39スレ/X'masまどほむ-mdhmください

Last-modified: 2014-04-30 (水) 17:45:29
726 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2012/12/07(金) 12:10:42.07 ID:lHhpe/vR0
早いですがクリスマスネタを。皆様のクリスマスmdhmください。
http://ux.getuploader.com/homumado/download/170/%CE%A7%27masmdhm.txt
>>465気が向きましたら。それには皆様のmdhmが必要です。

http://ikura.2ch.net/test/read.cgi/anichara2/1354351539/726
txtファイルはこちら
以下、本文



「じゃあ、またね」
「ええ、また明日」

まどかを家まで送り届けて、玄関に入っていく姿を追った視線は、次いで白く流れていく溜息を追う。

チャンスはいくらでもあった。むしろまどかもそれを待っているのではないかとさえ思える瞬間だってあった。
でも、どうしても踏み出せない自分の情けなさに嫌気が差す。

デートの間中、お手洗いで小まめに歯を磨いて、ガムを噛んだりリップを塗ったり。そこまで準備をしておいて、
何故あと一歩が踏み出せないの暁美ほむら。

「まどかとキスがしたい…」

口に出してみると、余計に情けなくなった。

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街を歩いていても、テレビを眺めていても、学校での話題も、クリスマス一色。

今年は経験したことのないくらい賑やかなクリスマスを過ごすことになりそうで、やや浮き足立っているのを
自覚している。友人も、こ、こ…恋人、も、いるし。

そこでまた落ち込む。お互いに想いを確かめ合って、デートもして、手を繋いで、そろそろ次の段階に…
進めない。自分のヘタレさと同時に、まるで男子中学生の悩みのような内容で悶々としてしまう自分の
在り方に静かに心が締め付けられる。

なんとかクリスマスまでには、などと変に自分を追い込んでみたりもするが、そもそもクリスマスはキリストの
生誕祭であり、昨今の商業主義的な…などと散々手垢のついた批判を展開してそんなに焦らなくてもいいじゃないかと
自分を甘やかしてみたりもする。まどかのこととなるとどこまでも駄目になる自分が情けなくも愛おしい。

『…ハイっ! 今日は見滝原ラットランドに来ています! 可愛らしいミッキーラットとミニーラットがお出迎えに…』

賑やかしに電源を入れているテレビでは、クリスマスに恋人と過ごしたいスポットの特集が組まれている。

ここはつい先日まどかと行ったばかりで、あまり興味はそそられない。

『あれあれー? ミッキーラットとミニーラット、急にキスしはじめちゃいましたよー! 』

キスという言葉に過剰に反応する自分が恨めしい。あと、ハイテンションなナレーターも。

「皆さん、二人の頭上に注目してくださーい。葉っぱの飾りがありますよね? 実はこれ、ヤドリギの飾りなんでーす!
 西洋では、ヤドリギの下でキスを交わすと幸せなカップルになれるという言い伝えがあるんですよー!」

ああ、なんとなく聞き覚えがある話だ。

「さらに! ヤドリギの下でキスを申し込まれたら、女の子は拒んではいけないんですよー!
 でもでも! 女子の皆さんは、ヤドリギの下だからってムリヤリキスするような男と交際しないように!
 そして男子の皆さんは、ヤドリギにかこつけてキスに漕ぎ着けるような大人にならないこと!」

あと一歩を踏み出すために。
私はヤドリギのクリスマスリースを求めて外出することにした。

…私は女子なので、かこつけてキスしてもいいのだ。多分。

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クリスマス・イヴ。

巴マミのマンションで、いつものメンバーでパーティ。

クリスマス料理は実に気合が入っていた。

佐倉杏子が意地汚さを発揮して美樹さやかと取り合っている光景もいつも通りだった。

そして、帰り道。

まどかの方から、私の家に寄り道したいと言ってきた。私から誘うつもりだったから、好都合。

「んーとね…」

部屋に入って、温かいココアを淹れて、バッグを探っているまどかと向かい合う。

生のヤドリギは流石に手に入らなかったので作り物ではあるが、それなりに本格的に仕上げて部屋の真ん中に飾ってある。

「これ、ほむらちゃんにクリスマスプレゼント」

バッグからラッピングされた袋を取り出すまどか。プレゼント交換は先程のパーティで全員で済ませていたが、
私のためだけに用意してくれていたようだ。

まどかが用意したものは美樹さやかが攫っていった。幸い、佐倉杏子のものが私の手元にあるので交渉の余地はあるだろう。
ちなみにまどかは巴マミのプレゼントを引き当てていた。

「本当? 実は、私も用意しているの」

まどかを家に誘う口実として、そして、やはり特別なプレゼントは渡したかったのもあって、用意をしていた。

お互いに、中身を確かめ合う。何をもらったかは、二人だけの秘密だ。

お礼を言い合って、しばしの歓談。さっきの料理の味や、一緒に見た駅前のイルミネーションの話、
さらには、年越しの話も。

弾む会話と、お互いの思いを込めたプレゼント。とてもいいムードだ。あとは、切り出すタイミング、だけ。

いつ切り出そうかと迷っていると、

「そういえば、あのリースすごく本格的だね」

向こうから話を振ってきてくれた。

「ええ、作り物だけどモミの木と、ヤドリギの飾りなの」
「へー、あれがヤドリギなんだ。英語の教科書で読んだことあるよ。あの下でキスすると幸せになれるんだよね」

怖いくらいに上手く行ってくれている。まどかが知っているなら、今日こそ…!

「でも作り物だからかな。実がついてないからキスはできないね」

えっ?

「実?」
「うん。下でキスをした人は、ついてる実をひとつ取るの。全部取っちゃったら、おしまい」

英語の教科書にはそう書いてあったよ。そう言ってまどかは微笑んだ。

「あ、そ、そう…なんだ…」

どうしよう。

あれだけ気合を入れていたのに、急速に気持ちがしぼんでいく。

用意していた言葉も、シミュレーションも、真っ白になっていく。

たったこれくらいのことで、って思っても。

今まで踏み出せなかった私に勇気が湧いてくるはずもなくて。

情けないな。なんで、まどかのことになっちゃうと、すぐに空回っちゃうのかな。

「イス借りるねー」

情けなさ過ぎて涙が出そうな私をよそに、まどかは椅子を踏み台にリースに手を伸ばしている。

「うん、これでいいんじゃないかな」

見上げると、綺麗にラッピングされた袋がリースの上にちょこんと乗っていた。

「マミさんのプレゼント、お菓子とかいろいろ入ってたんだ。ホワイトショコラが入ってたから、実の代わり」
「え…」

椅子から降りたまどかは、私の隣へ。

「ほむらちゃん、ヤドリギのお話を知ってて準備したんだよね?」
「いえ、その」
「私のこと大事にしてくれるのは嬉しいけど、ちょっとやり過ぎだよ。…すごく、嬉しいけど。
 …ほむらちゃんなら…いいよ…」

まどかはそっと目を閉じて、ほんの少しだけ顔を上げた。



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「いえ、だからね、さっきからありがとうありがとうって言われても、私が暁美さんに何をしたのか
 全然検討がつかないんだけど…え? ホワイトショコラ? それは鹿目さんに行ったはずじゃ…。
 いや、ちょっと待って。だからお礼を言われても全然意味がわからな…いえ、言わせてちょうだいって
 言われても」