュを受け取った。
 そして、口をつけて喉がコクリと動くのを見てしまった。間接キスをしてるんだよね……なんて考えてしまって、頬が赤くなってきちゃう。
 今日が寒い日でほんと良かった――ば、バレないよね?
「少し身体が暖まってきたみたい。ありがとう」
 少しだけ照れくさそうに返してくれるほむらちゃんは、とっても可愛くって――呆然としたまま受け取り、でも表情を見られたくなくって缶に口をつける。
 こくこくっと二口くらい飲んだところで離すと、ほむらちゃんの視線が私の口元に。
「……まどか、動かないでね?」
 視線とほむらちゃんの動きに釘付けにされちゃって、動きたくても動けないよ。
 も、もしかしてキスされちゃうとか!? ま、まだ告白もしてないのに。い、いいけど。
 なんだか見ていられなくなってぎゅっと目を閉じると、唇の辺りにふわっとした感触が……ほ、ほんとにされちゃったの……?
 おそるおそる目を開けると、少しだけはにかんでいる表情が目に飛び込んできて
「粒がついていたわ。まどかは子供みたいなんだから」
 くすりと笑われてしまった。なんだか拍子抜けして脱力しそうになっちゃったよ……。
 それにしても、子供みたいなんて酷いよ! そりゃまぁ……否定できないかもだけど。それでも、むむむむ。
 ぷくーっと頬を膨らませて、拗ねちゃうのは仕方ないよね?
「どーせ、お子様だよーだっ」
「あら、気を悪くさせてしまったようね。ごめんなさい。――でも、私はそういうところも可愛くて好き」
 なんて言われて、一気にぷしゅーっとなってしまうわけで。
 ほんとほむらちゃんはずるいと思う。そんな事言われちゃったら、許すしかないもん。例え、友達同士の好きだとしても。
 嬉しいものは嬉しいし――切ないけど心がぽかぽかになってきちゃう。だから、もう少しだけ勇気を出して
「わ、私もちょっぴり意地悪なほむらちゃんも好きだよ。ど、どんなほむらちゃんで、でも、好きだもん」
 それが私の本心だよ? 意地悪のほむらちゃん。冷たいけど、ほんとは友達想いで優しいほむらちゃん。ちょっぴり寂しがり屋で恥ずかしがりなところも。全部好き……。
 恥ずかしくってそっぽを向いてしまった。そ、それでも言えただけ進歩だと思う。
 チラリと視線だけを向けほむらちゃんの横顔を伺うと、呆気に取られたみたいだけどすぐに……あ、ぅ、その優しそうな微笑は反則だよぉ……。
「それは光栄ね。私も――友達思いで他人にも優しいまどかも、ちょっぴり拗ねるまどかも、子供っぽいのも大人びている時も好きよ」


286 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/11/25(日) 20:59:58.46 ID:gEMtJuOJ0
 なんて言われちゃった。ずるいずるいずるい――ほんとずるいよ……。そんな事言われたら……私……。なんだかじんわり涙が出てきちゃう。
 表情を見られたくなくって、その腕にぎゅっとしがみつく。
 嬉しいのに、やっぱり苦しくって切なくって痛くって……。このまま想いを告げてしまおうか、なんてまで思ってしまう。
 でも結局勇気の無い私は言葉に出かかった〝友達同士じゃなくて好き〟をぐっと飲み込み、別の言葉を発していた。
 
「……えへへ、とっても嬉しいよ。ずっと一緒にいてね?」
 友達をあえて抜かしたのは、たぶんささやかな抵抗で本心だと思う。例え友達同士だとしても、一緒に居たいから。
 
「――ええ、もちろんよ」
 顔を見れなかったから、ほむらちゃんがどういう表情で言ったのかはわからない。
 だけど、そう言ってくれた言葉は嘘じゃないって思った。それだけで今は十分かもしれない。
 でも、アピールはやめないよ。そしていつか――勇気が出たら……こんな最低な友達でごめんね。ほむらちゃん……。
ホムホームにて
 最近、まどかの行動にドキマギしてしまう私がいる。
 友達として好きだからしてくれているだけなのに、勘違いしそうになる。私はなんて愚か者だろう。
 もっと気を引き締めないといけないわね。信頼を裏切るわけにいかないもの。
 私はまどかのことが好き。だからといって、あの子に想いを押し付けるわけにはいかない。
 でも――いつまで避けれるのだろう? 握られた手は暖かく、離しがたいものだった。ずっと繋いでいてしまいたくなる。
 それに今日だって、少し暴走しかかったというのに。
 目を閉じるまどかの顔が、キスを待っているようで――全くとんでもない都合の良い妄想だ。汚らわしい自分が嫌になってくる。
 その後の好きって言葉も、まどかの気持ちに思えて……私の頭の中はまるでお花畑だ。全て枯らしたいわ……。
 これから先も、同じような想いを抱く日は来るだろう。いつまで耐えれるかわからない。
「耐え切れなくなったその時は……白状するしかないわね……」
 あの子の見る目が変わるかもしれない。それで今の関係が崩れるかもしれない。
 だけれど、まどかを穢してしまうよりずっといい。
 何より一般人と魔法少女の壁。それに女の子同士というのもある。問題のオンパレードだ。こんな私は何かしでかす前に嫌われた方がいいだろう。
 そう気味悪がられて、離れられてしまうほうがマシ。でもあの子は優しい子だから、躊躇するかもしれない。
 その時は、私がすっぱりと切れば――出来るのだろうか? こんなに好きなのに……。
「――まどか……まどか、好きだよ……」
 想いが溢れ誰も居ない虚空に向かって、伝えてはならない思いを呟く。自然と涙が出てきた。
 好きだからこそ、我慢できなくなった時は離れないと分っている。だから、その時までは――最低な友達だけれど……。
「一緒に居させて……」
 
 その後、二人がどうなったのかは、また別の話し。

http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1353657020/284-286