7スレ/355

Last-modified: 2014-04-06 (日) 03:27:52
355 : 名無しさん@お腹いっぱい。 : 2011/10/03(月) 00:46:13.98
「まどか、誕生日おめでとう」
二切れのショートケーキを食卓に置き、紅茶とそろえれば、机の上はバースデイパーティの会場になる。
でも、肝心の主役は、ここにはいない。
いや、いるのかもしれないけれど、それは私には分からない。
「これで何歳になったのかしらね、もうとても数えられないけれど」
「ねえ、そっちに時間の概念はあるのかしら?」
「ふふ、まどかがおばあちゃんになってたりしたら、私きっと笑ってしまうわ」
大きな蝋燭を一本立てて、火を点す。
ゆっくりと燃えながら細っていくその白は、どうしてもいつか見た白と重なってしまう。
「また今年も、この日を祝えた」
「私、がんばるからね」
炎の向こうに見える景色が歪む。
ゆらぎの中に見慣れた桃色が見えた気がして、ぐしぐしと眼をこするけれど、当たり前のように何もない。
ちょっと落ち込みながら、火を吹き消した。
さあ、ケーキを食べて、紅茶を飲んで、今日はもう寝よう。
あなたの溶けた世界は、辛い事も多いけれど、とても暖かいから。
また来年ね。
『うん、また来年』

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