61スレ/夏バテ-mdhmください

Last-modified: 2014-05-21 (水) 01:27:48
781 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2013/07/09(火) 15:44:23.79 ID:15nv5F7h0
もしお持ちでしたら、ひだまりスケッチコミックス2巻93ページをご覧になってからお読み下さい。mdhmください。


 時間をかけて培われた心構えというのは中々抜けるものではないな、と思った。
 屋内外で大きな気温の差が生じやすい夏と冬は気をつけるように、と言われ続けて幾年月。心臓への負担を全く気にしないで
済むようになってから初めての夏である。しかし習慣というのは恐ろしいもので、無意識のうちに身体への負担が少ないように
行動をする癖が出たり、それに気づいて慌てて修正を試みたりといったことを繰り返しているうちに、すっかり夏バテに近い状態に
なってしまった。締りのない魔法少女も居たものだ。
 だけど、私の食欲が落ちたのを心配してわざわざ素麺のお裾分けをしてくれたまどかの優しさを想うと、若干の申し訳なさとともに
少々の役得のようなものを感じてしまうのは我ながら現金なものだと思う。ビバ病弱設定。まどかはもう私は治っていると知っているのだけど。

「のーぼったなーみだっ♪ やーさしいえーみでっ♪」

 薬味を準備する私の隣で、楽しそうに歌うまどかが、沸騰し始めた鍋のお湯に素麺を投入した。頂いたついでに、お持たせで申し訳ないけれど、と
昼食に誘ってみた結果である。
 2人で立つには少々狭いキッチンであるが、並んで一緒に作ったものを一緒に食べるというのは格別の幸せがある。素麺や薬味の準備くらいだと
作ったというほどのものでもないけれど。
 さて、薬味は鹿目家菜園で採れた茗荷と、市販の梅干しを種を除いて適度に潰した梅肉。準備も終わり、後は茹で上がるのを待つばかり。
せっかくなので、くるくると菜箸で麺をほぐしているまどかを眺めて待つ。白のゆったりとしたワンピースが可愛らしい。

「かーたちをかーえたっ♪ こーのせかーいはっ♪」

 理由は分からないがひどく心を打つ歌だ。理由は分からないが。吹きこぼれそうになり、まどかが差し水を手にとった。

「ただーひとーつのっ♪ ウェッヒッヒッヒ…」

 水を差した途端、知育菓子の魔女のような笑い声。危うく薬味を盛ったお皿をひっくり返しそうになった。ひどく嬉しそうだ。あんな笑顔はめったに見ない。怖い。

「おびえーるーこのてーのなかにはー♪」
「まどか! さっきの歌にして! お願いだから!」
「ふぇっ!? 聞いてたの? もう、恥ずかしいなぁ…」
「ご、ごめんなさい…」

 素麺はとても美味しくて、夏バテした身体に沁みた。でも、次は茹でるのは私がやろうと思った。


たまーにメタなネタをやりたくなります。mdhmください。

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